KAMELOT「SILVERTHORN」(2012)

  • 2013/08/14(水) 00:00:00

SILVERTHORN.jpg
【No.384】
★★★★(2012)
年間ベスト2012年ノミネート作品

3rd「SIEGE PERILOUS」(1998)から加入し、B級だったバンドをワールドクラスに成長させる原動力となったRoy Khan(Vo)が脱退するという衝撃的事件を乗り越えてリリースしたKAMELOTの10作目。Royが帯同できないツアーについてはFabio Lione(Vo/RHAPSODY OF FIRE)、Michael Eriksen(Vo/CIRCUS MAXIMUS)、Tommy Karevik(Vo/SEVENTH WONDER)といった面々をゲストに迎えてこなしていましたが、それらのツアーがシンガー選定も兼ねていたようでバンドは2012年6月にTommy Karevikを後任ボーカリストとして迎えたことを発表しました。SEVENTH WONDERでの歌唱を聴いてTommyの実力は認めつつも、今のKAMELOTサウンドはバンドがRoy Khanという個性派ボーカルと共に築き上げてきたと思っていたのでRoy抜きでKAMELOTの音世界が成立するのか心配をしていたのですが、 優美なイントロ①Manus Deiに続く②Sacrimony(Angel Of Afterlife)冒頭の歌い出しを聴いた時点でそんな不安は払拭されましたね。SEVENTH WONDERでの溌剌としたイメージとは一味違う本作におけるTommyのパフォーマンスは、一瞬Royが歌っているのかと錯覚してしまう場面もあるほど。妖艶さやカリスマ性といった点ではRoyに及ばないものの、Tommyだからこその躍動感やフレッシュさが加味されているのはプラス面でしょう。

そんなシンガー交代が影響してか、ここ最近のアルバムでは深遠でドラマテイックな作風を追求するあまり抑え気味になっていたメロディと勢いが戻ってきているのが嬉しいですね。それを象徴しているのが前述の①からいかにもKAMELOTらしいドラムパターンで始まる疾走曲②へと至る展開。Elyze Ryd(Vo/AMARANTHE)、Alissa White Gluz(Vo/THE AGONIST)という2人の女性ボーカルが客演したこの曲は新生KAMELOTのアンセムになるかもしれませんね。僕のようなメロパワファンにとっては④Torn、⑩Solitaireや日本盤ボーナス⑬Leaving Too Soonのような所謂スピードチューンが増えているのも好印象。それ以外にも情感たっぷりに歌い上げるバラード⑤Song For Jolee、エキゾチックで勇壮なクサメロをソロパートに配した⑥Veritas、「これぞKAMELOT」と膝を叩きたくなる秀逸なメロディが堪能できる⑦My Confessionと続く中盤は実に強力だし、パイプオルガンをバックに讃美歌のような歌い出しから始まり劇的に展開していく⑪Prodigal Son(PartⅠ-Funerale、PartⅡ-Burden Of Shame、PartⅢ-The Journey)も感動的です。「前作『POETRY FOR THE POISONED』で少し足りないと感じていたのはメロディとコーラスだった。だからKAMELOTのメロディアスな面をもう少し呼び戻したいと思った」というThomas Youngblood(G)の言葉通り、とにかくメロディが充実しています。

質は高いけれど一種の閉塞感に覆われていた気もする過去2作品に対して疾走曲、バラード、ドラマ性に溢れたミドルや組曲などKAMELOTのレパートリーが一通り楽しめる今回のアルバムはバンドが更なるステージに向かっていると思える1枚です。核となるメンバーが脱退するという危機に直面しながらも、これまで築いてきた世界観を損なうことなくシンガー交代に成功したバンドに拍手を送りたい力作ですね。難点と言えば、バンドがこれまでに生み出したキラーチューンに匹敵するものがないことくらいでしょうか(これは過去の名曲群が素晴らしすぎるせいもありますが)。本作を聴いていると早くも次の作品に期待したくなると同時に、フロントマンを格上バンドにリクルートされたSEVENTH WONDERの今後が気になりますね…。

【音源紹介】
・Sacrimony(Angel Of Afterlife)

関連記事

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する