【CD購入録】CAIN'S OFFERING「STORMCROW」(2015)

  • 2015/04/30(木) 00:00:00

【CD購入録】
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CAIN'S OFFERING「STORMCROW」(2015)

Jani Liimatainen(G/ex-SONATA ARCTICA)Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)を中心としたメロディック・パワーメタルバンド(プロジェクト?)CAIN'S OFFERINGの2作目を買いました。前作「GATHER THE FAITHFUL」(2009)以降CAIN'S OFFERINGとしての動きはあまり伝わってきませんでしたが、2012年にKOTIPELTO & LIIMATAINEN名義でアコースティック作品「BLACKOUSTIC」を発表するなど2人の関係は良さそうだったこともありCAIN'S OFFERINGの新作を気長に待っていたので、こうしてニューアルバムを届けてくれたことが嬉しいですね。しかもキーボードにはJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)を迎えるという強力布陣。いざ聴いてみるとメンバーの顔ぶれから期待するサウンドを裏切らない内容となっています。北欧の伝説的キーボード奏者Jensを迎えたこともあってJaniのギターが目立つ場面は前作同様あまりなくコンポーザーに徹していますね。今のところキラーチューンと呼べるものはなさそうですが良曲揃いだし、先行でリリックビデオが公開されていた④I Will Build You A Romeの爽やかなメロディが特に気に入っています(バラード⑤Too Tired To Runのエンディングメロディは「蛍の光」?)。デビュー作との違いを挙げるとすれば、今回はよりドラマティックなアレンジが目立つという点でしょうか。KotipeltoのメインバンドSTRATOVARIUSもニューアルバム「ETERNAL」を8月に出すようなので、そちらも楽しみです。

DOUBLE DEALER「DESERT OF LOST SOULS」(2007)

  • 2015/04/25(土) 00:00:00

DESERT OF LOST SOULS
【No.428】
★★★★★(2007)
年間ベスト2007年第1位

2000年に国産メタルシーン注目のプロジェクトとしてデビュー、活動休止期間を経て2005年に3rd「FATE & DESTINY」で復活したDOUBLE DEALERの4作目にしてラストアルバム。2006年には初のライブアルバム、DVDを発表するなど活動が軌道に乗ったかと思いきや、今回のアルバム制作中に島 紀史(G)のマネージャーと下山 武徳(Vo)の間で生じたトラブルがきっかけでリリース時には既にバンドが解散していたという、いわくつきの1枚でもあります。レコーディングが終了する前にトラブルが起きたため下山はバンドを脱退。一時はアルバムの発売自体が危ぶまれたものの、歌入れは済んでいたこともあり何とかリリースにこぎつけたという内部事情とは裏腹に内容は素晴らしいの一言。

前作もよくできたHR/HM作品でしたが、その手堅い作風が物足りなくもありました。ところが、今回はSABER TIGERを彷彿とさせる攻撃性と下山の迫力満点のボーカル(一部エフェクトあり)が炸裂するオープニング①Howl Of The Wolfからしてバンドの気迫、熱気が違います。フックに満ちた歌メロとギターソロがカッコいい②Like A Free Wind、曲の後半からエンディングにかけて怒涛の盛り上がりを見せる⑧Heart Never Bendsといったハードロック系、バラードのない本作で重要な役割を果たす哀愁ミドル④Star In The Dawn、待ってましたの疾走チューン⑤Judgement、キャッチーなコーラスが耳に残る⑥Cats In A Backyardなど、その後も芯はHR/HMにありつつも表情豊かな楽曲が続きます。それに加えてアルバム終盤ではFAIR WARNINGにも通じる爽やかなメロディを持ったDOUBLE DEALER流メロハー⑩Withered Grasses、ジャーマンメタルの香りも感じさせる疾走曲⑪Stained Lifeといった新機軸も見せていてバンドとしての伸びしろがまだあることを感じさせてくれますね。それだけにバンドがもう存在しないという事実がただただ残念でなりません…。

