HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/10/31(土) 00:00:00

MY GOD-GIVEN RIGHT
【No.451】
★★★★(2015)
年間ベスト2015年第7位

デビュー30周年を迎えたメロディックパワーメタルの始祖HELLOWEENの15thアルバム。80年代に現代メロパワの金字塔「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」をリリース、その後は迷走した時期があったもののAndi Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)を迎えた「MASTER OF THE RINGS」(1994)で復活。Andiの在籍期間は20年を超え、現在のラインナップになってからは10年間メンバーが固定されるなど、HELLOWEENはここに来て黄金期を迎えたと言いたくなるほどの安定感を誇っています。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)がAndi期HELLOWEENの最高傑作と呼びたくなるほどの内容だったので今回も期待していました。Michael Weikath(G)は本作を「既発の曲が入っていないベストアルバムのようなもの」と表現しているようですが、いかにもHELLOWEENらしいポジティブでキャッチーなメロディに溢れた1枚となっていますね。

所属レーベルNUCLEAR BLASTの社長がいたくお気に入りでオープニングに推薦したという①Heroesこそ佳曲レベルながら、それ以降が実に強力。Weikath節が炸裂する典型的なHELLOWEENソング②Battle's Won、いかにもAndiらしい哀愁のメロディラインが秀逸なタイトル曲③My God-Given Rigthtと中心人物2人がそれぞれの持ち味を発揮しています。またPINK CREAM 69風味も感じさせるAndi曲の④Stay Crazy、コミカルかつ軽快に駆けていく⑤Lost In America、ロシアっぽい(?)リフと無骨でシンプルなサビが耳に残る⑥Russian Ruleと続くアルバム前半を聴いた時点では前作を超える名盤となる予感すらありました。ところが⑦The Swing Of A Fallen World、⑧Like Everybody Elseで失速。アルバム後半の見せ場となっているWeikath曲⑨Creatures In Heaven、サビメロが「GAMBLING WITH THE DEVIL」収録のFinal Fortuneソックリですが僕好みのメロディなので許せてしまう⑩If God Loves Rock 'N' Roll、ここ最近ソングライターとしての存在感が増してきているMarkus Grosskopf(B)作曲の⑪Living On The Edge辺りで盛り返すものの近作と比べると物足りなさが残りますね。

今のHELLOWEENの強みは優れたソングライターが4人もいる点だと思いますが、本作に関してはSascha Gerstner(G)による楽曲が今ひとつでしょうか。また国内盤の限定ボーナストラックを含めると全16曲、収録時間73分という尺の長さもダレを誘っているように思います。HELLOWEENの曲は1曲でも多く聴きたいと思い、限定ボーナスも入った初回盤を買っておきながら言うのも何ですが、もう少し曲数を絞ってくれた方が好印象でしたね。このバンドの場合、楽曲には一定のフォーマットがありメンバーもファンが期待するHELLOWEENらしい曲を提供することに徹していることもあってか、既発曲に似たメロディがチラホラ存在する点も気になります。というわけで注文をつけたくなる部分もありますが総合的に見れば、そんじょそこらの若手には到達できない高みにいることは間違いないし、僕好みのメロパワを量産してくれています。HELLOWEENは今後もこのジャンルのトップに君臨し続けるであろうことを予感させるには十分の充実盤だと思いますね。

【音源紹介】
Battle's Won

【CD購入録】HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/05/28(木) 00:00:00

【CD購入録】
MY GOD-GIVEN RIGHT
HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

2007年発表の12th「GAMBLING WITH THE DEVIL」以降、全てのオリジナルアルバムが僕にとっては名盤クラスという抜群の安定感を誇るHELLOWEENの15作目(初回限定盤)を買いました。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)はバンドの全作品の中でも上位に来る出来だったので今回も期待していましたが、そのハードルをきっちりと越えてくる辺りは流石ですね。先行で公開されていた②Battle's Won、⑤Lost In Americaを含む冒頭6曲は特に強力。ただアルバムトータルとしては前作に分があるという気もしますね。また僕が買った初回限定盤には「STRAIGHT OUT OF HELL」同様にバンダナが特典として付いています。前回も使い道に迷いましたが結局は子供の弁当箱を包むのに丁度よかったので、今回も同じように使わせてもらおうと思っています。あと僕が買ったCDショップではバンドのマスコットであるカボチャと各メンバーがビックリマン風にデフォルメされたオマケステッカーが付いていました。HELLOWEENのファン層にはビックリマン世代が多いと見込んでのことなのかもしれませんが、僕はドンピシャでその世代なのでこういうオマケは面白いですね(笑)。

HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

  • 2013/10/31(木) 00:00:00

STRAIGHT OUT OF HELL
【No.389】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第2位

アルバムによって若干の出来・不出来はあるものの常にメロディックパワーメタルの第一線で活躍し続けるHELLOWEENの14thアルバム。メンバーチェンジが頻繁に起こるバンドではありますが11th「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」(2005)で現ラインナップが固まって以降、その安定感は盤石のものとなったように思いますね。オープニングを飾る①Nabataeaが7分に及ぶ曲の中でプログレッシブな展開とAndi Deris(Vo)の歌唱が緊迫感を放つメタリックチューンなので、 攻撃性重視の姿勢に賛否両論あった(僕は好きですが) 前作「7 SINNERS」(2010)のテイストを今回も継承しているのかと思いきや②World Of War以降では帯タタキにもある通り「メロディアスでハッピーでポジティブ」なHELLOWEEN流メタルが次から次へと飛び出してきます。

