HAREM SCAREM「RUBBER」(1999)

  • 2012/07/14(土) 00:00:00

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【No.335】
★★(2007)

前作「BIG BANG THEORY」(1998)発表後にバンド初のベスト盤「THE BEST OF」(1998)、シングルのB面曲集「B-SIDE COLLECTION」(1998)をリリースして、活動にひと区切りを付けた感のあるHAREM SCAREMの6作目はいろんな意味で注目を集めるアルバムとなりました。その最大の要因はバンドが日本以外ではHAREM SCAREMではなくRUBBERという名前で活動していくことを発表した改名騒動です。バンドによると「これまでにリリースしてきた作品から、本国カナダなどではHAREM SCAREM=古臭いHR/HMバンドというイメージが定着してしまい、新しい音楽性にチャレンジしてもレコード会社やラジオが関心を持ってくれないという状態になってしまったため、バンド名を変えることで先入観なしに自分達の音楽を聴いてもらうチャンスが欲しい」との想いから、HAREM SCAREMの名でステイタスを築いた日本以外での改名に踏み切ったとのことです。僕がこれまで聴いてきたバンドの中でも、ここまで大胆な賭けに出たのは彼等が初めてだったので期待よりも不安が大きい中で聴いてみたところ、悪い予感が的中してしまったというのが率直な感想です。

まずはプレイボタンを押した後に流れてくる①It's Gotta Beで披露されている歪みを抑えた軽めのギター、これまでの高揚感あるメロディとは対照的な脱力系のサビに強い違和感を覚えました。改名に至った経緯を踏まえると従来とは異なるサウンドで勝負してくることは予想していましたが、ここにはバンドが日本で人気を博した適度な愁いを帯びた旋律美とそれを効果的に聴かせる分厚いコーラス、ドラマティックな曲展開や華やかなギターワークといった要素はなく、とにかく耳当たりの良いパワーポップが展開されています。HAREM SCAREMはこれまでも同じサウンドに留まることなく新しい要素をアルバムに持ち込んでいたし、バンドのパワーポップ化自体は前作から感じられていたので順当な進化と言えるかもしれません。また彼等はデビュー当初からオリジナル曲のアコースティックバージョンを頻繁に発表してきたこともあり、シンプルなアレンジで楽曲を聴かせることには長けている上に器用さも持ち合わせていて、実際に②Who-Buddy、④Stuck With You、⑨Headache辺りはパワーポップ路線を代表するナンバーだと思います。しかし、アルバムトータルで聴くと音楽性が変わったこと以上にメロディそのものの魅力が減退してしまったように思えて物足りないんですよね。そしてカントリーの影響も感じる②、ループやボーカルエフェクトを取り入れて従来とは違う意味での作り込みが見られる⑤SunshinePete Lesperance(G)が初めてリードボーカルを担当した⑦Trip、HAREM SCAREM流ゴシックソング(?)⑩Everybody Elseなどで見られる実験的要素も正直微妙です。

バンド名変更が功を奏したのか⑤がカナダのナショナルチャートで健闘し、ラジオでも頻繁にオンエアされるなどHAREM SCAREM時代以上の成功をおさめた一方、日本ではデビュー当時からバンドを知るファンの間で問題作扱いされることの多い1枚。個人的に本作の方向性自体は嫌いではないのですが、この手のサウンドであればMARVELOUS 3や当時MR.BIGを脱退していたPaul Guilbert(G)のソロ作品の方が魅力的に感じられますね。バンドは本作リリース後に日本でもRUBBER名義で活動していくことを発表し、次のアルバム「ULTRA FEEL」(2001)は日本でもRUBBER名義で発表しています。ちなみに事実上の解散前ラストツアーとなった2007年のSILENT FORCEとのカップリング来日時のインタビューで「HAREM SCAREMで最も思い入れのあるアルバムは?」と質問されて、Harry Hess(Vo)が「自分達の狙い通りの仕上がりになったから」という理由で3rd「VOICE OF REASON」(1995)と本作という僕があまり好きでない2枚を挙げていたのは複雑でしたね…。

【音源紹介】
・Stuck With You

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