GRAND MAGUS「IRON WILL」(2008)

  • 2011/11/30(水) 00:00:00

G MAGUS I WILL
【No.311】
★★★(2008)

4th「ON FIRE」(2002)からSPIRITUAL BEGGARSに加入し、そのディープな激シブヴォイスでバンドの飛躍に一役も二役も貢献したJB(Vo)ことJanne Christofferssonがリーダーを務めるトリオ編成バンドGRAND MAGUSの4thアルバム。2010年にJBはGRAND MAGUSに専念したいという理由でSPIRITUAL BEGGARSを脱退しています。このGRAND MAGUSというバンドはBURRN!誌などで「ドゥーム・メタル」の枠で括られることが多かったので、メロディアスなHR/HMを好んで聴く僕の頭の中では「ドゥーム」→「スロー」→「退屈」という乱暴な三段論法が成り立ってしまい(苦笑)、なかなか手を出せずにいました。ところが、前作「WOLF'S RETURN」(2005)辺りからドゥーム色は弱まってきたという評判を耳にするようになったし、JBのボーカルは大好きなので本作で初めてGRAND MAGUSを聴いてみることになった次第です。

アルバムの基本線はSPIRITUAL BEGGARSと同じくヘヴィで骨太なHR/HMでありつつ、こちらの方が泥臭くラフな印象があります。最初に聴いたときは欧州民謡風フレーズで始まり中盤以降で加速していく①Like The Oar Strikes The Water、本作の中で最もわかりやすくキャッチーな②Fear Is The Keyくらいしか耳に残らず、地味なアルバムかとも思いましたがリピートするうちにジワジワと旨みが出てきました。小インスト③Hovdingに続く④Iron Willが醸し出すどっしり感とJBの「Iron Will~♪」という伸びやかで太いシャウトに「アァイ!ルォン!ウィル!」のゴツいコーラスが絡むラストはカッコいいし、バンドの本質である重々しさと神秘的なムードが同居した⑦Self Deceiver、⑧Beyond Good And Evilといったヘヴィチューンも本来こういったスローで重たいナンバーは苦手な僕ですら引き込まれそうになる不思議な魅力があるんですよね。そんなスロー~ミッドテンポ主体のアルバム後半にあって、絶妙なアクセントとなっているのが躍動感溢れるアップテンポ⑥Shadow Knowsの存在。切れ味鋭いこの曲のギターリフは前後の楽曲が放つ重たい空気を一変させるとともに、この曲があるからこそ⑦以降のアルバム終盤で聴ける暗くて重い流れが更に活かされていると思いますね。

JBの歌唱はSPIRITUAL BEGGARSと同じく超パワフル且つ、どれだけ声を張り上げても常に余裕を感じさせるもので、これはもう素晴らしいの一言です。相違点を挙げるとすればGRAND MAGUSは自分のバンドということもあってか、エネルギーを制御することなく良い意味で荒く、伸び伸びと歌っているような気もします。そして驚いたのは彼が歌だけでなく兼任するギターの方でも僕の心を震わせてくれているという点です。リフは重々しくて勢いがあり、ソロはメロディアスなそのギタープレイはすごくテクニカルだとか、圧倒的な泣きを放っているといったものではないのですが非常に味があります。本編ラスト⑨I Am The Northのエンディングでのギターメロディもいいですね。本作の中で僕が好きなタイプの曲は即効性の高い①、②、⑥であることは確かですが「ドゥーム」の香りがする他の楽曲も聴けば聴くほどに味わいが増すスルメ盤といえる1枚です。

【音源紹介】
Fear Is The Key

【CD購入録】BOREALIS「FALL FROM GRACE」(2011)

  • 2011/11/27(日) 00:00:00

【CD購入録】
FALL FROM GRACE
BOREALIS「FALL FROM GRACE」(2011)

