HAREM SCAREM「HAREM SCAREM」(1991)

  • 2012/05/14(月) 00:00:00

H SCAREM H SCAREM
【No.328】
★★★★(1996)

通算2作目となる「MOOD SWINGS」(1993)で日本デビューを果たすや、キャッチーなメロディとそれを歌い上げる重厚なコーラス、テクニカルなだけでなく歌心にも溢れたギター、緻密で先の読めない曲展開といった持ち味で日本のHR/HMファンを魅了したHAREM SACREMの1stアルバム。本国カナダでは1991年に発表されていますが日本盤は「MOOD SWINGS」から約1年遅れでリリースされています。2ndが少しダークな雰囲気を醸し出していたのに対して、本作はハードポップ/AOR系の爽やかさと透明感に満ちた1枚となっていますね。HAREM SCAREMの作品群において最もソフトな本作はハードロックバンドらしさを求めると物足りなさを感じるかもしれませんが、メロディの充実度はトップクラスで非常にとっつき易いアルバムといえそうです。

一部の楽曲で外部ソングライターからのインプットはあるものの、基本的にはHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)の2人が曲を手がけていて、その新人離れしたソングライティング能力は目を見張るものがありますね。特にアルバム序盤は「強力」の一言で「You're hard to love, but it's hard to let you go~♪」と惚れた男の苦悩を爽やかに歌うオープニング曲①Hard To Love、サビは勿論そこに至るまでのメロディ展開も秀逸な②Distant Memory、フックに満ちたギターのイントロが流れてきた時点で勝負ありの③With A Little Love、Harryが弱冠17歳の時に書いたとは思えないほどの完成度を誇る名バラードにしてバンドの代表曲でもある④Honestlyへと続く流れは文句のつけようがありません。瑞々しさと甘い旋律を武器に、後のHAREM SCAREMでは得がたい感動を与えてくれる本作の中でも、この冒頭4曲は別格だと思いますね。アルバム中盤は似たカラーの楽曲が続くため若干テンションは下がるものの⑥Slowly Slipping Awayを筆頭に並のバンドであればアルバムのハイライトになってもおかしくないほど高品質なナンバーが並んでいます。そしてポップセンスが光る⑨How LongとPeteのアコースティックギターによるイントロから心洗われる清らかな旋律へと繋がっていく⑩Something To Sayというアルバム本編ラストに配された2曲がまた素晴らしいのも大きなポイント。特に⑩はバンドの隠れた名バラードと呼びたくなる逸品で、個人的には④に勝るとも劣らないほど大好きな曲です。

また本作の収録曲(①、⑥、⑨)にアコースティックアレンジを施したボーナストラック3曲も見事で、その巧みなアレンジからは新人バンドとは思えない風格すら感じられるほどです。デビュー作でありながらRay Coburn(Key/HONEYMOON SUITE)など地元カナダの先輩バンドのメンバーがゲスト参加していることからも、周囲から高いポテンシャルを認められていたことが窺えますね。①、④などはバンドのキャリアを通してライブで演奏されてきた代表曲だし、本作はHR/HMリスナー以外にも受け入れられ易い普遍的な魅力を持ったアルバムだと思います。それだけに彼等がこのアルバムの路線に立ち戻ることなく解散の道を辿ってしまったことが残念ですね…。後のHAREM SCAREMに降りかかる方向性の模索、バンド名変更問題といったネガティブな要素を一切感じさせないハードポップの名盤。ビッグになったバンドのデビュー作を「磨けば光るダイヤの原石」と表現することがよくありますが、本作は原石と呼ぶにはあまりに洗練されていてバンドの並々ならぬ才能を感じさせられます。

【音源紹介】
・Something To Say

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