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HAREM SCAREM「HOPE」(2008)

  • 2012/09/21(金) 00:00:00

HAREM SCAREM HOPE
【No.345】
★★★(2008)

自主制作の11曲入りデモ音源(2003年にボーナス4曲を追加して企画盤「THE EARLY YEARS」として発売)が大手レーベルWARNERの目に留まり1991年に本国カナダでデビュー後、2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本上陸を果たすと一気にブレイクしたものの、続く3rd「VOICE OF REASON」(1995)が日本受けしないグランジ路線だったことからケチがつき始め、改名騒動など紆余曲折あったHAREM SCAREMのラストアルバムにして通算11枚目の作品(RUBBER名義を除く)。前作「HUMAN NATURE」(2006)に伴うツアーで来日した時には、あと1枚のアルバムを制作した後に解散することが決まっていたため、メンバーも本作をレコーディングする前から「最後にスペシャルな作品を残したい」と語っていましたが、いざ聴いてみるとここに「特別な何か」と呼べる要素はなくHAREM SCAREMというバンドの現在進行形の姿が収められています。前作はハーレムサウンドの中でもポップで明るい側面が表れていたのに対して本作は一般的に問題作扱いされることが多いものの、実はHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)が揃って好きな作品に挙げる3rd「VOICE OF REASON」(1995)に通じる陰りのあるムードが強まっていて、過去作品の中では9th「OVERLOAD」(2005)に近いように感じました。最後だからと気負うことなく自分達のやりたいように仕上げてきた辺りがHAREM SCAREMらしいなと思う一方で、初期2作品のサウンドに思い入れがある身としては少し寂しくもありますね。

アルバム全体の印象としては近作と同じく、ヴァース~ブリッジでは抑制気味な感情をサビで爆発させるような流れのミディアムテンポが主体となっていて、熟練の域に達したソングライティングに舌を巻く場面も少なくありません。ギターとドラムの絡みが面白いパートから哀愁のサビに繋がる②Time Bomb、これぞハーレム節なアップテンポ④Days Are Numberedもさることながら本作最大の聴きどころはアルバム終盤ですね。過去の名バラード群に勝るとも劣らない感動をもたらしてくれる⑧Shooting Star、本作の中でも僕が思い描くHAREM SCAREM流ロックに最も近い⑨Calm Before The Storm、派手さはないもののメロディが胸に沁みるアコースティックバラード⑩Nothing Without Youと続く展開は素晴らしいの一言。そんな余韻を引き継ぐボーナストラック⑪Stranger Than Love(「MOOD SWINGS」収録)のアコースティックバージョンも含めて、この流れは本作の締めくくりだけでなくバンドの最後の花道を見事に飾ってくれています。

メンバーはバンド解散の理由を「HAREM SCAREMとしてできることはやり尽くした。これ以上続けていても同じことの繰り返しになってしまうから」と語っていますが、僕も8th「HIGHER」(2003)辺りから同じようなことを感じていました。一般的に見ると十分魅力的である反面、アルバム全体に漂う安定感がマンネリに繋がっているというか…。そういうこともあって、バンドが解散を発表した時も驚きよりも「遂にその時が来たか…」というのが率直な感想でした。そして本作を聴き終えてみても、解散を惜しむ以上にお疲れ様でしたという言葉が出てきます。HR/HM歴2年目の1996年に出会って以降、一時期迷走はしたものの僕のミュージックライフにおいて大切なバンドのひとつでした。素晴らしい音楽を届けてくれたカナダ最強のハードロックバンドHAREM SCAREMに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、HAREM SCAREM!

【音源紹介】
Shooting Star

HAREM SCAREM「RAW AND RARE」(2008)

  • 2012/09/15(土) 00:00:00

RAW AND RARE
【No.344】
★★(2008)

10thアルバム「HUMAN NATURE」(2006)リリース後にD.C. Cooper(Vo/ex-ROYAL HUNT)率いるメロディックメタルバンドSILENT FORCEとのやや異色なカップリングという形で約5年振りの来日が決定したHAREM SCAREMでしたが、来日公演の2ヶ月前に「もう1枚のスタジオアルバムを制作した後にバンドはそれぞれ別の道を進むことを決めた。今回のツアーが最後の公演となる」とHarry Hess(Vo)が電撃発表してファンを驚かせました。本作は来日ツアーから約1ヶ月後の2007年10月27日に英国ノッティンガムで開催されたメロディックロックの祭典「FIREFEST Ⅳ」に出演した事実上のラストライブを全曲収録した作品で、バンド通算5枚目となるライブ盤です。内容は当日の模様に加えて、映像と音は良いとは言えませんが1994年の「MOOD SWINGS TOUR」からの12曲やバックステージ、最終公演前に行われたインタビューなどの貴重映像を収録したDVDと「FIREFEST」の音源をそのまま収めたCDの2枚組となっています。「FIREFEST」の映像を見て、まず感じたのはHarryを始めとする各メンバーの表情がラストライブだとは思えないほどリラックスしているということ。ベーシストBarry Donaghyに至っては「巨根」とプリントされた黒Tシャツという出で立ちです(苦笑)。最終公演当日のインタビューでも「I quit the band now I just play with myself」と書かれた赤いTシャツを着ていたBarryは、こういうのが好きなんでしょうね。

【トラックリストと収録アルバム】
LIVE AT FIREFEST Ⅳ
01. Dagger(9th「OVERLOAD」)
02. Human Nature(10th「HUMAN NATURE」)
03. Caught Up In Your World(10th「HUMAN NATURE」)
04. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
05. With A Little Love(1st「HAREM SCAREM」)
06. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Don't Come Easy(9th「OVERLOAD」)
09. Voice Of Reason(3rd「VOICE OF REASON」)
10. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Karma Cleansing(4th「BELIEVE」)

1994 MOOD SWINGS TOUR
01. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Sentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」)
05. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
07. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Distant Memory(1st「HAREM SCAREM」)
09. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
10. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Guitar Solo
12. Had Enough(2nd「MOOD SWINGS」)

同年9月に行われた最後の来日公演では「FIREFEST」と同じ11曲の他にも1st「HAREM SCAREM」(1991)収録のHard To Love、Honestly、2nd「MOOD SWINGS」(1993)収録のChange Comes Aroundといったバンド初期の人気ナンバーもプレイしたようですが「FIREFEST」のセットリストを見る限り、これを最終公演とするにはかなり微妙な選曲ですね…。バンドの歴史を総括する趣向が凝らされているわけではないし①Dagger、②Human Natureという佳曲ではあるが掴みとしては強力と言い難い前作「OVERLOAD」(2005)と最新作収録の2曲からライブがスタートしていることもあって、このツアーが新作を出した後に行うライブ以上でも以下でもないという印象が強いです。それに加えて演奏と歌の両方が淡泊なのも気になりますね。音圧の低いパワーポップに傾倒していた「LAST LIVE」(2000)、バンド名をHAREM SCAREMに戻してハードロックの質感を強めていた「LIVE AT THE GODS」(2002)という最近のライブ盤2作品でそうだったように、このバンドはその時に目指している音楽性がライブに反映されることが多かったのですが、その傾向は本作にも見られるように思います。堅実かつ無難である反面エキサイトメントに欠け、どうにも熱くなれないんです…。

そんな僕にとっては特典映像の「1994 MOOD SWINGS TOUR」の方が数段魅力的だったりします。映像自体は会場の後方から固定カメラで撮影されたものなので画面下半分は観客で隠れ、メンバーの姿は上半身しか見えませんが今のバンドが失ってしまったエネルギーと緊張感に溢れています。世界で最もHAREM SCAREMを評価していたと言っても過言ではない日本では、特に人気の高い2nd「MOOD SWINGS」(1993)を完全再現するとか、RUBBER期を含めた全作品からのベストライブを行うなどのファンサービスをして欲しかったですね。グランジ寄りのサウンドからパワーポップまで音楽面ではその時々に興味を持ったサウンドを積極的に取り込み、毎回一定レベル以上のアルバムを作り上げる器用さを持っていたバンドですが、ファンの心を掴むことに関しては不器用だったと言わざるを得ません。これがラストツアーであることなどお構いなしに自然体で素のライブ収めたパートを「RAW」、1994年の秘蔵ライブ映像などで構成されるパートを「RARE」と考えると本作のタイトルにも納得できるものの、メインである「RAW」パートを見ても感慨深くなることがなく魅力薄だというのがファンとして何とも歯痒いですね。

・Human Nature(Live)


・Saviors Never Cry(Live)

本作とは異なるテイクです。

HAREM SCAREM「HUMAN NATURE」(2006)

  • 2012/09/07(金) 00:00:00

H SCAREM H NATURE
【No.343】
★★★(2006)

過去のドタバタ劇が嘘のように7th「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)で復活して以降、コンスタントに安定感ある作品をリリースしているHAREM SCAREMの10thアルバム。近年の作品は悪くはないけれど楽曲の振り幅が狭く、メロディも地味なため各曲を取り出して聴くとそれなりに楽しめる一方でアルバムとしてはインパクトに欠けるという印象を持っていたのですが今回はなかなか好感触です。「ファンが求める初期2作品の音楽性を目指した」とHarry Hess(Vo)が語る通り、前作「OVERLOAD」(2005)では希薄だった気持ちを高揚させてくれるメロディや爽快感はグッと強まっているし、バンドのトレードマークでもあるコーラスワークも分厚くなっていますね。なおバックボーカルにはTony Harnell(Vo/ex-TNT)のほか、今回も元メンバーのDarren Smith(Ds)が参加しています。

2nd「MOOD SWINGS」(1993)の頃を連想させるギターで始まり「ヒュー!マァン!ネェ~ェイチャ~♪」という覚えやすいサビに繋がるタイトルトラック①Human Nature、バンドのダーク/シリアス路線の代表曲No Justice(「MOOD SWINGS」収録)をポップに仕上げたかのような②Next Time Aroundという冒頭2曲がポジティブな雰囲気を放っているため、全体的にドンヨリしていた前作とは印象が大きく異なりますね。また本作はアルバム後半に進むにつれて楽曲のテンションが上がっていくので、近作で見受けられたダレを誘う場面も減少しています。個人的には伸びやかなサビが特徴の⑨Starlight、バンドの爽やかな持ち味を活かした⑩Going Under、フック満載のメロディで本編を締めくくってくれる⑪Tomorrow May Be Goneがハイライトですね。

アルバム全体としても王道のメロディックロックを軸にしつつメランコリックなバラード、前作に通じるモダンロック調からQUEENへのリスペクトが滲む⑦Give Love/Get Loveまで粒が揃っていて、ガツンと来るハードロックこそないもののHAREM SCAREMらしさが随所に感じられるのも好ポイント。これまで以上に歌ものアルバムという印象が強い本作に相応しいボーナストラック⑫Higherは8th「HIGHER」(2003)のタイトル曲のアコースティックバージョンで、オリジナル以上に繊細なメロディが胸に沁みる好アレンジだと思います。正直なところマンネリ感を拭いきれていなかったり、どこかで聴いたフレーズが散見されるのも事実ですが過去2作品では行われなかった来日公演が本作発表後に実現したことにも納得の充実盤ですね。

【音源紹介】
・Next Time Around

HAREM SCAREM「OVERLOAD」(2005)

  • 2012/08/28(火) 00:00:00

OVERLOAD
【No.342】
★★(2005)

