VITALIJ KUPRIJ「HIGH DEFINITION」(1997)

  • 2014/02/22(土) 00:00:00

VITALIJ H DEFINITION
【No.393】
★★★★★(1997)
年間ベスト1997年第6位

後にROYAL HUNTのフロントマンとしても活躍する超絶シンガーJohn West、スイス人ギタリストRoger Staffelbachらと共に結成したARTENSIONで1996年にデビュー、2000年にMark Boals(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)の2ndソロ「RING OF FIRE」でプレイしたことがきっかけで誕生したバンドRING OF FIREでも複数のアルバムに参加しているウクライナ出身のキーボードプレイヤーVitalij Kuprijによる初のソロアルバム。ARTENSIONはJohnが喉を手術したことも影響してか7th「FUTURE WORLD」(2004)を最後に活動休止状態、一方のRING OF FIREは2014年1月に約10年振りとなる新作「BATTLE OF LENINGRAD」をリリースしています。ARTENSIONでデビューした当初から話題となっていたHR/HM界屈指の速弾きテクニックとは裏腹に、彼が在籍するバンドの楽曲は歌メロが今ひとつなせいかのめり込めないのですが、このアルバムは僕がこれまでに聴いたインストゥルメンタル作品の中でも最高峰に位置する名盤です。

全9曲(①Beyond Infinity⑨Silent Destinyはイントロとアウトロ)という曲数だけ見ると、やや食い足りない印象もありますが1曲1曲の中身は非常に濃密。事実上の1曲目となるハイスピードチューン②High Definitionでいきなりガツンとかましてくれるし、クラシックピアニストとしての顔も持つVitalijのセンスに溢れた起承転結の流れが見事な③Symphony V、プログレ風の展開とネオクラシカルメタルがガッチリかみ合った④Divided World、気品あるピアノサウンドとメタリックな攻撃性が高次元で融合した⑧Parallel In Timeと名曲揃いです。これらの曲もさることながら本作最大のハイライトとなっているのが1分足らずの小品⑤Excerpt From Sonata In A Minor(Mozart)に続く⑥Opus 1.(Theme By Paganini)ですね。前者はモーツァルト、後者はYNGWIE MALMSTEENとも縁の深いパガニーニの曲で完璧なネオクラシカルメタルにアレンジされた⑥には鳥肌が立ちました。オリジナルとクラシックカバーという違いはあるものの、こんな背筋が震えるほどの感動をもたらしてくれたインストはYNGWIEの名曲Far Beyond The Sun以来かもしれません。

そして本作を語る上で欠かせないのがVitalijの相棒を務める…というか主役を食ってしまうほど凄まじいプレイを披露しているGreg Howe(G)です。数多くの技巧派ギタリストを輩出してきたSHRAPNEL RECORDS(本作の発売元でもあります)の創始者Mike Varneyに見い出された後、ハードロックからジャズ/フュージョン系へと音楽性を変えていったギタリストというイメージがあったのですが本作ではいかにもSHRAPNEL系のギタリストらしいテクニカルプレイをビシバシ決めてくれていますね。僕は素人なので詳しいことはわかりませんが、本作で聴けるネオクラシカルど真ん中のギタープレイは1997年当時のYNGWIEを凌駕する凄味が感じられます。随所でキーボードとギターが熱いバトルを繰り広げ、全体的に見ればギターの方が目立っているとさえ思える本作はVitalijのソロといよりもVitalijとGregという2人の天才によるコラボレート作品と呼んだ方がしっくりきます。僕はインスト作品を好んで聴くタイプではないのですがと本作とSTEVEN ANDERSON「GYPSY POWER」(1994)は別格ですね。

【音源紹介】
・Opus 1(Theme By Paganini)

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ゆうていさん

こんばんは。当時のBURRN!でそんなレビューがあったんですね。TONY MACALPINEは「MAXIMUM SECURITY」というギターインストの傑作を生み出しておきながら、その後音楽性を広げすぎた印象があります。ネオクラ道を突き進んで欲しかったのですが。
インスト作品だとKiko Loureiro「No Gravity」やギターメインではありませんがJordan Rudess「Feeding the Wheel」なども好きですね。James Byrdの名前は聞き覚えがありますがノーチェックでした。

  • 投稿者: よしよ
  • 2014/02/25(火) 20:59:02
  • [編集]

1996年とは懐かしい。

当時BURRN!のアルバムレビューで伊藤政則がTONY MACALPINEが作るべき作品だと絶賛していたのが印象に残っていますが、ARTENSIONの1stの方が自分の好みでした。

当時のギターインスト物でしたら、STEVEN ANDERSONのGIPSY POWER、TONY MACALPINEのプリモニション、アトランティス ライジングのギタリスト ジェイムズバードのサンオブマンの3作品が自分のお気に入りでしたね。

  • 投稿者: ゆうてい
  • 2014/02/25(火) 02:57:46
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