SOILWORK「THE PANIC BROADCAST」(2010)

  • 2011/05/31(火) 00:00:00

THE PANIC BROADCAST
【No.290】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第8位

SOILWORKは終わった…」
前作「SWORN TO A GREAT DEVIDE」(2007)リリース後のSOILWORKを見ていると、僕の脳裏にそんな思いがよぎりました。それはバンド創設者でメインソングライターだったPeter Wichers(G)が去った後の1作目という重要なアルバムだった前作「SWORN TO A GREAT DEVIDE」が僕の好みに合わなかったからというだけでなく、アルバム発表後にPeterの叔父で10年以上に渡ってSOILWORKを支えたOla Frenning(G)も解雇という形で離脱するなど、バンドの中核を担っていたプレイヤーが次々といなくなりSOILWORKが崩壊への道を歩んでいるように思えたからです。そんな混迷期にあった2008年にPeterがバンドへ復帰すると聞いた時も期待半分、不安半分という感じでした。ところが、結論から言うと通算8枚目にあたる本作は僕が抱いていた不安感を払拭してくれる1枚となっています。バンドの成長と引き換えに、ここ最近のアルバムで失われつつあった刺々しい攻撃性とメロディアスなギターソロが戻ってきているだけでなく、そこに今のSOILWORKらしいメロウな側面やプログレ的展開もしっかりキープされているため、これまでの集大成的作品と言えるかもしれませんね。

まずは冒頭の掴みが強烈です。バンド初期の荒々しさに満ちた直線的なデスラッシュチューン①Late For The Kill, Early For The Slaughter、そしてBjorn“Speed”Strid(Vo)による野獣の如き咆哮とキャッチーなクリーンボーカル、PeterとSylvain Coudret(G/ex-SCARVE)の新ギターチームによる魅力的なギターソロも炸裂する②Two Lives Worth Of Reckoningは僕が求める理想のSOILWORK像がここにあると思えるほどの名曲です。それ以降も②と並ぶ本作のハイライト④Deliverance Is Mine、ヘヴィなウネリとグルーヴ感がオイシイ⑤Night Comes Clean、グロウルのみで押しまくる⑥King Of The Thresholdと続く畳み掛けにやられました。またアルバム後半ではバンドが持つメロディアスな面にスポットを当て、アコギパートも取り入れた⑦Let This River Flowからミッドテンポが3曲続きます。この手のバンドが聴かせるタイプの楽曲を連続させるとダレを誘うこともありますが流石はSOILWORK、どの曲も印象的なメロディと巧みなアレンジでテンションを下げることなく聴かせ、本編ラストは2分近くある長めのイントロから徐々に攻撃性を増していく⑩Enter Dog Of Pavlovで締めてくれます。またDVD付き初回限定盤のボーナストラックには未発表新曲⑪Sweet Demiseのほかに過去のリメイクを2曲収録していて、その再録曲がデビュー作のギターインストEntering The Angel Diaboliqueに続く事実上の1曲目Sadistic Lullabyを更にスピードアップさせた⑫Sadistic Lullaby 2010と6th「STABBING THE DRAMA」(2005)の収録曲に文字通りサイバーでモダンな大胆アレンジを施した⑬The Crestfallen(Drop's Syber Revision)だというのも、本作にはバンド初期と現在の要素が詰まっていることを象徴しているようで興味深いですね。ただ、これらのボーナス3曲全てが収録されているのは初回限定盤のみで通常盤には⑫しか入っていませんが。

