HAREM SCAREM「OVERLOAD」(2005)

  • 2012/08/28(火) 00:00:00

OVERLOAD
【No.342】
★★(2005)

前作「HIGHER」(2003)発表後もPete Lesperance(G)が初のソロアルバム「DOWN IN IT」(2004)を、本作と同じ2005年にはCreighton Doane(Ds)が通算2枚目となるソロ作品を発表、Harry Hess(Vo)はCreightonの前任ドラマーDarren Smith率いるBLACK STARのアルバムプロデュースを手がけ、Barry Donaghy(B)もCDこそ発売していないものの自身のプロジェクトで精力的に活動するなど、各メンバーが多忙な日々を送るHAREM SCAREMの9作目(RUBBER名義を含めれば記念すべき10枚目)となるアルバム。今やベテランバンドの域に入りつつある彼等はこれまでも基本線を守りながら作品毎に異なる表情を見せてくれていましたが、今回は3rd「VOICE OF REASON」(1995)にも通じる内省的でダークな印象が強くHAREM SCAREM流モダンロックと呼べそうな作風に仕上がっていますね。作品イメージとしてはPeteのソロ「DOWN IN IT」に近いような気がします。

前作のオープニング曲Reach同様、掴みとしては微妙ながらもサビメロが耳に残るミドル①Daggerに続く近年のパワーポップ路線を継承した②Afterglowへ至る流れ、一際キャッチーな響きと風変わりなリズムギターが面白い④Don't Come Easy、メタリックなリフから②に通じる威勢の良さが弾ける⑥Forgive & Forget、Harryが情感を込めて歌い上げるバラード⑧Leading Me Onなどは結構好きですね。ただ、前作(特に後半)でも感じられた作品全体を覆うメリハリのなさが気になります。楽曲単体としては流石のクオリティを備えてはいるものの、1枚のアルバムとして聴くとどうにも単調に思えてしまうんですよね。収録曲の大半が静かに始まりヘヴィにうねるギターを従えながら地味に展開していき、サビでHAREM SCAREMらしいメロディが聴けるという画一的な曲構成となっていることが影響しているのかもしれません。これまで無名のバンドが本作をリリースしたのならば「なかなかいいね」と思えたんでしょうけれど、HAREM SCAREMのアルバムとして見ると物足りなさが残ります。

またHarry自身が書いたライナーノーツの曲解説を読んでいると、湧き出た曲のアイデアをじっくり練り上げることをあまりせずにアルバムに収録しているように感じられるのも気になりました。他のアーティストのプロデュースを手がけることも多く、HAREM SCAREM以外にも常にレコーディング作業を行っているHarryとPeteは元々そういう手法でソングライティングをしてきたのかもしれませんが、更に時間をかけてマテリアルを厳選することで作品の印象をもっと良くすることができたように思うのですが…。同じくダークな路線だった3rdに比べると印象的なメロディはこちらの方が多いし歌や演奏、楽曲に大きな弱点は見当たらないのに盛り上がることなくアルバムが終了してしまっているのが残念。BURRN!誌のレビューで小澤さんが本作を「Bサイドコレクション」と表現しているのを見ても、それに反論するだけの決め手もないため言い得て妙と納得してしまう…そんな1枚です。

【音源紹介】
・Don't Come Easy

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アルちんさん

このバンドの場合、本当にBサイドコレクションをリリースしてるので実際に聴き比べたこともありますが、甲乙つけがたかったりします(苦笑)。本作も並のバンドには生み出せないクオリティを誇るのは事実ながらHAREM SCAREMのアルバムとして聴くと物足りなさが残りますね。今回の記事を書くにあたり、久しぶりにリピートしてみましたが印象は変わりませんでした…。

  • 投稿者: よしよ
  • 2012/09/09(日) 23:46:20
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Bサイドコレクション!

 まさにBサイドコレクションとは言い得て妙な言葉ですねw
①Daggerも地味ながら一曲目としてはがんばってる一曲、②Afterglowは正にHSしか出せない楽曲の妙というか、このアルバムの中では健闘している一曲ですね。ヘヴィな③Rise & Fall、同郷のNICKELBACKがやっててもおかしくないパワーバラードの⑤Cant Live With You、まさにロックな⑥Forgive & Forget、熱気の篭ったバラード⑧Leading Me On、おだやかなバラード⑨Understand Youなど、間違いなく良曲と呼ばれるものは収録されているのですが、ダークなギターに何とかサビだけはHS色を乗せてくる作風で、正直聴き込んでおりませんw
 
 改めて聴いてはみましたが、一周したらもう頭に残っていないんですよねぇ…

  • 投稿者: アルちん
  • 2012/09/07(金) 22:08:15
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