前作「HIGHER」(2003)発表後もPete Lesperance(G)が初のソロアルバム「DOWN IN IT」(2004)を、本作と同じ2005年にはCreighton Doane(Ds)が通算2枚目となるソロ作品を発表、Harry Hess(Vo)はCreightonの前任ドラマーDarren Smith率いるBLACK STARのアルバムプロデュースを手がけ、Barry Donaghy(B)もCDこそ発売していないものの自身のプロジェクトで精力的に活動するなど、各メンバーが多忙な日々を送るHAREM SCAREMの9作目(RUBBER名義を含めれば記念すべき10枚目)となるアルバム。今やベテランバンドの域に入りつつある彼等はこれまでも基本線を守りながら作品毎に異なる表情を見せてくれていましたが、今回は3rd「VOICE OF REASON」(1995)にも通じる内省的でダークな印象が強くHAREM SCAREM流モダンロックと呼べそうな作風に仕上がっていますね。作品イメージとしてはPeteのソロ「DOWN IN IT」に近いような気がします。

前作のオープニング曲Reach同様、掴みとしては微妙ながらもサビメロが耳に残るミドル①Daggerに続く近年のパワーポップ路線を継承した②Afterglowへ至る流れ、一際キャッチーな響きと風変わりなリズムギターが面白い④Don't Come Easy、メタリックなリフから②に通じる威勢の良さが弾ける⑥Forgive & Forget、Harryが情感を込めて歌い上げるバラード⑧Leading Me Onなどは結構好きですね。ただ、前作(特に後半)でも感じられた作品全体を覆うメリハリのなさが気になります。楽曲単体としては流石のクオリティを備えてはいるものの、1枚のアルバムとして聴くとどうにも単調に思えてしまうんですよね。収録曲の大半が静かに始まりヘヴィにうねるギターを従えながら地味に展開していき、サビでHAREM SCAREMらしいメロディが聴けるという画一的な曲構成となっていることが影響しているのかもしれません。これまで無名のバンドが本作をリリースしたのならば「なかなかいいね」と思えたんでしょうけれど、HAREM SCAREMのアルバムとして見ると物足りなさが残ります。

またHarry自身が書いたライナーノーツの曲解説を読んでいると、湧き出た曲のアイデアをじっくり練り上げることをあまりせずにアルバムに収録しているように感じられるのも気になりました。他のアーティストのプロデュースを手がけることも多く、HAREM SCAREM以外にも常にレコーディング作業を行っているHarryとPeteは元々そういう手法でソングライティングをしてきたのかもしれませんが、更に時間をかけてマテリアルを厳選することで作品の印象をもっと良くすることができたように思うのですが…。同じくダークな路線だった3rdに比べると印象的なメロディはこちらの方が多いし歌や演奏、楽曲に大きな弱点は見当たらないのに盛り上がることなくアルバムが終了してしまっているのが残念。BURRN!誌のレビューで小澤さんが本作を「Bサイドコレクション」と表現しているのを見ても、それに反論するだけの決め手もないため言い得て妙と納得してしまう…そんな1枚です。

【音源紹介】
・Don't Come Easy

【CD購入録】H.E.A.T「ADDRESS THE NATION」(2012)

  • 2012/08/24(金) 00:00:00

【CD購入録】
ADDRESS THE NATION
H.E.A.T「ADDRESS THE NATION」(2012)

2009年に日本デビューし、いきなりLOUD PARK 09で来日を果たすなど順調に活動していたものの2nd「FREEDOM ROCK」(2010)リリース後にKenny Leckremo (Vo)が体調不良などを理由に脱退してしまったため、後任にErik Gronwall(Vo)を迎えたスウェーデン産メロディック・ロックバンドH.E.A.Tの3作目を買いました。シンガー交代がどう影響するのか気になっていましたが、結論から言うとErikもこの手の楽曲を歌うのに適した声の持ち主なのですんなり聴けますね。なんでも彼はアイドル発掘番組「SWEDISH IDOL」の2009年度優勝者で、2枚のアルバムをソロ名義で発表していることもありボーカルパフォーマンスは安定しています。楽曲的にはPVも制作されたシングル曲②Living On The Runが頭ひとつ抜き出ているほか、それ以降も佳曲揃いだと思います。ただ現時点では、これまでこのバンドに抱いていた「良い作品だけれどもう一押し欲しい」という思いを払拭するには至らないかな、というのが率直な感想ですね。

HAREM SCAREM「HIGHER」(2003)

  • 2012/08/21(火) 00:00:00

H SCAREM HIGHER
【No.341】
★★★(2003)

改名騒動の末、HAREM SCAREM名義で発表した前作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)は多くのファンが求める2nd「MOOD SWINGS」(1993)を彷彿とさせるサウンドをベースに、これまでのキャリアを総括したかのようなバンドの音楽性が見事に結実した傑作でした。本作はHAREM SCAREMとして復活してから2作目、通算8枚目のアルバムです(RUBBER名義を除く)。前作で文字通りの復活を果たしたとはいえ、このバンドにはファンの期待と異なる大胆な方向転換をした前科(苦笑)があるので本作を聴くまで彼等が本当に帰ってきてくれたのか懐疑的でしたが基本的には「WEIGHT OF THE WORLD」の延長線上にあり、一段とメロディアスな作品に仕上がっていると思います。また、2000年にバンドを脱退したDarren Smith(Ds)が前作に続いてバックコーラスで参加していてバンド初期の質感を出すことに貢献しています。

まず印象的なのはアルバム全編に溢れるポジティブフィーリングで、前作発表後もライブアルバム「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)、Harry Hess(Vo)のソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)、バンドの初期音源集「THE EARLY YEARS」(2003)と精力的な活動を続けてきたバンド状態の良さを象徴しているかのようですね。アルバムの幕開けとしてガツンとくるインパクトは不足しているものの「Reach For The Sun~♪」の伸びやかなサビが印象的な①Reach、程よい哀感が堪らない②Waited、前向きなポップロックチューン③Torn Right Out⑥Run And Hide、RUBBER路線を継承した新たな名曲④Give It To You、淡々としていながら丁寧に美しいメロディを紡いでいくバラード⑤Higherといったアルバム前半はなかなか充実していますね。

ただし「MOOD SWINGS」ばりのハードロックにバラード、インストからパワーポップに至るまでバラエティ豊富だった前作に比べると、今回は④を除いてミディアムテンポ/バラード系が主体となっているため起伏に乏しく感じられるのも事実。日本盤ボーナスを含めて全11曲で40分弱というコンパクトな作品でありながら、どうにも淡泊に感じられて後半は聞き流してしまいがちだし、フェイドアウトがやや唐突な曲が多いのも気になります。勿論、楽曲単体で見れば流石のクオリティを備えているので、他のバンドの曲とシャッフルしながらiPodで聴いている時に本作の曲が流れてくると素直に良いと思えるものばかりなんですけどね。かつてのバンドから感じられた僕の心を熱くしてくれる「何か」が欠けている気もしますがハーレムサウンドを構成する要素をきっちり押さえ、熟練の域に達したソングライティングチームが生み出す楽曲は安定感抜群なので本作は堅実で無難ながら良質なメロディが詰まった1枚だと思います。

【音源紹介】
・Higher

HAREM SCAREM「THE EARLY YEARS」(2003)

  • 2012/08/16(木) 00:00:00

H SCAREM E YEARS
【No.340】
★★★(2003)

カナダが誇るメロディックロック界の至宝HAREM SCAREMがデビュー作「HAREM SCAREM」(1991)からRUBBER名義で「ULTRA FEEL」(2001)を発表するまでの約10年間在籍していたWARNERとの契約を勝ち取るきっかけとなった11曲のデモ音源集に未発表曲(①Whatever I Want、②When The Morning Comes、③Say Goodbyeと日本盤ボーナス⑮Lost In Yesterday)を追加した企画盤。何でも前述の11曲入りデモはプレミア価格がついていたそうで、その話を聞いたバンド側の「より多くの人に聴いてほしい」という思いから商品化されました。デモ制作当時のメンバーはHarry Hess(Vo)、Pete Lesperance(G)、Mike Gionet(B)、Darren Smith(Ds)という3rd「VOICE OF REASON」(1995)までと同じラインナップです(Mikeは1995年、Darrenは2000年に脱退)。HAREM SCAREMは本作をリリースした2003年までにベスト盤とライブアルバムをそれぞれ4枚、未発表曲を収録したシングル多数、そんなシングルのB面曲を集めた企画盤をリリースするなど商魂逞しいところがあったので今回もその手の作品かと高をくくっていたのですが、これが予想以上に粒揃いの内容となっています。

全15曲の中には既発曲も含まれていて⑤All Over Again、⑥Honestlyは1stアルバム、⑨Staying Awayは4th「BELIEVE」(1997)、①と⑭Out Of LoveはHarryとPeteが全面バックアップしたFIOREのデビュー作「TODAY TILL TOMORROW」(1998)に収録されています(一部歌詞やメロディが違う部分があったりロックソングは基本的にテンポが速くなったりしていますが)。「Harryが弱冠17歳で書き上げた」という枕詞でお馴染みの名バラード⑥が本作の時点で既に完成の域に達しているのには驚かされるし、「BELIEVE」ではDarrenが歌っていた⑨のHarryバージョンがここで聴けるのは嬉しいですね。上記以外に僕がわかっているだけでも③のブリッジは5th「BIG BANG THEORY」(1998)収録のTable Turning、⑮のヴァース~ブリッジは4th収録のDie Off Hard⑪One Of The Woundedのイントロ~ヴァースはFIOREの1st収録のAnythingなど、HAREM SCAREMやFIOREの楽曲の元ネタとなっているパートやどこかで聴いた気のするフレーズが散見されるので、このバンドを聴き込んだファンにとって興味深い内容だと思います。

だからといって本作がコアなファン向けの1枚かと言うとそうではなく、とにかく楽しげでHAREM SCAREM節全開のキャッチーソング④Looking Back、そのままアルバムに収録しても通用しそうなバラード⑫The Right Timeなど、そんじょそこらのメロディックロック作品以上に魅力的な楽曲が収録されています。あくまでデビュー前のデモ音源なのでHarryのボーカルは発展途上の段階にあるし、音質にも荒さが残りますがメロディの組み立て方の上手さとPeteの類い稀なるギターセンスには既にその片鱗が見受けられますね。楽曲の充実振りで考えると、デビュー当時のHAREM SCAREMが好きな人ならば他のアルバムよりもまず本作を聴いてみるのもいいかもしれないと思えるほどです(褒め過ぎかもしれませんが…)。

【音源紹介】
・Looking Back

HAREM SCAREM「LIVE AT THE GODS」(2002)

  • 2012/08/07(火) 00:00:00

H SCAREM LIVE GODS
【No.339】
★★★★(2002)

バンド名をRUBBERからHAREM SCAREMに戻して発表した「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)はRUBBER時代の迷走っぷりを払拭する傑作でした。そんな名実ともの復活作をリリースしたHAREM SCAREMが2002年に英国で開催されたメロディックロックイベント「THE GODS 2002」に出演した時の模様を収めたライブ作品。バンドは2008年に解散するまでに5枚ものフルレンスライブ盤を発表していますが、その中でも僕が最も気に入っているのが本作です。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
03. Stuck With You(6th「RUBBER」)
04. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
05. Who-Buddy(6th「RUBBER」)
06. You Ruined Everything(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. This Ain t Over(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
08. See Saw(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
09. If You(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
10. Warming A Frozen Rose(3rd「VOICE OF REASON」)
11. How Long(1st「HAREM SCAREM」)
12. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
13. Outside Your Window(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
14. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
15. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
16. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)