そんな楽曲群の充実もさることながら弱点だった音質面も改善されていて、プレイボタンを押した瞬間に今回は音が違うと感じたし礒田 良雄(Ds)の凄みもこれまで以上に伝わってきます。バンドの2枚看板は島と下山ですが礒田のドラミングもDOUBLE DEALERサウンドには欠かせませんね。多彩な音色で曲を彩るキーボードプレイヤー小池 敏之、楽曲に勢いをつけるベースラインとテクニックを持った木本 高伸(B)を加えたラインナップは日本のメタルシーンでも屈指の顔ぶれでしょう。個性のぶつかり合いがケミストリーを起こしたデビュー作も素晴らしかったですが、バンドとしての結束を増した末に完成した本作もまた名盤です。不本意な形で解散に至ってしまったDOUBLE DEALERですが、今年の7月に開催されるANTHEMのデビュー30周年記念フェスで一夜限りの復活をするそうですね。1st「DOUBLE DEALER」を2000年、本作を2007年の年間ベスト第1位に選出した僕としては、これをきっかけに継続的な活動に繋げてもらいたいのですが果たして…?

【音源紹介】
Like A Free Wind

DOUBLE DEALER「FATE & DESTINY」(2005)

  • 2015/04/22(水) 00:00:00

FATE & DESTINY
【No.427】
★★★(2005)
年間ベスト2005年第8位

2nd「DERIDE ON THE TOP」(2001)発表後に島 紀史(G)CONCERTO MOON下山 武徳(Vo)SABER TIGERといったメインバンドに活動の軸を戻したため自然消滅したかに思えたDOUBLE DEALERでしたが2004年に入りCONCERTO MOON、下山がSABER TIGER脱退後に立ち上げたSIXRIDEの両方が活動停止となったことで再始動。約4年振りとなる通算3枚目のアルバムが本作です。島と下山のぶつかり合いが化学反応を起こしたセルフタイトルのデビュー盤は素晴らしかったのに対し、前作が消化不良気味だったので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良いですね。出たトコ勝負でレコーディングしたという過去2作と違い、今回は合宿をするなど時間をかけて制作したのが功を奏したのかもしれません。

期待を煽る長めのイントロからメロパワ風に展開する①Stream Of Time、「これぞ島 紀史!」なギターソロが炸裂する②The Cruel End、一際キャッチーなメロディが胸に響くリーダートラック③No Reasonの3曲はどれも強力。下山のボーカルも柔軟性を増していて、早口でたたみかける歌い方がカッコいい④Shedded Blood、力を抜いたサビでの歌唱が絶妙な⑥The Beast Fang To Tear Downなどが新鮮ですね。「北の凶獣」SABER TIGERで披露していた激しい歌唱に加えて、歌をメインに据えたSIXRIDEでの経験を積んだ後だからこそのパフォーマンスだと思います。またアルバム後半もゴスペルパートをバックに下山が熱唱するバラード⑦Pieces Of My Soul、メロウかつヘヴィな⑨Flame Of Regret、本編ラストに相応しいメタルチューン⑩Forgive All The Liesなどが並び前作ほとテンションが下がらないのも好印象。

アルバム全体としては、これまで以上にサウンドが洗練されているように感じますね。それを象徴しているのが下山の声を重ねたボーカルハーモニーの導入で①、③、⑦などを筆頭に大きな効果を発揮しています。これまでは各メンバーが他のバンドとの掛け持ちだったのが、本作からDOUBLE DEALER一本に集中できる環境になったことで前作の弱点だった楽曲の練り込み不足は解消されています。その一方で、島と下山がガチンコでぶつかり合うことで生まれていた熱気が減退しているのも事実だったりするのですが…。一度聴いただけで打ちのめされる超名曲はないものの安定感がある作品なので、良くも悪くも手堅い1枚だと思います。

【音源紹介】
No Reason

【CD購入録】JADESTER「EGOIST」(2009)

  • 2015/04/19(日) 00:00:00

【CD購入録】
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JADESTER「EGOIST」(2009)

下山 武徳(Vo/ex-DOUBLE DEALER、SABER TIGER)を中心としたハードロックバンドSIXRIDEのメインソングライターだった青柳 慎太郎(G)がSIXRIDEの活動休止後に結成したJADESTERの1stアルバムを買いました。青柳のメロディセンスに魅せられた僕としては彼の曲が聴きたくて本作を購入したのですが、その期待を裏切らない楽曲群が並んでいます。HR/HMよりも若干軽いサウンドに乗せたロックチューンを軸にしつつ、どこか懐かしいメロディを持った⑥「邪悪なJOKER」、タンゴのリズムからキャッチーなサビに繋がる⑧「石の華」、ピュアバラード⑪Riverなどもあってなかなか好感触。ボーカルの蓬田 政志は少しクセのあるタイプ(特に語尾の伸ばし方)で力んで歌うと坂本 英三(Vo/ANTHEM)っぽく感じられる場面もありますね。次のアルバムがあるなら聴いてみたいと思えた1枚ではあるのですがオリジナルメンバー土橋 直樹(B)が2012年に不慮の事故で他界してしまったこともあり、現時点でリリースされているアルバムは本作のみのようです。

