HAREM SCAREM「BIG BANG THEORY」(1998)

  • 2012/06/18(月) 00:00:00

H SCAREM BBTHEORY
【No.333】
★★★(1998)

カナダを代表するメロディアス・ハードロックバンドHAREM SCAREMの5作目。これまでも作品毎に異なる表情を見せていたバンドが今回提示してきたのは、今まで以上にストレートでシンプルなパワーポップサウンドでした。この音楽性の変化には前作「BELIEVE」(1997)のスペシャルエディションでパワーポップバンドの祖ともいえるCHEAP TRICKSurrenderをカバーしたことが影響しているようで、日本での人気を決定づけた2nd「MOOD SWINGS」(1993)や賛否両論あった3rd「VOICE OF REASON」(1995)などで顕著だった楽曲を盛り上げる分厚いコーラスや緻密なアレンジ、練り込まれた曲構成といった要素は大きく減退しています。

まずは本作の路線を象徴する名曲①So Blindからして従来のHAREM SCAREMとは異なる印象を受けますね。このバンドの作品を聴く時に心のどこかで「MOOD SWINGS」の再来を求めてしまう僕にとって、楽曲のシンプル/パワーポップ化はHAREM SCAREMの理想像と異なるのは事実ながら楽曲のメロディセンスは相変わらず一級品なので結構楽しめました。オープニングの①以降ではタメの効いたサビメロが秀逸なパワーバラード④Table TurningQUEENテイストを見事に昇華してみせた⑧Never Have It All、ピアノとボーカルのみというシンプルさがメロディの良さを浮き彫りにしたバラード⑩In My State Of Mindが特に気に入っています。この作品を聴いた1998年当時、「いつまでも『MOOD SWINGS』の面影を追い求めるのではなく今のバンドを応援しよう」という気持ちになりましたね。バンド名変更に乗り出す次作「RUBBER」(1999)ではポップな方向性に傾きすぎていましたが、本作ではバンドが持つハードな側面と親しみやすいメロディのバランスが良好でPete Lesperance(G)も控えめながら巧みなギターワークで魅せてくれます。

その一方で惜しい点があるのも事実で、装飾や作り込みを排除した今回のアルバムカラーを「ポップセンスが光る快活なロック作品」たらしめているのは③Relord、⑤Turn Around、⑦Sometimes I Wish(リードボーカルはベーシストBarry Donaghy)、⑨Lyingといったストレートなロックソングなのですが同系統の①が突出しているため、その後で聴くと物足りなく感じてしまうのは否定できません(1曲1曲は十分に魅力的なのですが…)。また前作に続き今回も同じアルバムの別バージョンがリリースされているようで、日本盤の他にカナダ盤が2種類存在します。各バージョンを比較してみるといずれも収録曲は違えど全10曲、収録時間は約40分となっており日本盤「BIG BANG THEORY」に未収録のWasted Time、Without Youの2曲はシングル「SO BLIND」(1998)または「B-SIDE COLLECTION」(1998)で聴くことができます。各国のマーケットを意識した上での戦略とはわかっていても僕は好きなバンドの曲はひとつでも多く聴きたいので、こういう売り方はあまり嬉しくないですね…。

【音源紹介】
・So Blind

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アルちんさん

こんばんは。「MOOD SWINGS」の後に本作を聴くと違和感ありありでしょうね。僕は「MOOD SWINGS」の次に「VOICE OF REASON」を聴いたので違和感どころかショックでした(苦笑)。後のRUBBERに通じるパワーポップ系サウンドは本作以前のHAREM作品とは一線を画していますよね。といいつつSo Blindはバンドを代表する名曲のひとつだと思ってます。このレベルの曲があといくつかあると更に良かったんですけどね…。

  • 投稿者: よしよ
  • 2012/09/09(日) 23:45:06
  • [編集]

当初は違和感ありでした

 こんばんは~、よしよさん。
名盤MOOD SWINGSの後に聴いたのがこのアルバムだったもので、正直2~3回聴いてすぐにラックの肥やしとなってしまっておりましたがw時間を置いて改めて聴きますと、普通に良かったりwww

 ①So Blind今聴くとラフな中にもlive感溢れるエネルギッシュな脈動感溢れる曲で、当時は「様式美も何もあったモンじゃないな」と分かりやす過ぎるこの曲に少し違和感を感じましたが、まぁなかなかイイ曲ですですね。
②Climb The Gateは個人的に地味だけどサビメロイイですね。明るい疾走曲の③Relord、当時は気づかなかった良バラード④Table Turning、ヘヴィでダークなバラード?⑧Neve Have It All、まんまBEATLES愛が凝縮された⑨Lying、ほっこり暖かく後もう一盛り上がり欲しいバラード⑩In My State Of Mind、とどうにも痒い所に手が届かず、悪くは無いけど良くもないという印象のアルバムですねぇ。
僕もよしよさんと同じく星をつけるなら3が妥当なところですねぇ。

  • 投稿者: アルちん
  • 2012/09/07(金) 21:39:51
  • [編集]

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