KAMELOT「GHOST OPERA」(2007)

  • 2011/09/05(月) 00:00:00

GHOST OPERA
【No.302】
★★★(2010)

「EPICA」(2003)、「THE BLACK HALO」(2005)という2枚のアルバムでゲーテの「ファウスト」に着想を得たオリジナルストーリーを描き、バンドの集大成的ライブ盤「ONE COLD WINTER'S NIGHT」(2006)を発表して、その活動にひと区切りをつけたKAMELOTが放つ8thアルバム。「EPICA」と「THE BLACK HALO」がバンドとして最初と最後のコンセプトアルバムになるとリーダーThomas Youngblood(G)が語っていた通り今回は作品を通しての明確なストーリーはなく、3~4分台(長くても5分)の独立した楽曲が並ぶ構成となっています。「THE FOURTH LEGACY」、「KARMA」、「EPICA」の3作品にあったわかりやすくキャッチーなメロディが控えめになっていた前作「THE BLACK HALO」を聴いて、コンセプトアルバムの物語に合わせたためにそのような作風になったのかと思っていましたが、本作を聴く限り前作にあったダークで深遠な音楽性はストーリー云々の話ではなく、KAMELOTというバンド自体がそういった方向へ進もうとしているように思いますね。

象徴的なのが本作におけるクサメロ疾走曲の減少と、それに反比例するかのように一段と磨き上げられた壮大でドラマティックなアレンジです。ジャケットとリンクするヴァイオリンの調べによるイントロ①Solitaireから曲間なく繋がる②Rule The Worldは即効性こそないものの、エキゾチックな雰囲気を振り撒くKAMELOTらしいナンバーで僕のようなメロディックメタルファンからすればあまり熱くなれないオープニングなのですが、その劇的サウンドには確かな求心力が宿っています。そしてタイトルトラック③Ghost Operaや新加入のOliver Palotai(Key)のソロが乱舞する⑨Silence Of Darknessといった疾走曲も数は少ないながら収録されていていて、特に③はこのバンド特有の妖艶さと悲哀のメロディが絡み合った「これぞKAMELOT!」な1曲だし、Roy Khan(Vo)の絶品歌唱を活かしたバラード⑩Anthemも良いですね。ただ、聴き始めの頃は上に挙げたナンバー以外はあまり印象に残らなくて③と⑨の間に並ぶ楽曲の雰囲気が似通っていることもあって冗長に感じられたのも事実でしたが、繰り返し聴くうちにジワジワとメロディが染み渡ってくる辺りがKAMELOTの底力といったところでしょうか。らしくない無機質なリフとメロウなサビのコントラストが絶妙なゴシック調④Human StainSimone Simons(Vo/EPICA)のソプラノボイスが曲を盛り上げる⑤Blucher、どことなく「和」のムードが漂う幽玄なバラード⑥Love You To Death、力強いサビメロが印象的な⑦Up Through The Ashesなどは徐々に好きになってきました。

もはやKAMELOTにしか出せないと言っても良さそうな艶やかさとドラマ性を滲ませたメロディックメタルは健在な一方で、ヘヴィメタルバンドならではの高揚感やメロディのフックがこれまでと比べて弱く、バンド独特のオーラと夜露に濡れそぼった常緑樹をイメージさせるRoyの歌声がKAMELOT最大の武器だというのはわかりますが、今回はそればかりを強調したような曲が多いため結果としてアルバムが単調になってしまっているようにも感じられます。その他、総じて楽曲のエンディングがやや唐突だったり、アルバムの構成的に⑩で締めくくった方が美しかったのではと思えたりするのも気になる点でしょうか。聴き込むうちに味わいが増すアルバムであることは事実ながら、人気に火がついた4th以降のKAMELOT作品群の中では最もインパクトの弱い1枚という感じですね。

【音源紹介】
・Ghost Opera

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