AT VANCE「DRAGONCHASER」(2001)

  • 2014/11/12(水) 00:00:00

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【No.412】
★★(2001)

1999年に「NO ESCAPE」で彗星の如くデビュー、僅か5ヶ月後に2nd「HEART OF STEEL」(2000)をリリースしたドイツ産ネオクラシカルメタルバンドAT VANCEによる3rdアルバム。前作から1年も経たずに発表された本作はドイツの国民的英雄叙事詩「ニーベルンゲンの歌」を題材としたコンセプトアルバムとなっています。前作と同じラインナップで制作された今回のアルバムではOlaf Lenk(G)、Oliver Hartmann(Vo)だけでなくUli Muller(Key)も存在感を発揮しており、バンドらしさが強まってきていますね。

「HEART OF STEEL」が近年稀に見るネオクラメタルの名盤だったので今回も期待していたのですが、鐘の音と轟く雷鳴のSEを切り裂くように流れ込んでくるギターで幕を開けるネオクラチューン①Dragonchaser、AT VANCE史上最速を誇るクサメロ疾走曲②Ages Of Glory、いかにもこのバンドらしい佳曲③Crucifiedと続く冒頭3曲は「2ndをも上回るのではないか」と思わせるだけの勢いがありますね。ところがアルバム中盤でその勢いは失速してしまいます。その大きな要因となっているのがベートーベンの超有名曲「運命」をカバーした④Beethoven, 5th Symphony。これまでにもクラシック曲をカバーしてきたAT VANCEなので流石の出来ではあるのですが、この位置に8分に及ぶクラシックカバーを配したことで中弛みしてしまっているんですよね。しかもそれに続く⑤Heaven Can Waitもダークな曲調なのでアルバム序盤のいい流れが寸断されているように思います。その後は3作連続となるABBAのカバーの中でも最高の仕上がりとなった⑥The Winner Takes It All(オリジナル以上に好きです)、ストーリーの関係もあってか暗く悲しい雰囲気が支配的なバラード⑦My Bleeding Heart、②に匹敵するほどの高揚感をもたらしてくれるスピードチューン⑨Too Lateもあって結構楽しめるのですがアルバム全体の印象としてはもどかしさが残ります。

リアルタイムで本作を聴いていた時は中盤にダレるというイメージが強くて好きになれず、次回作「ONLY HUMAN」(2002)の購入をためらってしまうほどでした。ところがこのブログ記事を書くために本作をリピートしていると、そんなマイナス面だけでなく①、②、⑨といったキラーチューン候補やAT VANCEによるカバー曲の最高峰⑥の素晴らしさを再発見できたと思います。こうして考えてみると「本作のキーはやはり④」というところに戻ってしまうんですよね。この曲が2~3分の長さだったり、もう少し緩急をつけたアレンジとなっていればアルバムの印象もグッと良くなったと思うのですが…。というわけで個々の楽曲を取り出して聴くとAT VANCEでも屈指の名曲があるものの、アルバムの流れが良くないため損をしている1枚と言えそうですね。

【音源紹介】
・Ages Of Glory

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