ツインギターにキーボード奏者も擁するカナダ出身の5人組メタルバンドBOREALISの2作目にして日本デビュー盤を買いました。本作完成後にギタリストの1人が脱退しているようです。サウンドの方は正統派メタルを基盤に北欧メロデス風バッキングとなかなかメロディアスなギターソロ、プログレメタルっぽいキーボードワークの上に中心人物Matt Marinelli(Vo、G)の力強く歌い上げるタイプのボーカルが乗るという感じです。一聴して心を奪われるようなキラーチューンはありませんが終始、良い手応えを感じながら聴ける1枚だと思います。今後の更なる成長に期待したくなるバンドですね。

【ニュース】GOTTHARDのニューシンガーが決定

  • 2011/11/24(木) 00:00:00

既に複数のサイト/ブログさんで書かれているように、故Steve Leeの後任ボーカリストのオーディションを行っていると以前から報じられていたGOTTHARDのニューシンガーが決定したようです。一時、地元スイスで彼等に次ぐ人気と実力を誇るハードロックバンドSHAKRAの元フロントマンMark Foxに決まりそうだという話も耳にしましたが、最終的にはNic Maederという人物に決まったとのこと。このブログでもニュースソース源としてお世話になっているBLABBERMOUTH.NETによると彼は1971年のスイス生まれで現在はオーストラリアでMAEDERというバンドで活動しており、歌だけでなくギターにピアノ、ソングライティングも手掛けるマルチプレイヤーのようなのでボーカル面のみならず作曲面にも関わっていくことになりそうです。ちなみにNicのバンドMAEDERは2007年にセルフタイトルのデビュー作をリリースしています。バンドのマイスペースはこちら

バンドは早くもNicを迎えた新作の準備を進めているらしく、新曲Remember It's MePVで彼のパフォーマンスを確認することができます。そして2012年春にはニューアルバムを発表する予定だそうです。Nicの声質はSteveに近いので第一印象としては、さほど違和感はありませんが似たタイプのシンガーだからこそ脳内でSteveの声を補完している自分に気づいてしまったり…。前任者Steveの存在がファンの中でも非常に大きかっただけにバンドの今後は前途洋々とはいかないと思いますが、Nicと新たな一歩を踏み出した新生GOTTHARDの次回作は2012年の注目盤となりそうですね。

【ニュース】ROYAL HUNTの新曲音源

  • 2011/11/21(月) 00:00:00

日本では12月7日にリリースされるROYAL HUNTD.C. Cooper(Vo)復帰作で通算11枚目のアルバム「SHOW ME HOW TO LIVE」よりHalf Past Lonelinessの音源が公開されていますね。オフィシャルではなさそうなので削除されるかもしれませんが、これはかなり僕好みの1曲ですね。12月7日が本当に楽しみです!



【アルバムジャケットとトラックリスト】
SHOW ME HOW TO LIVE
1. One More Day
2. Another Man Down
3. An Empty Shell
4. Hard Rain's Coming
5. Half Past Loneliness
6. Show Me How To Live
7. Angel's Gone

【ニュース】LIGHTNINGの新曲PVとROYAL HUNTのサンプル音源

  • 2011/11/18(金) 00:00:00

屍忌蛇(G/VOLCANO、ex-GARGOYLE、ANIMETAL)の一番弟子で「慟哭の剣」の異名を持つIron-Chino(G)率いるLIGHTNINGの3rd「JUSTICE STRIKE」(12月14日発売予定)よりタイトルトラックのPVが公開されています。

Justice Strike

前作「FIVE RINGS」(2010)でボーカルを務めたRobert Waterman(Vo)はバンドを去っていて、本作では「神国に舞うブレイヴハート」勇舞(Vo)を迎えています。その勇舞は前任者と同じく若干ガナリ気味に熱く歌い上げるタイプで、バンドの世界観にマッチしていると思いますね。この曲を聴く限り本作も「Jメタル志士の」名に偽りのない力作となっていそうなので期待が募ります。

