ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)

  • 2012/05/07(月) 00:00:00

SHOW ME HOW TO LIVE
【No.327】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第4位

D.C. Cooper(Vo)加入後の2作目、ROYAL HUNTとしては通算4枚目のアルバム「PARADOX」(1997)は僕が初めて出会った神盤と呼ぶべき作品となっただけでなく、当時のBURRN!誌で90年代にデビューしたバンドとしては珍しく表紙に抜擢され、人気投票でもD.C.とAndre Andersen(Key)が各部門のチャンピオンに輝くなど、バンドは名実共に黄金期を迎えていました。ところが初のソロ作品に着手したD.C.とAndreの間に確執が生じてしまい、結果として解雇に近い形でバンドを去ったD.C.が期間限定ではあるものの約13年振りに復帰して2011年4月にツアーを敢行、その後に正式復帰してリリースされた11thアルバム。僕はD.C.の後任を務めたJohn West(Vo/ex-ARTENSION)は勿論、一般的には評価の高くないMark Boals(Vo/ex-YNGIWE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)期にも大好きなアルバムがありましたが、前作「X」(2010)はバンドのトレードマークでもある壮麗なサウンドを抑えた70年代ハードロック寄りの実験的な1枚でした。今後の音楽性がどういう方向に進むのか注目していた時にまさかのD.C.復帰、サウンドもバンド初期のものに回帰するとアナウンスされた今回のアルバムはその宣言通りの快作に仕上がっています。

中世の騎士が描かれたジャケットの世界観に通じる剣の鍔ぜり合いのSEと壮大なオーケストレーションに導かれていかにもAndreらしいキーボードサウンドが流れ出し、それを引き継ぐようにD.C.が「Another day is passing by~♪」と歌い出す典型的ROYAL HUNTソング①One More Dayを聴いた瞬間は思わずグッと来ましたね。もうROYAL HUNTで歌うD.C.は聴けないと思っていたのに、まさかこんな日が来るとは…。そんなオープニングに続いて、今や「ROYAL HUNT第2の声」と言っても過言ではないバックボーカルKenny Lubcke(Vo/ex-NARITA)、近作で数フレーズのリードボーカルを任されているMichelle Raitzin嬢とD.C.が共演する②Another Man Downを聴く頃にはすっかり本作の世界に引き込まれていました。全7曲と収録曲は少ないながら各曲の密度が濃い本作の全体的な印象としては、Andreの1stソロ「CHANGING SKIN」(1998)とJohn Westの初参加作品となった5th「FEAR」(1999)をミックスして各曲をコンパクトに纏め上げた作風で「PARADOX」の次に来ていても不思議ではないと思います。そんなアルバムの中で一際輝いているのが⑤Half Past Loneliness。どこかMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)を思わせる泣きまくりの歌謡曲風メロディと共に駆け抜けるこの曲は、バンドの新たなマスターピースと呼ぶに相応しいキラーチューンで2011年最高の1曲です。

このアルバムを聴き終えて改めて実感するのはJohnやMarkといったD.C.の後任シンガーも実力者揃いでしたが、ROYAL HUNTにはD.C.の声こそが相応しいということです。本作収録曲の中でもAndreが「以前よりも威厳に満ちている」と評するD.C.の声を想定して彼の復帰後に書いた前述の⑤とエンディング曲⑦Angel's GoneがアルバムのハイライトとなっていることからもD.C.とROYAL HUNT(というかAndre)の間にはマジックが存在すると言えると思います。客観的に見れば本作は3rd「MOVING TARGET」(1995)や4th「PARADOX」というD.C.在籍時の過去2作品を上回るほどではないと思うし、10分を越えるタイトル曲⑥Show Me How To Liveがドラマティックな佳曲ながら大作にする必然性が今ひとつ感じられなかったり、Far AwayLong Way Homeといった名バラードを歌ってきたD.C.のバラードが聴けなかったりする点が惜しくもありますが、D.C.の復帰を飾るには十分の力作ではないでしょうか。新加入のギタリストJonas Larsenも派手に弾きまくるタイプで近作では希薄に感じられた華やかさを加味するのに一役買っています。2012年4月から20周年ツアー(5月中旬にはその一環として来日予定)を開始するなどバンドの動きがこれまで以上に活発になってきているので、本作で物足りなく感じた点は次のアルバムに期待したいですね。

【音源紹介】
・Half Past Loneliness(Edit Version)

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