キーパーサウンドに魅了されてメタルに入門した身としては上記の②や④Far From The Stars、⑤Burning Sunのような疾走曲が並ぶアルバム前半を聴いた時点で本作が名盤だと確信しました。Andiが在籍していたPINK CREAM 69時代のマテリアルをAndiとSascha Gerstner(G)で仕上げた③Live Now!(シンプルなサビが耳に残ります)、いかにもAndiらしい哀メロが堪能できる⑥Waiting For The Thunderを疾走チューンズの間に配する辺りもお見事だし、QUEENWe Will Rock Youを意識したという2分弱の⑧Wanna Be Godも作品の前半と後半を繋ぐ絶妙な役割を果たすなどアルバム構成もよく練られています。そしてアルバム後半は最近ソングライターとしての成長著しいMarkus Grosskopf(B)によるタイトル曲⑨Straight Out Of Hellからしてエンジン全開。「これぞヴァイキーの真骨頂!」な⑪Years、切迫感のあるパートからSTRATOVARIUSBlack Diamondっぽいサビメロへ展開していく⑫Make Fire Catch The Fly、Saschaお得意のドラマティックチューン⑬Church Breaks Downと繋がる怒濤の流れで本編を締めるなど隙がありません。またボーナストラックの充実振りも流石で国内盤デラックス・エディション限定の⑭No Eternityはおまけにしておくには勿体ない佳曲だし、シングル曲⑤のバージョン違い⑮Burning Sun(Hammond Version)もなかなかの仕上がりです。

ベテランならではの安定感を持ったアルバムであると同時にベテランらしからぬフレッシュさをも併せ持った1枚。HELLOWEENは長い歴史においてシーンを象徴する名曲を生み出してきたバンドなので、本作の収録曲が過去のマスターピースを越えたとは言えないもののアルバム全体の完成度としては圧倒的なオリティを誇っています。このバンドにはかつてKai Hansen(G/GAMMA RAY、UNISONIC)、Michael Kiske(Vo/UNISONIC)といったメロディックメタル界のレジェンド達が在籍していましたが、伝統と革新性が絶妙なバランスで融合した高品質メタルを量産できる現体制もバンドの黄金期と言えると思います。

【音源紹介】
・Years

【CD購入録】HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

  • 2013/01/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
STRAIGHT OUT OF HELL
HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

ここ最近のアルバムが抜群の安定感を誇るジャーマンメタル、いやメロディックメタル界の王者HELLOWEENの14作目を買いました。前作「7 SINNERS」(2010)がこのバンドにしてはかなり攻撃的な作風だった反動からか、今回は帯タタキにもある通りメロディアスでハッピーでポジティブなHELLOWEEN流メタルがぎっしり詰まっています。本作(僕はデラックス・エディションを購入)は15曲収録で約70分にも及ぶ長丁場でありながら何度も繰り返し聴きたくなる魅力がありますね。4人のソングライターが各自の持ち味を出しながらも各曲がHELLOWEENらしさを保持しているのが素晴らしく、今のラインナップが過去最高とメンバーが自負しているのもうなずけます。お気に入り曲を挙げればキリがないほど好きな曲が多いですが一番印象的なのは、いかにもMichael Weikath(G)らしい⑪Yearsですね。2013年初買いのCD購入録記事でこんなことを書くのも何ですが、早くも年間ベスト当確アルバムが登場したかもしれません。デラックス・エディションの特典のバンダナはこれから使い道を考えたいと思います(苦笑)。

HELLOWEEN「THE BEST, THE REST, THE RARE」(1991)

  • 2011/10/31(月) 00:00:00

THE BEST, THE REST, THE RARE
【No.308】
★★★★(1995)

メロディック・パワーメタルのオリジネイターであり後続バンドに多大なる影響を与えたHELLOWEEN初のベストアルバム。本作に収録されている楽曲は1stフルレンス「WALLS OF JERICHO」(1985)、シングル「JUDAS」(1986)といったKai Hansen(G)がボーカルも兼任していたバンド初期、そして専任シンガーMichael Kiskeが加入して1988年と1989年に発表したメロディックメタルの金字塔「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」PART 1とPART 2という所謂「キーパー時代」、すなわち後にGAMMA RAYを結成するKai Hansenが在籍していた時期の作品から選ばれています。ただし「THE BEST, THE REST, THE RARE」というアルバムタイトルの通り、本作はシングルでしか聴けなかったレアトラックを収録していたり、僕を含めた多くのファンが超名曲と見なしているであろうEagle Fly Freeが入っていなかったりしているので純粋なベスト盤というよりは半ば企画盤として捉えた方がいいかもしれません。しかも本作がリリースされた1991年当時はシングルにのみ収録されていた楽曲群についても後に再発されたオリジナルアルバムに追加されていることもあって、KaiがHELLOWEENにいた頃の真髄を味わうなら「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の2枚組(邦題「守護神伝 完全版」)、バンドの全体像を知りたいのであればKiskeの後任Andi Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)期も含めたベスト盤「TREASURE CHEST」(2002)の方が適しているように思います。

