THE RASMUS「BLACK ROSES」(2008)

  • 2015/11/28(土) 00:00:00

BLACK ROSES
【No.455】
★★★(2008)

フィンランドが誇るメランコリックロッカーTHE RASMUSの7thアルバム。本作を語る上で欠かせないのはBON JOVI、KISSなどを手掛けたこともある大物Desmond Childがプロデュースしているという点でしょう。5th「DEAD LETTERS」(2004)を聴いてファンになったDesmondの方から「是非一緒に仕事をしたい」と連絡してきたそうで、このエピソードからもTHE RASMUSの非凡さが窺えますね。大御所プロデューサーが関わることでバンドサウンドにどのような影響を与えるのか注目していましたが、それほど大きな変化はないように思います。このバンドの場合、泣きのメロディとLauri Ylonen(Vo)の哀愁ボイスという強烈な個性があるので安心して聴くことができますね。

バンドの根幹部分にブレはないものの前作「HIDE FROM THE SUN」(2005)にあったヘヴィなバッキングは影を潜め、電子サウンドやプログラミングを用いる場面が増えているので最早ハードロックと呼んでいいのかどうかも微妙になってきています。それが結果的に彼等らしい哀愁サウンドは保ちつつ、これまで以上のメジャー感を纏った好盤に仕上がっている辺りは流石。そんなバンドの持ち味は冒頭から発揮されていて、シングルカットされた①Livin' In A World Without Youを聴いた時点でガッツポーズでした。それ以降もTHE RASMUSらしい悲哀に満ちたナンバーが並び、アルバム後半にはシンフォアレンジがいい味を出している⑧Lost And Lonely、曲名通りの勇壮な響きを持った⑨The Fight、ミャウミャウしたキーボードが曲を引っ張る⑩Dangerous Kindといった新生面も見せてくれます。そんな実験的要素もある曲の後に、切ないメロディが胸に沁みるバラード⑪Live Foreverを配して本編を締めくくる構成もニクいですね。

というわけで今回も哀メロ満載の楽曲が楽しめる手堅い作品で、気がつけば何度もリピートしているのですがマンネリ気味に感じてしまうのも事実。意外性やワクワク感、このアルバムでしか得ることのできない「何か」がないように思うし、5th「DEAD LETTERS」(2004)と比べると物足りないというのが正直なところです。特にアルバム前半は似たテンポの曲が続くため連続して聴くと心地よい反面、1曲ずつを取り出すとあまり印象に残らなかったりするんですよね…。このクオリティで文句を言うのは贅沢だとわかってはいるものの、もう一押し欲しいと思ってしまう1枚です。

【音源紹介】
Livin' In A World Without You

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なっつさん

僕的には前作、前々作辺りのバランスが理想的です。HR/HMリスナーとしては物足りない部分もありますが哀メロのフックは流石だし、ここまで洗練されたサウンドを提示されると文句を言うのは贅沢な気すらしますね。
Lauri Ylonenのソロ作品や現時点でのラストアルバム「THE RASMUS」も本作を更に推し進めた作風になっていますが、そこからまた変化したRASMUSサウンドを聴いてみたいと思う今日この頃です。

  • 投稿者: よしよ
  • 2015/11/30(月) 23:50:35
  • [編集]

よしよさん、最近少しずつTHE RASMUSを聴いています。
このアルバムでは、北欧のバンドらしいメロディーはそのままに、サウンドが一段と洗練されてメジャー感が増していますね。確かにロック的なダイナミズムが薄れて、ハードロックファンへのアピールは減っているように感じました。
それでも、質の高い安定感のあるサウンドはやっぱり心地よいですね。ここまで洗練されると刺激が足りないので、ヘヴィな部分も取り戻して欲しいですね。
それにしても、このアルバムジャケットはセンスが良いアートワークですね(他のアルバムも良いです)。

  • 投稿者: なっつ
  • 2015/11/29(日) 03:30:56
  • [編集]

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