BLIND GUARDIAN「NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH」(1998)

  • 2012/03/04(日) 00:00:00

NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH
【No.319】
★★★(1998)

それまでの猪突猛進型パワーメタルスタイルの頃には感じられなかった深みと緻密さを増したサウンドが特徴的だった5th「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」(1995)でヨーロピアンメタルのトップバンドへとのし上がったBLIND GUARDIANの6作目は意外にもバンド初となるコンセプト・アルバムです。ストーリーは世界的に有名なファンタジー小説「指輪物語」の作者でもあるJ.R.R.トールキンによる「シルマリルの物語」を題材としています。音楽性としては前作から一段と強調されるようになった構築美とドラマティックな展開に重きを置いたプログレッシブなパワーメタルで、初のコンセプト作という意気込みもあってか作り込み度合いは過去最高だと思います。そんな本作でまず驚かされるのはアルバム本編だけで22曲もあるトラック数の多さ。その半分がストーリーや情景を描写するための語りやSEなので、これらが物語を効果的に表現するためのファクターになっているという見方と作品が冗長になってしまっているという見方の両方が出来るかと思いますが、ファンタジー小説に関心の薄い僕はどちらかというと後者寄りですね。

そんな小曲が多いために、緊張感溢れる楽曲を次から次へと繰り出すBLIND GUARDIANならではの怒涛の展開も今回は影を潜めてしまっているように思えるのが残念です。ただし、イントロ①War Of Wrathに続く事実上のオープニングトラックである疾走曲②Into The Storm、「ナァァアァァイ!フォォオォォ~!」という勇壮なコーラスが耳に残る④Nightfall、力強さとエネルギーに満ちた⑬Time Stands Still(At The Iron Hill)など、個々の楽曲を取り出して聴いてみると前作以上に僕好みのナンバーが多いと思います。また本作にはBLIND GUARDIANのレパートリーの中でも最高峰に位置する⑨Mirror Mirrorという超名曲が収録されているのも本作を語る上で外せないポイントですね。BLIND GUARDIAN特有のドラマティックで壮大な世界観は他の追随を許さないレベルに達している反面、バンド初期にあった痛快なまでの突進力と大合唱必至のクサいコーラスパートは確実に減少しています。そういう意味では⑨に象徴されるようなメロディック・パワーメタルバンドとしてのBLIND GUARDIANが好きか、それともファンタジックなBLIND GUARDIANワールドが好きなのかによって評価の分かれる作品といえるかもしれません。

なお本作は「シルマリルの物語」をテーマとしたコンセプト作品でありながら収録曲が描写しているのは物語の途中までのようです。そのせいかアルバム本編の終盤に配された楽曲群がクライマックスになりきれておらず22曲も費やしていながら、聴き終えた後に「to be continued…」的な雰囲気が感じられるというのもコンセプトアルバムとしては中途半端な印象を受けてしまいます。というわけで、1枚の作品として聴くとモヤモヤ感が残ってしまうアルバムではありますが1曲毎のクオリティは確かに高い作品だと思いますね。特に⑨はこの曲のためにアルバムを買っても損はないというほどの逸品です。

【音源紹介】
・Mirror Mirror(Live)

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アルちんさん

何だかんだいいつつ前作も気に入っていたので僕も本作を発売日に買った記憶がありますね。このアルバムはMirror Mirrorにつきる!に同感です。アルバムとしては不完全燃焼ですが、この1曲が一定以上の満足感をもたらしてくれます。あとはNightfallとTime Stands Still (At The Iron Hill)も好きです。前作のトーメンはグイグイ来ていたのに今回は大人しめですよね(そういえばトーメンがSAVAGE CIRCUSに復帰したらしいです)。

  • 投稿者: よしよ
  • 2012/05/05(土) 22:12:38
  • [編集]

これでブラガ最後の買い物w

 よしよさん、引き続き6thの感想です~。

前作で「次もこの路線だったら、買うのやめとこう」と思っていたのに、キャプテン和田さんのラジオで⑨Mirror Mirrorをかけるから、結局発売日に購入してしまった(笑)

20曲越えの70分オーバーって…相当疲れてしまいますが、買った当時は前作よりも好感触でしたね。

やはりこのアルバムは⑨Mirror Mirrorにつきる!もうイントロから王者の風格を漂わせてますね。ケルティックな疾走ナンバーで、この一曲だけでも元がとれるレベルの曲です。

近作は個人的にバラードが充実しており、哀愁たっぷりでサビのコーラスを一緒に歌いたいw④Nightfallはもう一つのキラーチューンです。同じくバラード⑪Noldor (Dead Winter Reigns)、「ア~ア~♪」とシンプルなのが逆に良い⑮Thornも素晴らしい曲です。また珍しくピアノの弾き語り⑯The Eldarは思わずQUEEN!?って思ってしまったw

⑬Time Stands Still (At the Iron Hill)もイントロからキテますね。まさにラスボスがと最終決戦!みたいなwサビの民謡調の部分がタマリマセン。
⑱When Sorrow Sangもなかなかガルンとくる一曲。

なんだか不完全燃焼な楽曲も多く②Into The Storm、⑥The Curse of Fanor、⑧Blood Tears何かはもう一つ加わると良くなったのでは…


 前作に比べてトーメンのドラムが少し奥に引っ込んでいるのもマイナスかな(前作は派手な位叩き過ぎてグイグイ楽曲を引っ張ってくれてたのが良かったのに~)。
またこの頃から、コーラスじゃなくクワイヤと言い出したと思うw

 残念ながら、このアルバム以降ブラガのアルバムは買ってないのですが、よしよさんのレビューを見る限り厳しい内容っぽいですね。
もはや初期の路線に戻る事はないでしょうが、ストレートなアルバムを作って欲しいですね。

  • 投稿者: アルちん
  • 2012/05/04(金) 09:39:19
  • [編集]

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