AQUILA「SAY YEAH」(2001)

  • 2010/12/02(木) 00:00:00

SAY YEAH
【No.269】
★★(2001)

1996年のデビュー以降、日本では高い評価を得ていたものの母国オランダを始めとするヨーロッパ市場では波に乗れなかったTERRA NOVA。そんな状況が影響してか、レーベルとのトラブルによりTERRA NOVAという名前で活動できなくなったためバンドは解散。その後、中心人物Fred Hendrix(Vo)がソロ活動を開始したところにGesuino Derosas(G)、Ron Hendrix(Key)といった元TERRA NOVAメンバーが合流することで誕生した新バンドAQUILAの1stアルバムです。TERRA NOVAの3作目「MAKE MY DAY」(1999)がリリースされて1年も経たないうちに発表されたTERRA NOVA解散の報せにはショックを受けました。ただ、バンド名は変われどFredとRonのHendrix兄弟、Gesuinoの3人がいればTERRA NOVAの音楽は成り立つと思っていた僕はAQUILAにTERRA NOVAの続編を求めていたのですが本作の質感はやや異なります。このアルバムで聴けるのはシンプルなアコースティックサウンドを主体としたポップロックという印象で、元々Fredのソロプロジェクトとしてスタートしたこともあって、より彼のルーツに近い作品と言えるかもしれません。

レーベルとの間に生じたビジネス的な問題を経験した後にレコーディングされた本作はTERRA NOVA時代よりもシリアスな作風となっていて、歌詞面でもこれまでよりも重いテーマを取り上げています。中にはFredいわく「コイツ、殺してやりたい!」(ライナーノーツより抜粋)という怒りの感情を歌った⑧Sometimesのような楽曲もありますが、そこはポジティブなメロディ作りの天才Fredのこと、メロディまでブルータルになるはずもなく⑧は歌詞とは対照的に本作随一の爽やかソングに仕上がっているし、アコースティック要素を強調することでより温かみが感じられる1枚となっています。①Cecelia、②Wide Openという冒頭の2曲がアコースティックギターの音色から始まるバラード調であるため掴みは弱いですが、魅力的なメロディとFredの「あの歌声」は本作でも十分も楽しめますね。アルバム後半にはTERRA NOVAに通じる⑥Everyday、⑦Here I Amや本作の中でも明るくノリノリな⑨Say Yeah、⑩The Kids Wanna Rockもあって、この辺りが僕のお気に入りナンバーです。ちなみに⑤Nothing's Impossible Nowと⑥、⑦はTERRA NOVA時代のマテリアルだとか。Fred自身「AQUILAはポップでTERRA NOVAはロック」と語っている通り、本作には③Forgive Meを除いてGesuinoのギターソロと呼べそうなソロは収録されていないし、煌びやかさやドラマティックな展開を見せるバラードもありません。TERRA NOVA以上にポップで明るいサウンドがAQUILAの持ち味だというのもわからなくはないですが、そのAQUILAらしさがTERRA NOVAから失われたものを補い切れていないのが惜しいですね。

本作の内容から少し離れますが、このAQUILAとTERRA NOVAの関係を見ているとRUBBERに対するHAREM SCAREMを連想しました。レコード会社との契約のせいでバンド名を封印せざるを得なかったTERRA NOVA、自らバンド名変更に踏み切ったHAREM SCAREMという違いこそあれ、前身バンド時代よりも万人受けしそうなライトポップ路線を目指したAQUILAとRUBBER誕生の裏側には「もっと売れたい」というミュージシャンとして当然の野心が見え隠れします(皮肉にも前身バンドを高く評価していた日本では逆効果だったわけですが…)。そういえば両バンドとも日本盤と輸入盤で曲順や収録曲が異なっていたのも各マーケットを意識した戦略だったんでしょうね。 ユーロヴィジョンでWIG WAMLORDIが話題になるようになった2005年以降、メロディックロックの復興が進んだように思いますがAQUILAやRUBBERが活動していた2000年代初頭はFAIR WARNINGが解散するなど、この手のバンドにとって厳しい状況だったように記憶しています。そんな時期に解散の憂き目にあってもめげずに、こうして音源を届けてくれたFredには拍手を送りたいですね。

【音源紹介】
・Cecelia

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この記事に対するコメント

かさとりっ子さん

こんばんは。
そう、AQUILAの作品はハードさに欠けるものの心地よいんですよね。TERRA NOVAを期待して初めて本作を聴いた時は物足りなさを感じましたが。
DREAMTIDEの方は初期2作を買いましたが、あまりピンと来ず手放してしまいました。今ではちょっぴり後悔してます。
2000年代初頭は90年代に一世を風靡したバンドが続々と姿を消してしまったという印象が強いです。それを補うようにMILLENIUMやPRIDE、LADといった有望株が現れてくれましたが今もバリバリ活躍してくれてるのはLADくらいかなという感じです。そういう意味でもLADの新作「YES」は楽しみです。
また楽曲の表記を変えていただきありがとうございます。今回AQUILAの記事にいただいた2つのコメントはばっちり読めていますよ。

  • 投稿者: よしよ
  • 2010/12/08(水) 20:32:04
  • [編集]

よしよさん

お疲れさまです。
アクイラの1STアルバムですね。今ぐらいの年齢になればアクアラの音楽も聞いていても心地良いですが10年前はまだ若かったので当時の僕はもっとハードなサウンドを期待していたので物足りないものがありました。
同じ日にドリームタイドもデビューしたのでそちらの方が気に入りました。
アクイラのこのアルバムの好きな曲は12ですね。TERRA NOVAの香りがして良いですね。よしよさんの解説の様に2000年はメロハー界は色々ありましたね。
復活しているバンドも多いですしね。苦労を乗り越えて今があるという事をリアルに教えてもらって僕も勉強させてもらいました。

  • 投稿者: かさとりっ子
  • 2010/12/07(火) 23:24:55
  • [編集]

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