STEVEN ANDERSON「GYPSY POWER」(1994)

  • 2008/10/29(水) 08:00:35

GYPSY POWER
【No.062】
★★★★★(1996)

スウェーデン出身のギタリストSteven Andersonによるオールインストのデビューアルバム。ネオクラシカルなプレイを基本とする彼のギターは、大別すればYNGWIE MALMSTEENタイプ(実際ライナーノーツにもYNGWIEのプレイを聴いてギタリストの道を志したとあります)なんですけど、アルバムタイトルにもある「GYPSY」という単語から連想されるオリエンタルでエスニックな雰囲気漂う独自の世界観を確立しています。

YNGWIEほど速弾き、テクニカルプレイにスポットを当てるわけではなく、一音一音に籠められたエモーションとフレージングセンスが実に味わい深いのがSteven Andersonの特徴。情感たっぷりに聴かせるスローチューン②The Child Within(後半にかけて盛り上がっていく展開もお見事)、速弾きもきっちりこなせることを証明しつつもフレーズを大切にしながら弾きまくり、2:50からの約1分間がアルバム最大の聴きどころとなっている③Gipsy Flyの2曲が特に好きです。そんな極上のギタープレイで奏でられる哀愁のメロディ自体も実に魅力的で、民族音楽色の濃い①Dance Of The Fortune Teller、曲中盤でのクサいメロディに悶絶の④Orient Express、ポップタッチで楽しげな⑥The Scarlet Slapstickと曲毎のキャラ立ちもしっかりしてますね。そして9分ある3部作⑤Pah-Kwa And The Gat Monadeでは、パート毎にタイプが異なるメロディを持ちながら1つの曲にまとめ上げてしまう構成力に脱帽です。

本作を聴いて、インストアルバムならではの聴き手のイマジネーションを刺激するSteven Anderdonの音楽に夢中になりました。全6曲で約35分では物足りないですね。もっと彼の曲が、彼のギターが聴きたいと思わずにいられない本作は新たなギターヒーローの誕生(ブックレットを見る限りなかなかの美系)を感じさせてくれる1枚です。そんなスター性も秘めた彼も、より耽美的でプログレ色の強い2ndアルバム「MISSA MAGICA」(1996)を発表してからというもの、全く音沙汰のない状態が続いてます。これだけの才能を持ったギタリストを埋もれさせてしまうのは実に勿体ないと思うんですが、この人は今どうしてるんでしょうか。またいつかアルバムをリリースして欲しいですね。

【音源紹介】
・Gipsy Fly