【トラックリストと収録作品】
01. I Want Out(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
02. Dr. Stein(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
03. Future World(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
04. Judas(シングル「JUDAS」)
05. Walls Of Jericho(「WALLS OF JERICHO」)
06. Ride The Sky(「WALLS OF JERICHO」)
07. Halloween(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
08. Livin' Ain't No Crime(シングル「DR.STEIN」収録)
09. Save Us(シングル「I WANT OUT」収録)
10. Victim Of Fate(Michael Kiskeバージョン)(シングル「DR.STEIN」収録)
11. Savage(シングル「DR.STEIN」収録)
12. Don't Run For Cover(シングル「I WANT OUT」収録)
13. Keeper Of The Seven Keys(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)

というわけで、今となっては中途半端な感が否めない本作ですが僕にとっては「HELLOWEENと出会った1枚」ということもあって非常に想い出深いアルバムです。メタリックな質感とキャッチーなメロディが絶妙のバランスで同居する楽曲の上でどこまでも伸びやかなKiskeのハイトーンが響き渡る①I Want Out、このバンド特有のコミカル路線を代表する②Dr. Stein、ポジティブムード全開で聴いていると元気になれる③Future Worldという名曲の畳み掛けに一発で魅了されました。その後に続くKaiボーカル時代の④Judas、⑤Walls Of Jericho~⑥Ride The Skyを聴いて冒頭の3曲とは異なる粗削りな曲調、シンガーの力量の差に戸惑いましたが曲そのものは気に入っているし、アルバムの真ん中と最後に配されたそれぞれ13分に及ぶ⑦Halloween、⑬Keeper Of The Seven Keysという大作2曲は僕にとって10分越えナンバーの初体験曲であるだけでなく、僕の中で長編曲を聴く際のひとつの基準にもなっています(非常に高い完成度を誇るこれら2曲を最初に聴いてしまったため、それを上回る大作曲になかなか出会えないハメになってしまうわけですが…)。

またシングルのカップリング曲を集めたアルバム後半は陽気でほのぼのムードすら漂う⑧Livin' Ain't No Crime、KiskeがANTHRAXにインスパイアされて書いたというHELLOWEEN流スラッシュ⑪Savage、つい口ずさんでしまう歌謡曲風メロディが魅力的な⑫Don't Run For Coverなど曲調が実に多彩。今でこそ15年以上に渡ってHR/HMを愛聴している僕ですが、当初はヘヴィメタルに対して「いかつい服装/髪型をしたメンバーによる喧しいだけの音楽」というようなマイナスイメージを持っていました(苦笑)。本作はそんな僕に対してヘヴィメタルの門戸を開いてくれた作品のひとつです。このブログで最初に取り上げたYNGWIE MALMSTEEN「ECLIPSE」(1990)が煌めくような美旋律でヘヴィメタルに興味を持たせてくれた1枚だとすれば本作は親しみ易さとキャッチーなメロディでメタルに対するネガティブな印象を払拭してくれた1枚という感じでしょうか。本作でジャーマンメタル、メロディックメタルに開眼した僕は「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」やEagle Fly Free、How Many TearsといったHELLOWEENの名盤/名曲に出会いましたが、今でも僕がこのバンドに対して抱くイメージは本作の冒頭3曲ですね。前述したように客観的に見ると中途半端なベストアルバムだと思うものの今でも本作を聴くと、初めてこのバンドと出会い衝撃を受けた当時の想い出がよみがえってきます。そういう意味で僕のミュージックライフにとって大切な作品です。

【音源紹介】
・I Want Out

既にHELLOWEEN脱退を決意していたKaiがこのI Want Out(外に出たい)という曲を書いたのだとか…。

HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

  • 2011/02/21(月) 00:00:00

7SINNERS.jpg
【No.278】
★★★★(2010)
年間ベスト2010年第5位

バンドの結成25周年を祝う企画盤「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)では自らの楽曲群にお洒落なラウンジミュージックやオーケストラサウンドを大胆に導入するなどしてファンを驚かせたHELLOWEENがデビュー25周年を迎える2010年にリリースした13thアルバム。僕は「UNARMED」を聴いて「こんなことができるのもメタルバンドとしての攻撃性だけでなくコミカルな要素も併せ持つHELLOWEENならではだなぁ」と好意的に受け止めていましたが、ヘヴィメタルと距離を置きすぎた感もあった同作については賛否両論あったようで「Are You Metal?(おまえらメタルか?)」とバンドに問い掛けるファンもいたそうです。どうやらメンバーの中でも「UNARMED」の作業を進めるにつれて「メタルがやりたい」という気持ちは高まっていたようで、本作ではそんなメタルに対する熱き想いが爆発していますね。過去にPush(8th「BETTER THAN RAW」収録)やKill It(12th「GAMBLING WITH THE DEVIL」収録)で垣間見られたブルータリティを増量しながらも、メロディのフックは従来と同じかそれ以上の輝きを放つ本作の音楽性は自身が生み出したジャーマンメタルスタイルの現代アップデート版とでも言いたくなる逸品です。

