HAREM SCAREM「BELIEVE」(1997)

  • 2012/05/31(木) 00:00:00

H SCAREM BELIEVE
【No.330】
★★★(1997)

透明感あるハードポップサウンドだったデビュー作「HAREM SCAREM」(1991)、センス豊かな音楽的魅力を凝縮した2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本のメロディック・ロックファンの心をガッシリ掴んだものの、前作「VOICE OF REASON」(1995)が大方のファンの期待を裏切るヘヴィ/ダーク路線だったHAREM SCAREMの4thアルバム。僕も前作の音にはショックを受けた1人だったので、初めて本作を聴いた時は前作のムードを継承しつつも基本的には初期2作品のメロディアス路線にシフトした音楽性に一安心したのを覚えていますが、元々「KARMA CLEANSING」というタイトルで曲順のみならず収録曲も異なっていたものを、レコード会社から注文が入ったため日本でのみ若干内容が異なる「BELIEVE」としてリリースされたという、いわくつきの作品でもあります。

上記のような経緯から「レコード会社に迎合して作られた商品」という見方をされてしまいがちなのに加えて、後にメンバー自身が「納得できるアルバムではなかった」と語っていることもあってある意味、問題作なのかもしれません。ただし個人的には結構気に入っていて、曲構成が2nd収録の名曲Change Comes Aroundに似た①Believe、いかにもHAREM SCAREMらしいシングル曲②Die Off Hardというロックソング2曲による掴みは良好だし、Harry Hess(Vo)よりも荒々しい歌い方をするDarren Smith(Ds)のリードボーカルをフィーチュアした哀愁のドライヴィングチューン④Staying Away、まるでPete Lesperance(G)のギターが歌っているかのようにメロディアスなインスト⑤Baby With A Nail Gun、アコースティックギターとストリングスでしっとり聴かせるバラード⑧Rainなどは僕の大好きな曲です。それでいて前作に近い曲調の③Hail, Hail、ほのぼのムード漂う⑥Morning Greyなどの配置も良い意味での箸休め的な役割を果たしていると思います。とはいえ、この曲順を決めたのはレーベル側であって、バンドとしては日本以外でタイトル曲となっている⑩Karma Cleansingのインダストリアルっぽくもある実験的サウンドこそが当時の真の姿だという気持ちがあったのかもしれませんが…。

そんな本作はオリジナル盤発表の約半年後に収録曲の半分(①、③、④、⑥、⑧)にMR.BIG等との活動でも知られるKevin Elsonがリミックスを施しているほか「KARMA CLEANSING」に収められていたCages、The Mirrorと新録曲SurrenderCHEAP TRICKのカバー)を追加した「BELIEVE SPECIAL EDITION」をリリースしています。このスペシャルエディションも聴いてみたところ「リミックスされた曲についてはオリジナルの方が好みだけど曲数が多く聴けるのは良いかな」という感じですね。「KARMA CLEANSING」にのみ収録されていた2曲については悪くないものの、これらの代わりに「BELIEVE」に収められていた④、⑤の方が僕は断然好きです。またSurrenderをカバーしたことがきっかけとなって、バンドは次作5th「BIG BANG THEORY」(1998)でパワーポップ色をがグッと強めていくことになります。

【音源紹介】
・Rain

【CD購入録】CRYSTAL VIPER「LEGENDS」(2010)

  • 2012/05/28(月) 00:00:00

【CD購入録】
LEGENDS.jpg
CRYSTAL VIPER「LEGENDS」(2010)

4オクターブの声域を持つMarta Gabriel嬢(Vo)擁するポーランド出身の正統派メタルバンドCRYSTAL VIPERの3作目を買いました。内容はこれまで同様、安心して聴くことのできる正統派サウンドです。その中でやはり僕を惹きつけてくれるのはMartaの歌唱で、安定感のあるハスキーなミドルレンジや伸びやかなハイトーン、バラードでの優しい歌声など、現在のメロディックメタルシーン屈指の女性シンガーたる実力を見せつけてくれていますね。その一方で楽曲の方は僕の琴線に触れるメロディの登場頻度がデビュー作を頂点として下降気味な気もします。本作収録曲も十分魅力的なのですが、過去作品と比べると少し物足りないかな…。先日リリースされたバンドの最新作「CRIMEN EXCEPTA」もチェックするかは微妙ですね。