セットリストは最新作を中心に、メンバー自身が「気に入っていない作品」と公言している4th「BELIEVE」(1997)とRUBBER名義の「ULTRA FEEL」(2001)を除く全作品からバランス良く16曲が選曲されています。ライブのオープニングを飾る名曲①Change Comes Aroundを筆頭に④Hard To Love、⑫Honestly、⑭So Blind、⑯No Justiceといった代表曲をしっかり押さえているだけでなく今回初めてライブ盤に収録される⑪How Longのような曲もあって個人的にはかなり満足度の高いセットリストになっています。中でもスタジオ盤以上に力強いHarry Hess(Vo)の歌唱とPete Lesperanceのギターのみというシンプルなアレンジで圧巻のパフォーマンスを披露してくれる⑫は鳥肌ものです。また僕があまり好きになれなかった2作品からの楽曲に関しても、ダークでヘヴィな印象が強かった「VOICE OF REASON」(1995)収録曲は躍動感を増し、シンプルなサウンドを目指すあまりに音が軽くなっていた「RUBBER」(1999)収録曲はエッヂの効いたロックサウンドを強化したライブバージョンとなっていて好印象。

本作を聴いているとHAREM SCAREMがどれほど素晴らしい曲をたくさん生み出してきたか、そして最新作にはグレイテストヒッツ的なセットリストの中でも遜色ないほどの楽曲が並んでいたことを思い知らされますね。内容的にはHAREM SCAREMがこれまでに歩んできた道の集大成とも呼べる1枚なのでベストアルバムとしても機能しそうだし、このバンドは作品によって微妙に(時には大きく)音楽性が異なるので、統一感のあるサウンドで各アルバムからの曲を聴くことができる本作は入門盤にも最適だと思います。

【音源紹介】
・Honestly(Live)

HAREM SCAREM「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)

  • 2012/08/04(土) 00:00:00

H SCAREM W OF THE WORLD
【No.338】
★★★★(2002)

HAREM SCAREMという名前では日本以外で思うような成功をおさめられなかったバンドが状況を打開するために名義をRUBBERに変更するという奇策(苦肉の策?)に打って出たものの、地元カナダでそれほど効果がなかっただけでなく一連の改名騒動のおかげで日本での人気にも悪影響が出始めたため再びHAREM SCAREM名義に戻してリリースした通算7枚目のアルバム(このブログではHAREM SCAREMとRUBBERは別バンドと見なしています)。カナダ等ではRUBBERの1st、日本ではHAREM SCAREM6作目としてリリースした「RUBBER」(1999)に伴うツアーの後にバンド名をRUBBERで統一することを発表、そして日本では結果的にRUBBERとして唯一のアルバムとなった「ULTRA FEEL」(2001)の来日公演時にはHAREM SCAREM復活を宣言するという切り替えの早さ、というか節操のなさ(苦笑)には唖然としましたが、本作の素晴らしさが今回の改名騒動によるドタバタ劇を帳消しにしてくれています。

ミステリアスな導入部に被さるヘヴィかつメロディアスなリフから始まりサビではビッグなコーラスが炸裂するハードロック①Weight Of The Worldからは傑作「MOOD SWINGS」(1993)の世界観が感じられるし、②Killing Meにおける爽やかでキャッチーなメロディを歌うコーラスワークはデビュー作を彷彿とさせてくれます。またHarry Hess(Vo)の温かい歌声を存分に活かしたバンドの新たな名バラード⑤This Ain't Over、4th「BELIEVE」(1997)収録のBaby With A Nail Gun以来となる「これぞPete Lesperance」なギターインスト⑨See Sawなど、RUBBER時代には聴くことができなかったHAREM SCAREMならではの強みを取り戻してくれているのも嬉しいポイント。それだけでなくポップセンスの弾ける④All I Wantやパワーポップの極致⑨If YouのようにRUBBER時代を経た今だからこそ可能な楽曲もあって過去を振り返るだけの作品に終わっていない辺りに、このバンドの底力を感じますね。HAREM SCAREMの中心メンバーであるHarryとPeteはB!誌のインタビューで「MOOD SWINGS」の再来を求める声に対して「過去と同じようなアルバムはいつでも作れる」という趣旨の受け答えをしていたように記憶しているのですが、本当にここまでの力作を作り上げてくれたバンドに脱帽です。4th「BELIEVE」(1997)もそれまでの3作品を集約したような印象はありましたが本作の方が高品質でHAREM SCAREMというバンドの集大成的作品になっていると思いますね。また本作には元ドラマーのDarren Smithがバックコーラスにゲスト参加していて、バンド初期の音楽性を再現するのに一役買っています。

バンド名の変更問題は迷走以外の何ものでもなかったし、RUBBER期は自らの強みであった楽曲の構築美やPeteのギターソロを排除してしまっていたため、個人的にはもうこのバンドを聴くことはないと思った時期もありました。ところが本作ではRUBBER時代に磨いたメロディセンスだけでなく緻密な曲展開、テクニカルかつ歌心あるギターワーク、分厚いコーラスといったかつての持ち味が見事に甦っているので名実ともにHAREM SCAREMの復活作と呼べると思います。名義をHAREM SCAREMに戻した後の作品の中では断トツで好きな1枚であり、バンド全体の中でも3本の指に入るお気に入り盤ですね。

【音源紹介】
・Weight Of The World

HAREM SCAREM「LAST LIVE」(2000)

  • 2012/07/21(土) 00:00:00

LAST LIVE
【No.336】
★(2007)

6th「RUBBER」(1999)リリースに際して、日本以外ではバンド名をHAREM SCAREMからRUBBERに変更して活動していくことを発表し、ファンを驚かせたHAREM SCAREMの通算3枚目となるライブアルバム。本作は1999年11月~12月にかけて過去最大規模で行われた来日公演からのテイクを収めたものですが、その来日後に創設メンバーでもあるDarren Smith(Ds)の脱退と日本でもRUBBERと名乗ることをアナウンスしたため、HAREM SCAREMとしては最後のライブとなることから「LAST LIVE」というタイトルがつけられています(2002年にはHAREM SCAREM名義を復活させることになるわけですが)。なおバンドは来日記念盤として新曲2曲を含むバラードベスト「BALLADS」(1999)をリリースしています。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Stuck With You(6th「RUBBER」)
02. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
03. It's Gotta Be(6th「RUBBER」)
04. Headache(6th「RUBBER」)
05. Coming Down(6th「RUBBER」)
06. Climb The Gate(5th「BIG BANG THEORY」)
07. Sunshine(6th「RUBBER」)
08. Without You(シングル「SO BLIND」)
09. Pool Party(6th「RUBBER」)
10. Trip(6th「RUBBER」)
11. Face It(6th「RUBBER」)
12. Who-Buddy(6th「RUBBER」)
13. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Lauralie(未発表曲)
15. Another Nail For My Heart(未発表曲。SQUEEZEのカバー)

このライブ盤に関して、まず触れておかなければならないのは収録曲が5th「BIG BANG THEORY」(1998)と「RUBBER」期からのみ選ばれたという事実でしょう。このバンドはこれまでもデビュー作「HAREM SCAREM」(1991)~3rd「VOICE OF REASON」(1995)の3枚から選曲した「LIVE IN JAPAN」(1996)、4th「BELIEVE」(1997)収録曲を軸に初期の名曲を厳選した「LIVE AT THE SIREN」(1997)という収録曲がほとんど重ならない2枚のライブ作品を発表していたので今回も既発のライブ盤に入っていない曲が多くなるのではと予測していましたが、ここまで徹底するとは驚きました。当日のライブでは他のアルバムからの曲もプレイしたにもかかわらず、ライブアルバム収録曲をここ最近の2作品に絞っている点はHAREM SCAREM時代との決別宣言のように受け取れますね。

かつては「カナダの技巧派集団」と称されるなど、そのライブパフォーマンスにも定評があったのに対して本作では「RUBBER」の雰囲気を継承して肩の力を抜いたライブとなっているように感じます。ロックバンドとしてのエナジーや迫力といったものは皆無に等しく、従来のバンド像を期待すると拍子抜けしてしまうこと必至だと思います。そんな緩さは「BIG BANG THEORY」からの楽曲にも如実に表れていてスタジオ盤よりも大人しく感じられてしまうのが残念。「RUBBER」を試聴した時点で購入をためらってしまい、バンドがHAREM SCAREMに名義を戻してから後追いでRUBBER期の作品をチェックした僕としては、このアルバムにも①Stuck With You、⑫Who-Buddy、⑬So Blindといったお気に入りナンバーは確かに収録されているものの、それ以上に当時のバンドが従来のハーレムサウンドを払拭して新しいバンドRUBBERになったことをアピールするのに躍起になっているような印象が強くて素直に楽しめなかったりするんですよね。というわけでHAREM SCAREMの作品群の中でもデビュー作や2nd「MOOD SWINGS」(1993)、4th辺りを好む僕には厳しい内容である半面、「RUBBER」が好きだという人は結構ツボにはまるかもしれません。なお本作には2つのスタジオ曲が追加されていて、Pete Lesperance(G)がリードボーカルを担当した⑭Lauralieは明るい曲調がメインだった「RUBBER」のナンバーとは味わいの異なるゆったり系のミッドテンポ、もうひとつの⑮Another Nail For My HeartSQUEEZEなるバンドのカバーで当時のHAREM SCAREMにぴったりのポップロックチューンです。

【音源紹介】
・Who-Buddy(Acoustic Live)

本作とは異なるテイクです。

HAREM SCAREM「RUBBER」(1999)

  • 2012/07/14(土) 00:00:00

RUBBER.jpg
【No.335】
★★(2007)

前作「BIG BANG THEORY」(1998)発表後にバンド初のベスト盤「THE BEST OF」(1998)、シングルのB面曲集「B-SIDE COLLECTION」(1998)をリリースして、活動にひと区切りを付けた感のあるHAREM SCAREMの6作目はいろんな意味で注目を集めるアルバムとなりました。その最大の要因はバンドが日本以外ではHAREM SCAREMではなくRUBBERという名前で活動していくことを発表した改名騒動です。バンドによると「これまでにリリースしてきた作品から、本国カナダなどではHAREM SCAREM=古臭いHR/HMバンドというイメージが定着してしまい、新しい音楽性にチャレンジしてもレコード会社やラジオが関心を持ってくれないという状態になってしまったため、バンド名を変えることで先入観なしに自分達の音楽を聴いてもらうチャンスが欲しい」との想いから、HAREM SCAREMの名でステイタスを築いた日本以外での改名に踏み切ったとのことです。僕がこれまで聴いてきたバンドの中でも、ここまで大胆な賭けに出たのは彼等が初めてだったので期待よりも不安が大きい中で聴いてみたところ、悪い予感が的中してしまったというのが率直な感想です。

まずはプレイボタンを押した後に流れてくる①It's Gotta Beで披露されている歪みを抑えた軽めのギター、これまでの高揚感あるメロディとは対照的な脱力系のサビに強い違和感を覚えました。改名に至った経緯を踏まえると従来とは異なるサウンドで勝負してくることは予想していましたが、ここにはバンドが日本で人気を博した適度な愁いを帯びた旋律美とそれを効果的に聴かせる分厚いコーラス、ドラマティックな曲展開や華やかなギターワークといった要素はなく、とにかく耳当たりの良いパワーポップが展開されています。HAREM SCAREMはこれまでも同じサウンドに留まることなく新しい要素をアルバムに持ち込んでいたし、バンドのパワーポップ化自体は前作から感じられていたので順当な進化と言えるかもしれません。また彼等はデビュー当初からオリジナル曲のアコースティックバージョンを頻繁に発表してきたこともあり、シンプルなアレンジで楽曲を聴かせることには長けている上に器用さも持ち合わせていて、実際に②Who-Buddy、④Stuck With You、⑨Headache辺りはパワーポップ路線を代表するナンバーだと思います。しかし、アルバムトータルで聴くと音楽性が変わったこと以上にメロディそのものの魅力が減退してしまったように思えて物足りないんですよね。そしてカントリーの影響も感じる②、ループやボーカルエフェクトを取り入れて従来とは違う意味での作り込みが見られる⑤SunshinePete Lesperance(G)が初めてリードボーカルを担当した⑦Trip、HAREM SCAREM流ゴシックソング(?)⑩Everybody Elseなどで見られる実験的要素も正直微妙です。

