HEAVENS GATE「LIVIN' IN HYSTERIA」(1991)

  • 2014/02/06(木) 00:00:00

LIVIN' IN HYSTERIA
【No.392】
★★★★(1996)

HELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」(邦題「守護神伝」)がきっかけとなり、ジャーマンメタル旋風が吹き荒れていた80年代後半にデビューし、数あるフォロワーの中でも日本ではなかなかの人気を博していたHEAVENS GATEの2ndアルバム。ただこのバンドを紹介する場合、ジャーマンメタルブームの中で登場したバンドと言うよりもAVANTASIA、EDGUY、KAMELOT、RHAPSODY(OF FIRE)など数々のメロディックメタルバンドを手掛けるプロデューサーSascha Peath(G)が在籍していたバンドと言った方が今は通りが良さそうですね。僕はリアルタイムで聴いていたわけではないのですがBLIND GUARDIANとほぼ同時期にデビューした当初は同等クラスだったのに、その後は明暗がはっきり分かれた印象があります。1990年に3rd「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」をリリースしたBLIND GUARDIANがその後大きく飛躍して欧州メタルのトップバンドへのし上がっていったのに対し、このバンドはジャーマンメタルの枠に縛られない音楽性を見せながらも本作以上にファンの心を掴むアルバムを生み出すことができず5th「MENERGY」(1999)を最後にひっそりと解散しています…。

というわけで残念ながらバンドとして成功を収めたとは言いがたいHEAVENS GATEですが本作がメロディ、パワー、スピードの三拍子が揃った名盤だということは間違いありません。何といってもタイトルチューン①Livin' In Hysteriaと曲名からしてバンドのテーマソングであることが明白な⑩Gate Of Heavenというオープニング/エンディング曲の素晴らしさが群を抜いていて、これらを聴くためにアルバムを買う価値があると思えるほど。この2大キラーチューンが強烈すぎるために他の曲は影が薄くなっているかというとそんなことはなく、正統派メタルの空気を吸い込んだ②We Got The Times⑨We Want It All、いかにもジャーマンメタルな明るいムードを持った④Empty Way To Nowhereやアルバム中最速を誇る疾走曲⑦Flashesなども魅力的です。それに加えて重厚でドラマティックなミドル③The Never Ending Fire、スリリングなギターインスト⑤Fredless、この手のバンドとしては珍しくノリ重視で聴かせる⑥Can't Stop Rockin'、叙情メロディが冴える名バラード⑧Best Days Of My Lifeなど歌ものメタルチューン以外でも見せ場があるというのも本作の強みですね。個々の楽曲の素晴らしさもさることながら曲順もこれしかないと思えるほどハマっていて、アルバムの流れも文句のつけようがありません。またSaschaと並ぶメインソングライターでもあるThomas Rettke(Vo)Michael Kiske(Vo/HELLOWEEN)ほどクリアな声質でもなければ、Hansi Kursh(Vo/BLIND GUARDIAN)のように中音域をメインに歌うわけでもない適度な荒さを持ったハイトーン系シンガーで正統派メタルの要素もあるバンドのサウンドにマッチしていますね。

本作に収録された疾走曲は最近のメロパワバンドに比べるとテンポ自体は遅いのですが楽曲に漲るエネルギーと勢いこちらの方が断然上でカッコいいし、アルバムが発表されてから20年以上が経過した今聴いても古臭さを感じさせません。そんな「狙っていても身に付けられない凄味」を持つ本作はシーンに数少なく存在する時代を超えた1枚と言っても過言ではないでしょう。アルバム単体のクオリティとしてはHELLOWEEN、BLIND GUARDIANにも負けていません。ただバンドにとっては「諸刃の剣」的なアルバムという見方ができるのも事実で、かつてのHAREM SCAREM「MOOD SWINGS」(1993)がそうだったように2枚目という早い時点でシーンに名を刻む名盤を作り上げてしまったことが重荷となり、結果的にバンドを苦しめ解散へと繋がってしまったのかもしれませんね…。

【音源紹介】
・Gate Of Heaven

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