①Where The Sinners Goこそメロディックメタルバンドの掴みとしては弱いと言わざるを得ないものの、「UNARMED」に否定的なファンから投げ掛けられた言葉を曲名にしたシングル②Are You Metal?はバンドのメタル愛が凝縮された激しい疾走曲だし、ポップなサビメロが印象的だったPerfect Gentleman(6th「MASTER OF THE RINGS」収録)の続編で本作随一のメロディラインが冴えるメロパワチューン③Who Is Mr. Madman?Michael Weikath(G)ならではのHELLOWEENらしさに満ち、フルートソロもフィーチュアした④Raise The Noise、それまで眠っていた作曲センスが前作収録のFinal Fortuneで覚醒した感のある創設メンバーの1人Markus Grosskopf(B)による⑤World Of Fantasy、ポップなキャッチーメタルだった前曲とは対照的な鋼鉄サウンドを叩きつけ、Andi Deris(Vo)が「JUDAS PRIESTと故Ronnie James Dioに捧げた」と語る⑥Long Live The Kingまで、息をつく暇もない流れに圧倒されました。それ以降は若干テンションが下がり気味ながら、往年のHELLOWEENサウンドを連想させる(特に中盤の間奏パート)Markus作の⑨If A Mountain Could Talk、いかにもヴァイキーらしい⑩The Sage, The Fool, The Sinnerという王道2曲、そしてドラマティックで大仰なメロディが素晴らしい⑪My Sacrificeがかなり良いですね。前作同様、今回も4人のソングライターが曲を持ち寄り、それをメンバー全員で仕上げるという方法でレコーディングが進められたようで、濃厚なメロディを聴かせるAndiが6曲(うち1曲は1分台の小曲)、ヴァイキー節とも言うべき独特のセンスが光るMichael Weikathが2曲、僕好みのドラマティックな美しさを感じさせるSascha Gerstner(G)が3曲、12作目以前のアルバムではあまり印象に残らない曲やシングルカップリング曲が多かったのが嘘のようにバンドの明るいイメージを担う楽曲を提供するようになったMarkusが3曲(ボーナストラックを含む)と、4人のソングライターの個性を感じさせつつ散漫になっていないのは自分達のサウンドに対して確固たるヴィジョンを持ったベテランだからこそなせる業なんでしょうね。

キーパー時代への思い入れが強いため、HELLOWEENのシンガーといえばMichael Kiske(Vo/UNISONIC、PLACE VENDOME)という気持ちが根強い僕ですが、前作「GAMBLING WITH THE DEVIL」(2008)と本作でバンドが提示した「今のHELLOWEEN像」は文句なくカッコいいと感じました。ストイックなまでにメタルサウンドを追求しているためバンドの独自性のひとつでもあるコミカルさは控えめですが、それは「UNARMED」の制作過程においてヘヴィメタルに飢えていたバンドが良い意味でフラストレーションを発散させた結果でしょう。現在のバンドのメインソングライターAndiが書く曲がやや弱いのが惜しいですが、Saschaのペンによる③、⑪やMarkusが手がけた⑤などがそれを補っているので、総合的に見て前作以上に楽曲の粒が揃っていると思います。前作を聴いた時点で「これは僕にとってAndi Deris期HELLOWEENの最高傑作かも」と思っていましたが、この「7 SINNERS」はそれを上回るお気に入り盤となっています。

【音源紹介】
・Who Is Mr. Madman?

HELLOWEEN「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)

  • 2010/10/31(日) 00:00:00

UNARMED.jpg
【No.263】
★★★(2010)

1984年に活動をスタートしたHELLOWEENの25周年記念アルバムである本作はオーケストラと共演をしたり、サックスやホーンによるお洒落なアレンジを取り入れたりすることで過去の楽曲を大胆に生まれ変わらせた企画盤です。僕はMichael Kiske(Vo/PLACE VENDOME、UNISONIC、ex-HELLOWEEN)在籍時に思い入れが強いので、バンドの名曲群を現メンバーで単に録り直すという内容であれば買わなかったと思いますが「普段はメタルを聴かないような人にも楽しんでもらえるアルバムを目指した」とメンバーが語る本作は「UNARMED(=非武装)」というタイトル通り、メタリックな攻撃性を一切排除した興味深い仕上がりとなっています。選曲的にはKiske加入後の作品に限られ、約半数がキーパーアルバムからのナンバーですが普通にHELLOWEENのベスト盤としても通用しそうな名曲/代表曲が並んでいますね。

【トラックリストと収録アルバム】
01. Dr. Stein(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
02. Future World(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)
03. If I Could Fly(「THE DARK RIDE」)
04. Where The Rain Grows(「MASTER OF THE RINGS」)
05. The Keeper's Trilogy(Halloween~The Keeper Of The Seven Keys~The King For A 1000Years)
(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」~「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」~「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」)
06. Eagle Fly Free(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
07. Perfect Gentleman(「MASTER OF THE RINGS」)
08. Forever & One(「TIME OF THE OATH」)
09. I Want Out(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART2」)
10. Fallen To Pieces(「GAMBLING WITH THE DEVIL」)
11. A Tale That Wasn't Right(「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1」)