【CD購入録】HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)

  • 2015/04/16(木) 00:00:00

【CD購入録】
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HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)

北欧ロックンロールバンドのベテランHARDCORE SUPERSTARの9作目を買いました。タイトルの「HCSS」はバンド名Hard Core Super Starの頭文字を取ったもので、僕が初めて聴いたこのバンドの作品で名盤の4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)に続き2枚目のセルフタイトル作ということになります。ここ最近の彼等のアルバムは安定感がある一方でマンネリ気味だったので様子見しようかと思っていたのですが、先行で公開されていた①Don't Mean Shit⑨Glueが好感触だったので聴いてみました。現時点での感想は良くも悪くもHARDCORE SUPERSTARらしい作品という感じですね。⑤Flyはブルージーで渋さを前面に出したナンバーで新機軸と言えそうですが、こういうサウンドはあまり得意ではないんですよね…。ボーナストラックの⑫Run To Your Mama(Demo Version)は7th「SPLIT YOUR LIP」(2010)に収録されたピアノバラードのデモ音源。メンバーによると、この曲は元々ロックソングとして書いたものに色んなアレンジを試しているうちにピアノと歌のみのというシンプルな形に行き着いたらしいので、本作で聴けるバージョンは曲の原型に近いのかもしれません。本作のようなアレンジも良いと思いますね。

【CD購入録】CYNTIA「WOMAN」(2015)

  • 2015/04/13(月) 00:00:00

【CD購入録】
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CYNTIA「WOMAN」(2015)

3rd「LIMIT BREAK」(2014)が現代ガールズメタルバンド勢の中でも出色の出来だったCYNTIAの4作目を買いました。デビュー当時から培ってきた歌モノHR/HM路線が結実した感のあった前作の後に発表したシングル「KISS KISS KISS」、「勝利の花束を-gonna gonna be hot !-」の曲調やメンバーのルックス、アルバムタイトルなどからHR/HMから距離を置こうとしていることは明らかだったので覚悟して本作を聴きましたが、たしかにHR/HMバンドとして聴くと肩透かしをくらいますね。個人的にはHR/HMかどうかよりも、僕の琴線に触れるメロディを聴かせてくれることが大事なので、その点については今回も流石という感じですがデビュー当時からこのサウンドだったらCYNTIAを知ることはなかったかもしれません。本作についてはファンの間でも賛否両論(否の方が多い?)あり、過去作品に比べてセールス面でも苦戦しているようですね…。バンドの創設メンバーであり、メンバーの中でもメタル志向が強そうなYUI(G)、KANOKO(Ds)は本作に納得しているのかな?と思っていたら4月になってKANOKOがバンドを脱退したようです。理由は体調不良とのことですが…。それに加えて現CYNTIAの作曲面のカギを握るAZU(B)が以前に在籍していたLAZYgunsBRISKYで復活ライブを行うなどCYNTIAとしての今後が心配になるニュースが多いですね。バンドは今、重大な岐路に立っているのかもしれません。

【気になるCDリスト】2015年4月

  • 2015/04/10(金) 00:00:00

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CAIN'S OFFERING「STORMCROW」(2015)4月29日発売予定

単発プロジェクトかと思われたCAIN'S OFFERINGの第2弾アルバム。Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)、Jani Liimatainen(G/ex-SONATA ARCTICA)という中心メンバーに加えて、今回はJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)も参加しています。トレイラーで公開されている楽曲群も良さげなので期待が高まりますね。

トレイラー


INTO THE WILD LIFE
HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)4月15日発売予定

2015年最大のリリースラッシュ月となった4月に新作を発表するバンド群においては知名度的に一歩譲りますが過去2作品がなかなか良かったHALESTORMの3作目。リリース前から複数の音源が公開されていたり、全曲フル試聴ができたりとレーベル側の意気込みも感じられます。

