HAREM SCAREM「HIGHER」(2003)

  • 2012/08/21(火) 00:00:00

H SCAREM HIGHER
【No.341】
★★★(2003)

改名騒動の末、HAREM SCAREM名義で発表した前作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)は多くのファンが求める2nd「MOOD SWINGS」(1993)を彷彿とさせるサウンドをベースに、これまでのキャリアを総括したかのようなバンドの音楽性が見事に結実した傑作でした。本作はHAREM SCAREMとして復活してから2作目、通算8枚目のアルバムです(RUBBER名義を除く)。前作で文字通りの復活を果たしたとはいえ、このバンドにはファンの期待と異なる大胆な方向転換をした前科(苦笑)があるので本作を聴くまで彼等が本当に帰ってきてくれたのか懐疑的でしたが基本的には「WEIGHT OF THE WORLD」の延長線上にあり、一段とメロディアスな作品に仕上がっていると思います。また、2000年にバンドを脱退したDarren Smith(Ds)が前作に続いてバックコーラスで参加していてバンド初期の質感を出すことに貢献しています。

まず印象的なのはアルバム全編に溢れるポジティブフィーリングで、前作発表後もライブアルバム「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)、Harry Hess(Vo)のソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)、バンドの初期音源集「THE EARLY YEARS」(2003)と精力的な活動を続けてきたバンド状態の良さを象徴しているかのようですね。アルバムの幕開けとしてガツンとくるインパクトは不足しているものの「Reach For The Sun~♪」の伸びやかなサビが印象的な①Reach、程よい哀感が堪らない②Waited、前向きなポップロックチューン③Torn Right Out⑥Run And Hide、RUBBER路線を継承した新たな名曲④Give It To You、淡々としていながら丁寧に美しいメロディを紡いでいくバラード⑤Higherといったアルバム前半はなかなか充実していますね。

ただし「MOOD SWINGS」ばりのハードロックにバラード、インストからパワーポップに至るまでバラエティ豊富だった前作に比べると、今回は④を除いてミディアムテンポ/バラード系が主体となっているため起伏に乏しく感じられるのも事実。日本盤ボーナスを含めて全11曲で40分弱というコンパクトな作品でありながら、どうにも淡泊に感じられて後半は聞き流してしまいがちだし、フェイドアウトがやや唐突な曲が多いのも気になります。勿論、楽曲単体で見れば流石のクオリティを備えているので、他のバンドの曲とシャッフルしながらiPodで聴いている時に本作の曲が流れてくると素直に良いと思えるものばかりなんですけどね。かつてのバンドから感じられた僕の心を熱くしてくれる「何か」が欠けている気もしますがハーレムサウンドを構成する要素をきっちり押さえ、熟練の域に達したソングライティングチームが生み出す楽曲は安定感抜群なので本作は堅実で無難ながら良質なメロディが詰まった1枚だと思います。

【音源紹介】
・Higher

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