バンド名変更が功を奏したのか⑤がカナダのナショナルチャートで健闘し、ラジオでも頻繁にオンエアされるなどHAREM SCAREM時代以上の成功をおさめた一方、日本ではデビュー当時からバンドを知るファンの間で問題作扱いされることの多い1枚。個人的に本作の方向性自体は嫌いではないのですが、この手のサウンドであればMARVELOUS 3や当時MR.BIGを脱退していたPaul Guilbert(G)のソロ作品の方が魅力的に感じられますね。バンドは本作リリース後に日本でもRUBBER名義で活動していくことを発表し、次のアルバム「ULTRA FEEL」(2001)は日本でもRUBBER名義で発表しています。ちなみに事実上の解散前ラストツアーとなった2007年のSILENT FORCEとのカップリング来日時のインタビューで「HAREM SCAREMで最も思い入れのあるアルバムは?」と質問されて、Harry Hess(Vo)が「自分達の狙い通りの仕上がりになったから」という理由で3rd「VOICE OF REASON」(1995)と本作という僕があまり好きでない2枚を挙げていたのは複雑でしたね…。

【音源紹介】
・Stuck With You

HAREM SCAREM「B-SIDE COLLECTION」(1998)

  • 2012/07/07(土) 00:00:00

B SIDE COLLECTION
【No.334】
★★(1998)

1991年にセルフタイトル作でデビューして以来、2008年に11作目(RUBBER名義「ULTRA FEEL」は除く)「HOPE」を最後に解散するまでHAREM SCAREMはHR/HMバンドとしては異例なほどシングルを多くリリースしてきました。本作は過去の企画盤や4th「BELIEVE」(1997)~5th「BIG BANG THEORY」(1998)に関連するシングルのB面曲と未発表新曲を1枚に纏めた作品で、これまでシングルをコツコツ買ってきた方にとっては何とも歯痒いのではないかと推測します。僕はよほど聴きたい音源がない限りシングルやミニアルバムは買わないので結構嬉しかったですね。

【トラックリストと収録作品】
01. So Blind(アコースティックバージョン)(未発表テイク)
02. Climb The Gate(アコースティックライブ)(シングル「WHAT I DO」)
03. Without You(アコースティックライブ)(シングル「WHAT I DO」)
04. Cages(アルバム未収録曲)(シングル「SO BLIND」、4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
05. The Mirror(アルバム未収録曲)(シングル「SO BLIND」、4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
06. Surrender(アルバム未収録曲)(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
07. Change Comes Around(アコースティックバージョン)(「LIVE ONES」)
08. Turn Around(アコースティックライブ)(シングル「TURN AROUND」)
09. Hard To Love(アコースティックライブ)(シングル「TURN AROUND」)
10. Good Enough(未発表新曲)
11. Wasted Time(アルバム未収録曲)(シングル「SO BLIND」)
12. Without You(アルバム未収録曲)(シングル「SO BLIND」)
13. Blue(ライブバージョン)(シングル「NEW RELIGION」)
14. No Justice(ライブバージョン)(シングル「NEW RELIGION」)
15. More Than You'll Ever Know(アルバム未収録曲)(「LIVE IN JAPAN」)

オリジナルアルバムとライブ盤を買い揃えている僕としては④Cages、⑤The Mirror、⑥Surrender、⑩Good Enough、⑪Wasted Time、⑫Without Youが目当てでしたが、これらの中で最も僕の琴線に触れたのは切ないサビメロが胸を締め付けるバラード⑫でした。本作に同曲のアコースティックライブバージョンが収められているほか、後にリリースされる「BALLADS」(1999)や「THE VERY BEST OF HAREM SCAREM」(2002)といったベストアルバムにも収録されていることから、バンドがこの曲に自信を持っていることが窺えます。その他に本作でしか聴けないのは当時の最新作「BIG BANG THEORY」のリードトラックの別バージョン①So Blind、温かみのあるメロディをしっとり聴かせるバラード⑩の2曲で、ギターパートをアコースティックに差し替えたのみでボーカルなどはオリジナルと同じに聴こえる前者は微妙ですが後者はオリジナルアルバムに入っていても遜色ないクオリティだと思います。

というわけで、このアルバムで初めて聴いたナンバーについては一定レベル以上の満足感が得られたので「流石はHAREM SCAREM」と思える部分もありますが、いちファンとしてはモヤモヤ感が残る1枚というのが正直な感想です。その大きな要因は本作が当時のスタジオ盤未収録曲をフォローしきれていないこと。「タイトルにある通りシングルB面曲を集めた作品だから」だと言われてしまえばそれまでですがシングル曲What I Do(「THE BEST OF」収録)、New Religion(「THE BEST OF」、「LIVE AT THE SIREN」収録)は本作で聴くことができないし、⑮More Than You'll Ever Knowと一緒に「LIVE IN JAPAN」に入っていた僕の好きなインストPardon My Zingerも何故か外されています。本作のような企画盤はオリジナル作品は勿論チェックした上で未発表曲も聴きたいというファンをターゲットにしているはずなのに、そういう視点からすると中途半端な作品になってしまっているため「ファンの中でもかなり熱心な人向けの1枚」と言わざるを得ないのが残念。そして、そういう人はシングルも買っていると思うのでバンドの商魂逞しさが印象づけられてしまうのでは?と心配になってみたり…。HAREM SCAREMは本作発表後、バンド名変更騒動もあって人気が下降したため日本ではシングルをリリースすることはなくなりましたが未発表新曲を必ずと言っていいほど収録したベストやライブ作品は頻繁に発表していたので、解散前にそんなスタジオ盤未収録曲全てが聴ける作品集を出してくれれば嬉しかったんですけどね。そんな思いからHAREM SCAREMが発表したライブ作や5枚のベスト盤をレンタルしてレアトラック音源集を作って聴いてみたところ、これが意外と悪くない。というかバンド後期(特に8th「HIGHER」以降)のアルバムより好きかもしれないほどです。また、このバンドには既発曲のアコースティックバージョンも多数存在するのでそれらをアコースティック音源集として聴いてもなかなか好印象でした。

【音源紹介】
・Hard To Love(Acoustic Live)


自分で作ってみたレアトラック/アコースティック音源集はこちら。発表されたアルバム順に曲を並べており、音源の見つかったものはそのリンクを貼っています。
【レアトラック音源集】
01. Pardon My Zinger(「LIVE IN JAPAN」)
02. More Than You'll Ever Know(「LIVE IN JAPAN」)
03. What I Do(「THE BEST OF」)
04. Cages(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
05. The Mirror(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
06. Surrender(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
07. New Religion(「LIVE AT THE SIREN」)
08. Good Enough(「B-SIDE COLLECTION」)
09. Wasted Time(「B-SIDE COLLECTION」)
10. Without You(「B-SIDE COLLECTION」)
11. Lauralie(「LAST LIVE」)
12. Another Nail For My Heart(SQUEEZEのカバー「LAST LIVE」)
13. Remember(「BALLADS」)
14. Why(「BALLADS」)
15. If I'd Been Awake(「ROCKS」)
16. Going Nowhere(「ROCKS」)
17. Freedom(「THE VERY BEST OF HAREM SCAREM」)

【アコースティック音源集】
01. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
02. How Long(1st「HAREM SCAREM」)
03. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
04. Honestly(LIVE AND ACIUSTIC)
05. Jealousy(LIVE AND ACIUSTIC)
06. Candle(3rd「VOICE OF REASON」)
07. Change Comes Around(「LIVE ONES」、「B-SIDE COLLECTION」)
08. So Blind(「B-SIDE COLLECTION」)※リンク先は別音源
09. Climb The Gate(ライブ)(「B-SIDE COLLECTION」)
10. Without You(ライブ)(「B-SIDE COLLECTION」)
11. Turn Around(ライブ)(「B-SIDE COLLECTION」)
12. Hard To Love(ライブ)(「B-SIDE COLLECTION」)
13. Higher(10th「HUMAN NATURE」)
14. Stranger Than Love(11th「HOPE」)
15. If There Was A Time(「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」)
16. Honestly(「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」)

HAREM SCAREM「BIG BANG THEORY」(1998)

  • 2012/06/18(月) 00:00:00

H SCAREM BBTHEORY
【No.333】
★★★(1998)

カナダを代表するメロディアス・ハードロックバンドHAREM SCAREMの5作目。これまでも作品毎に異なる表情を見せていたバンドが今回提示してきたのは、今まで以上にストレートでシンプルなパワーポップサウンドでした。この音楽性の変化には前作「BELIEVE」(1997)のスペシャルエディションでパワーポップバンドの祖ともいえるCHEAP TRICKSurrenderをカバーしたことが影響しているようで、日本での人気を決定づけた2nd「MOOD SWINGS」(1993)や賛否両論あった3rd「VOICE OF REASON」(1995)などで顕著だった楽曲を盛り上げる分厚いコーラスや緻密なアレンジ、練り込まれた曲構成といった要素は大きく減退しています。

まずは本作の路線を象徴する名曲①So Blindからして従来のHAREM SCAREMとは異なる印象を受けますね。このバンドの作品を聴く時に心のどこかで「MOOD SWINGS」の再来を求めてしまう僕にとって、楽曲のシンプル/パワーポップ化はHAREM SCAREMの理想像と異なるのは事実ながら楽曲のメロディセンスは相変わらず一級品なので結構楽しめました。オープニングの①以降ではタメの効いたサビメロが秀逸なパワーバラード④Table TurningQUEENテイストを見事に昇華してみせた⑧Never Have It All、ピアノとボーカルのみというシンプルさがメロディの良さを浮き彫りにしたバラード⑩In My State Of Mindが特に気に入っています。この作品を聴いた1998年当時、「いつまでも『MOOD SWINGS』の面影を追い求めるのではなく今のバンドを応援しよう」という気持ちになりましたね。バンド名変更に乗り出す次作「RUBBER」(1999)ではポップな方向性に傾きすぎていましたが、本作ではバンドが持つハードな側面と親しみやすいメロディのバランスが良好でPete Lesperance(G)も控えめながら巧みなギターワークで魅せてくれます。

その一方で惜しい点があるのも事実で、装飾や作り込みを排除した今回のアルバムカラーを「ポップセンスが光る快活なロック作品」たらしめているのは③Relord、⑤Turn Around、⑦Sometimes I Wish(リードボーカルはベーシストBarry Donaghy)、⑨Lyingといったストレートなロックソングなのですが同系統の①が突出しているため、その後で聴くと物足りなく感じてしまうのは否定できません(1曲1曲は十分に魅力的なのですが…)。また前作に続き今回も同じアルバムの別バージョンがリリースされているようで、日本盤の他にカナダ盤が2種類存在します。各バージョンを比較してみるといずれも収録曲は違えど全10曲、収録時間は約40分となっており日本盤「BIG BANG THEORY」に未収録のWasted Time、Without Youの2曲はシングル「SO BLIND」(1998)または「B-SIDE COLLECTION」(1998)で聴くことができます。各国のマーケットを意識した上での戦略とはわかっていても僕は好きなバンドの曲はひとつでも多く聴きたいので、こういう売り方はあまり嬉しくないですね…。