Apocalyptic


Mayhem

Amen

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HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)4月15日発売予定

北欧バッドボーイズロックバンドHARDCORE SUPERSTARの9th。アルバムタイトル「HCSS」はバンドの略称で名盤4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)に続いて第2のセルフタイトル作と言えそうですね。

Don't Mean Shit


Glue

Off With Their Heads

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KAMELOT「HAVEN」(2015)4月29日発売予定

看板シンガーRoy Khanが脱退し、バンドの存続が危ぶまれたもののTommy Karevik(Vo/SEVENTH WONDER)を後任に迎えて危機を乗り越えたKAMELOTの11th(Tommy加入後としては2作目)。前作「SILVERTHORN」(2012)が良い出来だったので今回も楽しみにしています。

【気になるCDリスト】
THE ANSWER「RAISE A LITTLE HELL」(2015)
Long Live The Renegades

BLIND GUARDIAN「BEYOND THE RED MIRROR」(2015)
Twilight Of The Gods

CAIN'S OFFERING「STORMCROW」(2015)4月29日発売予定
トレイラー

CROSS VEIN「ROYAL ETERNITY」(2015)
Maid of Lorraine
トレイラー

CYNTIA「WOMAN」(2015)
KISS KISS KISS
「勝利の花束を-gonna gonna be hot !-」

DEVIL'S TRAIN「Ⅱ」(2015)(輸入盤)
アルバムトレイラー

DRAGON GUARDIAN & KNIGHTS OF ROUND「桜牙」「輪廻のウロボロス」(2015)
クロスフェード

ECLIPSE「ARMAGEDDONIZE」(2015)
Stand On Your Feet

HALESTORM「INTO THE WILD LIFE」(2015)4月15日発売予定
Apocalyptic
Mayhem
Amen

HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)4月15日発売予定
Don't Mean Shit
Glue
Off With Their Heads

HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)5月27日発売予定

JORN LANDE & TROND HOLTER present DRACULA「SWING OF DEATH」(2015)
トレイラー
Walking On Water

KAMELOT「HAVEN」(2015)4月29日発売予定

KISKE/SOMERVILLE「CITY OF HEROES」(2015)4月22日発売予定
City Of Heroes
Walk On Water

NELSON「PEACE OUT」(2015)4月22日発売予定
トレイラー

THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA「SKYLINE WHISPERS」(2015)5月27日発売予定NEW
Sail On

PETERIK/SCHERER「RISK EVERYTHING」(2015)4月22日発売予定NEW
Cold Blooded

THE POODLES「DEVIL IN THE DETAILS」(2015)
The Greatest
House Of Cards

REVOLUTION SAINTS「REVOLUTION SAINTS」(2015)
Back on My Trail
Turn Back Time
Here Forever

SCORPIONS「RETURN TO FOREVER」(2015)
We Built This House

SERENITY IN MURDER「THE HIGHEST OF DYSTOPIA」(2015)
アルバムティーザー

SOTO「INSIDE THE VERTIGO」(2015)
アルバム・サンプラー・ロング・ヴァージョン
The Fall

SIXRIDE「SIXRIDE」(2004)

  • 2015/04/07(火) 00:00:00

SIXRIDE
【No.426】
★★★★(2004)
年間ベスト2004年第4位

「アニキ」の愛称で親しまれている魂のボーカリスト下山 武徳(Vo/DOUBLE DEALER、ex-SABER TIGER)率いるSIXRIDEの2ndアルバム。基本的にはデビューアルバム「TICKET TO RIDE」(2003)で確立した歌謡曲テイストもあるジャパニーズロックを継承していますが、前作に若干残っていたSABER TIGER風のゴリゴリメタルチューンは姿を消しているため一段とメロディアスになったように感じます。バンドのメインソングライター青柳 慎太郎(G)のメロディセンスが冴え渡る楽曲群、喜怒哀楽を見事に表現した下山の圧倒的な「歌」の説得力と胸に突き刺さる歌詞が一体となって迫ってくるSIXRIDEの魅力がダイレクトに伝わってきますね。