そんな本作のハイライトはバンドを代表する大作3曲をメドレー形式で1曲(17分)に繋げたアレンジの妙、プラハ交響楽団とロンドン合唱団が織り成すオーケストラサウンドが楽曲本来の壮大さとドラマティシズムを更に増幅させている⑤ですね。その他には、リリカルなピアノとAndi Deris(Vo)の独唱でしっとり始まり後半はストリングスとクワイアで劇的に盛り上がるバラード曲⑧が素晴らしい。これは原曲を超えていると思えるほどですね。HELLOWEENサウンドとオーケストラの相性の良さは演歌にも通じるクサいメロディを持つ⑪でも感じられます。またホーンセクションをフィーチュアすることによって、小粋で洒落た曲に生まれ変わりPVも制作された①、イントロのギターメロディをAndiの地元カールスブルグの子供達による合唱に置き換えた⑨など斬新なアレンジがハマった曲もあれば、②や⑦などは比較的オリジナルのイメージを残しつつポップな側面を強調したものもあります。ただ、その一方で元が疾走曲だった④、⑥は小綺麗に纏まりすぎているように感じられ、メロディックメタル界屈指の名曲として慣れ親しんでいたこともあって違和感が拭えないですね。④を初めて聴いた時はサビになるまで何の曲かわからなかったほどだし、フォーキーでスローになった⑥もオリジナル曲の爽快感が殺がれてしまっているように思います。

というわけで中にはやや無理があるように思える曲はあるものの、全体的に見ると四半世紀に渡ってHELLOWEENが生み出してきた素晴らしい楽曲を緻密な作り込みと遊び心に溢れたアレンジで聴くことができる作品として結構楽しめました。KiskeがHELLOWEEN時代の自作曲に生真面目なアンプラグドアレンジを施した「PAST IN DIFFERENT WAYS」とは対照的でポップに、大仰に、時にはラウンジミュージックのようにと曲によってはかなり大胆に手を加えていますね。ただし本作については賛否両論あるようで企画盤とはいえ、あまりにメタルから掛け離れているために「Are You Metal?(おまえらメタルか?)」と問い掛けるファンもいたとか。ちなみにAre You Metal?という質問は現時点での最新作「7 SINNERS」のシングル曲のタイトルになっています。個人的には長きにわたりメタルシーンの第一線で活躍してきたバンドの中で、ここまで思い切ったアレンジでリメイクを自ら実践しただけでなく「らしさ」が保たれているのはメタルバンドとしてのヘヴィネス、攻撃性だけでなくコミカルで爽やかな魅力も併せ持つHELLOWEENだからこそではないかと思っています。

【音源紹介】
・Dr. Stein(「UNARMED」ヴァージョン)


・Dr. Stein(オリジナルヴァージョン。ボーカルはMichael Kiske)

【CD購入録】HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

  • 2010/10/28(木) 00:00:00

【CD購入録】
7SINNERS.jpg
HELLOWEEN「7 SINNERS」(2010)

来年早々に新作「ELYSIUM」をリリースするSRTARTOVARIUSとのカップリングツアーが決定したHELLOWEENの13作目を買いました。過去の楽曲をメタルとは異なるアレンジで聴かせたバンドの25周年企画盤「UNARMED」(2009)を制作した反動からHELLOWEENの作品群の中でもヘヴィでスピーディーな作風になるとメンバー自身が語っているとおり、どこを切ってもヘヴィメタルな1枚となっています。オープニング曲①Where The Sinners Goが欧州メタルシーンでは受けそうなミドルチューンなのが個人的には残念だったりしますが、それ以降がかなり強力。先行シングルにもなった②Are You Metal?、「MASTER OF THE RINGS」(1994)に収録されているPerfect Gentlemanの続編をSacsha Gerstner(G)が書いた③Who Is Mr. Madman?、フルートソロもフィーチュアした疾走曲④Raise The Noise、バンド第4のソングライターとしての活躍が目立つようになってきたMarkus Grosskopf(B)作で非常にHELLOWEENらしい⑤World Of FantasyJUDAS PRIESTへのトリビュートソングとして生まれRonnie James Dio(R.I.P)への想いも織り込んだというメタリックチューン⑥Long Live The Kingの流れは素晴らしいですね。後半がやや弱いかな?という気もしますがメロディックメタルの王者HELLOWEENの貫禄を感じさせてくれる作品だと思います。

またAre You Metal?のPVを見たときにも思いましたが、本作はソリッドシチュエーション・スリラー映画「SAW」がモチーフになっている部分があるようでブックレットもそれっぽい作りになっていますね。「SAW」といえば、エグいシーンが多いものの何故か1~5まで見続けている映画で、7作目にあたる「SAW THE FINAL 3D」が10月30日に公開されるとか。この映画を3Dで見る勇気はありませんが、ストーリーがどう完結するのか気になるところです。

【CD購入録】HELLOWEEN「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)

  • 2010/02/08(月) 00:00:00

【CD購入録】
UNARMED.jpg
HELLOWEEN「UNARMED BEST OF 25TH ANNIVERSARY」(2009)

