BLIND GUARDIAN「A NIGHT AT THE OPERA」(2002)

  • 2012/03/14(水) 00:00:00

A NIGHT AT THE OPERA
【No.320】
★(2009)

メロディック・パワーメタルの枠を越えてドラマティックで緻密なプログレッシブ・パワーメタルスタイルを確立し、前作「NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH」(1998)ではバンド初のコンセプトアルバムも完成させたBLIND GUARDIANの7作目。僕は前作辺りからこのバンドに対する情熱が冷めつつあったので、本作を発表当時はスルーしていて2009年になってようやく聴いてみました。聴き手を飲み込んでしまうほどに作り込まれた音作りが特徴であるBLIND GUARDIANの進化は、本作でひとつの到達点に達したのではないでしょうか。とにかく豪華絢爛、重厚壮大な音像で迫ってくる本作を表現するなら「クライマックスの連続」という感じですね。

ただ、この「クライマックスの連続」というのがなかなかの困りもの。ゾクゾクするイントロが期待を高める①Precious Jerusalem、本作の中ではストレートな部類に入る②Battlefieldくらいまでは良かったのですが、それ以降は押し寄せてくる音の塊と情報量の多さに圧倒されてしまい、肝心のメロディが右から左へと流れていってしまうんですよね。特に聴き始めの頃は②が終わってから、先行シングルにもなった14分の大作⑩And Then There Was Silenceの10:00過ぎに登場する「ララーラ ラーララ ラーラララ~♪」というシンガロングパートにハッとさせられるまで、自分が何曲目を聴いているのかわからなくなっていたほどです。これまではバンド最大の武器であるクワイアパートを劇的なメロディを配したサビとその周辺で重点的に使用し、そこに至るまでのパートとの対比が抜群のドラマ性を演出していたのですが、本作ではHansi Kursch(Vo)が歌うボーカルパートの大半に分厚いハーモニーが幾重にも重ねられていてメリハリに欠けてしまっているように感じられます。それに加えて、曲展開もこれまで以上に複雑かつドラマティックなものをとことん突き詰めた本作を聴いていると、ある程度わかりやすいパワーメタルを好む僕は「どれが主旋律?サビはどこ?」という状態に陥ってしまうんですよね。

Aメロ→Bメロ→サビという一定のフォーマットに縛られることなく、自身のサウンドを追求するこのバンドは今やパワーメタルという枠を超えてBLIND GUARDIANという音楽ジャンルを築いたとさえ感じます。音の壁が圧倒的な力で迫ってくる今回の作風も悪くないとは思うものの、3rd「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」(1990)と4th「SOMEWHERE FAR BEYOND」(1992)をこよなく愛する僕にとって本作は「わかりにくく、聴きづらいアルバム」という印象が強いです。今にして思えば、これまでもこのバンドの楽曲はAメロ→Bメロ→サビという構成であっても2周目には若干異なるメロディ運びを見せるなど複雑ではありました。以前はサビメロが強力だったおかげで各曲のキャラ立ちが明確になっていたのに対して、本作は肝心のサビが弱く楽曲がアレンジに埋没してしまっているのが痛いですね。ここまで濃密な作品を生み出したバンドに敬意を払いたい気持ちもありますが、個人的な好みでいえばBLIND GUARDIANの作品群の中で最も印象に残りにくいアルバムかもしれません。

【音源紹介】
・Battlefield

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