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DREAM THEATER「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」(2002)

  • 2009/07/10(金) 08:00:00

SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE
【No.159】
★★(2002)

「神盤」、「究極の1枚」などの言葉で賞賛してもしきれないほど素晴らしい音楽作品だった「METROPOLIS PART2」に続くDREAM THEATERの6thアルバムは、全5曲中3曲が10分越え(短いものでも7分近く)の楽曲を収録したDisc-1と全8章からなる42分のタイトルトラックを収録したDisc-2の2枚組、トータル110分近くの超大作です。2枚のディスクを大きく分けると、即興的でやりたいことを自由奔放に詰め込んだDisc-1、よりメロディアスなアプローチで作り込んだサウンドを聴かせるDisc-2という印象かな。Disc-1の聴きどころは前作のラストでもあったレコードノイズ音から始まる①The Grass Prisonです。3rd「AWAKE」を彷彿とさせるダークな楽曲を、これまで以上に戦闘的な演奏でタイトに仕上げたこの曲は次作「TRAIN OF THOUGHT」でバンドが提示する「暗黒プログレ」の先駆け的なものだと思っています。ちなみにこの曲は、アルコール依存症克服運動の象徴的存在と言われるビル・ウィルソンが提唱した「克服に向けた12のステップ」をテーマにしていて、今回はステップ3までが取り上げられているようですね。後にMike Portnoy(Ds)自身もアルコール依存症だったと語っていることから考えて彼の実体験も含まれているであろうこのシリーズは、本作以降の各アルバムに1曲ずつ収録されていて10th「BLACK CLOUDS & SILVER LININGS」の4曲目The Shattered Fortressで全ステップが終了しています。この①は結構好きなのですが、Disc-1に収録されているそれ以外の4曲については、印象的なメロディが少ないこともあって難解な印象が目立ってしまっているように感じますね。

それに対してDisc-2は前作に近いメロディックな路線で曲としては1曲ですが、8つある章ごとにCDトラックが区切られているので独立した8曲の集合体という見方もできるかもしれません。このDisc-2①Six Degrees Of Inner Turbulenceの構成は序曲である第1章とフィナーレとなる第8章後半の間に、精神病や感情的障害の問題を抱えた6人の登場人物が描かれる第2章~第8章前半が並ぶという作りになっています。これから始まる42分の壮大な物語の幕開けを告げるⅠ.Overtureは、後の章に登場するメロディが散りばめられたDREAM THEATERとしては珍しいほどにシンフォニックで大仰なインストです。それ以降はややメロディが弱いようにも感じますが、この曲の中で最もヘヴィかつ攻撃的でどこかSYMPHONY XっぽさもあるⅣ.The Test That Stumped Them All以降の展開は好きですね。バラード調のⅤ.Goodnight Kiss後半で炸裂するJohn Petrucci(G)による泣きのギター、軽快で爽やかなメインメロディと後半の複雑な展開の対比が心地よいⅥ.Solitary Shell、ノリの良いロック調で始まるⅦ.About To Crash(Reprise)を経て感動のフィナーレを迎えるⅧ.Losing Time/Grand Finaleまでの流れはDisc-2のハイライトだと思います。

2枚共に聴きどころは確かに存在するものの、1フレーズ、1音も聴き逃したくないと思わせる凄みがあった前作に比べるとやや冗長気味かなというのが正直な感想です。特にDisc-1はその傾向が強いですね。という感想を抱いていたので、購入後しばらく聴いてからはCDラックに眠っていたアルバムですが、改めて聴き直してみると本作が持つ不思議とリピートを誘う力に引き寄せられて、気が付いたら繰り返し聴いている自分がいます。曲の後半で発散される不穏な空気がどうも苦手だったDisc-1③Misunderstoodも逆にそのパートが好きになってきているし、特定のメロディラインを聴くよりも曲自体が巻き起こすカオティックな音の波に身を委ねたい④The Great Debateなど聴けば聴くほど味が出る曲が多いです。ボリュームのある作品だけに気軽に聴けないですが、時間的余裕がある時にじっくり対峙したい作品ですね。あと何年か後に聴いたらお気に入り度が上がっているかもしれません。

ちなみにDisc-2のSix Degrees Of Inner Turbulenceに登場する人物の背景はこちら。

Ⅱ.About To CrashとⅦ.About To Crash(Reprise)…躁鬱症の女性
Ⅲ.War Inside My Head…ベトナム戦争の復員軍人
Ⅳ.The Test That Stumped Them All…ドラッグ等、多くの問題を抱えるロックスター
Ⅴ.Goodnight Kiss…精神病棟に送られ、娘と引き離された女性
Ⅵ.Solitary Shell…精神分裂症の男
Ⅷ.Losing Time…解離性同一性障害(多重人格)の女性

【音源紹介】
・Solitally Shell(Live)

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この記事に対するコメント

ピッペンさん

前作があまりに好きだったために最初は本作を聴いて戸惑った覚えがありますが、今では時間があるときに聴いてドップリ浸れるアルバムになりました。
DREAM THEATERの作品って即効性は低くても、リピートしているうちに味が出てくる作品が多いですね。購入から7年経つ本作の旨味は、これから繰り返し聴くうちにまだ出てきそうな気がしてます(笑)

  • 投稿者: よしよ
  • 2009/07/11(土) 23:34:31
  • [編集]

好きなアルバムです

前作が圧倒的に素晴らしいアルバムでした。
で、このアルバムも個人的には大好きです。
Disc-2は前作と同じような感動を得られますし、Disc-1は実験的な部分は多いながらも、①のようなアグレッシヴなメタル・チューン、叙情性は感じられる③など、好きな曲も多く聴き応えがあるんですよ。確かに、Disc-1は慣れるのに時間が掛かりましたけど(笑)

  • 投稿者: ピッペン
  • 2009/07/11(土) 16:49:09
  • [編集]

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