バンド結成25周年を祝してHELLOWEENが2009年にリリースしたベストアルバム的選曲によるリメイク盤を買いました。当初はアコースティック作品になるとアナウンスされていましたが、実際に完成した本作を聴いてみるとサックスやホーンを用いてお洒落に仕上げていたり、オーケストラと共演していたりと非常に豪華なアルバムとなっています。 ただ、ほとんどの楽曲に大幅なアレンジが施されてジャーマンメタルとは距離のある印象になっているのでオリジナル曲に思い入れが強いと賛否が分かれるかもしれませんね。アルバムの性質としては森重樹一(Vo/THE DUST’N’BONEZ、THE PRODIGAL SONS、ZIGGY)ZIGGYの25周年を記念してリリースした「KING’S ROAD」(2009)に近いと言えそうです。そういえばHELLOWEENとZIGGYってバンドとしては同い年になるんですね。HELLOWEENは僕にとって思い入れの強いバンド(特にKEEPER時代)なので、④Where The Rain Grows⑥Eagle Fly Freeなど原曲がメタリックなものについては本作のヴァージョンに違和感がある一方で、楽曲そのものが持つポップさが強調された⑦Perfect Gentleman、ピアノ主体のバラード⑧Forever And Oneはすんなり聴けました。メタルバンドとしての魅力だけでなくメロディそのものに親しみ易さがあるHELLOWEENだからこそ実現できた面白い企画盤だと思います。Halloween~The Keeper Of The Seven Keys~The King For A 1000Yearsというバンドを代表する大作3曲をメドレー形式で繋げた⑤The Keeper's Trilogyは本作のヴァージョンも好きだけど、メタルアレンジで聴いてみたいな。

HELLOWEEN「KEEPERS LIVE」(1989)

  • 2009/04/23(木) 08:36:40

KEEPERS LIVE
【No.129】
★★(1995)

HELLOWEENMichael Kiske(Vo)在籍時に残した唯一のライブアルバム。「KEEPER OF SEVEN KEYS」こそメロディックメタルの聖典であり、Kiskeが大のお気に入りシンガーである僕にとって「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 2」発表後の英国ツアーの模様を収めた本作は愛聴盤となってもおかしくないのですが、意外と聴くことが少ない作品です。

まず収録曲がたった7曲というのが物足りないし、超名曲Eagle Fly Freeも収録されていない選曲もちょっと不満かな。また③Future Worldではオーディエンスとの掛け合いもあるものの、ライブならではの勢いがあまり感じられず曲のテンポもスタジオ盤と同じか少し遅めというのも気になります。そんなほのぼのムードはKiskeのMCや曲間に「猫踏んじゃった」のフレーズが飛び出すという面にも表れていて、メタルバンドとしての攻撃性よりもHELLOWEENの個性でもあるコミカルさが強調されてるように思います。

とはいえ、Kiskeはライブでも素晴らしいハイトーンを響かせていて、楽曲の方は流石の出来栄えです。特にスタジオ盤「WALLS OF JERICHO」ではKai Hansen(G)の残念な歌唱で魅力が半減していた⑦How Many TearsがKiskeのボーカルで見事に生まれ変わっているので、この曲のためだけでも聴く価値はあるかもしれませんね。Andy Deris(Vo)時代のライブはCD2枚組やDVDとしてリリースされているのに、Kiske時代のライブ音源が本作のみというのが残念です。HELLOWEENは2009年に結成25周年を迎えるので、 Kiskeが歌ったライブテイクを掘り起こして「KEEPERS LIVE完全版」としてリリースしてくれないかなぁ。

【音源紹介】
・How Many Tears(Live)

HELLOWEEN「HELLOWEEN/WALLS OF JERICHO/JUDAS」(1989)

  • 2009/04/22(水) 08:10:14

HELLOWEEN WALLS OF JERICHO JUDAS
【No.128】
★★(1995)

ジャーマンメタルのみならずメロディック・パワーメタルの代名詞的バンドHELLOWEENのデビューミニアルバム「HELLOWEEN」(1曲目~5曲目)、1stフルレンスアルバム「WALLS OF JERICHO」(6曲目~14曲目)、シングル「JUDAS」(15曲目)という1985年~1986年に発表された3作品を1枚にまとめたのが本作です。全体的に後のHELLOWEEN像よりも荒々しくラフなサウンドで、スラッシュメタルっぽさも感じられるのが特徴ですね。当時、ボーカルを兼任していたKai Hansen(G、Vo)の歌はお世辞にも上手いとはいえず、GAMMA RAYの4th「LAND OF THE FREE」以降で披露しているリードボーカル以上に不安定なので、ここは好みが別れるところです(僕は苦手)。

収録曲はどれも荒削りながらも、現在もHELLOWEEN、GAMMA RAYのライブ定番曲としてプレイされることが多い⑦Ride The Sky、既にHELLOWEENらしさの原型が出来上がっている④Victim Of Fate、⑨Guardians、バンド初期の名曲⑭How Many Tearsなど、他のバンドにはない個性を感じさせる楽曲も収録されています。改めて聴き返してみるとKaiのボーカル、サウンドプロダクションなどに物足りなさを感じるのも事実ですが、この時点で既に輝きを放っているKai Hansen、Michael Weikath(G)という名ソングライター2人のメロディセンスが味わえる作品ですね。