【CD購入録】CHILDREN OF BODOM「RELENTLESS RECKLESS FOREVER」(2011)

  • 2012/05/26(土) 00:00:00

【CD購入録】
RELENTLESS RECKLESS FOREVER
CHILDREN OF BODOM「RELENTLESS RECKLESS FOREVER」(2011)

華麗なるネオクラシカルサウンドと暴虐性に満ちたデス/ブラックメタルを融合させた2nd「HATEBREEDER」(1999)での衝撃的な出会い、そして個人的に現代エクストリームメタルの新しい扉を開けた名盤だと思っている4th「HATE CREW DEATHROLL」(2003)のインパクトも絶大だったCHILDREN OF BODOMの7作目を買いました。前述のように、このバンドは僕のミュージックライフにおいて重要な意味を持つアルバムを発表してくれているのは事実ながら作品によって好き嫌いが分かれ、ここ最近の2作品はあまり好きになれなかったので期待以上に不安が大きい中で聴いてみました。数回リピートした現時点では前作「BLOODDRUNK」(2008)よりもキーボードサウンドが戻ってくるなど、若干ですが僕が好きだった頃の音像に近い作風だと思います(ただしアルバムを代表するようなキラーチューンはないような気も…)。CHILDREN OF BODOMというバンドの特色と呼べる要素は確かに存在するものの、肝心のメロディが耳に残らないという感じでしょうか。カッコいいと思える部分はあるけれど過去の名盤と比べると物足りなさが残る、そんな1枚という印象です。HR/HMの中でもメロパワを好む僕のようなリスナーにとって今の彼らの音楽性はストライクゾーンから外れているのかもしれませんね。ちなみに日本盤ボーナストラックとして⑪Angels Don't Kill、⑫Everytime I Dieのライブバージョンが収録されていますが、どちらも似た印象のミドルテンポなので今イチ盛り上がりに欠ける感があるのも残念かな。ちなみにバンドは今年の5月23日に結成15周年を記念したベスト盤「HOLIDAY AT LAKE BODOM」を発表しています。

【CD購入録】WIG WAM「WALL STREET」(2012)

  • 2012/05/24(木) 00:00:00

【CD購入録】
WALL STREET(JPN)
WIG WAM「WALL STREET」(2012)

これまでのアルバムで「とにかく明るくメロディアスなロックンロール」を聴かせてくれたノルウェー産バンドWIG WAMの4作目を買いました。過去作品は「ROCK'N'ROLL」という単語を使ったタイトルが多かったのに対して今回は「ウォール街」というロックンローラーとはある意味で対極に位置するものとなっていたり、アルバムジャケットとメンバー写真の両方がこれまで以上におバカさが控えめになっていたりするのですが、その辺りが影響してかサウンドの方にも変化が見られます。従来の能天気なまでの明るさはかなり抑えられていて、それに伴ってGlam(Vo)が派手なシャウトを決める場面も激減しているので、第一印象としては地味です。ゴシックテイストやデジタルサウンドを導入している曲もあって、初めて聴いた時は違和感を覚えました。とはいえWIG WAMならではのメロディセンスは健在なので、これまでのアルバムとの違いを味わいながら本作をリピートしたいと思います。

HAREM SCAREM「VOICE OF REASON」(1995)

  • 2012/05/21(月) 00:00:00

VOICE OF REASON
【No.329】
★(1996)

情感豊かなHarry Hess(Vo)の歌声と厚みのあるバックコーラス、センス溢れるPete Lesperance(G)のギターワーク、そして安定感のあるリズム隊を土台にデビュー作「HAREM SACREM」(1991)では甘口ハードポップ、2nd「MOOD SWINGS」(1993)では構築美とドラマティシズムに満ちたメロディックロックを聴かせてくれたHAREM SACREMの3rdアルバムにして一般的には問題作と言われることも多い1枚。僕はHR/HM歴2年目の1996年にHAREM SCAREMの初期2作品に出会い、その音楽性にすっかり魅了されたので大きな期待を胸に聴いたアルバムでした。本作に関しては賛否両論あって、中には「もっと再評価されるべき」という声もあるようですが僕にとっては「HAREM SCAREMの作品群の中でもCDトレイに乗せる回数が少ないアルバム」です。オープニングの①Voice Of Reasonの冒頭で前作を彷彿とさせる捻りの効いたギターリフが流れてきた時は手応えを感じましたが、その①を含む楽曲がどうにも地味で過去2作にあったポジティブムードから意図的に距離を置いたかのようなヘヴィでダークなものが多いため、キャッチーでメロディアスな音を好む僕にはかなりキツかったですね。本作を買った1996年当時はいろいろなバンドのアルバムを聴き漁っていたので、本作は数回聴いただけでCDラックに眠ったままになっていました。

