ANTHEM「HERALDIC DEVICE」(2011)

  • 2016/02/29(月) 00:00:00

HERALDIC DEVICE
【No.463】
★★★(2011)

柴田 直人(B)率いるジャパニーズメタル界の重鎮ANTHEMが再結成から10年の節目にリリースした13thアルバム。2010年にはバンドの25周年を記念して森川 之雄(Vo)時代の代表作4th「GYPSY WAYS」(1988)、5th「HUNTING TIME」(1989)を現メンバーで再現するスペシャルライブを敢行、その模様を収めた「PROLOGUE LIVE BOXX 2」をリリースするなど、いい意味でベテランらしからぬ勢力的な活動を続けていますね。そんな彼等も今回は納得のいくマテリアルを揃えるのに苦労したらしく柴田は本作を「難産の末に生まれたアルバム」と表しているようです。

作り手にとっては産みの苦しみを味わったアルバムのようですが、いざ聴いてみると従来作品の延長線上にあるANTHEMらしい安定感抜群の1枚に仕上がっています。インパクトのあるリードトラックを序盤に配して聴き手の心をガッチリ掴み、アルバムの折り返し点に清水 昭男(G)作のインストゥルメンタルがあって、エンディングは硬派なメタルチューンで締めるという作風は再結成後ANTHEMの様式美ですね。①The SignのイントロがANTHEMにしては珍しくキーボードを絡ませたものだったり、ロックンロールのフィーリングを取り入れた③Go!SCORPIONSの有名曲Rock You Like A Hurricaneを連想させるハードロック④Blind Alleyがあったりと新しい一面を見せつつも、バンドとしての核はしっかり保っているのも好印象。特にストレート③は本作の中で一番好きな曲だし、漢の悲哀を感じさせる勇壮なクサメロが胸を打つミドル⑥Wayfaring Manから、清水作のインストの中でもかなりメタリックな⑦Code Of The Silenceへ繋がる流れも聴きどころですね。

本作もANTHEMファンは勿論、ヘヴィメタルという音楽のファンであれば一定以上の満足感が得られるのは事実ながら、再結成ANTHEMのアルバムの中では下から数えた方が早いかなという気もします。僕のツボにハマるメロデイが少ないと言ってしまえばそれまでなのですが…。今回は⑦を除き、全曲を柴田が手がけているということも関係しているのかもしれません。清水特有の親しみやすいメロデイがもう少し欲しかったですね。僕がANTHEMを聴くきっかけとなった名盤11th「IMMORTAL」(2006)、タイトルトラックが飛び抜けた名曲だった12th「BLACK EMPIRE」(2008)に続くアルバムなので地味に感じます。客観的に見れば「ヘヴィメタルかくあるべし」な力作ですが、今のANTHEMならこれくらいやってくれるだろうという予想の範疇内に収まる作品でもありますね。

【音源紹介】
The Sign

【CD購入録】LEPROUS「COAL」(2013)

  • 2016/02/26(金) 00:00:00

【CD購入録】
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LEPROUS「COAL」(2013)

ノルウェーのダーク・プログレッシブメタルバンドLEPROUSの3作目を買いました。メンバーがブラックメタルの大御所EMPERORやその中心人物Ihsahn(Vo)のソロでバックバンドを務めていた関係で来日経験もあるようですが、メロディ派の僕はEMPERORもIhsahnもよく知らないのでこのバンドもノーチェックでした。他のブロガーさんの記事を見ていると最新作の4th「THE CONGREGATION」(2015)を高く評価されている方が多かったので一度聴いてみたいと思っていたところ、本作を安価で発見したので捕獲。プログレメタルといってもDREAM THEATERのようにテクニカルパートで聴き手を圧倒するのではなく、緻密に組み立てられた楽曲をじっくり聴かせるスタイルでPAIN OF SALVATIONやプログレデススタイルだった頃のOPETHからグロウルを大幅カットしたような感じでしょうか(両バンドの熱心なファンではないのであくまでイメージですが)。そんなLEPROUSサウンドの核となっているのはEinar Solberg(Vo、Key)の卓越した歌唱力。伸びやかなハイトーン、繊細な歌唱から濁声まで幅広いスタイルをこなしていて、中でも④The Cloakにおけるエモーショナルな歌声は絶品です。即効性の高い音楽性ではないため聴き込みが必要だと感じていますが、何度も聴きたくなる不思議な魅力に溢れた1枚ですね。