HELLOWEENよりも後にデビューして、欧州メタルシーンを代表するバンドへと成長したBLIND GUARDIANSTRATOVARIUSのデビュー作と比べても、楽曲のメロディ面では一歩リードしているかな。それだけにボーカルがKaiでなく、それなりに歌える人だったら…と思ってしまうのですが。ちなみに本作収録曲のMichael Kiske(Vo)バージョンも聴くことができる音源は存在していて、僕の知る限り①Starlightと④は「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART1 EXPANDED EDITION」(④はバンド初のベスト盤「THE BEST-THE REST-THE RARE」にも)に、⑭はライブ盤「KEEPERS LIVE」に収録されています。

【音源紹介】
・Ride The Sky

HELLOWEEN「GAMBLING WITH THE DEVIL」(2007)

  • 2008/10/26(日) 09:54:42

GAMBLING WITH THE DEVIL
【No.060】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第6位

ジャーマンメタルのオリジネイターHELLOWEENの12thアルバム。前作はメタル史上に名を残した名盤「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の続編という話題性が先行しすぎてた感がありましたが、今回はバンドに4人のソングライターがいるという強みを活かした傑作となってます。

HELLOWEENを知り尽くすメインソングライターMichael Weikath(G)による、いかにもHELLOWEENらしい③The Saintsやコミカルな雰囲気を持った⑩Can Do It、才能溢れる若きギタリストSacha Gerstner(G)が手がけるヘヴィかつスピーディな⑤Paint A New World、ネオクラ色もあるギタープレイが目玉の⑪Dreamboundなど2人のギタリストのペンによる楽曲がいい!しかもSacha加入後はギターパートの魅力が大きく向上してるのもポイント。今のHELLOWEENに欠かせないAndy Deris(Vo)のポップなメロディセンスを活かした④As Long As I Fallもいいんだけど、今回驚いたのはこれまで作曲面では影の薄かったMarkus Grosskopf(B)が提供した⑥Final Fortuneの素晴らしさ。HELLOWEENの王道とは一線を画した曲でありながら、北欧っぽさを感じさせる悲しげなメロディが胸に迫ってくる名曲です。

正直、Andyの声質がどうしても好きになれず、最近のHELLOWEENにはそれほど思い入れがなかった僕ですが、4人のソングライターが自分の持ち味を反映させつつも、HELLOWEENとして軸がブレない楽曲によって作り上げられた本作を聴いていると、「HELLOWEENってやっぱりいいやん」と素直に思えてきます。新しい音楽性に挑戦するようなギャンブル的側面はなく、HELLOWEENに求められているメロディック・パワーメタルを高水準で提供してくれるこのアルバムはキーパー時代のアルバムは別格として、Andy加入後のHELLOWEENの最高傑作かも。

【音源紹介】
・Final Fortune

HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」(2005)

  • 2008/10/24(金) 07:49:29

KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY
【No.059】
★★★(2005)

メンバーチェンジによってバンド内の新陳代謝が良くなったHELLOWEENが、バンドの代表作「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の名を引き継いだ作品をリリースするということで注目を集めた2枚組の11thアルバム。タイトルが「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」だからといって、Kai Hansen(Vo, G/GAMMA RAY)Michael Kiske(Vo/PLACE VANDOME etc)が在籍してた頃のサウンドに回帰したわけではなく、中身は「MASTER OF THE RINGS」以降の流れを継承したキャッチーかつスピーディーなパワーメタルです。2枚とも10分を超える大作を収録している点などアルバム構成としては、「KEEPER~」を連想させるもののサウンド面での類似点は一部の曲に感じられる程度ですね。

アルバム購入当初は「KEEPER~」というタイトルから往年のサウンドを期待しすぎたこともあり、やや肩透かしな印象でしたがリピートするうちに「今」のHELLOWEENとしてはなかなかの秀作だと思えてきました。ソングライター4人に加え、新加入のドラマーDani Loble(Ds/ex-RAWHEAD REXX)のアイデアをも凝縮させたオープニングを飾る大作Disc-1①The King For A 1000 Yearsは聴き応え満点。Sascha Gerstner(G)が意識的にキーパーサウンドを甦らせたかのような②The Invisible Man、⑥Silenet RainWeikie(G)らしい③Born On A Judgement Day、そしてDr. Steinにも通じるポップな響きを持ったAndy Deris(Vo)作の⑤Mrs. GodなどDisc-1はかなり充実してます。Disc-2も同じく大作①Occasion Avenueに始まり、Candice Night(Vo/BLACKMORE’S NIGHT)をフィーチュアしたAndy印100%な泣きのバラード②Light The Universeや本編ラストの⑦My Life For One More Dayなど佳曲揃い。

ただアルバム全体で見ると、Disc-2中盤は冗長な印象が拭えないので2枚組にせず1枚にすっきりまとめた方が良かったように思えるのと、前述したような優れた楽曲もあるのは確かながら、各曲が「KEEPER~」にあったような神々しさを纏うには至っていないことが少し残念です。まぁ、これは僕が「KEEPER~」に強い思い入れを持っているから余計にそう感じてるだけかもしれませんが。