そんな僕がこのアルバムを再び聴くようになったのは、バンドが名義をRUBBERからHAREM SCAREMに戻して最初のライブ盤となる「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)に収録されている本作の③Warming A Frozen Rose、⑧The Paint Thinsを聴いて「今までは気づかなかったけどカッコいいな」と思ったのがきっかけでした。そうして改めて本作と対峙してみると、リリース当時に抱いていたダークな作品という表面的なイメージの下に確かに存在する②Blueや③のメランコリックな旋律美、比較的キャッチーな歌メロとPeteらしいギターワークをフィーチュアした⑥Breathing Sand、「MOOD SWINGS」の路線に近く本作では異色と言えるほど躍動感がある⑧などはグッときました。ただしアルバムトータルで見ると、どこか弱いと感じてしまうんですよね。その要因としては、それまでのバンドの歴史を総括したかのような「LIVE AT THE GODS 2002」のセットリストで2~3曲演奏される分には問題ないけれど「VOICE OF REASON」という1枚の作品として聴くとダークな雰囲気が支配的でカラフルさに欠けるため、アルバムジャケットに通じるモノクロな印象が強く残ってしまうからではないかと思います。

HAREM SCAREMというバンドは2008年に解散するまで「HAREM SCAREM」、「MOOD SWINGS」という初期2作品の亡霊と常に戦っていたように思うのですが全ては本作から始まったと言っても過言ではありません。2ndが日本でヒットした影響で当初国内盤リリースの予定がなかった(であろう)1stも発売され、タイプの異なる2枚でありながら両方とも日本受けする作風でファンの期待が高まったところに、バンドの支持基盤の間では不人気なグランジ寄りの本作を発表したというタイミングの悪さもバンドにとっては逆風でした。日本では批判的な意見が多かったものの、バンド側は「VOICE OF REASON」が自信作でもあったために本作以降HAREM SCAREMはファンやレコード会社からの意見と自分達がやりたい音楽とのジレンマに苦しむことになってしまうのでした…。問題作と見なされることが多いのは事実ながら前述したように高く評価する声も根強く、玄人受けしている感があるので聴いてみるとツボにはまるという方も少なくないようですが僕はもっと華やかで耳に残る楽曲が欲しかったですね。

【音源紹介】
・The Paint Thins (Live)

【CD購入録】TOBY HITCHCOCK「MERCURY'S DOWN」(2011)

  • 2012/05/19(土) 00:00:00

【CD購入録】
MERCURYS DOWN
TOBY HITCHCOCK「MERCURY'S DOWN」(2011)

それまでは無名だったもののJim Peterik(G/ex-SURVIVOR)に見出だされるや、その伸びやかな歌声でメロディック・ロックファンの注目を集めることとなったToby Hitchcock(Vo)による初のソロアルバムを買いました。Jimと組んだPRIDE OF LIONSで発表した3枚のアルバムで素晴らしい歌声を披露してくれていたので、彼がJim以外のソングライターと組むとどんな作品が出来上がるのか興味があったし、ソロの相棒がECLIPSEW.E.T.で目下売り出し中の若手注目株Erik Martensson(Vo、G)だと聞いて期待値がグッと上がったことは言うまでもありません。本作で聴けるのはPRIDE OF LIONSよりも若干ヘヴィながらキャッチーさをしっかり保ったメロディアスハードで流石のクオリティを備えています。現時点でのお気に入りはPVも制作された①This Is The Moment~②Strong Enoughという冒頭の流れと本編を締めくくるタイトル曲⑫Mercury's Downですね。ただし本作がメロディックロックの充実盤であるのは確かながら、この2人ならこれくらいはやってくれるだろうという想定内の出来だというのも事実だったりします。FRONTIERS RECORDSの作品によくある「良いアルバム止まり」というか…。贅沢な望みだというのはわかっているんですけどね。

【CD購入録】中島 卓偉「TAKUI NAKAJIMA ANNIVERSARY 1999-2008 BEST YOURS」(2009)