ANTHEM「BLACK EMPIRE」(2008)

  • 2016/02/23(火) 00:00:00

BLACK EMPIRE
【No.462】
★★★(2008)

前作「IMMORTAL」(2006)を聴いて、すっかりファンになったANTHEMの12作目。本作を聴く前に再結成後のアルバムを中心に過去作品をチェックし、僕が初めてリアルタイムで触れるANTHEMの新作ということもあって期待を胸に購入した記憶があります。実際に聴いてみるとオープニングトラックの①Black Empireが完全に僕好みでやられました。怪しげな雰囲気で進行していき、サビでは一転してキャッチーになる展開と、そのサビメロに宿る哀愁が実に素晴らしい。2008年の年間ベストチューンにも選出したバンド屈指の名曲です。

そんな①やANTHEMにしては珍しいメロウなバラード⑤Walk Through The Nightに象徴されるように、今回は全体的にメロディアスな作風となっていて恒例のギターインスト⑦Pilgrimも従来と違って聴かせるタイプです。坂本 英三(Vo)の歌唱も熱さをキープしながらも、ボーカルメロディは歌謡曲風のものが多いため近作と比べて聴きやすくなっていると思います。だからと言ってメタルバンドとしての攻撃性が失われているかというと、そんなことはなく熱さ迸るシングル曲②Heat Of The Night(サビがKAMELOTLost & Damnedにソックリなのはご愛嬌)からのメタリックチューン3連発は流石だし、「これぞANTHEM」な漢臭さがカッコいいミドル⑨Awakeからストレートな⑩Perfect Crawlerに繋がるアルバム終盤も○。

10th「ETERNAL WARRIOR」(2004)が徹頭徹尾メタル、11th「IMMORTAL」が大人げなさをテーマにしていたのに対して、今回はパワーで押し切るのではなくベテランならではの円熟味を前に出してきたという印象です。アルバム毎に作風を若干変えながらも芯の部分は紛れもなくANTHEMだと感じ取れるのはリーダー柴田 直人(B)の信念がなせるわざなんでしょうね。また、彼がANTHEMの頭脳であることは間違いありませんが⑥Emptiness Worldや⑩のように柴田カラーとは異なる楽曲を生み出せる清水 昭男(G)の存在も大きいと思います。総合的に見ると前作ほどのインパクトはないものの、このバンドのアルバムにハズレはないですね。

【音源紹介】
Heat Of The Night

【CD購入録】NIVA「NO CAPITULATION」(1994)

  • 2016/02/19(金) 00:00:00

【CD購入録】
NO CAPITULATION
NIVA「NO CAPITULATION」(1994)

2nd「GOLD FROM THE FUTURE」(2011)から遡ること17年前にスウェーデン産メロディック・ロックバンドNIVAがリリースした1stアルバムを買いました。本作の国内盤はゼロ・コーポレーションから発売されていましたが廃盤となり、輸入盤も含めて長らく入手困難な状況となっていたため結構なプレミア価格になっていたようです。僕も普通の金額なら聴いてみたいと思っていたことろ、最近になってデジタルアルバムとしてAmazonで販売(1,500円)されていたのでダウンロードしました。2nd以降のNIVAは爽やかなメロディとハイトーンが気持ちいいメロハー路線なのに対して、本作はやや骨太で北欧メタル然としたサウンドですね。特にオープニングの①Love Is A Killerなどはハードな側面を強調したサウンドとなっています。次作以降と比べると楽曲にばらつきがあったり、垢抜けていなかったりしますがデビュー作としては悪くないと思います。ちなみにバンドは1995年頃にレコーディングしていたもののお蔵入りになっていたアルバム「RELIEVIN' RAIN」を2015年にリリースしているようです。