個人的な好みとしてSOILWORKの最高傑作は4th「NATURAL BORN CHAOS」(2002)と5th「FIGURE NUMBER FIVE」(2003)だという気持ちに変わりはないもですが、それは上記2作品がメロディアスな側面が強調された僕好みのアルバムだからであって、客観的な完成度の高さという意味ではバンドが持っているもの全てを注ぎ込んだ本作の方が上かもしれません。メタル界屈指のグロウル/クリーンボイスの使い手Bjorn、本作のドラムサウンドはやや軽い気がするもののバンドに怒涛の推進力をもたらすDirk Verbeuren(Ds/ex-SCARVE)と楽曲のボトムを支えるOla Flink(B)、それほど目立たないながら⑥を筆頭に良い仕事をしているSven Karlsson(Key)というラインナップに流麗なソロで見せ場を生み出すギターチームを加えたる今のバンドは脂が乗りまくっていると思います。楽曲的にも自らが生み出したスタイルに固執し過ぎることなく「今回はとにかく頭に思い浮かんだものをそのままやろうとした結果、ハチャメチャな傑作になった」というPeterの言葉通りの仕上がりとなっていて、早くも次のアルバムが楽しみになってくる力作ですね。

【音源紹介】
・Two Lives Worth Of Reckoning

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アルちんさん

こんばんは。奇遇ですね!僕もAmazonで初回限定のDVD付きが通常盤とほぼ同額だったので買いました。純粋に聴きたい新譜という意味ではJOURNEY、SYMPHONY Xの方が上ですが、マーキーの東日本大震災のチャリティアルバムは確かに気になりますね。
日本コロンビアがNUCLEAR BLASTと契約してHM系に参入という話は全く知りませんでした。情報ありがとうございます。NUCLEAR BLASTといえばEDGUY、GOTTHARDやSOILWORKなどが所属してるんでしたっけ?どんなアルバムがコロンビアから出るのか要チェックですね。

  • 投稿者: よしよ
  • 2011/06/09(木) 22:53:50
  • [編集]

私も様子見しかけましたw

 こんばんは~。
 よしよさんと同じく当初「様子見しようか」と思いましたが、初回限定のDVD付きがamazonでDVD無しバージョンととほぼ同額で買えてしまう。と言う欲望に負けてついついポチってしまいましたww
まあ到着は発売日の2日遅れ(汗)でしたが、買って大正解のアルバムでした。

 今月の新譜はマーキーの東日本大震災のチャリティアルバムが何気に気になります。
 また日本コロンビアがNUCLEAR BLASTと契約してHM系に参入してくれるのは、
このCD不況/HM不況のご時勢に何気に私の中ではビッグニュースでした。
お布施代わりにコロンビアの新譜何か買ってやるか!と思ってマスw

  • 投稿者: アルちん
  • 2011/06/08(水) 21:10:57
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アルちんさん

こんばんは。本作はアルバムの掴みが強烈でしたねー。僕の場合は?につきます。これをSOILWORKに求めていたんだ!という感じです。またアグレッシブではない曲でもしっかり聴かせることができるのもSOILWORKの強みですよね。前作でのファン離れはあったかもしれませんが、レコード会社も初回限定盤を出すほど力を入れているので、もっと注目されてほしいアルバムです。そういう僕も本作発売当初は様子見をしていて、評判が良かったから買ったクチなんですけどね(苦笑)。次のアルバムが出たらリリース当日にゲットするつもりです。

  • 投稿者: よしよ
  • 2011/06/06(月) 23:29:31
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キタ~って感じでしたよね

 よしよさんと同じく久々にガッツポーズ物の作品でした。①Late for the Kill, Early for the Slaughterからいきなりブラスト気味に突っ込んできて、「これ久々にスゴイ事になるんじゃないの!?」と仰け反ってしまいましたw
⑥King of the Thresholdもすごい事になってますけどw

 今までのSOILWORKの集大成とも言える、②Two Lives Worth of Reckoning 、④Deliverance is Mineも良いんですけど、個人的に「SOILWORK流バラードの完成形」とも言える③The Thrill、⑦Let This River Flowには癒されてしまいます。

 前作ですっかりファンも離れてしまって、充実した内容に比べて話題になってない気がしますが、これからもまだまだ傑作と呼べる作品と作り出してくれそうで、次回も楽しみでしかたありません。

  • 投稿者: アルちん
  • 2011/06/05(日) 22:03:31
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