  • 2012/05/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
BEST YOURS
中島 卓偉「TAKUI NAKAJIMA ANNIVERSARY 1999-2008 BEST YOURS」(2008)

福岡出身のボーカリスト/ソングライター中島 卓偉が活動10周年の節目に発表した2枚組ベストアルバムを買いました。元々、彼のことは知らなかったのですが相互リンク先の「はぐれメタラーの音遊生活」(むーじゅさん)の記事を読んで興味を持つようになりました(こちらこちら)。中島 卓偉というアーティストについて調べてみると彼は僕と同い年の1978年生まれで1999年にシングル「トライアングル」でデビュー(当時はTAKUI名義)。THE BEATLES、SEX PISTOLSそしてZIGGYといったバンドに影響を受けているようです。中でも今はソロ活動に専念しているZIGGYの中心人物森重 樹一(Vo)とは親交が深く「尊敬する先輩」「自慢の後輩」という間柄のようで、実際に森重がライブにゲスト参加して卓偉が中学の文化祭でコピーして大絶賛されたというZIGGYのI'M GETTING BLUEを一緒に歌ったこともあるようです(その映像はこちら)。そのようなエピソードを耳にして「森重さん自慢の後輩アーティストなら聴いてみなくては!」と思ったのもひとつの購入動機でした。

不思議な期待感を胸に本作を聴いてみたところ、あっという間に卓偉の類い稀なる歌唱力と作曲センスに魅了されましたね。彼の歌い方はクセの薄くなった森重 樹一という印象で、ストレートで伸びやかな高音、繊細な心情を歌に乗せる表現力ともに素晴らしいの一言。そんな彼が歌う楽曲の方もパンク、ロック、バラード(オシャレ系からパワーバラードまで)、歌謡曲、洗練されたポップスなど実に多彩。全33曲というボリュームながら一聴して耳に残るものが多くDisc-1②「ピアス」、③TRUE MIND、④mother sky、⑪「雪に願いを」、⑫STAY TOGETHER、⑮NEVER FADES AWAY、Disc-2②「蜃気楼」、⑥「イノヴェイター」、⑫「テレビジョン」、⑭SPARKLE MAN、⑮「明日はきっと風の中」、⑯「ひとりになることが怖かった」、⑰「100万回生きたねこ」、⑱BYE BYE BYEなどなど、お気に入り曲を挙げだすとキリがありません(⑰、⑱は未発表曲)。卓偉の実体験を歌にしたという現時点での最新シングル「3号線」(2011)もいいですね(PVはこちら)。彼はこれまでに10枚近くのアルバムをリリースしているようなので、少しずつでも揃えていきたいと思っています。

【中島 卓偉のお気に入り曲5選】
「ピアス」


「雪に願いを」(Acoustic Live)


STAY TOGETHER


「イノヴェイター」


「ひとりになることが怖かった」

HAREM SCAREM「HAREM SCAREM」(1991)

  • 2012/05/14(月) 00:00:00

H SCAREM H SCAREM
【No.328】
★★★★(1996)

通算2作目となる「MOOD SWINGS」(1993)で日本デビューを果たすや、キャッチーなメロディとそれを歌い上げる重厚なコーラス、テクニカルなだけでなく歌心にも溢れたギター、緻密で先の読めない曲展開といった持ち味で日本のHR/HMファンを魅了したHAREM SACREMの1stアルバム。本国カナダでは1991年に発表されていますが日本盤は「MOOD SWINGS」から約1年遅れでリリースされています。2ndが少しダークな雰囲気を醸し出していたのに対して、本作はハードポップ/AOR系の爽やかさと透明感に満ちた1枚となっていますね。HAREM SCAREMの作品群において最もソフトな本作はハードロックバンドらしさを求めると物足りなさを感じるかもしれませんが、メロディの充実度はトップクラスで非常にとっつき易いアルバムといえそうです。