そして個人的に12月最大の注目盤であるROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(12月7日発売予定)についても全7曲のサンプル音源がこちらで公開されていますね。D.C. Cooper(Vo)の復帰アルバムとなる本作のサンプルを聴いた印象ではD.C.最後の作品となった4th「PARADOX」(1997)の次に来ていてもおかしくないのは?と思うほど、あの頃のROYAL HUNTらしいと感じました。こちらも即買い決定です。

NICKELBACK「DARK HORSE」(2008)

  • 2011/11/15(火) 00:00:00

DARK HORSE
【No.310】
★★★★(2009)

これまでに全世界のアルバム総売上で約2,700万枚という驚異的な数字を記録しているカナダのモンスターロックバンドNICKELBACKの6thアルバム。このバンドは一般的にヘヴィロック、ポストグランジと分類されているようですが、僕がこのバンドの中で唯一聴いたことのある4th「THE LONG ROAD」はやや単調で耳に残るメロディが少ないように思えて聴き込むには至りませんでした。しかし本作では大きく印象が異なっていて、個人的には「高品質な正統派ハードロック」と呼びたくなる1枚となっています。ここまで聴きやすくなった変化についてはDEF LEPPARDの代表作「HYSTERIA」(1987)などを手掛けた有名プロデューサーでヒット請負人とも言われるMutt Langeの影響なのかもしれません。NICKELBACKの場合、これまでも好調なセールスを記録していましたが、本作で更にスケールが大きくなったようにも感じます。

本作は何と言っても楽曲が素晴らしいということに尽きますね。アルバムの掴みとして申し分ないハードロック①Something In Your Mouth、ノリのいいリズムにエネルギッシュなサビと「ヘイ!」の掛け声が乗る②Burn It To The Groundでガツンとかましておいて、ポップなメロディが絶大なインパクトを残すシングルにして名曲の③Gotta Be Somebody、そして男の哀愁を感じさせるバラード④I'd Come For Youと来た時点で名盤だと直感しました。中盤をタイトに引き締める⑤Next Go Round、⑥Just To Get Highといったハードチューンを経て、作品後半に配された楽曲についても分厚いコーラスが印象的なバラード⑦Never Gonna Be Alone、本作のロックソングの中でも一番好きな⑨S.E.X.、リラックスムードを醸し出しながら爽やかに作品を締めくくる⑪This Afternoonなど、バラエティ豊かなアルバム構成と見事な曲順で一気に聴かせてくれます。

このアルバムを聴くまでNICKELBACKがこんなに豊潤なメロディを書けるバンドだとは知りませんでした。このサウンドが売れるのであればスイスのGOTTHARDなども世界的にブレイクしても不思議ではないと思うし、個人的には同郷カナダ出身で残念ながら2008年に解散してしまったHAREM SCAREMを思い出しました。⑦における高音域を張り上げても野太さはそのままなChad Kroeger(Vo)の歌声はHarry Hess(Vo/HAREM SCAREM)を彷彿とさせるだけでなく、メロディの運び方、コーラスの乗せ方に至るまでHAREM SCAREMらしさが感じられて、後期HAREM SCAREMが到達できなかった高みにあるのが本作なのではないかなんて思えてくるほど。末永く愛聴できそうなメロディック・ロックアルバムですね。

【音源紹介】
・Gotta Be Somebody

【気になるCDリスト】2011年11月

  • 2011/11/12(土) 00:00:00

正直なところ11月はこれ!という新譜はないように思います。若干気になっている作品は下記2枚でしょうか。

桜牙列伝
DRAGON GUARDIAN & KNIGHTS OF ROUND「桜牙」feat. Leo Figaro「桜牙列伝」(2011)
今年アルバムを発表したDRAGON GUARDIAN & KNIGHTS OF ROUND「桜牙」「新選組魔戦記」は複数のアニメ声優陣がボーカルを務め、間奏パートではセリフが飛び交う内容だったのに対して、本作はLeo Figaro(Vo/MINSTRELIX)がリードボーカルを担当し、元々セリフが挿入されていたパートにはギターソロを盛り込んでいるそうです。DRAGON GUARDIANの1st「聖邪のドラゴン」をリメイクした「DESTINY OF THE SACRED KINGDOM」のような作品でしょうか。
アルバムトレイラーはこちら