【CD購入録】NIVA「INCREMENTAL IV」(2014)

  • 2016/02/16(火) 00:00:00

【CD購入録】
INCREMENTAL 4
NIVA「INCREMENTAL IV」(2014)

17年振りの復活作「GOLD FROM THE FUTURE」(2011)以降、精力的に活動するようになったスウェーデンのメロディック・ロックバンドNIVAの4作目を買いました。今回は前作「GRAVITATION」(2013)から僅か10ヶ月というハイペースでの新作となります。このバンドは僕にとって今やメロハーの安心ブランドのひとつになっているものの「次のアルバムも絶対聴きたいと思わせてくれる何か」が前作に感じられなかったので、チェックするのが後回しになっていました。いざ聴いてみると爽やかな楽曲群の中でのびのびと歌うTony Niva(Vo)のハイトーンか心地よい良盤で、メロハーファンなら聴いて損のない1枚だと思います。また今回はソロパートでRoger Ljunggren(G/T'BELL)がこの手のサウンドには場違いと思えるほど弾きまくっているのも特徴。現在のお気に入りは伸びやかな⑦Play The Game、爽系ナンバーが多いアルバムの中で哀メロが光る⑪Coming Back To Youですね。アレンジや曲のイントロ、エンディングが単調に感じられるのが残念ではありますがメロディの充実度は高いので、これに文句をつけるのは贅沢というものでしょう。

ANTHEM「ETERNAL WARRIOR」(2004)

  • 2016/02/12(金) 00:00:00

ETERNAL WARRIOR
【No.461】
★★★(2006)

2001年に8th「SEVEN HILLS」で再結成して以降、リーダーの柴田 直人(B)を中心に坂本 英三(Vo)、清水 昭男(G)、本間 大嗣(Ds)という不動のメンバーで勢力的に活動を続ける日本メタル界の大御所ANTHEMの10作目。前作「OVERLOAD」(2002)リリース後は同作のツアーの模様を収録した新体制としては初のライブ盤「LIVE' MELT DOWN」(2003)を発表しているので、再結成後は毎年何らかの作品を届けてくれていることになりますね。本作についてはリリース前から「徹頭徹尾ヘヴィメタルな作品」という柴田の言葉通り、アルバム全編どこを切ってもメタリック、それでいてメロディもしっかり聴かせてくれる1枚となっています。

今回は何と言ってもオープニングの①Onslaughtが強烈。まるでJUDAS PRIESTPainkillerなリフに始まりフック満載のサビから「オンスロゥ!オンスロゥ!」という男臭いコーラスへと展開していくこの曲はANTHEMの魅力を凝縮したかのようなナンバーですね。続くタイトル曲②Eternal Warriorも熱きメタリックチューンだし、ハンズクラップを交えた軽快なノリでキャッチーに聴かせる③Soul Cryがゴリゴリの2曲の後に来るという曲順もグッド。先行シングル「ONSLAUGHT」にはこの①〜③の流れをそのまま収録していることからもバンドがこの3曲に自信を持っていることが窺えます(ファンとしてはシングルを買う価値を見出せませんが/苦笑)。そして本作のもうひとつのハイライトとなっているのが慟哭のメロディを坂本がエモーショナルに歌う④Life Goes Onでしょう。攻撃的なメタルだけでなくこういう曲もできるのがANTHEMの強みですね。それ以外では重苦しい空気の中で光る哀愁が胸に沁みる清水作の⑥Distress、過去2作に収録されていたもの以上に僕好みのインスト⑧Omega Man、派手さはないもののメロディが頭から離れないドラマティックなミドル⑨Easy Motherなどがお気に入りです。余談ですが⑨の「難破船に乗りゆく者の確率は何パーセント?」という歌詞は韻を踏んでいるというよりダジャレに聞こえてしまいますね(笑)。

