BLIND GUARDIAN「A TWIST IN THE MYTH」(2006)

  • 2012/04/04(水) 00:00:00

A TWIST IN THE MYTH border=
【No.323】
★★(2006)

これまでバンドが追求してきた音楽性を極限まで突き詰めたかのような前作「A NIGHT AT THE OPERA」(2002)発表後は約1年半にも及ぶ長期ツアーから厳選したテイクを2枚組CDに纏めた「LIVE」(2003)、そして自らのバンド名を冠した集大成的なフェス「BLIND GUARDIAN FESTIVAL」の模様を収めたDVD「IMAGINATIONS THROUGH THE LOOKING GLASS」(2004)を立て続けにリリースするなど、その活動にひとつの区切りをつけた感のあるBLIND GUARDIANが放つ8thアルバム。1988年のデビュー以来、不動のラインナップだったバンドからThomas "Thomen" Stauch(Ds)が方向性の違いを理由に脱退し、後任として無名の若手ドラマーFrederik Ehmkeを迎えたという意味でもバンドの新章の幕開けと言えそうな作品でもあります。そんなバンド状態を象徴するように、随所でBLIND GUARDIANがこれまでに表現してきた要素を散りばめつつ新味も感じさせる作風となっていますね。

過去作品(特に1995年発表の「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」以降)では「さぁ聴くぞ!」と身構えてアルバムと対峙することを求める作風だったとすれば、本作は良い意味で気軽に繰り返し聴ける1枚のような気がします。前作はバンドの特徴でもある「濃密に作り込んだサウンド」を追い求めるあまり装飾過多なアレンジの中にメロディが埋没してしまっていましたが、今回はそれほどメロディの輪郭がぼやけることなく楽曲にメリハリが戻ってきているので聴きやすい作品だと思います。しかし聴き始めの頃は物足りなさも感じていました。というのもバンド初期にあったガムシャラな勢いは影を潜めてしまい、メタルバンドとしての攻撃性や刺々しさが希薄になっているように思えたからです。それはHansi Kursch(Vo)のボーカルにも当てはまっていて、抑揚をつけながら熱く歌い上げるスタイルから余裕を感じさせるクリーンボイス主体にシフトしているため従来作品に漂っていた緊迫感が減退しています。本作発売の約1年前にThomen率いるSAVAGE CIRCUSがリリースしたデビュー作「DREAMLAND MANOR」(2005)が初期BLIND GUARDIANを彷彿とさせる内容だったこともあって、余計に本作が緩く思えたのかもしれません。

ところが聴き込むにつれて、アルバムを代表する「決めの1曲」はない代わりに作品全体が醸し出す唯一無二のBLIND GUARDIANワールドがじわじわと僕の心を掴むようになってきました。冒頭のザクザクしたギターリフで幕を開ける①This Will Never Endsは本作で最もメタリックな興奮を与えてくれるし、ドラマティックなコーラスワークをフィーチュアした②Otherland、ケルティックサウンドとパワーメタルが融合した③Turn The Pageでは「らしさ」を発揮しています。その一方で意欲的なモダンテイストに溢れた④Fly、⑩The EdgeやダイナミックなBLIND GURADIAN流ハードロック⑥Another Stranger Meなどは新鮮味もあって楽曲の幅を広げていますね。バンドが成熟するにつれて初期のクサいメロディやわかりやすさが失われていくということはメロディックメタル界では珍しくなく、BLIND GUARDINANもその道を辿っています。僕自身、本作を聴いていて疾走曲やBLIND GUARDIAN特有の熱さ、高揚感の減退にガッカリしたこともありましたが、今ではバンドの独自性と新境地がほど良いバランスで味わえるスルメ盤だと思えるようになりました。

【音源紹介】
・Another Stranger Me

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