HERE  NOW
NICKELBACK「HERE & NOW」(2011)
前作6th「DARK HORSE」(2008)がかなりツボだったNICKELBACKの新作。このバンドの場合、ハズレはなさそうですが現時点では様子見しようかと思っています。
シングル③When We Stand TogetherのPVはこちら

その一方で僕にとっては12月がとてつもないリリースラッシュになりそうな予感がしています。即買い決定のアルバムとしてはD.C. Cooper(Vo)の復帰作となるROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(12月7日発売予定)、今年も彼等の季節がやって来たLAST AUTUMN'S DREAM「NINE LIVES」(12月14日発売予定)、10作目にして初のコンセプトアルバムに挑む陰陽座「鬼子母神」(12月21日発売予定)の3枚は外せないし、3代目シンガー勇舞を迎えた新体制でAVALONレーベルからのリリースとなるLIGHTNING「JUSTICE STRIKE」(12月14日発売予定)も是非聴いておきたい1枚です。

ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」のメイキング映像はオフィシャルサイトで公開中です。
陰陽座「鬼子母神」のトラックリストはこちら
LIGHTNING「JUSTICE STRIKE」のCMはこちら

それ以外にも3月に2nd「GOLDEN MOON」、6月にライブDVD「月華月虹」をリリースしたのに早くも新作を発表するというLIV MOON「SYMPHONIC MOON」(12月21日発売予定)、桜牙などのサイドプロジェクトを含むとこちらも多作なDRAGON GUARDIAN「聖魔剣ヴァルキュリアス」(12月7日発売予定)もあります。気になるバンドの新作が12月にここまで集中したことはこれまでになかったと思うので、今年は年間ベスト選びがかなり難航しそうな気がしています…。

【気になるCDリスト】
新譜
THE ANSWER「THE REVIVAL」(2011)
BLACK STONE CHERRY「BETWEEN THE DEVIL & THE DEEP BLUE SEA」(2011)
BOREALIS「FALL FROM GRACE」(2011)
CHILDREN OF BODOM「RELENTLESS RECKLESS FOREVER」(2011)
CONCERTO MOON「SAVIOR NEVER CRY」(2011)
THE DAMNED THINGS「IRONICLAST」(2011)
DRAGON GUARDIAN「聖魔剣ヴァルキュリアス」(2011)12月7日発売予定
DRAGON GUARDIAN & KNIGHTS OF ROUND「桜牙」「新選組魔戦記」(2011)
EDEN'S CURSE「TRINITY」(2011)
ISSA「THE STORM」(2011)NEW
LAST AUTUMN'S DREAM「NINE LIVES」(2011)12月14日発売予定NEW
LIGHTNING「JUSTICE STRIKE」(2011)12月14日発売予定NEW
PAGAN'S MIND「HEAVENLY ECSTASY」(2011)
POISONBLACK「DRIVE」(2011)
THE PRODIGAL SONS「青い鳥~期待の無い朝希望は降る~」(2011)
RECKLESS LOVE「ANIMAL ATTRACTION」(2011)NEW
ROYAL HUNT「SHOW ME HOW TO LIVE」(2011)12月7日発売予定
STEEL PANTHER「BALL'S OUT!」(2011)
STORMWARRIOR「HEATHEN WARRIOR」(2011)
SYMFONIA「IN PARADISUM」(2011)
TOBY HITCHCOCK「MERCURY'S DOWN」(2011)
小野 正利「THE VOICE – STAND PROUD」(2011)
陰陽座「鬼子母神」(2011)12月21日発売予定NEW

