HAREM SCAREM「VOICE OF REASON」(1995)

  • 2012/05/21(月) 00:00:00

VOICE OF REASON
【No.329】
★(1996)

情感豊かなHarry Hess(Vo)の歌声と厚みのあるバックコーラス、センス溢れるPete Lesperance(G)のギターワーク、そして安定感のあるリズム隊を土台にデビュー作「HAREM SACREM」(1991)では甘口ハードポップ、2nd「MOOD SWINGS」(1993)では構築美とドラマティシズムに満ちたメロディックロックを聴かせてくれたHAREM SACREMの3rdアルバムにして一般的には問題作と言われることも多い1枚。僕はHR/HM歴2年目の1996年にHAREM SCAREMの初期2作品に出会い、その音楽性にすっかり魅了されたので大きな期待を胸に聴いたアルバムでした。本作に関しては賛否両論あって、中には「もっと再評価されるべき」という声もあるようですが僕にとっては「HAREM SCAREMの作品群の中でもCDトレイに乗せる回数が少ないアルバム」です。オープニングの①Voice Of Reasonの冒頭で前作を彷彿とさせる捻りの効いたギターリフが流れてきた時は手応えを感じましたが、その①を含む楽曲がどうにも地味で過去2作にあったポジティブムードから意図的に距離を置いたかのようなヘヴィでダークなものが多いため、キャッチーでメロディアスな音を好む僕にはかなりキツかったですね。本作を買った1996年当時はいろいろなバンドのアルバムを聴き漁っていたので、本作は数回聴いただけでCDラックに眠ったままになっていました。

そんな僕がこのアルバムを再び聴くようになったのは、バンドが名義をRUBBERからHAREM SCAREMに戻して最初のライブ盤となる「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)に収録されている本作の③Warming A Frozen Rose、⑧The Paint Thinsを聴いて「今までは気づかなかったけどカッコいいな」と思ったのがきっかけでした。そうして改めて本作と対峙してみると、リリース当時に抱いていたダークな作品という表面的なイメージの下に確かに存在する②Blueや③のメランコリックな旋律美、比較的キャッチーな歌メロとPeteらしいギターワークをフィーチュアした⑥Breathing Sand、「MOOD SWINGS」の路線に近く本作では異色と言えるほど躍動感がある⑧などはグッときました。ただしアルバムトータルで見ると、どこか弱いと感じてしまうんですよね。その要因としては、それまでのバンドの歴史を総括したかのような「LIVE AT THE GODS 2002」のセットリストで2~3曲演奏される分には問題ないけれど「VOICE OF REASON」という1枚の作品として聴くとダークな雰囲気が支配的でカラフルさに欠けるため、アルバムジャケットに通じるモノクロな印象が強く残ってしまうからではないかと思います。

HAREM SCAREMというバンドは2008年に解散するまで「HAREM SCAREM」、「MOOD SWINGS」という初期2作品の亡霊と常に戦っていたように思うのですが全ては本作から始まったと言っても過言ではありません。2ndが日本でヒットした影響で当初国内盤リリースの予定がなかった(であろう)1stも発売され、タイプの異なる2枚でありながら両方とも日本受けする作風でファンの期待が高まったところに、バンドの支持基盤の間では不人気なグランジ寄りの本作を発表したというタイミングの悪さもバンドにとっては逆風でした。日本では批判的な意見が多かったものの、バンド側は「VOICE OF REASON」が自信作でもあったために本作以降HAREM SCAREMはファンやレコード会社からの意見と自分達がやりたい音楽とのジレンマに苦しむことになってしまうのでした…。問題作と見なされることが多いのは事実ながら前述したように高く評価する声も根強く、玄人受けしている感があるので聴いてみるとツボにはまるという方も少なくないようですが僕はもっと華やかで耳に残る楽曲が欲しかったですね。

【音源紹介】
・The Paint Thins (Live)

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