DREAM THEATER「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」(2011)

  • 2013/01/25(金) 00:00:00

A DRAMATIC TURN OF EVENTS
【No.361】
★★★(2011)

バンドの創作/運営面の両方を取り仕切っていたMike Portnoy(Ds)が2010年9月に脱退するという衝撃的な事件を乗り越えてDREAM THEATERがリリースした通算11枚目のアルバム。PortnoyがいないDREAM THEATERなんて想像もできなかったのですが、残されたメンバー達はバンドの歩みを止める気は全くなかったようで直ぐさま後任ドラマーのオーディションを開始し、7人の最終候補の中からMike Mangini(Ds/ex-STEVE VAI、EXTREME、ANNIHILATOR)がその座を射止めるまでのドキュメンタリー映像をYouTubeで公開するなど活発な活動を展開してPortnoy脱退から約1年で新作のリリースに漕ぎつけています。なおオーディション映像は本作の初回限定盤の付属DVDとなっており、YouTubeにはなかった日本語字幕が付いているので非常に見応えがありました(「Welcome you to the family…」の言葉と共にメンバーがManginiにオーディション合格を伝えるシーンは何度見ても感動的)。Portnoy抜きのDREAM THEATERがどのような作品を生み出すのか期待と不安を胸に本作を聴いてみたところ、賛否両論あったPortnoyのラップパート(通称ジャイアンラップ)がなくなり、近作よりもメタル色が減退していることを除けばDREAM THEATERらしい1枚に仕上がっていると思います。

リリース前に先行発表されていた①On The Backs Of Angelsを聴いてPortnoy不在でもDREAM THEATERらしさは健在だということに安心したのと同時にメロディのキャッチーさ、楽曲の刺激不足に物足りなさを感じたのですが、どうやらこの感想はアルバム全体にも当て嵌まりそうです。Portnoyが持ち込んでいたと思われるモダンテイストやヘヴィネスが薄れ、本作では楽曲の透明感が増したことでバンドの代表作にしてプログレメタルというジャンルを象徴する名盤でもある2nd「IMAGES & WORDS」(1992)が引き合いに出されることも多いようですが、あそこまでの凄みは感じられなかったので僕はメロディアスな路線だった8th「OCTAVARIUM」(2005)を思い出しました。独裁者(裏を返せば強力なリーダーシップの持ち主)としての一面もあったPortnoyが抜けたことで各メンバーの協力体制が強まり、これまで大きすぎる感のあったドラム音量が適正化されたことに伴いJohn Myung(B)のベースサウンドがよく聴こえていたり、James LaBrie(Vo)の魅力を最大限に活かせる声域をメインにした曲作りが為されているのは新体制ならではの良さではないかと思います。それに加えて本作で一際惹きつけられるのがJohn Petrucci(G)によって紡ぎ出されるギターメロディ、そして派手に弾きまくったり優雅なピアノの調べを奏でたりとこれまで以上に存在感を増したJordan Rudess(Key)の鍵盤サウンドですね。これまでPortnoyと二人三脚でバンドを成長させてきたPetrucciにとって今回の脱退劇はショックだったと思いますが、本作では鬼気迫るギターからプロデュースまでをこなしつつ、Portnoy以上にバンドのバランスを重視する彼の考えがこのような作風に繋がったのではないでしょうか。

その一方で良くも悪くも毒っ気のあるPortnoyがいない今のバンドが生み出す曲はメロディアスで滑らかであるがゆえに、抑揚や耳に残るメロディが少なくなったと感じるのも事実(③Lost Not Forgotten、⑧Breaking All Illusionsは結構好きですが)。それだけでなく、過去作品で聴いたようなフレーズや展開が散見されるため新鮮味が希薄なのも気になります。DREAM THEATERは歴史の長いバンドであり、その重要人物が脱退した後だからこそ「バンドの基本線は変わらない」ということをファンに示すために敢えて冒険をしなかったのかもしれませんが、これまで僕のミュージックライフに欠かせない名盤をリリースしてくれた彼等に対してはどうしてもハードルが高くなってしまうんですよね。「バンドのリーダー的存在が脱退した後にリリースされた手堅く無難なアルバム」という意味ではSTRATOVARIUS「POLARIS」(2009)に似ているかもしれません。今回はManginiが加入した時点で既に曲の大半が完成していたそうなので本作はあくまでも挨拶代わりの1枚で、新体制の真価が問われるのはManginiも曲作りに参加してくるであろう次のアルバムでしょうね。現時点ではPortnoyの脱退がバンドにとってプラス/マイナスのどちらに作用したのか判断が難しいところです。

【音源紹介】
・Breaking All Illusions

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メタールマンさん

はじめまして。ブログ訪問&コメントありがとうございます。プログレメタル作品としては高水準のアルバムだとは思うのですが、DREAM THEATERのアルバムとしてはアッサリしてる印象がありますね。といいつつ、よくリピートする1枚でもあるのですが…。いずれにせよ次のアルバムに注目しています。

  • 投稿者: よしよ
  • 2013/02/04(月) 23:44:38
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はじめまして。
自分にとってこのアルバムは少し物足りない気がします。
以前はもう少し特徴のある音だったと思いますが、なんか普通になったような・・・。
いや、聴くと凄く良くできたサウンドだとはわかるんですが。


  • 投稿者: メタールマン
  • 2013/02/02(土) 23:34:52
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ピッペンさん

こんばんは。そうですね、手堅いアルバムではあるんですが、もうちょっと刺激が欲しいような気もしますね。こうなってくると次の作品がバンドにとって非常に大事になってきますね。あと様々なプロジェクトを掛け持ちしているPortnoyの方にも、そろそろバンドを結成するなり落ち着いて欲しいなぁと思ってます

  • 投稿者: よしよ
  • 2013/01/27(日) 22:44:46
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こんにちは。

いいアルバムだとは思うんですが、なんとなく「小奇麗」すぎる感じがしますよね。。。何だかんだで聴きこんだアルバムではあるんですが、聴きこみ回数は過去のアルバムより少なかったような。。。

  • 投稿者: ピッペン
  • 2013/01/27(日) 13:16:37
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