旧譜
ALDIOUS「DEEP EXCEED」(2010)
ALHAMBRA「SOLITUDE」(2010)
ANCIENT BARDS「ALLIANCE OF THE KINGS」(2010)
ANGRA「AQUA」(2010)
ASIA「OMEGA」(2010)
BELLFAST「INSULA SACRA」(2010)
CONCERTO MOON「RISE FROM ASHES」(2008)
CONCERTO MOON「ANGEL OF CHAOS」(2010)
CRYSTAL VIPER「LEGENDS」(2010)
DARK MOOR「TAROT」(2007)
DARK MOOR「ANCESTRAL ROMANCE」(2010)
FAITHEALER「WELCOME TO THE EDGE OF THE WORLD」(2010)
GRAND MAGUS「HAMMER OF THE NOATH」(2010)
LORDI「BABEZ FOR BREAKFAST」(2010)
MEAT LOAF「HANG COOL TEDDY BEAR」(2010)
OPERA MAGNA「POE」(2010)
OUTLOUD「OUTLOUD」(2009)NEW
PHILIP SAYCE「INNEREVOLUTION」(2010)
PRETTY MAIDS「PANDEMONIUM」(2010)
PRIVATE LINE「21ST CENTURY PIRATES」(2004)
SHINING LINE「SHINING LINE」(2010)
UNRULY CHILD「WORLDS COLLIDE」(2010)
島 紀史「FROM THE WOMB TO THE TOMB」(2008)
中島 卓偉「TAKUI NAKAJIMA ANNIVERSARY 1999-2008 BEST YOURS」(2009)

【CD購入録】HELL「HUMAN REMAINS」(2011)

  • 2011/11/09(水) 00:00:00

【CD購入録】
HUMAN REMAINS
HELL「HUMAN REMAINS」(2011)

1982年にイギリスのノッティンガムで結成、複数のデモテープ製作を経てようやくレコード会社と契約を結んだもののレコーディング直前にレーベルが倒産、更にはリードシンガー兼ギタリストDavid Hallidayが自殺するなどの不幸に見舞われ自然消滅してしまったNWOBHMバンドHELLによる20数年越しの1stアルバムを買いました。1987年にバンドが活動をストップしてから20年以上の時を経て再始動することになったHELLですが、そのきっかけを作ったのはARCH ENEMY、MEGADETH、NEVERMOREといったバンドの作品を手掛けて現代メタルシーン屈指のプロデューサーとして有名なAndy Sneap。何でもAndyは10代の頃にHELLのライブに足しげく通っていたほどのファンであり、かつての中心人物Davidからギターを教わっていたこともあるそうで、そんなAndyの呼びかけにより再結成したバンドが過去のデモテープ音源も一部使いながら完成したのが本作となります。内容的にはダークでオカルティックなムード漂うヘヴィメタルで、その独特な世界観を見事に表現しているのがDavid Bower(Vo)です。俳優としてのキャリアも持つ、というかそちらが本業でメタルバンドで歌うのは今回が初という彼による芝居がかったボーカルパフォーマンスはカリスマ性すら感じさせるほどで聴き手をアルバムの世界に引き込んでくれます。現在のお気に入りは、このバンドにしては飛び抜けてキャッチーな⑧The Questですね。それにしても自分が音楽業界に身を置く前からのファンだった不運のバンドをこうして復活させたAndyは素直にカッコいいと思います。

CAIN'S OFFERING「GATHER THE FAITHFUL」(2009)

  • 2011/11/06(日) 00:00:00

GATHER THE FAITHFUL
【No.309】
★★★(2009)

SONATA ARCTICAが衝撃的なデビューを飾った頃からのギタリストとして活躍してきたものの、兵役問題の関係で5th「UNIA」(2007)を最後にバンドを脱退したJani Liimatainen(G)が新たに結成した新バンド(プロジェクト)CAIN'S OFFERINGの1stアルバム。Jani以外のメンバーは彼の旧友であるJani Hurula(Ds)こそ知名度が低いものの、他に名を連ねるのはメロパワの王者STRATOVARIUSのフロントマンTimo Kotipelto(Vo)、SONATA ARCTICA時代の元同僚で2011年11月現在はTimo Tolkki(G/ex-STRATOVARIUS etc)の新バンドSYMFONIAに在籍している若手キーボードプレイヤーの注目株Mikko Harkin(Key)、メロデスバンドNORTHERJukka Koskinen(B)というフィンランドメタル界でも名前の通ったプレイヤーが参加しています。サウンドの方はSONATA ARCTICA、STRATOVARIUSの両バンドに近いスタイルでありつつ時折プログレメタル的な展開もあって、メロディックメタルファンの僕にとっては嬉しい音楽性ですね。

