ARCH ENEMY「THE ROOT OF ALL EVIL」(2009)

  • 2011/10/18(火) 00:00:00

ROOT OF ALL EVIL
【No.306】
★★(2009)

今や北欧メロデス/エクストリームメタルの代表的存在としてワールドワイドな活動を展開しているARCH ENEMYですが、デビューしてしばらくは日本における注目度はそれなりに高かったものの、美貌と獣性を併せ持った2代目シンガーAngela Gossow嬢(Vo)が加入して制作された4th「WAGES OF SIN」(2001)でブレイクを果たすまで欧米ではマイナーな存在でした。本作は日本以外ではあまり知られていない1st「BLACK EARTH」(1996)、2nd「STIGMATA」(1998)、3rd「BURNING BRIDGES」(1999)という初期3作品の収録曲を現在のラインナップでリメイクした企画盤です。リーダーのMichael Amott(G)によると「デビュー当初から注目を集めていた日本と違い、世界的に見るとJohan Liiva(Vo)が歌っていた初期3作品の知名度は低い。しかし、これらのアルバムにも良い曲が多いのでもっと知ってもらいたい」という意図で制作された作品のようです。

【トラックリストと収録作品】
01. The Root Of All Evil (Intro)(SE)
02. Beast Of Man(「STIGMATA」)
03. The Immortal(「BURNING BRIDGES」)
04. Diva Satanica(「STIGMATA」)
05. Demonic Science(「BURNING BRIDGES」)
06. Bury Me An Angel(「BLACK EARTH」)
07. Dead Inside(「BURNING BRIDGES」)
08. Dark Insanity(「BLACK EARTH」)
09. Pilgrim(「BURNING BRIDGES」)
10. Demoniality(Instrumental)(「BLACK EARTH」)
11. Transmigration Macabre(「BLACK EARTH」)
12. Silverwing(「BURNING BRIDGES」)
13. Bridge Of Destiny(「STIGMATA」)

以下は日本盤ボーナストラック
14. Wings Of Tomorrow(EUROPEのカバー。未発表音源)
15. Walk In The Shadows(QUEENSRYCHEのカバー。ヨーロッパ盤シングル「REVOLUTION BEGINS」)
16. Bury Me An Angel(Live)(「LIVE APOCALYPSE」)
17. The Immortal(Live)(「LIVE APOCALYPSE」)
18. Bridge Of Destiny(Live)(「LIVE APOCALYPSE」)

ARCH ENEMYを聴く際にボーカルパートをそれほど重視してこなかった僕ですが、こうしてJohanが歌っていた楽曲とAngelaでリメイクした音源を聴き比べてみると各シンガーそれぞれの持ち味がより明確に感じられますね。Johanは良くも悪くも歌い方が荒くて感情を込めようとするあまり声が裏返ってしまったり曲のテンポに合っていなかったり(本作収録曲では③The Immortalで顕著)していましたが、それが逆に独特の緊張感やグルーヴ、疾走感を生み出しています。それに対してAngelaは持ち前のリズム感を活かして歌詞をきっちりとメロディに乗せつつ、無慈悲なシャウトでブルータルな側面もしっかりアピールするという感じでしょうか。Johanは感情に任せた荒々しさと声自体に宿る邪悪なムードが、Angelaは狂暴性を振り撒きつつも洗練性と整合感を保っているというのが魅力ですね。どこかで「不良のJohan」に対して「優等生のAngela」という表現を見かけましたが、なかなか言い得て妙だと思いました。そんなボーカルアプローチに呼応するかのように楽曲自体のイメージも違ってきていて、本作のバージョンはオリジナルよりもキーが高く、テンポも若干抑え気味になっています。僕はボーカルの違い以上にギターソロのアレンジも含めて楽曲そのものから受ける印象が異なっていることに聴き始め当初は違和感を覚えましたね。全体的な印象として本作はオリジナルバージョンにあった突き抜けるような疾走感があまり感じられない代わりにシャープで硬質、きっちりと整った音像となっているためJohan時代のアルバムよりもボーカルや各楽器の分離は良好で、バンドがこのような音作りを目指すのであればAngelaの方が合っていると思います。

今回のリメイクをしっかり味わうために本作収録曲をそのまま聴く、原曲を本作の順番に並べて聴く、JohanバージョンとAngelaバージョンの同じ曲を交互に並べて聴くという3つの聴き方を試してみましたが僕の心に最も響いてきたのは2つ目、つまり本作のJohanバージョンでした。本作を聴くまではJohanが楽曲のテンポに乗り切れていない場面をマイナス要素として見ていましたが、その微妙な前のめり感こそが彼にしか出せない味だということに気づきました。勿論Angelaが加入したことでバンドの人気に火がついたのは事実だし、彼女のステージパフォーマンスや存在感はJohanにはないものなのでシンガーを交代させたバンドの決断は正解だったとも思います。というわけで、僕にとって本作はAngelaが歌うバンド初期の曲を楽しむ以上に2人のシンガーの違いを味わい、Johanを再評価するための1枚という印象が強いですね。そしてARCH ENEMYというバンドがデビュー当初から素晴らしい楽曲を多く生み出していることも再確認できました。それだけにカバー曲や既発のライブDVD「LIVE APOCALYPSE」(2006)からのテイクで、しかも本編と同じ曲のライブバージョンを3つも入れるのではなくFields Of Desolation、Angelcrawといった僕の大好きな2曲のAngelaバージョンを収録して欲しかったですね。

【音源紹介】
・Beast Of Man

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この記事に対するコメント

callitameさん

こんばんは。時間が経てば経つほどJohanの方が好きになるというのは同感です。僕の場合、これまでARCH ENEMYを聴く時はボーカルよりも他のパートに耳が行きがちだったのですが、本作でJohanとAngelaを聴き比べてJohanの強みに気づいたという感じですね。
ただ、他のブロガーさんのLOUD PARK11ライブレポを見てもステージ上でのAngelaを高く評価されている方が少なくないので、そこは彼女の強みなんでしょう。僕はDVDでしかARCH ENEMYのライブを見たことがありませんが、やはりAngelaはステージ映えしてますね。Johanも(近況は知りませんが)ARCH ENEMY脱退後はHEARSEという自身のバンドで頑張ってるようだし、最近のARCH ENEMYのインタビュー記事を読んでいても余程のことがない限りAngela体制は続きそうなので「今のARCH ENEMY」を応援していこうと思ってます。

  • 投稿者: よしよ
  • 2011/10/20(木) 22:58:59
  • [編集]

ARCH ENEMYはWAGES OF SINから聞いたのですがこのアルバムに非常に衝撃を受けて何度も聞いた記憶があります
が、
遡って聞いて、時間がたてばたつほどJohanの方が好きですね^^;
Johanの感情が入っている分Angelaが一本調子に聞えるので激しさをどうも感じなくなったんですよね。新しいアルバムも初めはいいなーって思いましたがどうも飽きてくるというか、Johanのものは聞けば聞くほど味があるというか、何かそんな風に感じてしまうのでこのアルバムはまだ聞いていないんですよ^^;
B!のインタビューのAngelaのコメントも余り好きじゃないので余計斜めで見てしまう所もありますが。。。Michael Amottが好きなだけに実はなんでAngelaって思ってしまったりもします。。。。

  • 投稿者: callitame
  • 2011/10/18(火) 10:12:22
  • [編集]

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