SPIRITUAL BEGGARS「AD ASTRA」(2000)

  • 2014/06/09(月) 00:00:00

S BEGGARS AD ASTRA
【No.398】
★★★★★(2000)
年間ベスト2000年第2位

「リヴァプールの残虐王」の名で一世を風靡したデスメタルバンドにして代表作「HEARTWORK」(1993)がメロデスというジャンルの先駆けとなったとも言われるCARCASSから脱退したMichael Amott(G/ARCH ENEMY)率いるSPIRITUAL BEGGARSの4thアルバム。現在の一般的な知名度はARCH ENEMYの方が上ですがCARCASS脱退後のMichaelは1993年に結成したSPIRITUAL BEGGARSをメイン、1995年に立ち上げたARCH ENEMYをサイドプロジェクトと見なしていたようですね。ところがARCH ENEMYの方が先に人気が出たため両方がメインバンド(事実上ARCH ENEMYがファーストプライオリティ?)となったようです。SPIRITUAL BEGGARSの初期2作品は当初輸入盤でしかリリースされていなかったので、ARCH ENEMY人気を受けて3rd「MANTRA Ⅲ」(1998)から日本盤が出るようになったのではないかと推測しています。僕もARCH ENEMYの3rd「BURNING BRIDGES」(1999)が非常に素晴らしかったので「Michaelが所属しているもうひとつのバンドも聴いてみなくては!」という気持ちで本作を購入した次第です。

怒涛の攻撃性とそこに突如として流れ込んでくる美麗ツインギターとの対比が持ち味のARCH ENEMYとはまた異なるSPIRITUAL BEGGARSのサウンドは独特の妖気を発散するグルーヴィーなハードロックという印象で、直感的にカッコいいと思える楽曲がズラリと並びます。歪んだベースとそこに絡むドラム、その上にギターと重厚なハモンドオルガンが重なってくる①Left Brain Ambassadorsの開始10秒で本作の世界に引き込まれました。中でも徐々に緊張感を高めていくリフと官能的なギターソロに聴き惚れてしまう③Sedatedが僕的にはハイライトですね。それ以外にもアルバム随一のキャッチーなメロディが冴え渡る②Wonderful World④Angel Of Betrayal、グルーヴィーな曲調がサビでは一転してポジティブになりアウトロのギターも非常にメロディアスな⑨Escaping The Fools、耽美的なムードから盛り上がっていく展開がドラマティックな⑫Mantraなどを筆頭に極上のハードロックが満載。また小気味良く刻まれるギターリフで始まる⑥Per Aspera Ad Astra、手拍子に合わせて歌うサビをフィーチュアした⑩On Dark Riversを聴いていると自然と身体が揺れてきます。

バンドの看板であるMichaelのギターはメランコリックなものからキャッチー、ファンキーなものまでソロ/リフの両面で素晴らしいプレイを連発してくれているし、それに絡んでくるPer Wiberg(Key/DEATH OTGAN etc)による鍵盤サウンドがお互いを引き立てあっていますね。これまでのサポートから正式メンバーに昇格したPerのキーボードなくして本作は語れません(ちなみに彼は本作のサイケデリックなジャケットも手掛けているのだとか)。そんな相性抜群の2人に加えて、バンド創設者の1人でもあるLudwig Witt(Dr)のズシリと腹に響いてくるドラミングとそれらをまとめあげた北欧の名プロデューサーFredrik Nordstromによるサウンドプロダクションも秀逸。フロントマンSpice(Vo、B)の荒々しい吐き捨て型ボーカルもこの音楽性にマッチしていますね。残念ながら彼は本作を最後に脱退、バンドは後任に圧倒的な歌唱力を誇るJB(Vo/GRAND MAGUS)を迎えて更に飛躍していくことになるのですが「本作のラインナップの先にあるもの」を聴いてみたかった気もします。SPIRITUAL BEGGARSに対してはドゥーム/ストーナー系バンドというイメージがありましたが、本作を聴いてそれが一変しました。このアルバムにすっかり魅了された僕は過去のアルバムも買い揃え、これ以降の新作も全てチェックしていますが「AD ASTRA」こそがバンドの最高傑作だと思います。それに次ぐのが5th「ON FIRE」(2002)、6th「DEMONS」(2005)というJB時代の2作品ですね。

【音源紹介】
・Sedated

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この記事に対するコメント

なっつさん

こんばんは。このアルバムはSPIRITUALBEGGARSの作品群の中でも退廃的で毒々しく、それでいてキャッチーという異質な1枚だと思ってます。次回作以降はメロディアスな要素が強くなりますが、このアルバムが一番好きなんですよね。記事本文にも欠きましたが他のアルバムも聴くならJB時代の2作品がおすすめです。

  • 投稿者: よしよ
  • 2014/06/11(水) 21:45:22
  • [編集]

よしよさん、こんばんは。自分も、このバンドにドゥーム/ストーナー系バンドのイメージがあって全然聴いてこなかったけど、このアルバムはいいですね。特に、③Sedatedと②Wonderful Worldなど、意外にもキャッチーな曲が多いですよね。そのうち、他のアルバムも聴いてみようと思います。

  • 投稿者: なっつ
  • 2014/06/09(月) 20:45:52
  • [編集]

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