【音源紹介】
・So Blind

HAREM SCAREM「LIVE AT THE SIREN」(1998)

  • 2012/06/13(水) 00:00:00

H SCAREM LIVE SIREN
【No.332】
★★★(1998)

カナダ産ハードロックバンドHAREM SCAREMが4thアルバム「BELIEVE」(1997)発表後に敢行した地元カナダでのツアーの模様を収めたバンド通算2作目のライブ作品。4枚のスタジオアルバムに対してライブ盤が2枚というのは多すぎる気もしますが、ライブパフォーマンスには定評のある彼らだけあって内容的には流石のクオリティを備えています。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Believe(4th「BELIEVE」)
02. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
03. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
04. Morning Grey(4th「BELIEVE」)
05. Staying Away(4th「BELIEVE」)
06. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
07. Baby With A Nail Gun(4th「BELIEVE」)
08. Cages(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
09. Rain(4th「BELIEVE」)
10. Karma Cleansing(4th「BELIEVE」)
11. Surrender(4th「BELIEVE」のスペシャルエディション)
12. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
13. Table Turning(未発表曲)
14. New Religion(未発表曲)

前回のライブ盤「LIVE IN JAPAN」(1996)とできるだけ重複しないように選ばれたライブトラックは、12曲中9曲が最新作からという偏ったセットリストとなっています(⑧CagesCHEAP TRICKのカバー⑪Surrenderの2曲は「BELIEVE SPECIAL EDITION」に収録)。「BELIEVE」は過去3枚のHAREM SCAREMサウンドをミックスしたような作品だったし①Believe、③Die Off Hard、⑤Staying Away、⑦Baby With A Nail Gun、⑨Rainといった僕のお気に入り曲はしっかり押さえてくれているので、新作偏重の選曲はあまり気になりませんでした。スタジオ盤でDarren Smith(Ds)がリードボーカルを務めていた⑤はライブでもDarrenがパワフルな歌声を披露していて、Harry Hess(Vo)はバックボーカルに専念しています。そしてバンドの代表曲で名バラードの⑥Honestlyや名盤「MOOD SWINGS」(1993)収録の②Saviors Never Cry、⑫Change Comes Aroundといった初期作品の名曲がきっちり収録されているのも嬉しいところ。Change Comes Aroundは他のライブ作品だとオープニングに収録されていますが、ドラマティックな曲展開を持つこの曲は終盤に演奏した方が感動的だと思いますね。

メンバー全員が歌えるバンドという強みを活かしてスタジオ盤同様の分厚いコーラスハーモニーを見事に再現しているだけでなく、演奏面でも安定感があるので安心して聴いていられる1枚です。総合的には2002年発表のライブ盤「LIVE AT THE GODS 2002」に軍配が上がりますが、あちらには「BELIEVE」からの曲は全く収録されていないのでファンとしては両方聴いて損はないと思います。また新曲も2曲収録されていて、⑬Table Turningは次作「BIG BANG THEORY」(1998)にも収録されるパワーバラード、⑭New Religionはオリジナルアルバムで聴くことはできませんが後にシングルカットされたほか、バンド初のベスト盤「THE BEST OF」(1998)にリミックスバージョンが収録されているロックソングの佳曲です。

【音源紹介】
・Honetly(Live)

HAREM SCAREM「LIVE ONES」(1997)

  • 2012/06/05(火) 00:00:00

LIVE ONES
【No.331】
★★(1997)

2nd「MOOD SWINGS」(1993)のヒットを受けて本国カナダから約3年遅れでリリースされた1st「HAREM SACREM」(1991)の直後に発表されたミニアルバム「LIVE AND ACOUSTIC」(1994)と1996年に実現した初来日公演を収めたライブ盤「LIVE IN JAPAN」(1996)を「LIVE ONES」というタイトルでカップリングした作品(邦題は「カナダ技巧派集団来日記念盤」)。この2枚組仕様が発売されたのは4th「BELIEVE」(1997)に伴う来日公演の約1ヶ月前なので帯タタキにもあるように4作目で初めてHAREM SCAREMを知ったファン向けの作品のようで、実際に2枚組がCD1枚分の価格で買えるお得盤です。

【トラックリスト】
Disc-1「LIVE AND ACOUSTIC」
01. Honestly(アコースティックバージョン)
02. If There Was A Time(エディットバージョン)
03. No Justice(ライブ)
04. Mandy(ライブ)
05. Hard To Love(ライブ)
06. Jealousy(アコースティックバージョン)
07. Something To Say(エディットバージョン)

Disc-2「LIVE IN JAPAN」
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
03. Warming A Frozen Rose(3rd「VOICE OF REASON」)
04. Blue(3rd「VOICE OF REASON」)
05. Candle(3rd「VOICE OF REASON」)
06. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
07. Breathing Sand(3rd「VOICE OF REASON」)
08. Had Enough(2nd「MOOD SWINGS」)
09. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
10. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
11. Voice Of Reason(3rd「VOICE OF REASON」)
12. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
13. Pardon My Zinger(未発表曲)
14. More Than You'll Ever Know(未発表曲)
15. Change Comes Around(未発表テイク。アコースティックバージョン)

Disc-1「LIVE AND ACOUSTIC」の聴きどころとしてまず挙げられるのが、デビュー作収録の名バラードをギターだけのアコースティックアレンジで仕上げた①Honestlyでしょうか。シンプルであるが故にメロディそのものが胸に迫ってきます。また、もうひとつのアコースティックバージョン⑥Jealousyのテイクもおそらく本作でしか聴けないので貴重だと思います。そして定評のあるライブパフォーマンスについても③No Justice、⑤Hard To Loveといった代表曲だけでなく叙情インスト④Mandyが収録されているのがファンとしては嬉しいところ。その一方で②If There Was A Time⑦Something To Sayのエディットバージョンは前者がギターソロを、後者が冒頭のアコギパートをカットしているため楽曲の魅力が半減してしまっているのが残念かな(エディットバージョンがオリジナルを越えることそうそうないとは思いますが…)。何でもこのDisc-1は日本のレコード会社の要望でバンドのプロモ資料用に録音された音源だそうです。当時のバンドがいかに注目され、レコード会社もそれをサポートしていたかを物語っていますね。

そしてバンド初のフルレンスライブ盤となるDisc-2「LIVE IN JAPAN」は当時の最新作「VOICE OF REASON」(1995)を中心に構成されたセットリストとなっていてデビュー作からは⑥Slowly Slipping Awayのみというのが寂しいですがライブ当日はHonestlyなども演奏されたようです。バンドは後にライブ盤を乱発していくことになりますが本作でしか聴けない⑧Had Enough、⑨Empty Promisesはファンとしてはチェックしておきたいところですね。ただ、本作以降のライブ作品に比べるとバンドのトレードマークでもあるコーラスの厚みにやや欠けるような気も…。ライブ本編12曲の後に収録されているのは、来日公演でもプレイされたというアップテンポのギターインスト⑬Pardon My Zingerと「VOICE OF REASON」にも通じる陰欝なムードを漂わせつつも伸びやかなサビが印象的なバラード⑭More Than You'll Ever Knowというスタジオ未発表曲で、どちらももなかなかの出来映えです。HAREM SCAREMはベストやライブ作品の最後に未発表曲をだいたい2曲収録することが多いのですが、この⑬と⑭はその中でもかなり好きな部類に入りますね。なお「LIVE ONES」として再発される際、新たに⑮Change Comes Aroundのアコースティックバージョンが追加されています。

【音源紹介】
・Mandy(Live)


・Slowly Slipping Away(Live)

HAREM SCAREM「BELIEVE」(1997)

  • 2012/05/31(木) 00:00:00

H SCAREM BELIEVE
【No.330】
★★★(1997)

透明感あるハードポップサウンドだったデビュー作「HAREM SCAREM」(1991)、センス豊かな音楽的魅力を凝縮した2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本のメロディック・ロックファンの心をガッシリ掴んだものの、前作「VOICE OF REASON」(1995)が大方のファンの期待を裏切るヘヴィ/ダーク路線だったHAREM SCAREMの4thアルバム。僕も前作の音にはショックを受けた1人だったので、初めて本作を聴いた時は前作のムードを継承しつつも基本的には初期2作品のメロディアス路線にシフトした音楽性に一安心したのを覚えていますが、元々「KARMA CLEANSING」というタイトルで曲順のみならず収録曲も異なっていたものを、レコード会社から注文が入ったため日本でのみ若干内容が異なる「BELIEVE」としてリリースされたという、いわくつきの作品でもあります。

上記のような経緯から「レコード会社に迎合して作られた商品」という見方をされてしまいがちなのに加えて、後にメンバー自身が「納得できるアルバムではなかった」と語っていることもあってある意味、問題作なのかもしれません。ただし個人的には結構気に入っていて、曲構成が2nd収録の名曲Change Comes Aroundに似た①Believe、いかにもHAREM SCAREMらしいシングル曲②Die Off Hardというロックソング2曲による掴みは良好だし、Harry Hess(Vo)よりも荒々しい歌い方をするDarren Smith(Ds)のリードボーカルをフィーチュアした哀愁のドライヴィングチューン④Staying Away、まるでPete Lesperance(G)のギターが歌っているかのようにメロディアスなインスト⑤Baby With A Nail Gun、アコースティックギターとストリングスでしっとり聴かせるバラード⑧Rainなどは僕の大好きな曲です。それでいて前作に近い曲調の③Hail, Hail、ほのぼのムード漂う⑥Morning Greyなどの配置も良い意味での箸休め的な役割を果たしていると思います。とはいえ、この曲順を決めたのはレーベル側であって、バンドとしては日本以外でタイトル曲となっている⑩Karma Cleansingのインダストリアルっぽくもある実験的サウンドこそが当時の真の姿だという気持ちがあったのかもしれませんが…。

そんな本作はオリジナル盤発表の約半年後に収録曲の半分(①、③、④、⑥、⑧)にMR.BIG等との活動でも知られるKevin Elsonがリミックスを施しているほか「KARMA CLEANSING」に収められていたCages、The Mirrorと新録曲SurrenderCHEAP TRICKのカバー)を追加した「BELIEVE SPECIAL EDITION」をリリースしています。このスペシャルエディションも聴いてみたところ「リミックスされた曲についてはオリジナルの方が好みだけど曲数が多く聴けるのは良いかな」という感じですね。「KARMA CLEANSING」にのみ収録されていた2曲については悪くないものの、これらの代わりに「BELIEVE」に収められていた④、⑤の方が僕は断然好きです。またSurrenderをカバーしたことがきっかけとなって、バンドは次作5th「BIG BANG THEORY」(1998)でパワーポップ色をがグッと強めていくことになります。

【音源紹介】
・Rain

HAREM SCAREM「VOICE OF REASON」(1995)

  • 2012/05/21(月) 00:00:00

VOICE OF REASON
【No.329】
★(1996)

情感豊かなHarry Hess(Vo)の歌声と厚みのあるバックコーラス、センス溢れるPete Lesperance(G)のギターワーク、そして安定感のあるリズム隊を土台にデビュー作「HAREM SACREM」(1991)では甘口ハードポップ、2nd「MOOD SWINGS」(1993)では構築美とドラマティシズムに満ちたメロディックロックを聴かせてくれたHAREM SACREMの3rdアルバムにして一般的には問題作と言われることも多い1枚。僕はHR/HM歴2年目の1996年にHAREM SCAREMの初期2作品に出会い、その音楽性にすっかり魅了されたので大きな期待を胸に聴いたアルバムでした。本作に関しては賛否両論あって、中には「もっと再評価されるべき」という声もあるようですが僕にとっては「HAREM SCAREMの作品群の中でもCDトレイに乗せる回数が少ないアルバム」です。オープニングの①Voice Of Reasonの冒頭で前作を彷彿とさせる捻りの効いたギターリフが流れてきた時は手応えを感じましたが、その①を含む楽曲がどうにも地味で過去2作にあったポジティブムードから意図的に距離を置いたかのようなヘヴィでダークなものが多いため、キャッチーでメロディアスな音を好む僕にはかなりキツかったですね。本作を買った1996年当時はいろいろなバンドのアルバムを聴き漁っていたので、本作は数回聴いただけでCDラックに眠ったままになっていました。