一部の楽曲で外部ソングライターからのインプットはあるものの、基本的にはHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)の2人が曲を手がけていて、その新人離れしたソングライティング能力は目を見張るものがありますね。特にアルバム序盤は「強力」の一言で「You're hard to love, but it's hard to let you go~♪」と惚れた男の苦悩を爽やかに歌うオープニング曲①Hard To Love、サビは勿論そこに至るまでのメロディ展開も秀逸な②Distant Memory、フックに満ちたギターのイントロが流れてきた時点で勝負ありの③With A Little Love、Harryが弱冠17歳の時に書いたとは思えないほどの完成度を誇る名バラードにしてバンドの代表曲でもある④Honestlyへと続く流れは文句のつけようがありません。瑞々しさと甘い旋律を武器に、後のHAREM SCAREMでは得がたい感動を与えてくれる本作の中でも、この冒頭4曲は別格だと思いますね。アルバム中盤は似たカラーの楽曲が続くため若干テンションは下がるものの⑥Slowly Slipping Awayを筆頭に並のバンドであればアルバムのハイライトになってもおかしくないほど高品質なナンバーが並んでいます。そしてポップセンスが光る⑨How LongとPeteのアコースティックギターによるイントロから心洗われる清らかな旋律へと繋がっていく⑩Something To Sayというアルバム本編ラストに配された2曲がまた素晴らしいのも大きなポイント。特に⑩はバンドの隠れた名バラードと呼びたくなる逸品で、個人的には④に勝るとも劣らないほど大好きな曲です。

また本作の収録曲(①、⑥、⑨)にアコースティックアレンジを施したボーナストラック3曲も見事で、その巧みなアレンジからは新人バンドとは思えない風格すら感じられるほどです。デビュー作でありながらRay Coburn(Key/HONEYMOON SUITE)など地元カナダの先輩バンドのメンバーがゲスト参加していることからも、周囲から高いポテンシャルを認められていたことが窺えますね。①、④などはバンドのキャリアを通してライブで演奏されてきた代表曲だし、本作はHR/HMリスナー以外にも受け入れられ易い普遍的な魅力を持ったアルバムだと思います。それだけに彼等がこのアルバムの路線に立ち戻ることなく解散の道を辿ってしまったことが残念ですね…。後のHAREM SCAREMに降りかかる方向性の模索、バンド名変更問題といったネガティブな要素を一切感じさせないハードポップの名盤。ビッグになったバンドのデビュー作を「磨けば光るダイヤの原石」と表現することがよくありますが、本作は原石と呼ぶにはあまりに洗練されていてバンドの並々ならぬ才能を感じさせられます。

【音源紹介】
・Something To Say

【気になるCDリスト】2012年5月

  • 2012/05/12(土) 00:00:00

今月の注目盤はこの2枚で決まりでしょう。

WALL STREET(JPN)
WIG WAM「WALL STREET」(2012)

デビュー以来、不動のメンバーで活動を続けるノルウェーのスリージーグラムロックバンドWIG WAMの4th。本文ではそれなりに評価が高そうなのに意外と点数は低めなBURRN!誌レビューが若干気になりますが、これはレビュアーとの相性な問題もあるんでしょうね…。

FIREBIRTH.jpg
GOTTHARD「FIREBIRTH」(2012)

これまでバンドを牽引してきたSteve Lee(Vo)を交通事故で失うという悲劇を乗り越えてバンドが放つGOTTHARD第2章の幕開けを告げる通算10枚目。本作最大の注目点はSteveの後任という重責を任されたNic Maeder(Vo)ですが、先行でPVが公開された①Starlight③Remember It's Meの2曲を聴く限り、どこかSteveを思わせる歌い回しもありバンドとの相性も良さそうなので期待しています。
ただ、本作の国内盤は発売日が6月20日に延期となったようです…。

あとはACCEPT「STALINGRAD」も気になるところですね。

【気になるCDリスト】
今回から新譜のみにしてみました。

ACCEPT「STALINGRAD」(2012)NEW
ADRENALINE MOB「OMERTA」(2012)
CRAZY LIXX「RIOT AVENUE」(2012)
DRAGONFORCE「THE POWER WITHIN」(2012)
DYNAZTY「SULTANS OF SIN」(2012)
GALNERYUS「絆」(2012)
GOTTHARD「FIREBIRTH」(2012)6月20日発売予定
H.E.A.T「ADDRESS THE NATION」(2012)
HUMAN TEMPLE「HALFWAY TO HEARTACHE」(2012)
JAMES DURBIN「MEMORIES OF A BEAUTIFUL DISASTER」(2012)
MINSTRELIX「TALES OF HISTORIA」(2012)
OVERKILL「THE ELECTRIC AGE」(2012)
THE RASMUS「THE RASMUS」(2012)
SHINEDOWN「AMARYLLIS」(2012)
SUNSTORM「EMOTIONAL FIRE」(2012)
STATUS MINOR「OUROBOROS」(2012)
WIG WAM「WALL STREET」(2012)5月23日発売予定