今回もANTHEM流ヘヴィメタルを堪能できるのでファンなら聴いて損はないと思います。ただし近作同様、アルバム後半に進むに連れてテンションが下がっていく感は否めません。特に今回は①のインパクトが強いため余計にそう思いますね。前作は聴き始めの頃からアルバムにグッと引き込まれたのに対して、本作の第一印象はそれほど良くなかったものの聴き込むうちにだんだん好きになっていったという感じです。柴田自身、本作リリース後のインタビューで「解散してもいいくらい、燃え尽きた」と話すほどの気合いのこもった1枚。1985年にデビューし本作発表時に20周年を迎えようとしているベテランがここまで現役感に満ちた作品を生み出してくれたことは頼もしい限りです。

【音源紹介】
Onslaught(Live)

【気になるCDリスト】2016年2月

  • 2016/02/08(月) 00:00:00

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CIRCUS MAXIMUS 「HAVOC」(2016)3月2日発売予定

今月発売の新譜に関しては「これ!」という1枚がないですね。強いて挙げればAVANTASIA「GHOSTLIGHTS」にも参加していたHerbie Langhans(Vo)が在籍するドイツのパワーメタルバンドSINBREEDの3rd「MASTER CREATOR」が気になりますが、当面は様子見の予定です。…で終わらせてしまうのもあんまりなので注目盤が多そうな3月の中からノルウェーのプログレメタルバンドCIRCUS MAXIMUSの4thを取り上げてみようと思います。最初に公開された①The Weightがいかにもこのバンドらしい1曲だったのに対し、ヘヴィなタイトルトラック③Havocを初めて聴いた時には一抹の不安を感じたりもしました(その③もリピートするうちに好きになってきていますが)。音楽性としては初期2作品よりは前作「NINE」(2012)に近い感じですかね。

The Weight


Havoc


【気になるCDリスト】
ALMANAC「TSAR」(2016)3月18日発売予定NEW
Self-Blinded Eyes

CIRCUS MAXIMUS 「HAVOC」(2016)3月2日発売予定
The Weight
Havoc

PRIMAL FEAR「RULEBREAKER」(2016)
The End Is Near
Bullets & Tears
In Metal We Trust

ROYAL HUNT「CARGO」(2016)3月2日発売予定

SINBREED「MASTER CREATOR」(2016)2月24日発売予定NEW
Creation Of Reality

SPIRITUAL BEGGARS「SUNRISE TO SUNDOWN」(2016)3月2日発売予定
Sunrise To Sundown

TREAT「GHOST OF GRACELAND」(2016)4月13日発売予定NEW

VALENTINE「RV」(2016)3月2日発売予定
Bizarro World

【CD購入録】DREAM THEATER「THE ASTONISHING」(2016)

  • 2016/02/04(木) 00:00:00

【CD購入録】
THE ASTONISHING
DREAM THEATER「THE ASTONISHING」(2016)

先日、CD購入録をアップしたTOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」と同日に発売されたDREAM THEATERの13作目を買いました。2枚組仕様のコンセプトアルバムとなる本作は全34曲、2時間10分という超大作です。彼等のコンセプト作といえば神盤5th「METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY」(1999) 、2枚組といえば6th「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」(2002)がありますが、本作を聴いて最初に連想したのは後者(特にDisc-2)ですね。全体的にメロディアスで聴きやすい作風だと思います。ただ、裏を返すと2時間以上の長丁場の中でハッとさせられるメロディがあるというよりは、心地良い楽曲がスムーズに流れているように感じられ「ここがハイライト」と呼べるポイントを現時点では見つけられていません。というわけで本作も数回聴きましたが、気がつけば即効性の高いAVANTASIAの「GHOSTLIGHTS」をリピートしてしまっている今日この頃です。