静かなイントロで始まり終盤は鬼気迫る歌唱でドラマティックに盛り上がる①「マグダラ」、そこから間隔を開けずに続く②「三千世界」は前曲の勢いをうまく引き継いだ絶妙なミドルチューンとなっていて、この冒頭2曲で僕は本作の世界に引き込まれました。それ以降もSIXRIDEを代表するバラードと呼べそうな③「蒼い刻」、哀愁と親しみやすさが融合したハードロック④「蜃気楼の彼方」が並び、デビュー作を超えるのではという期待感を抱かせてくれます。バンドのヘヴィサイドを強調した⑤Black Native World以降は若干テンションが下がるものの、シャッフル調のリズムが新鮮で心地よい⑥Float Flower、リリカルなピアノと下山の繊細な歌唱が胸に沁みる叙情バラード⑦「月影」(作曲はベーシストの竹内 聡)、歌謡曲風でありながら不思議な力強さも感じられる⑧F-Angel、ノリのいいハードロック⑨Row Out、そして前作のREGRET DAYSと同様に明るくアルバムを締めくくってくれる⑪On The Windと良曲が満載です。スラッシーなビートを刻むモダンな⑩「切り裂けば黒い泥が流れる者へ」はサビ以外が語りまたはシャウトという実験的なナンバーでアルバムの中では浮いていますが、これはこれでアリだと思います。

前作以上にメタル成分が減退しているためSIXRIDEにSABER TIGERの続きを期待すると肩透かしをくらいますが、HR/HMファン以外にもアピールできそうな1枚でもあります。惜しむらくはデビュー作に収録されていた「茜色の空」、Dec.級のキラーチューンがないことでしょうか。とは言っても楽曲は十分粒揃いなので、それを求めるのは贅沢なのかもしれませんが…。デビューから2枚続けて名盤クラスのアルバムを発表してくれたSIXRIDEでしたが、2004年の12月にセカンドギタリスト荒瀬 崇光の脱退とバンドの活動休止を発表しています。その後、下山は島 紀史(G/CONCERTO MOON)と組んだDOUBLE DEALERを再始動(2009年に解散、2010年にはSABER TIGERに復帰)、青柳は2006年に自身のバンドJADESTERを結成し2009年に1stアルバム「EGOIST」をリリースするなど中心メンバーの2人は別々の道を歩んでいます。とはいえ青柳が下山のアコースティックライブ「夜会」にゲスト参加するなど交流は続いているようだし、SIXRIDEとしても2014年5月にGACHARIC SPINの札幌公演に友情出演して新曲を披露したそうなのでいつか復活してほしいですね。

【音源紹介】
ごめんなさい。本作の音源を見つけることができませんでした。

【CD購入録】下山 武徳「アコースティック・マキシシングル四部作『地水火風』」(2009~2010)

  • 2015/04/04(土) 00:00:00

【CD購入録】
SABER TIGER、DOUBLE DEALER、SIXRIDEといったバンドで活動してきた下山 武徳(Vo)のデビュー10周年を記念するアコースティック・マキシシングル四部作「地水火風」を買いました。各作品ともにオリジナルの新曲3曲、ライブ音源1曲(2006年発表の2ndソロ「SINGER」より)という構成となっています。

今回はそれぞれのジャケットと気に入った楽曲の一言コメントを書いていきます。

一期一会 「地」
下山 武徳「一期一会~『地』~」(2009)
①「一期一会」
フォークソングのようなシンプルな演奏であるがゆえに一層引き立つ下山の熱唱が胸に響きます。
②「記憶の土」
アコギをかき鳴らしながら歌われるメロディがキャッチーで良いです。

白い軌跡 「水」
下山 武徳「白い軌跡~『水』~」(2009)
①「白い軌跡」
静かな歌い出しから徐々に盛り上がっていく展開が感動的。
③Freedom Cry
下山の情感のこもったボーカルが炸裂。「哀しきは自由♪」というサビが耳に残ります。

焔丿鳥「火」
下山 武徳「焔丿鳥~『火』~」(2009)
①「焔丿鳥」
「火」というテーマから連想される激しさが感じられる1曲。アレンジ次第ではカッコいいメタルチューンにもなりそうです。
③「ともしびのうた」
「焔丿鳥」が「動」だとすれば、こちらは「静」の歌。メロディを丁寧に紡いでいく穏やかなバラード。