【CD購入録】HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

  • 2012/05/10(木) 00:00:00

【CD購入録】
STRANGE CASE OF
HALESTORM「THE STRANGE CASE OF...」(2012)

2009年にセルフタイトル作で本国アメリカデビュー、日本では国内盤がリリースされる前にLOUD PARK10で初来日が実現したHALESTORMの2作目を買いました。デビュー作の時点で既に質の高い女声ハードロックサウンドを完成させていましたが、今回も順当な成長作と呼べそうな出来栄えです。ガツンと来るハードナンバーが①Love Bites(So Do I)だけなのでインパクトはそれほど強烈ではないもののミドルテンポはパンチが効いているし、バラードでは一転してしっとり聴かせるなど各曲の完成度の高さに唸らされますね。これからの聴き込み次第ではNICKELBACK「THE DARK HORSE」(2008)、SHINEDOWN「THE SOUND OF MADNESS」(2008)といった僕にとっての北米メインストリーム系ハードロックの名盤と肩を並べるお気に入り作品になるかもしれません。そしてバンドの主役Lizzy Hale(Vo)はやはり歌が上手いですねぇ。ちなみに本作のボーナストラックは国内盤がリリースされていないEP「REANIMATE THE COVERS EP」(2011)からSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、HEART、THE BEATLESのカバー5曲が選ばれていて、中でもLizzyがSebastian Bach(Vo/ex-SKID ROW)になりきって歌う⑬Slave To The Grindは秀逸。なおEPには入っていたGUNS N'ROSESOut Ta Get Meは何故か収録されていません。

ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)

  • 2012/05/07(月) 00:00:00

SHOW ME HOW TO LIVE
【No.327】
★★★★(2011)
年間ベスト2011年第4位

D.C. Cooper(Vo)加入後の2作目、ROYAL HUNTとしては通算4枚目のアルバム「PARADOX」(1997)は僕が初めて出会った神盤と呼ぶべき作品となっただけでなく、当時のBURRN!誌で90年代にデビューしたバンドとしては珍しく表紙に抜擢され、人気投票でもD.C.とAndre Andersen(Key)が各部門のチャンピオンに輝くなど、バンドは名実共に黄金期を迎えていました。ところが初のソロ作品に着手したD.C.とAndreの間に確執が生じてしまい、結果として解雇に近い形でバンドを去ったD.C.が期間限定ではあるものの約13年振りに復帰して2011年4月にツアーを敢行、その後に正式復帰してリリースされた11thアルバム。僕はD.C.の後任を務めたJohn West(Vo/ex-ARTENSION)は勿論、一般的には評価の高くないMark Boals(Vo/ex-YNGIWE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)期にも大好きなアルバムがありましたが、前作「X」(2010)はバンドのトレードマークでもある壮麗なサウンドを抑えた70年代ハードロック寄りの実験的な1枚でした。今後の音楽性がどういう方向に進むのか注目していた時にまさかのD.C.復帰、サウンドもバンド初期のものに回帰するとアナウンスされた今回のアルバムはその宣言通りの快作に仕上がっています。

中世の騎士が描かれたジャケットの世界観に通じる剣の鍔ぜり合いのSEと壮大なオーケストレーションに導かれていかにもAndreらしいキーボードサウンドが流れ出し、それを引き継ぐようにD.C.が「Another day is passing by~♪」と歌い出す典型的ROYAL HUNTソング①One More Dayを聴いた瞬間は思わずグッと来ましたね。もうROYAL HUNTで歌うD.C.は聴けないと思っていたのに、まさかこんな日が来るとは…。そんなオープニングに続いて、今や「ROYAL HUNT第2の声」と言っても過言ではないバックボーカルKenny Lubcke(Vo/ex-NARITA)、近作で数フレーズのリードボーカルを任されているMichelle Raitzin嬢とD.C.が共演する②Another Man Downを聴く頃にはすっかり本作の世界に引き込まれていました。全7曲と収録曲は少ないながら各曲の密度が濃い本作の全体的な印象としては、Andreの1stソロ「CHANGING SKIN」(1998)とJohn Westの初参加作品となった5th「FEAR」(1999)をミックスして各曲をコンパクトに纏め上げた作風で「PARADOX」の次に来ていても不思議ではないと思います。そんなアルバムの中で一際輝いているのが⑤Half Past Loneliness。どこかMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)を思わせる泣きまくりの歌謡曲風メロディと共に駆け抜けるこの曲は、バンドの新たなマスターピースと呼ぶに相応しいキラーチューンで2011年最高の1曲です。

