RAPAHEL「MIND SOAP」(1999)

  • 2012/11/02(金) 00:00:00

MIND SOAP
【No.350】
★★★(2000)

メンバーが高校在学中の1997年に結成、2000年3月には日本武道館での公演を成功させるなど順調に活動を展開していたものの2000年10月31日に中心人物華月(G)が急逝してしまったため活動を休止したヴィジュアル系メタルバンドRAPHAEL唯一のオリジナルアルバム。活動停止後、YUKI(Vo)HIRO(Ds)は2001年からriceというバンドを始動させ、現在も活動しているようです(ベーシストのYUKITOBLACK LOVEなるバンドで活動していたものの大麻所持容疑で逮捕されたのだとか…)。そんな中、YUKIの呼びかけによりRAPHAELは2012年10月31日、11月1日に復活ライブを敢行したようなので今回ブログで取り上げてみました。

このバンドについてはキャプテンこと和田 誠さんが若手メロディックメタルバンドの有望株として紹介されていたこともあり、メタルリスナーの間でも認知度は比較的高かったのではないかと思います。僕も和田さんがきっかけでRAPHAELを知り、まずはシングル「LOST GRADUATION」(2000)、その次に本作を聴いたのですが、清らかな水の流れをイメージさせる序曲①「シナゴーグ前奏曲第3楽章~変ホ長調~」の後に繰り出されるメロパワ3連発にすぐさまノックアウトされました。正統派とジャーマンメタルをミックスしたような②「さくら」、ベートーヴェンの悲愴をモチーフにしたメロディが印象的なネオクラチューン③「小夜曲~悲愴~」、そしてメジャーデビューシングルにしてRAPHAELを代表するキラドコ悶絶疾走曲④「花咲く命ある限り」と続く流れは文句のつけようもありません。またアルバム後半には「まるで和製RHAPSODY」なRPGメタル⑨Holy missionが収録されていて、こちらもカッコいい仕上がりとなっています。それ以外の楽曲においてもメタルらしさを感じさせてくれるのですが、「全曲違うジャンル」というのが本作のコンセプトだと華月が語っていた通り、キャッチーな歌ものアップテンポ⑥promise、カントリーのような⑦「ハックルベリーの恋」、J-POP風のバラード⑧「eternal wish~届かぬ君へ」やタンゴ調のリズムに乗って曲が進行していく⑩「吟遊詩の涙」など後半にはタイプの異なるナンバー(⑥と⑧はシングルカット曲)が並んでいます。これを楽曲のバリエーションが多彩と見るか、散漫なアルバムと感じるかは聴き手次第ですね(僕はどちらかというと後者ですが…)。

メロディックメタルばかりを期待すると肩透かしをくらう点や音質の悪さは否定できないし、YUKIのクセの強い歌唱法は好き嫌いがはっきり分かれると思いますが、このバンドが生み出す楽曲にはそんな弱点を補って余りあるメロディがあります。また歌詞も思春期に誰もが抱く葛藤、いじめや二重人格をテーマにした深いものもあって見逃せません。そんなメッセージ性の強い歌詞から作り手の繊細さと純粋さが伝わってきたこともあってか、個人的には「華月が鎮静剤の過剰摂取で死亡」という報せを耳にした時もショックではありましたが、不思議と大きな驚きはありませんでした。19歳の若さで亡くなるまでに、メロディと歌詞の両面でこれだけ密度の濃い曲を生み出すに至るには様々な苦悩があったのではないでしょうか。それだけにRAPHAELが本作1枚で終わってしまうことなく、この先があったら…と思わずにはいられません。個人的には華月のお気に入り曲を厳選したという企画/ベスト盤「不滅華」(2001)、文字通りのベストアルバム「RAPHAEL SINGLES」(2001)の方がリピート率は高いのですが、本作は当時のRAPHAELというバンドの音楽性を克明に記録した1枚だと思います。

【音源紹介】
・花咲く命ある限り

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