HAREM SCAREM「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)

  • 2012/08/04(土) 00:00:00

H SCAREM W OF THE WORLD
【No.338】
★★★★(2002)

HAREM SCAREMという名前では日本以外で思うような成功をおさめられなかったバンドが状況を打開するために名義をRUBBERに変更するという奇策(苦肉の策?)に打って出たものの、地元カナダでそれほど効果がなかっただけでなく一連の改名騒動のおかげで日本での人気にも悪影響が出始めたため再びHAREM SCAREM名義に戻してリリースした通算7枚目のアルバム(このブログではHAREM SCAREMとRUBBERは別バンドと見なしています)。カナダ等ではRUBBERの1st、日本ではHAREM SCAREM6作目としてリリースした「RUBBER」(1999)に伴うツアーの後にバンド名をRUBBERで統一することを発表、そして日本では結果的にRUBBERとして唯一のアルバムとなった「ULTRA FEEL」(2001)の来日公演時にはHAREM SCAREM復活を宣言するという切り替えの早さ、というか節操のなさ(苦笑)には唖然としましたが、本作の素晴らしさが今回の改名騒動によるドタバタ劇を帳消しにしてくれています。

ミステリアスな導入部に被さるヘヴィかつメロディアスなリフから始まりサビではビッグなコーラスが炸裂するハードロック①Weight Of The Worldからは傑作「MOOD SWINGS」(1993)の世界観が感じられるし、②Killing Meにおける爽やかでキャッチーなメロディを歌うコーラスワークはデビュー作を彷彿とさせてくれます。またHarry Hess(Vo)の温かい歌声を存分に活かしたバンドの新たな名バラード⑤This Ain't Over、4th「BELIEVE」(1997)収録のBaby With A Nail Gun以来となる「これぞPete Lesperance」なギターインスト⑨See Sawなど、RUBBER時代には聴くことができなかったHAREM SCAREMならではの強みを取り戻してくれているのも嬉しいポイント。それだけでなくポップセンスの弾ける④All I Wantやパワーポップの極致⑨If YouのようにRUBBER時代を経た今だからこそ可能な楽曲もあって過去を振り返るだけの作品に終わっていない辺りに、このバンドの底力を感じますね。HAREM SCAREMの中心メンバーであるHarryとPeteはB!誌のインタビューで「MOOD SWINGS」の再来を求める声に対して「過去と同じようなアルバムはいつでも作れる」という趣旨の受け答えをしていたように記憶しているのですが、本当にここまでの力作を作り上げてくれたバンドに脱帽です。4th「BELIEVE」(1997)もそれまでの3作品を集約したような印象はありましたが本作の方が高品質でHAREM SCAREMというバンドの集大成的作品になっていると思いますね。また本作には元ドラマーのDarren Smithがバックコーラスにゲスト参加していて、バンド初期の音楽性を再現するのに一役買っています。

バンド名の変更問題は迷走以外の何ものでもなかったし、RUBBER期は自らの強みであった楽曲の構築美やPeteのギターソロを排除してしまっていたため、個人的にはもうこのバンドを聴くことはないと思った時期もありました。ところが本作ではRUBBER時代に磨いたメロディセンスだけでなく緻密な曲展開、テクニカルかつ歌心あるギターワーク、分厚いコーラスといったかつての持ち味が見事に甦っているので名実ともにHAREM SCAREMの復活作と呼べると思います。名義をHAREM SCAREMに戻した後の作品の中では断トツで好きな1枚であり、バンド全体の中でも3本の指に入るお気に入り盤ですね。

【音源紹介】
・Weight Of The World

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ゆうていさん

こんばんは。生まれてからずーっと関西で生活してるので、ゆうていさん御用達の中古CD屋のことはわかりませんが、そちらの方が中古ショップも充実してるイメージがありますね。このアルバムを気に入っていただけたみたいでよかったです。HAREM SCAREMの作品の中でも本作は入門盤にいいと思っていたので。MAJESTICの2ndは中古CDのワゴンセールで何度か見かけたことがあります。そういえばRichard Andersonって今はどうしてるんでしょうね?IMPELLITTERIは確かにメロディが弱い印象があります。ANIMETAL USAの経験を活かしてクサイ作品を作ってくれたりすると個人的に嬉しいです。

  • 投稿者: よしよ
  • 2013/04/14(日) 20:51:55
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中古の日

私がよくCDを買うのは大宮駅東口のBOOKOFFと、西口アルシェ5FのNACK5TOWNです。
そのNACK5ではたまに[中古の日]と称して、5枚1,000円で中古CDが売り出されます。
たまたま暇が有って覗いてみたら、本作品を発見しました。
そういえばよしよさんのブログでレビューされていたなぁ~と手に取りましたが、「良いじゃないですかっ」!!
たまには自分が知らないバンドに手を出してみるのも良いものですね(^^;。
5枚買ったCDの中では、私はネオクラシカル好きなのでMAJESTICの2ndがお気に入りなのですが、本作品も平行して聞き込んでみようと思います。


...IMPELLITTERIのCRUNCHはメロディーが足りない(--;)。

  • 投稿者: ゆうてい
  • 2013/04/13(土) 10:48:07
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イモ男さん

こんばんは。僕もRUBBERから再改名した後期HAREM SCAREM作品では本作が一番好きです。もしも再結成があるとしたら、やっぱりこのアルバムみたいな路線を期待してしまいますよね。そういえばHarry Hessの2作目となるソロアルバムが今月にリリースされるみたいですね。HAREM SCAREMの元メンバーも参加してるようなので少し気になっています。

  • 投稿者: よしよ
  • 2012/08/06(月) 22:08:59
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いいですよね

6曲目から7曲目の流れとか、日本盤ボーナス曲の12曲目が特に好きで、よくリピートしてました。

この先もし再結成があるのなら、ちょっと酷かもしれませんが、本作レベルのアルバムを作って欲しいなぁと思ってます。

  • 投稿者: イモ男
  • 2012/08/04(土) 18:22:37
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