そんな僕がこのアルバムを再び聴くようになったのは、バンドが名義をRUBBERからHAREM SCAREMに戻して最初のライブ盤となる「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)に収録されている本作の③Warming A Frozen Rose、⑧The Paint Thinsを聴いて「今までは気づかなかったけどカッコいいな」と思ったのがきっかけでした。そうして改めて本作と対峙してみると、リリース当時に抱いていたダークな作品という表面的なイメージの下に確かに存在する②Blueや③のメランコリックな旋律美、比較的キャッチーな歌メロとPeteらしいギターワークをフィーチュアした⑥Breathing Sand、「MOOD SWINGS」の路線に近く本作では異色と言えるほど躍動感がある⑧などはグッときました。ただしアルバムトータルで見ると、どこか弱いと感じてしまうんですよね。その要因としては、それまでのバンドの歴史を総括したかのような「LIVE AT THE GODS 2002」のセットリストで2~3曲演奏される分には問題ないけれど「VOICE OF REASON」という1枚の作品として聴くとダークな雰囲気が支配的でカラフルさに欠けるため、アルバムジャケットに通じるモノクロな印象が強く残ってしまうからではないかと思います。

HAREM SCAREMというバンドは2008年に解散するまで「HAREM SCAREM」、「MOOD SWINGS」という初期2作品の亡霊と常に戦っていたように思うのですが全ては本作から始まったと言っても過言ではありません。2ndが日本でヒットした影響で当初国内盤リリースの予定がなかった(であろう)1stも発売され、タイプの異なる2枚でありながら両方とも日本受けする作風でファンの期待が高まったところに、バンドの支持基盤の間では不人気なグランジ寄りの本作を発表したというタイミングの悪さもバンドにとっては逆風でした。日本では批判的な意見が多かったものの、バンド側は「VOICE OF REASON」が自信作でもあったために本作以降HAREM SCAREMはファンやレコード会社からの意見と自分達がやりたい音楽とのジレンマに苦しむことになってしまうのでした…。問題作と見なされることが多いのは事実ながら前述したように高く評価する声も根強く、玄人受けしている感があるので聴いてみるとツボにはまるという方も少なくないようですが僕はもっと華やかで耳に残る楽曲が欲しかったですね。

【音源紹介】
・The Paint Thins (Live)

HAREM SCAREM「HAREM SCAREM」(1991)

  • 2012/05/14(月) 00:00:00

H SCAREM H SCAREM
【No.328】
★★★★(1996)

通算2作目となる「MOOD SWINGS」(1993)で日本デビューを果たすや、キャッチーなメロディとそれを歌い上げる重厚なコーラス、テクニカルなだけでなく歌心にも溢れたギター、緻密で先の読めない曲展開といった持ち味で日本のHR/HMファンを魅了したHAREM SACREMの1stアルバム。本国カナダでは1991年に発表されていますが日本盤は「MOOD SWINGS」から約1年遅れでリリースされています。2ndが少しダークな雰囲気を醸し出していたのに対して、本作はハードポップ/AOR系の爽やかさと透明感に満ちた1枚となっていますね。HAREM SCAREMの作品群において最もソフトな本作はハードロックバンドらしさを求めると物足りなさを感じるかもしれませんが、メロディの充実度はトップクラスで非常にとっつき易いアルバムといえそうです。

一部の楽曲で外部ソングライターからのインプットはあるものの、基本的にはHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)の2人が曲を手がけていて、その新人離れしたソングライティング能力は目を見張るものがありますね。特にアルバム序盤は「強力」の一言で「You're hard to love, but it's hard to let you go~♪」と惚れた男の苦悩を爽やかに歌うオープニング曲①Hard To Love、サビは勿論そこに至るまでのメロディ展開も秀逸な②Distant Memory、フックに満ちたギターのイントロが流れてきた時点で勝負ありの③With A Little Love、Harryが弱冠17歳の時に書いたとは思えないほどの完成度を誇る名バラードにしてバンドの代表曲でもある④Honestlyへと続く流れは文句のつけようがありません。瑞々しさと甘い旋律を武器に、後のHAREM SCAREMでは得がたい感動を与えてくれる本作の中でも、この冒頭4曲は別格だと思いますね。アルバム中盤は似たカラーの楽曲が続くため若干テンションは下がるものの⑥Slowly Slipping Awayを筆頭に並のバンドであればアルバムのハイライトになってもおかしくないほど高品質なナンバーが並んでいます。そしてポップセンスが光る⑨How LongとPeteのアコースティックギターによるイントロから心洗われる清らかな旋律へと繋がっていく⑩Something To Sayというアルバム本編ラストに配された2曲がまた素晴らしいのも大きなポイント。特に⑩はバンドの隠れた名バラードと呼びたくなる逸品で、個人的には④に勝るとも劣らないほど大好きな曲です。

また本作の収録曲(①、⑥、⑨)にアコースティックアレンジを施したボーナストラック3曲も見事で、その巧みなアレンジからは新人バンドとは思えない風格すら感じられるほどです。デビュー作でありながらRay Coburn(Key/HONEYMOON SUITE)など地元カナダの先輩バンドのメンバーがゲスト参加していることからも、周囲から高いポテンシャルを認められていたことが窺えますね。①、④などはバンドのキャリアを通してライブで演奏されてきた代表曲だし、本作はHR/HMリスナー以外にも受け入れられ易い普遍的な魅力を持ったアルバムだと思います。それだけに彼等がこのアルバムの路線に立ち戻ることなく解散の道を辿ってしまったことが残念ですね…。後のHAREM SCAREMに降りかかる方向性の模索、バンド名変更問題といったネガティブな要素を一切感じさせないハードポップの名盤。ビッグになったバンドのデビュー作を「磨けば光るダイヤの原石」と表現することがよくありますが、本作は原石と呼ぶにはあまりに洗練されていてバンドの並々ならぬ才能を感じさせられます。

【音源紹介】
・Something To Say

【CD購入録】HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

  • 2012/05/10(木) 00:00:00

【CD購入録】
STRANGE CASE OF
HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

2009年にセルフタイトル作で本国アメリカデビュー、日本では国内盤がリリースされる前にLOUD PARK10で初来日が実現したHALESTORMの2作目を買いました。デビュー作の時点で既に質の高い女声ハードロックサウンドを完成させていましたが、今回も順当な成長作と呼べそうな出来栄えです。ガツンと来るハードナンバーが①Love Bites(So Do I)だけなのでインパクトはそれほど強烈ではないもののミドルテンポはパンチが効いているし、バラードでは一転してしっとり聴かせるなど各曲の完成度の高さに唸らされますね。これからの聴き込み次第ではNICKELBACK「THE DARK HORSE」(2008)、SHINEDOWN「THE SOUND OF MADNESS」(2008)といった僕にとっての北米メインストリーム系ハードロックの名盤と肩を並べるお気に入り作品になるかもしれません。そしてバンドの主役Lzzy Hale(Vo)はやはり歌が上手いですねぇ。ちなみに本作のボーナストラックは国内盤がリリースされていないEP「REANIMATE THE COVERS EP」(2011)からSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、HEART、THE BEATLESのカバー5曲が選ばれていて、中でもLizzyがSebastian Bach(Vo/ex-SKID ROW)になりきって歌う⑬Slave To The Grindは秀逸。なおEPには入っていたGUNS N'ROSESOut Ta Get Meは何故か収録されていません。

【CD購入録】HELL「HUMAN REMAINS」(2011)

  • 2011/11/09(水) 00:00:00

【CD購入録】
HUMAN REMAINS
HELL「HUMAN REMAINS」(2011)

1982年にイギリスのノッティンガムで結成、複数のデモテープ製作を経てようやくレコード会社と契約を結んだもののレコーディング直前にレーベルが倒産、更にはリードシンガー兼ギタリストDavid Hallidayが自殺するなどの不幸に見舞われ自然消滅してしまったNWOBHMバンドHELLによる20数年越しの1stアルバムを買いました。1987年にバンドが活動をストップしてから20年以上の時を経て再始動することになったHELLですが、そのきっかけを作ったのはARCH ENEMY、MEGADETH、NEVERMOREといったバンドの作品を手掛けて現代メタルシーン屈指のプロデューサーとして有名なAndy Sneap。何でもAndyは10代の頃にHELLのライブに足しげく通っていたほどのファンであり、かつての中心人物Davidからギターを教わっていたこともあるそうで、そんなAndyの呼びかけにより再結成したバンドが過去のデモテープ音源も一部使いながら完成したのが本作となります。内容的にはダークでオカルティックなムード漂うヘヴィメタルで、その独特な世界観を見事に表現しているのがDavid Bower(Vo)です。俳優としてのキャリアも持つ、というかそちらが本業でメタルバンドで歌うのは今回が初という彼による芝居がかったボーカルパフォーマンスはカリスマ性すら感じさせるほどで聴き手をアルバムの世界に引き込んでくれます。現在のお気に入りは、このバンドにしては飛び抜けてキャッチーな⑧The Questですね。それにしても自分が音楽業界に身を置く前からのファンだった不運のバンドをこうして復活させたAndyは素直にカッコいいと思います。

HELLOWEEN「THE BEST, THE REST, THE RARE」(1991)

  • 2011/10/31(月) 00:00:00

THE BEST, THE REST, THE RARE
【No.308】
★★★★(1995)

メロディック・パワーメタルのオリジネイターであり後続バンドに多大なる影響を与えたHELLOWEEN初のベストアルバム。本作に収録されている楽曲は1stフルレンス「WALLS OF JERICHO」(1985)、シングル「JUDAS」(1986)といったKai Hansen(G)がボーカルも兼任していたバンド初期、そして専任シンガーMichael Kiskeが加入して1988年と1989年に発表したメロディックメタルの金字塔「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」PART 1とPART 2という所謂「キーパー時代」、すなわち後にGAMMA RAYを結成するKai Hansenが在籍していた時期の作品から選ばれています。ただし「THE BEST, THE REST, THE RARE」というアルバムタイトルの通り、本作はシングルでしか聴けなかったレアトラックを収録していたり、僕を含めた多くのファンが超名曲と見なしているであろうEagle Fly Freeが入っていなかったりしているので純粋なベスト盤というよりは半ば企画盤として捉えた方がいいかもしれません。しかも本作がリリースされた1991年当時はシングルにのみ収録されていた楽曲群についても後に再発されたオリジナルアルバムに追加されていることもあって、KaiがHELLOWEENにいた頃の真髄を味わうなら「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の2枚組(邦題「守護神伝 完全版」)、バンドの全体像を知りたいのであればKiskeの後任Andi Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)期も含めたベスト盤「TREASURE CHEST」(2002)の方が適しているように思います。

【トラックリストと収録作品】
01. I Want Out(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
02. Dr. Stein(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
03. Future World(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
04. Judas(シングル「JUDAS」)
05. Walls Of Jericho(「WALLS OF JERICHO」)
06. Ride The Sky(「WALLS OF JERICHO」)
07. Halloween(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
08. Livin' Ain't No Crime(シングル「DR.STEIN」収録)
09. Save Us(シングル「I WANT OUT」収録)
10. Victim Of Fate(Michael Kiskeバージョン)(シングル「DR.STEIN」収録)
11. Savage(シングル「DR.STEIN」収録)
12. Don't Run For Cover(シングル「I WANT OUT」収録)
13. Keeper Of The Seven Keys(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)