風音舞う「風」
下山 武徳「風音舞う~『風』~」(2010)
①「あなたへの風」
演奏を一切排除したアカペラソング。押し寄せてくる下山の歌声にただ酔いしれるのみです。
③「風音舞う」
四部作のラストを締めくくるのに相応しいスケールの大きな1曲。「風」というテーマに合ったリコーダーをフィーチュアしているのもいいですね。

オリジナル曲はどれも5分越えとアコースティックにしては長尺でありながら、間延びしている感はなく聴き応えがあります。またライブ音源については音質が今ひとつではあるものの「生」ならではの魅力に満ちていて好印象。ただ、こういう音源は1つのライブ作品としてじっくり聴きたいし、4枚のマキシという形態を取っているため出費がかさむ(1,500円×4枚)のが痛いですね…。そんな不満点はありますが十分楽しめる内容であることは間違いありません。今回の四部作リリース後の下山はSABER TIGERでの活動を軸にしていますがソロ名義でのアルバムも聴きたいですね。

SIXRIDE「TICKET TO RIDE」(2003)

  • 2015/04/01(水) 00:00:00

TICKET TO RIDE
【No.425】
★★★★(2003)
年間ベスト2003年第2位

1997年にSABER TIGERへ加入、その後は島 紀史(G/CONCERTO MOON)DOUBLE DEALERを結成するなどしていた魂のボーカリスト下山 武徳がSABER TIGER脱退後に結成した自身のバンドSIXRIDEのデビュー作。下山のバックを固めるのは青柳 慎太郎、荒瀬 崇光という若いギターチーム、SABER TIGER時代の盟友で下山と共にバンドを脱退した竹内 聡(B)、礒田 良雄(Ds)ということもあって実際に聴くまではSABER TIGERにも通じるメタルサウンドを漠然と想像していました。しかし本作ではヘヴィメタルというジャンルに囚われることなくロックンロール、モダンロック、歌謡曲調からバラードまで幅の広いロックサウンドを聴かせてくれます。

穏やかなイントロに続くキャッチーなサビからスタートする①「茜色の空」はPVも制作されたリードトラックで、歌謡曲っぽいメロディは一度聴いたら耳から離れないし終盤でロック調になるアレンジもグッド。SABER TIGER直系のメタリックチューン②HANG ON MY SOUL、③SOME LIEで畳み掛けた後は一転して悲哀に満ちた④That I Wish、アコースティックで優しく聴かせる⑤「想い人へ」というバラードが2曲続きます。このバンドはメタルソングもさることながら、それ以外の楽曲に魅力的なものが多いと感じていたのですがメカニカルなインスト⑦Sigma 6に導かれて始まるスピードメタル⑧SIGNAL X以降のアルバム後半でその傾向はより顕著になっています。メロディアスなサビが秀逸なミドル⑨「アルマレトラ」、爽やかな中にも哀愁のメロディをしっかり刻み込んだ名バラード⑩Dec.、そしてアルバムを軽やかに締めくくるロックンロール系⑭REGRET DAYSなど、これまでに下山が在籍していたバンドでは聴くことのできなかったナンバーが素晴らしいですね。そんな楽曲群の全てを手掛ける青柳 慎太郎はこれまで無名の存在でしたが本作を聴いて以降、僕にとっては注目のメロディメイカーとなりました。

そんな青柳との出会いも印象的だったものの、本作(というかSIXRIDE)の核となるのはやはり下山の情感溢れるボーカルです。SABER TIGER、DOUBLE DEALER、ソロ名義のアコースティック作品など、これまでは全て英語詞で歌っていましたが下山 武徳という歌い手は語感の良さよりも歌詞に想いを込めることを重視するタイプなので、それを英語で実現しようとするとメロディにうまく歌詞が乗らなかったり、そもそも英語として不自然に感じたりする場面があったのも事実。それに対してSIXRIDEでは日本語で歌う下山が聴けるので、彼の想いやメッセージがより明確に伝わってくるのが大きいですね。下山の歌唱法はアクが強いものの既に免疫ができていた僕にとっては逆にそこが魅力的だし、感情剥き出しでぶつかってくる彼のボーカルパフォーマンスは胸に響きます。下山主導のバンドということもあってSIXRIDEではSABER TIGERやDOUBLE DEALER以上に彼の歌が活かされていますね。

【音源紹介】
茜色の空