GOTTHARD「FIREBIRTH」(2012)

  • 2013/08/29(木) 00:00:00

FIREBIRTH.jpg
【No.386】
★★★(2012)

希代のフロントマンSteve Leeが不慮の事故により急逝するという悲劇に直面しながらも、それを乗り越えて作り上げたGOTTHARDの10thアルバム。Steveの死があまりに突然でショックだったこともあり、残されたメンバー達は「バンドの今後については白紙」としていましたが話し合いを重ねた結果「GOTTHARDは仕事ではなく人生そのものなんだ」という結論に至り、バンドを継続させることを表明しました。後任シンガーについては2011年11月にほぼ無名のスイス人Nic Maeder(Vo/MAEDER)を迎えてニューアルバムを制作中であることを発表すると同時にNicのお披露目を兼ねて③Remember It's MeのPVを公開。この曲を初めて聴いた時にNicの声質がSteveに近いこともあって、予想以上にすんなり受け入れられたのを覚えています。

このような流れを経てリリースされた本作の注目点は何と言ってもボーカルパートでしょう。結論としてNicはかなり健闘していると思います。勿論Steveを越えたなんてことは言えませんが、GOTTHARDの過去曲も違和感なく歌いこなさせそうな実力者で「よくぞここまでバンドにフィットする歌い手を見つけてきたな」というのが率直な感想です。楽曲の方はというとLeo Leoni(G)が本作を「Back to basic」と表現している通り、ここ最近のアルバムで聴かせてくれていたメロディアス・ハードロックというよりはバンド初期(特に1st「GOTTHARD」~3rd「G.」)のブルージーな雰囲気が戻ってきていて、メロディアスな音楽が好きな僕としては物足りなさを感じてしまいますね。とはいえ曲名通りの力強さがカッコいいミドル④Fight、ロックミュージックが持つ楽しさを体現したかのようなパーティソング⑤Yippie Aye Yay、ハードな⑨Right Onやアルバム随一のドライヴィングチューン⑫I Can、そして天国のSteveに宛てられた感涙モノのバラード⑬Where Are Youなど個々の楽曲の充実度は相変わらず高いです。また日本盤ボーナストラック⑮While My Guitar Gently WeepsTHE BEATLESのカバーでオリジナルはボーカル入りですが、本作では感動的なギターインストにアレンジされていてアルバムを見事に締めくくっています。

上記のように流石と思える部分もありながら全体的に地味だと感じてしまうのは曲順によるところがあるのかもしれませんね(⑨や⑫を序盤に持ってきていれば印象が変わっていたかも)。そんなアルバムとしてのパンチの弱さを感じながらリピートしているうちにNicのパフォーマンスについても、聴き始めの頃は気にならなかった細かな歌い回しや感情表現の妙など「SteveにあってNicにないもの」が目に(耳に)ついてきしまうんですよね。並のバンドであれば十分満足できる内容だし、解散してもおかしくない危機を見事に乗り越えてアルバムを生み出してくれたことに拍手を送りたくなる一方で、ここ最近のアルバムほどのめり込めなかったのも事実です。⑬、⑮の存在からも窺えるようにSteveの追悼盤という意味も込められていそうな本作はボーカルが代わってもGOTTHARDサウンドが健在であることをファンに知らせる挨拶代わりの1枚だと思うので、次のアルバムが重要になってきそうですね。

【音源紹介】
・Where Are You

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