STEEL PANTHER「BALLS OUT」(2011)

  • 2013/05/02(木) 00:00:00

BALLS OUT
【No.374】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第7位

実は結構なキャリアを持つアーティスト達がド派手なコスチュームに身を包んだニューバンドとして活動し、ツボを押さえた高品質なメロディックHR/HMを連発するという方向性に「ノルウェーのWIG WAMへのアメリカからの返答」という表現もされたSTEEL PANTHERの2ndアルバム(邦題「鋼鉄の玉!」。BON JOVIを始めとする80年代の人気バンドのオマージュを随所に散りばめたデビューアルバム「FEEL THE STEEL」(2009)の作風は確信犯的なパクリと揶揄されかねないものだったし、意味が自然と理解できていたら音楽に集中できないであろうほどに下品極まりない歌詞(初めて自分の英語力のなさに感謝しました/苦笑)が話題になっていたこともあり、単発のイロモノバンドかと思っていましたがそんなことはありませんでした。本作では放送禁止用語が飛び交う歌詞はそのままに前作ほど露骨なパクリやDeath To All But Metalのような骨太メタルチューンは影を潜め、爽快感や親しみやすさが強調されていますね。

おバカな語り①In The Futureに続いて勢いに溢れた②Supersonic Sex Machineを叩きつけておいて、爽やかな曲調にタイガー・ウッズの「あの騒動」に纏わる歌詞が乗る③Just Like Tiger Woodsの時点で音楽的にも話題面でも掴みは十分。ただし本作の真価はChad Kroeger(Vo/NICKELBACK)が作曲のみならずボーカルでもゲスト参加してオットコマエな歌声を響かせ、Nuno Bettencourt(G/EXTREME)も客演しているアップテンポ⑥It Won't Suck Itself以降のアルバム中盤~後半ですね。一度聴いたら耳から離れないキャッチーなメロディを持ったポップメタル⑦Tomorrow Night、静かな歌い出しからサビまでの盛り上げ方が秀逸な大陸系バラード⑧Why Can't You Trust Me、「ジー!オー!エル!ディー!ディアイジィジ、アイエヌジ!ダブリュゥ、エイチォ、アー!イィ♪」と曲名のスペルを熱く歌い上げるパートがカッコいい⑩Gold Digging Whore、楽しげなコーラスで「I Like Drugs!」と叫んでしまう辺りがこのバンドらしい⑪I Like Drugs、仄かに漂う哀愁がアクセントとなっているハードロック⑫Critter、早口で歌うサビのリズムが気持ちよくて自然と体が揺れてくるタテノリチューン⑬Let Me Cum In、ピアノ主体のバラードでエンディングの「ウィニウィニウィニウィニ ウィニウィニウィ~ニ ラ~イ♪」というコーラスがCULTURE CLUBKarma Chameleon(邦題「カーマ は気まぐれ」)を思い出させる⑭Weenie Rideなど好きな楽曲を挙げ出すとキリがありません。そんなアルバム本編は勿論、2曲のボーナストラックも含めてフックのあるメロディが目白押しです。

前作発表後も精力的にライブをやりながら質、量ともにこれだけの楽曲を揃えることができたのはベテランの域にあるメンバー揃いだからこそでしょうね。各曲のインパクトでいえばデビュー作に軍配が上がるかもしれませんが、アルバムを聴き終えた時点での満足度では本作も負けていません。STEEL PANTHERのメロディやアレンジは決して目新しいものではないもののHR/HMを聴くようになって20年近くになる僕のツボを的確に突き、「こう展開してくれたら嬉しいな」という期待にきっちり応えるものばかりなので何度も聴きたくなるんですよね。そんな痒いところに手の届く楽曲を生み出してくれるSTEEL PANTHERはすっかり僕のお気に入りバンドとなりました。WIG WAMは4th「WALL STREET」(2012)でやや失速してしまった感がありますが、このSTEEL PANTHERにはこのまま突っ走ってもらいたいですね。ちなみに彼等はももいろクローバーZの参戦が発表され物議を醸しているOZZFEST 2013 JAPANのために来日、その後5月22日に3rdアルバムを発表予定です。

【音源紹介】
・It Won't Suck Itself

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PJさん

こんばんは。ブログ訪問&コメントありがとうございます。参考にもしていただいてるようで嬉しいです。仰る通りこのバンドは器用なので1stでは意図的にパクりテイストを強調してたんだと思っています。本作ではそれほど露骨ではなくなってるので次のアルバムは更にオリジナリティのある作品になるのではと期待しています。ライヴについても国内盤は出てませんがDVDをリリースしてるみたいですね。
Burrn6月号はちょうど今読んでます。藤木さんの復帰はかなり嬉しいですし、今月のおすすめの復活も大歓迎です。最近は購読意欲が低下気味でしたが、今回の変化でB!誌の楽しみ度合いが少し上がるかな、という気がしています。
これからもお越しいただけると嬉しいです。こちらこそよろしくお願いします。

  • 投稿者: よしよ
  • 2013/05/09(木) 21:51:32
  • [編集]

はじめまして。PJと申します。
先日Steel Pantherのレビューサイトを探していたらここにたどり着きました。
よしよさんと音楽の好みがかなり似ているようで、とても参考になります。

このバンドに対して、私もよしよさんと同じような印象をもっています。
彼らは80'sメタルバンドの良い部分を本人達よりも的確に捉えていますよね。
1stでは露骨な面もありましたが、彼らは敢えてその部分を意図的に押し出したようなあざとさすら感じさせることもあり、実は上手く隠すこともできたのではとも思います。
そういう意味でも、次作ではオマージュ的な部分は一切なくとも魅力的な楽曲が作れることを示してほしいかな、と。
ライブも良いので、かなり期待しているバンドの1つです。

そういえば、Burrn6月号から藤木氏が復帰されるということでメロディ派としては楽しみも増えますね。(今月のおすすめも復活するようです)
これからお邪魔させていただくこともありますが、よろしくお願いします。

  • 投稿者: PJ
  • 2013/05/05(日) 22:43:58
  • [編集]

B!13さん

こんばんは。パクり云々はさててき、このバンドがリリースしたアルバムの質の高さは目をみはるものがありますよね。僕も彼等の作品を聴いて、ここはあのバンドが元ネタだな、というのがすぐにわかる場面は少ないので元ネタ探しを楽しみながら聴くことはできてませんが、それでもかなり聴きごたえがあります。次の作品にも期待してます。

  • 投稿者: よしよ
  • 2013/05/05(日) 21:45:24
  • [編集]

僕は今作の中だと2、5、8、9、10辺りがお気に入りです。

彼らがパクってるLAメタルバンドも再結成して昔の自分らの焼き直しみたいな(自分パクリ?)作品を作ってますが、Steel Pantherの方が歌唱力等含みでいい作品作ってる気がしますね。

まだあまりメタルの知識がないので「あのバンドが元ネタだろうな…」みたいな聴き方はできませんが一枚のメタルアルバムとして好きになりました。

  • 投稿者: B!13
  • 2013/05/04(土) 19:14:02
  • [編集]

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