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LAST AUTUMN'S DREAM「YES」(2010)

  • 2011/02/26(土) 00:00:00

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【No.279】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第6位

2003年の結成当初は「天性のメロディメイカーにして絶品哀愁ボイスの持ち主Mikael Erlandsson(Vo)と元FAIR WARNINGの叙情派ギタリストAndy Malecekによる夢の共演」が目玉だったのが、2nd「Ⅱ」(2004)から加入したJamie Borger(Ds/TREAT、TALISMAN)がドラマーとして以上にコンポーザーとしての頭角を表してきて、今やこのバンドを形容する時に「MikaelとJamieのそれぞれが生み出す優れた楽曲にAndyのギターが乗る」といった具合にJamie抜きでは語れなくなってきたLAST AUTUMN'S DREAMの8thアルバム。メンバーMarcel Jacob(B)の自殺という悲劇を乗り越えて作り上げた前作「A TOUCH OF HEAVEN」(2009)はその悲しみを振り払うかのようにポップで明るい作風だったのに対して、今回は聴き手を包み込むような温もりと優しさに満ちた1枚となっています。これまでは切ない哀メロが冴えるナンバーから癒しの旋律、程よくポップセンスの効いた曲までMikaelのペンによる楽曲が大半を占める作品の中で、JamieによるTALISMANの雰囲気を漂わせるロックソングや爽やかな曲が良いアクセントとなっている印象でしたが本作では6曲がJamie、5曲がMikael作、2曲がカバーという構成で曲数的に見るとJamieがメインコンポーザーとなっています。

そしてMikaelが書く曲が減ったからといってアルバムのクオリティが下がるどころか、メロディの充実度が過去最高クラスとなっているのが本作の素晴らしいところ。ガツンと来るような圧巻のキラーチューンこそありませんが、本作の場合はどの曲も高水準であるために突出した1曲がないように感じる作品なんだと思います。MikaelのコーラスとTALISMAN風のリフから始まる①I've Fallen Into You、本作におけるハードポップ系のハイライト⑥To Be With You、終始楽しげなムードで曲が進行する⑧In This Thing Too DeepでJamieが持ち味を発揮すれば、Mikaelも負けじと②The Sound Of A Heartbreak、⑪Survivor、⑫I Forgive You(日本盤ボーナス)など彼にしか生み出し得ない哀愁ソングでMikaelワールドを展開。2人のソングライターによる楽曲が絡み合いながらお互いを高めあっているようにも思えますね。それだけでなく仄かな哀感の中に流れる優しく爽やかな旋律が身も心も癒してくれる名曲③Another Nightに代表されるように、JamieがMikaelのテイストを吸収した曲作りに成功している点も見逃せません。

ここまでMikaelとJamieによる楽曲の素晴らしさばかりに触れてきましたが、バンド結成当時からの大看板であるAndyのギターもしっかりと輝いています。中でも最大の見せ場はブルージーな味わいもある⑨Still Standin' Where Ya Left Meでのプレイでしょうか。恒例のカバー曲はMICHAEL BOLTON④Fool's GameJEFF PARIS⑩Kissin' Goodbye My Tearsの2曲を収録。デモテープに眠っていた曲をたまたまJamieが発見したことで陽の目を見たという後者が特に気に入っています。デビューから8年続けて1年に1枚というハイペースで作品をリリースしつつ、クオリティは並の同系統バンドの上をいくLAST AUTUMN'S DREAMの作曲能力には感服せずにはいられませんね。ただし気になる点もあります。それは作品を重ねるごとにMikaelの曲が減ってきている分をJamieがTALISMAN用のストックを使って補っていると見れなくもないということ。いくらLAST AUTUMN'S DREAMがライブをほとんどしないバンドで、名コンポーザーを擁しているとはいえ毎年フルアルバムを出し続けるのはキツくなってくるのではないかと個人的に心配しています。それにこのバンドがじっくり腰を据えて曲作りをしたら、どんな傑作が出来上がりのか聴いてみたいですしね。勿論本作には満足しているし、毎年安定した品質を誇るこのバンドの作品は冬の風物詩となっています。そんな大好きなバンドだからこそ1年に1枚という制約によって疲弊してしまう前に、その縛りから解放してあげて息の長い活動をしてもらいたいという気持ちもあるんですよね…(余計な心配かもしれませんが)。

【音源紹介】
・Another Night

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