このアルバムを聴き終えて改めて実感するのはJohnやMarkといったD.C.の後任シンガーも実力者揃いでしたが、ROYAL HUNTにはD.C.の声こそが相応しいということです。本作収録曲の中でもAndreが「以前よりも威厳に満ちている」と評するD.C.の声を想定して彼の復帰後に書いた前述の⑤とエンディング曲⑦Angel's GoneがアルバムのハイライトとなっていることからもD.C.とROYAL HUNT(というかAndre)の間にはマジックが存在すると言えると思います。客観的に見れば本作は3rd「MOVING TARGET」(1995)や4th「PARADOX」というD.C.在籍時の過去2作品を上回るほどではないと思うし、10分を越えるタイトル曲⑥Show Me How To Liveがドラマティックな佳曲ながら大作にする必然性が今ひとつ感じられなかったり、Far AwayLong Way Homeといった名バラードを歌ってきたD.C.のバラードが聴けなかったりする点が惜しくもありますが、D.C.の復帰を飾るには十分の力作ではないでしょうか。新加入のギタリストJonas Larsenも派手に弾きまくるタイプで近作では希薄に感じられた華やかさを加味するのに一役買っています。2012年4月から20周年ツアー(5月中旬にはその一環として来日予定)を開始するなどバンドの動きがこれまで以上に活発になってきているので、本作で物足りなく感じた点は次のアルバムに期待したいですね。

【音源紹介】
・Half Past Loneliness(Edit Version)

【ニュース】GOTTHARDの新曲PV

  • 2012/05/06(日) 00:00:00

スイスの英雄GOTTHARDがニューシンガーにNic Maederを迎えて放つ通算10枚目のアルバム「FIREBIRTH」からの1stシングルStarlightのPVが公開されていますね。どことなくバンド初期のブルージーな雰囲気が戻ってきているようにも感じます。今回のアルバムに関しては故Steve Lee(Vo)の後任であるNicがどのようなパフォーマンスを聴かせてくれるのかに注目が集まると思うのですが、第一印象としては「いいシンガーを見つけたな」という感じですね。気になる新作は5月30日発売予定です。

Starlight

【CD購入録】NIVA「GOLD FROM THE FUTURE」(2011)

  • 2012/05/03(木) 00:00:00

【CD購入録】
GOLD FROM THE FUTURE
NIVA「GOLD FROM THE FUTURE」(2011)

1994年にあのゼロ・コーポレーションから1stアルバム「NO CAPITULATION」(僕は未聴)をリリースしたものの、その後は活動停止状態だったスウェーデンのメロディアス・ハードロックバンドNIVAが17年振りに発表した2作目を買いました。中心人物のTony Niva(Vo)Goran Edman(Vo)Mats Levin(Vo)が在籍していたこともあるSWEDISH EROTICA、暑苦しいまでの熱唱が持ち味のNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)が現在はフロントマンを務めるLION'S SHAREでの活動経験もあるハイトーン系シンガーで、僕はTony Mills(Vo/TNT、ex-SHY)を連想しました。そんなTonyがRoger Ljunggren(G)、Marcus Persson(Key、B)と共作して生み出した楽曲群は80年代メロディックロックと北欧メタルの空気をたっぷり吸い込んだサウンドで僕の好みにピッタリです。RogerはPatrik Tibell(Vo)T'BELLで活動していたという経歴があり、本作でも④I Rememberの曲作りにPatrikが参加しているというのはメロディ愛好家にとって興味をそそられる情報かもしれませんね。藤木さんがレビューで「北欧美旋律マニア失禁必至」と絶賛していたタイトルトラック⑤Gold From The Futureを筆頭に僕の琴線に触れるメロディが満載の本作はなかなかの掘り出し物だと思います。

またNIVAに関してはBURRN!誌でもインタビューが実現していないようですがWEB上でインタビューページを見つけましたのでリンクを貼っておきます。こちら