というわけで、今となっては中途半端な感が否めない本作ですが僕にとっては「HELLOWEENと出会った1枚」ということもあって非常に想い出深いアルバムです。メタリックな質感とキャッチーなメロディが絶妙のバランスで同居する楽曲の上でどこまでも伸びやかなKiskeのハイトーンが響き渡る①I Want Out、このバンド特有のコミカル路線を代表する②Dr. Stein、ポジティブムード全開で聴いていると元気になれる③Future Worldという名曲の畳み掛けに一発で魅了されました。その後に続くKaiボーカル時代の④Judas、⑤Walls Of Jericho~⑥Ride The Skyを聴いて冒頭の3曲とは異なる粗削りな曲調、シンガーの力量の差に戸惑いましたが曲そのものは気に入っているし、アルバムの真ん中と最後に配されたそれぞれ13分に及ぶ⑦Halloween、⑬Keeper Of The Seven Keysという大作2曲は僕にとって10分越えナンバーの初体験曲であるだけでなく、僕の中で長編曲を聴く際のひとつの基準にもなっています(非常に高い完成度を誇るこれら2曲を最初に聴いてしまったため、それを上回る大作曲になかなか出会えないハメになってしまうわけですが…)。

またシングルのカップリング曲を集めたアルバム後半は陽気でほのぼのムードすら漂う⑧Livin' Ain't No Crime、KiskeがANTHRAXにインスパイアされて書いたというHELLOWEEN流スラッシュ⑪Savage、つい口ずさんでしまう歌謡曲風メロディが魅力的な⑫Don't Run For Coverなど曲調が実に多彩。今でこそ15年以上に渡ってHR/HMを愛聴している僕ですが、当初はヘヴィメタルに対して「いかつい服装/髪型をしたメンバーによる喧しいだけの音楽」というようなマイナスイメージを持っていました(苦笑)。本作はそんな僕に対してヘヴィメタルの門戸を開いてくれた作品のひとつです。このブログで最初に取り上げたYNGWIE MALMSTEEN「ECLIPSE」(1990)が煌めくような美旋律でヘヴィメタルに興味を持たせてくれた1枚だとすれば本作は親しみ易さとキャッチーなメロディでメタルに対するネガティブな印象を払拭してくれた1枚という感じでしょうか。本作でジャーマンメタル、メロディックメタルに開眼した僕は「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」やEagle Fly Free、How Many TearsといったHELLOWEENの名盤/名曲に出会いましたが、今でも僕がこのバンドに対して抱くイメージは本作の冒頭3曲ですね。前述したように客観的に見ると中途半端なベストアルバムだと思うものの今でも本作を聴くと、初めてこのバンドと出会い衝撃を受けた当時の想い出がよみがえってきます。そういう意味で僕のミュージックライフにとって大切な作品です。

【音源紹介】
・I Want Out

既にHELLOWEEN脱退を決意していたKaiがこのI Want Out(外に出たい)という曲を書いたのだとか…。

【CD購入録】HIBRIA「BLIND RIDE」(2011)

  • 2011/03/01(火) 00:00:00

【CD購入録】
BLIND RIDE
HIBRIA「BLIND RIDE」(2011)

ブラジル出身パワフルメタラー5人組HIBRIAの3作目を買いました。前作「THE SKULL COLLEATOR」(2008)リリース後、演奏面における個性のひとつでもあったベースプレイヤーMarco Panichiが脱退したのには驚きましたが、後任Benhur Lima(B)も前任者に勝るとも劣らない実力者のようですね。過去2作品てむせ返るほどの熱気を発散するパワーメタルを聴かせてくれていたHIBRIAにしては、今回は熱さ抑えめになった印象です。これまでのアルバムを聴いて楽曲単体では素晴らしいものの、終始押しまくりの作風に聴き疲れを感じる節もあった僕としては本作の路線もありだと思いますね。これまでとは若干異なる雰囲気を持つ本作はバンドが更なる飛躍を遂げるための過渡期的アルバムのようにも感じるので、気の早い話ですが次回作でとんでもないものを作ってくれるのではと期待を募らせながら聴いています。それにしても前作から加入したEduardo Baldo(Ds)のドラミングは聴いていて実に気持ちいいですね。

HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

  • 2011/02/21(月) 00:00:00

7SINNERS.jpg
【No.278】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第5位

バンドの結成25周年を祝う企画盤「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)では自らの楽曲群にお洒落なラウンジミュージックやオーケストラサウンドを大胆に導入するなどしてファンを驚かせたHELLOWEENがデビュー25周年を迎える2010年にリリースした13thアルバム。僕は「UNARMED」を聴いて「こんなことができるのもメタルバンドとしての攻撃性だけでなくコミカルな要素も併せ持つHELLOWEENならではだなぁ」と好意的に受け止めていましたが、ヘヴィメタルと距離を置きすぎた感もあった同作については賛否両論あったようで「Are You Metal?(おまえらメタルか?)」とバンドに問い掛けるファンもいたそうです。どうやらメンバーの中でも「UNARMED」の作業を進めるにつれて「メタルがやりたい」という気持ちは高まっていたようで、本作ではそんなメタルに対する熱き想いが爆発していますね。過去にPush(8th「BETTER THAN RAW」収録)やKill It(12th「GAMBLING WITH THE DEVIL」収録)で垣間見られたブルータリティを増量しながらも、メロディのフックは従来と同じかそれ以上の輝きを放つ本作の音楽性は自身が生み出したジャーマンメタルスタイルの現代アップデート版とでも言いたくなる逸品です。

①Where The Sinners Goこそメロディックメタルバンドの掴みとしては弱いと言わざるを得ないものの、「UNARMED」に否定的なファンから投げ掛けられた言葉を曲名にしたシングル②Are You Metal?はバンドのメタル愛が凝縮された激しい疾走曲だし、ポップなサビメロが印象的だったPerfect Gentleman(6th「MASTER OF THE RINGS」収録)の続編で本作随一のメロディラインが冴えるメロパワチューン③Who Is Mr. Madman?Michael Weikath(G)ならではのHELLOWEENらしさに満ち、フルートソロもフィーチュアした④Raise The Noise、それまで眠っていた作曲センスが前作収録のFinal Fortuneで覚醒した感のある創設メンバーの1人Markus Grosskopf(B)による⑤World Of Fantasy、ポップなキャッチーメタルだった前曲とは対照的な鋼鉄サウンドを叩きつけ、Andi Deris(Vo)が「JUDAS PRIESTと故Ronnie James Dioに捧げた」と語る⑥Long Live The Kingまで、息をつく暇もない流れに圧倒されました。それ以降は若干テンションが下がり気味ながら、往年のHELLOWEENサウンドを連想させる(特に中盤の間奏パート)Markus作の⑨If A Mountain Could Talk、いかにもヴァイキーらしい⑩The Sage, The Fool, The Sinnerという王道2曲、そしてドラマティックで大仰なメロディが素晴らしい⑪My Sacrificeがかなり良いですね。前作同様、今回も4人のソングライターが曲を持ち寄り、それをメンバー全員で仕上げるという方法でレコーディングが進められたようで、濃厚なメロディを聴かせるAndiが6曲(うち1曲は1分台の小曲)、ヴァイキー節とも言うべき独特のセンスが光るMichael Weikathが2曲、僕好みのドラマティックな美しさを感じさせるSascha Gerstner(G)が3曲、12作目以前のアルバムではあまり印象に残らない曲やシングルカップリング曲が多かったのが嘘のようにバンドの明るいイメージを担う楽曲を提供するようになったMarkusが3曲(ボーナストラックを含む)と、4人のソングライターの個性を感じさせつつ散漫になっていないのは自分達のサウンドに対して確固たるヴィジョンを持ったベテランだからこそなせる業なんでしょうね。

キーパー時代への思い入れが強いため、HELLOWEENのシンガーといえばMichael Kiske(Vo/UNISONIC、PLACE VENDOME)という気持ちが根強い僕ですが、前作「GAMBLING WITH THE DEVIL」(2008)と本作でバンドが提示した「今のHELLOWEEN像」は文句なくカッコいいと感じました。ストイックなまでにメタルサウンドを追求しているためバンドの独自性のひとつでもあるコミカルさは控えめですが、それは「UNARMED」の制作過程においてヘヴィメタルに飢えていたバンドが良い意味でフラストレーションを発散させた結果でしょう。現在のバンドのメインソングライターAndiが書く曲がやや弱いのが惜しいですが、Saschaのペンによる③、⑪やMarkusが手がけた⑤などがそれを補っているので、総合的に見て前作以上に楽曲の粒が揃っていると思います。前作を聴いた時点で「これは僕にとってAndi Deris期HELLOWEENの最高傑作かも」と思っていましたが、この「7 SINNERS」はそれを上回るお気に入り盤となっています。

【音源紹介】
・Who Is Mr. Madman?

【CD購入録】H.E.A.T「FREEDOM ROCK」(2010)

  • 2010/12/20(月) 00:00:00

【CD購入録】
FREEDOM ROCK
H.E.A.T「FREEDOM ROCK」(2010)

本国デビュー後にTobias Sammet(Vo/EDGUY、AVANTASIA)のお墨付きのバンドとして注目を集め、セルフタイトルの1stアルバムがBURRN!誌で91点(藤木さん)を獲得するなど、申し分ない日本デビューを飾った勢いそのままにLOUD PARK 09で初来日まで果たしたスウェーデンの若きメロディックロックバンドH.E.A.Tの2作目を買いました。今回も前作同様、音だけを聴いていたらJim Peterik(G/PRIDE OF LIONS、ex-SURVIVOR)Tommy Denander(G/RADIOACTIVE etc)といったメロハー職人のオジサマによるアルバムかと錯覚するほどに80年代の王道を行くメロディックロック作品となっていて、能天気なほどに明るい①Beg Beg Beg、Tobiasがゲスト参加した②Black Nightにこそ意外性や話題性があるものの、それ以降は非常に手堅い1枚だと思います。デビュー作でも感じられた良くも悪くもお行儀の良いサウンドは本作にも引き継がれていて、もう少し若さに任せて弾ける部分があっても良かったかなという気もしますが、この手の音楽が好きな僕にとっては安心印の愛聴盤という感じですね。また既にBURRN!誌等でもニュースになっていましたが、前作と本作でリードボーカルを担当していたKenny Leckremo (Vo)が体調不良を理由にバンドを脱退してしまったため、バンドは後任にErik Gronwall(Vo)なる人物を迎えています。Kennyの歌声が結構好きだったので残念…。Erikの歌はまだ聴いたことがありませんが、とにかく新生H.E.A.Tに期待したいですね。「アヴァロン・レーベル」によるとジャケット、収録曲順を欧州盤にした2nd「FREEDOM ROCK」のSHM-CD盤とデビュー・アルバムをカップリングにしたスペシャル盤「FREEDOM ROCK (COLLECTOR'S EDITION)」が2011年1月19日にリリースされるそうです。

【CD購入録】HARDCORE SUPERSTAR「SPLIT YOUR LIP」(2010)

  • 2010/12/05(日) 00:00:00

【CD購入録】
SPLIT YOUR LIP
HARDCORE SUPERSTAR「SPLIT YOUR LIP」(2010)

