KAMELOT「THE BLACK HALO」(2005)

  • 2011/08/27(土) 00:00:00

THE BLACK HALO
【No.300】
★★★(2005)

ドラマ性に溢れたメロディックメタルの雄KAMELOTの7作目はゲーテの「ファウスト」を題材としたコンセプトアルバムである前作「EPICA」(2003)の物語後半部分を描いた作品です。アップテンポの曲が多かった前作は僕にとってKAMELOTの最高傑作と呼べる1枚でしたが、今回は疾走感を抑えてバンドの特徴である劇的な音世界に更なる磨きをかけた深遠なサウンドが繰り広げられています。前作に引き続き参加の女性シンガーMariに加えてゲストボーカルとしてSimone Simons(Vo/EPICA)、Shagrath(Vo/DIMMU BORGIR)、そして名手Jens Johansson(Key/STRATOVARIUS)といった豪華な顔ぶれも一部の楽曲に参加しています。

KAMELOTが現在のステイタスを築く原動力となったここ最近の3作品は全てイントロからクサメロ疾走曲に繋がるという始まり方でしたが本作には壮大な序曲もなければスピードチューンでの幕開けもなく、ゲスト参加のShagrathが邪悪な咆哮を響かせる重々しい①March Of Mephistoを冒頭に持ってきています。そのせいもあって本作の第一印象はダークでヘヴィという感じがしましたね。従来ならば、これが1曲目に来ていたであろうメロパワファン歓喜必至の②When The Lights Are Down、前作のキラーチューンCenter Of The Universeの香り漂う④Soul Society、スリリングなイントロをフィーチュアした⑪Everything Ever Diesのような即効性のあるメロディックメタル曲もありますが、ディープでプログレテイストも感じさせる雰囲気の中で重厚かつ繊細に「ファウスト」のストーリーを描写するというバンドの並々ならぬ意気込みが作品全体を包み込んでいます。特にKAMELOT流ドラマティシズムの極致にして物語の終局を盛り上げる⑫Memento Moriは、8分54秒というランニングタイムの中に織り込まれた起承転結の展開美が素晴らしく鳥肌が立ちました。その後に続く間奏曲⑬InterludeⅢ Midnight Twelve Tolls For A New Dayでは本作と前作の収録曲と思しきパートをダイジェスト的にフラッシュバックさせるという構成もニクイですね。

圧倒的な密度で深みのある音像を堪能させてくれる本作ではありますが、このドラマティックサウンドを徹底的に追求するという方向性が楽曲のキャッチーさを減退させてしまい、結果として印象に残りにくくなってしまっているようにも思えます。物語の佳境からクライマックスを緻密に作り込んだサウンドで劇的に聴かせるという拘りが足枷になってしまったのかもしれませんね。そんなもどかしさを帳消しにしてくれるのがKAMELOTの看板シンガーにして、本作ではストーリーテラーとしての役割も果たしているRoy Khanの歌声です。これまで以上に低音域を巧みに操り聴かせるディープなバラード⑥Abandonedや前述のハイライトナンバー⑫での情感たっぷりの歌唱は、イヤホンからRoyの息づかいや吐息が感じられるほどで身も心も委ねたくなってしまいますね。1枚の作品としてみれば僕を惹きつけてくれるメロディがもう少し欲しい気もしますが、比較的ストレートだった前作と対を成すバンドの奥深さに焦点を当てた本作はKAMELOTの目指す世界観がひとつの到達点に辿り着いたと感じさせてくれる力作です。

【音源紹介】
・Memento Mori

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