ギタリストJani主導のプロジェクトでありながらギターはそれほど前に出てくることもなく、本作の中核を形成しているのはKotipeltoのボーカルです。STRATOVARIUSの作品では少し不安定な彼のハイトーンに危なっかしさを感じることもありましたが本作ではそんな場面が激減していて、これまでは彼の裏返りそうなハイトーンを聴くと「高音域を無理して歌っている」と感じたのに対し、本作では「感情を込めて歌った結果としてそうなっている」という風に不思議とポジティブに受け止めることができますね。Kotipeltoの大ファンを自認するJaniが書く楽曲は本家以上にKotipeltoの声の旨味を引き出しているのではないかと思えるほどです。きっとKotipeltoの歌声で一番美味しい部分を熟知しているんでしょうね。そしてJaniのギタープレイに関しては「フォア・ザ・バンド」の精神で本作に臨んでいるからなのか伴奏に徹している印象が強く、ギターソロと呼べそうなパートは⑨Stolen Waterくらいなので楽曲における存在感はMikkoのキーボードの方が大きいです。

個々の楽曲を見てみるとCAIN'S OFFERINGの音楽性を端的に表現したアップテンポのオープニングチューン①My Queen Of Winter、ドラマティックな展開美が素晴らしいミドル③Oceans Of Regret、クラシカルな速弾きフレーズも飛び出す待望の疾走曲⑥Dawn Of Solaceなどが特にお気に入りです。いわゆる疾走系の曲はそれほど多くなく聴かせるタイプが主流なのですがサビだけでなく、そこに至るまでの流れにおいても僕を惹きつけるボーカルメロディがあるというのがこのバンドの強みですね。STRATOVARIUSが本作と同年に発表した復活作「POLARIS」同様、日本盤ボーナス⑩Tale Untoldを本編の後に収録するのではなくエンディングをピアノバラード⑪Elegantly Brokenで美しく締めてくれるアルバム構成も◎。聞き流してしまいそうな楽曲もなく、Kotipeltoもベストと思えるパフォーマンスを披露してくれているので個人的には「POLARIS」以上のお気に入り盤となっています。Kotipeltoを筆頭に、ほとんどのメンバーが掛け持ち状態であるため正式バンドとして活動するためのラインナップをどう整えるのか気になりますが、次の作品にも期待したいですね。

【音源紹介】
・Dawn Of Solace

【CD購入録】OUTLOUD「LOVE CATASTROPHE」(2011)

  • 2011/11/03(木) 00:00:00

【CD購入録】
LOVE CATASTROPHE
OUTLOUD「LOVE CATASTROPHE」(2011)

Zakk Wylde(G/BLACK LABEL SOCIETY)の後任としてOZZY OSBOURNE BANDに迎えられた若手ギタリストの注目株Gus G.率いる正統派メタルバンドFIREWINDにも籍を置くBob Katsionis(Key、G)を中心としたメロディアス・ハードロックバンドOUTLOUDの2作目を買いました。オープニングの①We Came To Rockはアメリカンでノリの良いロックチューンですが、作品全体としてはいかにも欧州型メロハーらしい適度な愁いを帯びたキャッチーなナンバーが大半を占めていて僕好みの1枚です。絶品のサビメロを歌うコーラスからギターメロディへと至る流れで曲が始まる④Waiting For Your Love(PVはこちら)は今年のベストチューン候補確実だし、それ以外の楽曲も粒揃いでアルバム最後まですんなり聴けます。これは今年の掘り出し物的な作品かもしれません。デビュー作も聴いてみたくなりました。