HELACOPTERS、BACKYARD BABIESといった北欧バッドボーイズ勢が解散していく中、ギタリスト脱退の問題をうまく乗り越えてコンスタントに活動を続けるHARDCORE SUPERSTARの7作目を買いました。毎回のことながらこのバンドは安心して聴けますね。腹にズシリと来るAdde(Ds)のドラミングと特徴的なJocke Berg(Vo)の歌声というバンドの2大個性から始まるオープニング①Sadistic Girls以降、一気に聴かせる勢いがありますね。現在のお気に入りは「Last Call! For Alcohol!」のサビに合唱必至な③Last Call For Alcohol、終盤に裏打ち疾走する⑤Moonshineですね。僕がバンドの最高傑作だと思っている4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)を越える1枚となるかは更に聴き込んでからの判断ですが、なかなか手応えは良いと思います。日本盤ボーナスは5th「DREAMIN' IN A CASKET」(2007)の収録曲Medicate Meのライブテイク。前作のボートラも既発曲のライブだったので、こういう風に小出しにされるよりはフルレンスライブ盤を聴きたいと思ってしまいますね。

HELLOWEEN「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)

  • 2010/10/31(日) 00:00:00

UNARMED.jpg
【No.263】
★★★(2010)

1984年に活動をスタートしたHELLOWEENの25周年記念アルバムである本作はオーケストラと共演をしたり、サックスやホーンによるお洒落なアレンジを取り入れたりすることで過去の楽曲を大胆に生まれ変わらせた企画盤です。僕はMichael Kiske(Vo/PLACE VENDOME、UNISONIC、ex-HELLOWEEN)在籍時に思い入れが強いので、バンドの名曲群を現メンバーで単に録り直すという内容であれば買わなかったと思いますが「普段はメタルを聴かないような人にも楽しんでもらえるアルバムを目指した」とメンバーが語る本作は「UNARMED(=非武装)」というタイトル通り、メタリックな攻撃性を一切排除した興味深い仕上がりとなっています。選曲的にはKiske加入後の作品に限られ、約半数がキーパーアルバムからのナンバーですが普通にHELLOWEENのベスト盤としても通用しそうな名曲/代表曲が並んでいますね。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Dr. Stein(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
02. Future World(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
03. If I Could Fly(「THE DARK RIDE」)
04. Where The Rain Grows(「MASTER OF THE RINGS」)
05. The Keeper's Trilogy(Halloween~The Keeper Of The Seven Keys~The King For A 1000Years)
(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」~「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」~「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」)
06. Eagle Fly Free(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
07. Perfect Gentleman(「MASTER OF THE RINGS」)
08. Forever & One(「TIME OF THE OATH」)
09. I Want Out(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
10. Fallen To Pieces(「GAMBLING WITH THE DEVIL」)
11. A Tale That Wasn't Right(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)

そんな本作のハイライトはバンドを代表する大作3曲をメドレー形式で1曲(17分)に繋げたアレンジの妙、プラハ交響楽団とロンドン合唱団が織り成すオーケストラサウンドが楽曲本来の壮大さとドラマティシズムを更に増幅させている⑤ですね。その他には、リリカルなピアノとAndi Deris(Vo)の独唱でしっとり始まり後半はストリングスとクワイアで劇的に盛り上がるバラード曲⑧が素晴らしい。これは原曲を超えていると思えるほどですね。HELLOWEENサウンドとオーケストラの相性の良さは演歌にも通じるクサいメロディを持つ⑪でも感じられます。またホーンセクションをフィーチュアすることによって、小粋で洒落た曲に生まれ変わりPVも制作された①、イントロのギターメロディをAndiの地元カールスブルグの子供達による合唱に置き換えた⑨など斬新なアレンジがハマった曲もあれば、②や⑦などは比較的オリジナルのイメージを残しつつポップな側面を強調したものもあります。ただ、その一方で元が疾走曲だった④、⑥は小綺麗に纏まりすぎているように感じられ、メロディックメタル界屈指の名曲として慣れ親しんでいたこともあって違和感が拭えないですね。④を初めて聴いた時はサビになるまで何の曲かわからなかったほどだし、フォーキーでスローになった⑥もオリジナル曲の爽快感が殺がれてしまっているように思います。

というわけで中にはやや無理があるように思える曲はあるものの、全体的に見ると四半世紀に渡ってHELLOWEENが生み出してきた素晴らしい楽曲を緻密な作り込みと遊び心に溢れたアレンジで聴くことができる作品として結構楽しめました。KiskeがHELLOWEEN時代の自作曲に生真面目なアンプラグドアレンジを施した「PAST IN DIFFERENT WAYS」とは対照的でポップに、大仰に、時にはラウンジミュージックのようにと曲によってはかなり大胆に手を加えていますね。ただし本作については賛否両論あるようで企画盤とはいえ、あまりにメタルから掛け離れているために「Are You Metal?(おまえらメタルか?)」と問い掛けるファンもいたとか。ちなみにAre You Metal?という質問は現時点での最新作「7 SINNERS」のシングル曲のタイトルになっています。個人的には長きにわたりメタルシーンの第一線で活躍してきたバンドの中で、ここまで思い切ったアレンジでリメイクを自ら実践しただけでなく「らしさ」が保たれているのはメタルバンドとしてのヘヴィネス、攻撃性だけでなくコミカルで爽やかな魅力も併せ持つHELLOWEENだからこそではないかと思っています。

【音源紹介】
・Dr. Stein(「UNARMED」ヴァージョン)


・Dr. Stein(オリジナルヴァージョン。ボーカルはMichael Kiske)

【CD購入録】HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

  • 2010/10/28(木) 00:00:00

【CD購入録】
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HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

来年早々に新作「ELYSIUM」をリリースするSRTARTOVARIUSとのカップリングツアーが決定したHELLOWEENの13作目を買いました。過去の楽曲をメタルとは異なるアレンジで聴かせたバンドの25周年企画盤「UNARMED」(2009)を制作した反動からHELLOWEENの作品群の中でもヘヴィでスピーディーな作風になるとメンバー自身が語っているとおり、どこを切ってもヘヴィメタルな1枚となっています。オープニング曲①Where The Sinners Goが欧州メタルシーンでは受けそうなミドルチューンなのが個人的には残念だったりしますが、それ以降がかなり強力。先行シングルにもなった②Are You Metal?、「MASTER OF THE RINGS」(1994)に収録されているPerfect Gentlemanの続編をSacsha Gerstner(G)が書いた③Who Is Mr. Madman?、フルートソロもフィーチュアした疾走曲④Raise The Noise、バンド第4のソングライターとしての活躍が目立つようになってきたMarkus Grosskopf(B)作で非常にHELLOWEENらしい⑤World Of FantasyJUDAS PRIESTへのトリビュートソングとして生まれRonnie James Dio(R.I.P)への想いも織り込んだというメタリックチューン⑥Long Live The Kingの流れは素晴らしいですね。後半がやや弱いかな?という気もしますがメロディックメタルの王者HELLOWEENの貫禄を感じさせてくれる作品だと思います。

またAre You Metal?のPVを見たときにも思いましたが、本作はソリッドシチュエーション・スリラー映画「SAW」がモチーフになっている部分があるようでブックレットもそれっぽい作りになっていますね。「SAW」といえば、エグいシーンが多いものの何故か1~5まで見続けている映画で、7作目にあたる「SAW THE FINAL 3D」が10月30日に公開されるとか。この映画を3Dで見る勇気はありませんが、ストーリーがどう完結するのか気になるところです。

【CD購入録】HESS「JUST ANOTHER DAY」(2003)

  • 2010/10/03(日) 00:00:00

【CD購入録】
JUST ANOTHER DAY
HESS「JUST ANOTHER DAY」(2003)

バンド名義をRUBBERからHAREM SCAREMに戻し、日本で人気の高い2nd「MOOD SWINGS」(1993)の質感をも甦らせた復活作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)をリリース後にHarry Hess(Vo/HAREM SCAREM)HESS名義で発表した初のソロアルバムを買いました。HarryがHAREM SCAREM解散後に初めてシーン復帰を果たしたプロジェクトFIRST SIGNALを聴いていて「そういえばHarryってソロも出してたよな」と思いながら中古ショップをブラブラしていた時に見つけたのが本作です。HAREM SCAREMのメインソングライター/シンガーであるHarryのソロ作で、曲によってはバンドの僚友Pete Lesperance(G)Creighton Doane(Ds)も参加していると聞いて予想はしていましたが、HAREM SCAREMっぽいメロディがそこかしこで聴けます。Harry自身「僕が最も自然に書けるタイプの曲」と語る②Wasted AwayなどはHAREM SCAREMのアルバムに収録されていても全く違和感がなさそうですね。相違点を挙げるならHAREM SCAREMからハードな部分を取り除いたリラックスムードが漂っているということでしょうか。ただ本家バンドと比較すると、ちょっとパンチに欠けるかな。ちなみに「MOOD SWINGS」ではDarren Smith(Ds/ex-HAREM SCAREM)が歌っていた⑩Sentimental Blvdをセルフカバーしています。

【CD購入録】HALESTORM「HALESTORM」(2009)

  • 2010/09/28(火) 00:00:00

【CD購入録】
HALESTORM.jpg
HALESTORM「HALESTORM」(2009)

女性ボーカルLzzy Haleをフロントに据えた4人組ハードロックバンドHALESTORMのデビュー作を買いました。ブリキのロボット風(?)のジャケットは微妙ですが、中身の方は超大手レーベルATLANTICからのデビューでプロデューサーは大物Howard Bensonという肩書き通りメジャー感バリバリです。スケールの大きなサウンドと耳馴染みの良いメロディが全編を覆った非常に聴きやすい作品でDAUGHTRYNICKELBACKを連想させますね。HALESTORMというバンド名からしてLzzy Haleがメイン(ドラマーのArejay HaleはLzzyの兄弟だそう)だと推測しますが、女性らしさよりも力強く歌い上げるスタイルを軸とした彼女のボーカルはなかなかに素晴らしく、歌もの正統派ハードロック作品としてリピートしています。僕が持っているのは輸入盤ですがHALESTORMはLOUD PARK 10にも参戦(10月17日さいたまスーパーアリーナ)が決定しており、10月27日には国内盤もリリースされるようです。

【CD購入録】HOUSE OF LORDS「CARTESIAN DREAMS」(2009)

  • 2010/08/17(火) 00:00:00

【CD購入録】
CARTESIAN DREAMS
HOUSE OF LORDS「CARTESIAN DREAMS」(2009)

相互リンクさせていただいているブログ「理屈は言わずもがな」(byたけちよさん)で2009年の年間ベストアルバムに選ばれていたアメリカ産メロディアスハードロックバンドHOUSE OF LORDSの7作目を買いました。僕はこのバンドのことをあまり知らなくてGregg Giuffriaというキーボードプレイヤーを中心としたバンドだと思っていたのですが、そのGregは既にバンドを脱退しているようです。一聴して印象に残ったのはJames Christian(Vo)のソウルフルなボーカルですね。その声質を活かすのに最適なヘヴィネスと力強さを持ったタイトルトラック①Cartesian Dream、優しい美メロが冴えるバラード④Sweet September、メタリックな疾走曲⑧The Bigger They Come(この曲、大好きです)を始めとした本作の楽曲群は僕のツボを的確に突いてくれ、日本盤ボーナス⑫Whoまで一気に聴き通せてしまいます。メロディアスハードの王道を行く好盤(ちょいとブルージー)という感じですね。またHOUSE OF LORDSの元メンバーで本作のソングライティングに深く関わっているMark Bakerなる人物はHarry Hess(Vo/ex-HAREM SCAREM)のプロジェクトFIRST SIGNALの作曲にも参加しているようなので、FIRST SIGNALへの期待がまた高まりました。