HAREM SCAREM「HOPE」(2008)

  • 2012/09/21(金) 00:00:00

HAREM SCAREM HOPE
【No.345】
★★★(2008)

自主制作の11曲入りデモ音源(2003年にボーナス4曲を追加して企画盤「THE EARLY YEARS」として発売)が大手レーベルWARNERの目に留まり1991年に本国カナダでデビュー後、2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本上陸を果たすと一気にブレイクしたものの、続く3rd「VOICE OF REASON」(1995)が日本受けしないグランジ路線だったことからケチがつき始め、改名騒動など紆余曲折あったHAREM SCAREMのラストアルバムにして通算11枚目の作品(RUBBER名義を除く)。前作「HUMAN NATURE」(2006)に伴うツアーで来日した時には、あと1枚のアルバムを制作した後に解散することが決まっていたため、メンバーも本作をレコーディングする前から「最後にスペシャルな作品を残したい」と語っていましたが、いざ聴いてみるとここに「特別な何か」と呼べる要素はなくHAREM SCAREMというバンドの現在進行形の姿が収められています。前作はハーレムサウンドの中でもポップで明るい側面が表れていたのに対して本作は一般的に問題作扱いされることが多いものの、実はHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)が揃って好きな作品に挙げる3rd「VOICE OF REASON」(1995)に通じる陰りのあるムードが強まっていて、過去作品の中では9th「OVERLOAD」(2005)に近いように感じました。最後だからと気負うことなく自分達のやりたいように仕上げてきた辺りがHAREM SCAREMらしいなと思う一方で、初期2作品のサウンドに思い入れがある身としては少し寂しくもありますね。

アルバム全体の印象としては近作と同じく、ヴァース~ブリッジでは抑制気味な感情をサビで爆発させるような流れのミディアムテンポが主体となっていて、熟練の域に達したソングライティングに舌を巻く場面も少なくありません。ギターとドラムの絡みが面白いパートから哀愁のサビに繋がる②Time Bomb、これぞハーレム節なアップテンポ④Days Are Numberedもさることながら本作最大の聴きどころはアルバム終盤ですね。過去の名バラード群に勝るとも劣らない感動をもたらしてくれる⑧Shooting Star、本作の中でも僕が思い描くHAREM SCAREM流ロックに最も近い⑨Calm Before The Storm、派手さはないもののメロディが胸に沁みるアコースティックバラード⑩Nothing Without Youと続く展開は素晴らしいの一言。そんな余韻を引き継ぐボーナストラック⑪Stranger Than Love(「MOOD SWINGS」収録)のアコースティックバージョンも含めて、この流れは本作の締めくくりだけでなくバンドの最後の花道を見事に飾ってくれています。

メンバーはバンド解散の理由を「HAREM SCAREMとしてできることはやり尽くした。これ以上続けていても同じことの繰り返しになってしまうから」と語っていますが、僕も8th「HIGHER」(2003)辺りから同じようなことを感じていました。一般的に見ると十分魅力的である反面、アルバム全体に漂う安定感がマンネリに繋がっているというか…。そういうこともあって、バンドが解散を発表した時も驚きよりも「遂にその時が来たか…」というのが率直な感想でした。そして本作を聴き終えてみても、解散を惜しむ以上にお疲れ様でしたという言葉が出てきます。HR/HM歴2年目の1996年に出会って以降、一時期迷走はしたものの僕のミュージックライフにおいて大切なバンドのひとつでした。素晴らしい音楽を届けてくれたカナダ最強のハードロックバンドHAREM SCAREMに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、HAREM SCAREM!

【音源紹介】
Shooting Star

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アルちんさん

こんばんは。僕にとって本作は終盤が勝負!という感じですね。3rd「VOICE OF REASON」ほどダークではありませんが作風としては同じベクトルだと思います。なまじ実力があるだけにレコード会社の要求にも応える器用さもあった彼等ですが、実力に見合うだけの成功を手にすることができなかったのが残念です。
確かにバンド最後のアルバムにしてはいつも通りすぎて物足りないですよねー。自分達がやりたい音楽とファンが求める音楽性の間で苦しんだバンドという印象が拭い切れません…。

  • 投稿者: よしよ
  • 2012/09/28(金) 23:56:59
  • [編集]

 こんばんは~。よしよさん!

 問題作だったの3rd「VOICE OF REASON」に作風が近いとのレビューが多いですね。私は3rdを聴いた事が無いのですが、①Watch Your Backからダークなメロが不安感を煽ってくれます。
予想不可能なイントロから始まるツカミどころの無い②Time Bomb、ヘヴィで余り面白みの無い③Hope、⑤Dark Times、これが一曲目ならもっと評価があがったのでは…と思う典型的HSのロックナンバー④Days Are Numbered、盛り上がりに欠ける⑥Beyond Repair、ようやくエンジンが掛かり始めるのは⑦Never Too Lateの変拍子ながらもノリの良い曲です。そしてB!誌でもどのレビューでもこの曲だけは好評価でしたね。間違いなく名曲のバラード⑧Shooting Star、ヘヴィなイントロからキャッチーなメロが展開する⑨Calm Before The Storm、地味だけど心に染みる(特に46秒からパ~っと目の前が開けるような展開が良い)⑩Nothing Without You。ボートラ以上の価値がある⑪⑪Stranger Than Love(acoustic ver)

 わが道を行きたいHS、だけどそうすると売り上げが…という、これほどの実力を持ったミュージシャンが行き着いた解散という到着点はサビシイですが、これ以上続けても2ndを超える事もなく、「まぁイイよね」というアルバムを作り続ける事を考えると、これでよかったのかなぁとも思います。

 ただ最終作にしては、個人的に捨て曲が多くサビシイ思いなのです…

  • 投稿者: アルちん
  • 2012/09/28(金) 23:13:41
  • [編集]

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