AT VANCE「NO ESCAPE」(1999)

  • 2014/10/03(金) 00:00:00

NO ESCAPE
【No.409】
★★★(1999)

CENTERSというバンドで活動を共にしていたOlaf Lenk(G)Oliver Hartmann(Vo)が新たに結成したネオクラシカル・パワーメタルバンドAT VANCEの1stアルバム。YNGWIE MALMSTEENからHR/HMに入門した僕にとってネオクラ系メタルは最重要ジャンルのひとつなのですが、90年代末期はこの手のサウンドに食傷気味でもありました。その当時にデビューしたバンドの中でよく聴いていたのが以前にブログで紹介したMAJESTICとこのAT VANCEですね。やり過ぎなほどに弾きまくるキーボードと大胆な借用フレーズが話題となったMAJESTICに対してAT VANCEはこれがデビュー作とは思えないほど質の高いサウンドで僕を魅了してくれました。

本作を語る上で外せないのがフロントマンOliver(本作ではHardmannと表記)による抜群の歌唱力。Jeff Scott Soto(Vo/TALISMAN)にも似たハスキーな声質と高音域も難なく歌いこなすレンジの広さを併せ持つ彼は本作以降、Tobias Sammet(Vo/EDGUY)主宰のプロジェクトAVANTASIAやソロ活動でその名を広めていくこととなります。その相棒でメインソングライターのOlafも丁寧に組み立てられたソロパートで流麗なプレイをビシバシ決めています。楽曲についてもネオクラシカルなムード漂う疾走曲①Flying High、②No Escape、スピーディーなインスト小曲③No Speakと続く冒頭の流れは文句なしのカッコよさ。フックに満ちたサビメロが冴えるミドル④Die In Your Arms、荘厳なオルガンサウンドで幕を開けシンガロングを誘うコーラスへと繋がるキャッチーソング⑤All For One, One For Allといった速さに頼らないナンバー、哀愁のバラード⑧Lost In Your LoveからGAMMA RAY直系の爽快ジャーマンメタル⑨Power & Gloryなどバリエーションも豊富です。

ボーカルとギター、そして楽曲というバンドの根幹部分がしっかりしているため新人離れした安定感がありますね(OlafもOliverもCENTERSでのキャリアがあるので当然かもしれませんが)。また巧みな選曲とアレンジを用いてカバー曲でも楽しませてくれるのがAT VANCEの特徴で、本作ではABBA⑥Money, Money, Money、ヴィヴァルディの「四季」をギターインストに仕上げた⑦The Four Seasons - SummerSURVIVORの大ヒット曲⑪Eye Of The TigerTEARS FOR FEARS⑫Shoutと4曲も収録していながらどれも上々の出来となっています。惜しむらくは迫力に欠ける音質と本編ラストを凡庸なミディアムチューン⑩Seven Seasで締めくくっている点でしょうか。とはいえデビュー作としては十分なクオリティを誇っているし、楽曲の充実度は後の作品群と比べても遜色ないと思います。

【音源紹介】
・Power & Glory

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