【音源紹介】
・Born On A Judgement Day

HELLOWEEN「RABBIT DON’T COME EASY」(2003)

  • 2008/10/22(水) 07:59:58

RABBIT DON’T COME EASY
【No.058】
★★★(2003)

ジャーマンメタルの始祖HELLOWEENの記念すべき10枚目のアルバム。前作「THE DARK RIDE」でバンドのブレインWeikie(G)との音楽的趣向の違いが決定的となったRoland Grapow(G)Uli Kusch(Ds)がバンドを離れ、新メンバーとして若きギタリストSascha Gerstner(G/ex-FREEDOM CALL)、本作限りのレコーディングメンバーとしてMicky Dee(Ds/MOTORHEAD)が大半の曲でプレイする(このドラミングがまた凄まじい)という体制で作られています。HELLOWEENのダークサイドを担っていたRolandが抜けただけで、バンドの雰囲気がここまで変わるのかと驚いてしまう程、「躁」の空気が支配的な作風ですね。

注目すべきはSaschaの本作への貢献度の高さ。これまでHELLOWEENでプレイしたどのギタリストよりも、テクニックと安定感を兼ね備えているのに加えて、ソングライティング能力にも長けた彼はHELLOWEENのギタリストとしては最適の人材だと思います。彼の携わった4曲がどれもいい出来なだけでなく、②Open Your Lifeなんかはメロディックパワーメタルのお手本のような仕上がりとなってるのが頼もしい。前作では今ひとつ精彩を欠いたAndy Deris(Vo)の楽曲もパワー漲る①Just A Little Signや「MASTER OF THE RINGS」(1994)収録のPerfect Gentlemanを連想させる歌もの④Never Be A Starなど良くできているし、Marcus Grosskopf(B)によるヘヴィかつメロディックな⑨Hell Was Made In Heavenもグッド。前作の段階で完成していたというWeikie作の③The Tune、⑧DoYou Feel Goodの2曲はダークな前作に収録されなかったのも納得できる躁なメタルを体現したHELLOWEENらしい楽曲です。

このアルバムを聴く限りギタリストの交代はプラスになったと思うし、「MASTER OF THE RINGS」と「THE TIME OF THE OATH」(1996)をミックスさせたような本作は、久々にHELLOWEENによるHELLOWEENらしいアルバムになったと思います。前作のSalvationや過去のアルバムにあったようなキラーチューンがないため小粒な印象はありますが、前作に漂っていた不安感を振り払ってくれるような快作です。こういう明るくも、攻撃的なヘヴィメタルをHELLOWEENには追求してもらいたいですね。

【音源紹介】
・Open Your Life

HELLOWEEN「THE DARK RIDE」(2000)

  • 2008/10/20(月) 07:48:29

THE DARK RIDE
【No.057】
★★(2000)

6thアルバム「MASTER OF THE RINGS」以降、メンバーチェンジもなく順調に活動を続けるジャーマンメタルの王者HELLOWEENの9thアルバムは、タイトル同様ダークなサウンドが印象的な作品。前作のヘヴィな要素を強調したかのような本作は、明快でキャッチーなメロディックメタルを求めると、ややキツイ内容かもしれません。

これまでの作品でも楽曲によって好き嫌いが別れるHELLOWEENだけど、本作はそれが最も顕著かも。気に入ってる曲を挙げていくとKai Hansen(Vo, G/GAMMA RAY, ex-HELLWOEEN)が書きそうな「いかにもジャーマンメタル」なメロディとコーラスに大合唱の②All Over The Nation、HELLOWEEN歴代のスピードチューンの中でも上位に入る⑦Salvationの2曲がダントツで好きですね。ともにWeikieことMichael Weikath(G)作のこの2曲は、最もキーパー時代に近い音で、やはり自分はこういうHELLOWEENが好きなんだと再確認。それに対して、ほんのりダークな空気漂う曲調の中でサビメロが明るい③Mr Toruture、これまでは僕の肌に合わない楽曲が多かったRoland Grapow(G)の面目躍如たる大作⑫The Dark Ride(終盤のツインギターパートにメロメロ)は、今のHELLOWEENの魅力が詰まった楽曲だと思いますが、あとの楽曲はパワーバラード⑥If I Could Fly、モダンな曲調をベースにサビメロがやたらとキャッチーな⑧The Departed(Sun Is Going Down)を除いてちょっと厳しいかな、というのが正直なところです。

HELLOWEENはメンバー全員が作曲できるという稀有なバンドですが、本作で半数近くの楽曲を手がけるAndy Deris(Vo)の曲に魅力を感じることができないのと、バンドのメインソングライターであるはずのWeikieによる曲がたった2曲(②⑦)というのが悲しいですね。この作品の製作段階からRoland、Uli Kusch(Ds)の2人と他のメンバー(というか主にWeikie)との溝が深まり、結果としてバンドは本作発表後に2人を解雇したという事件が、当時のバンド状態の悪さがサウンドに反映されたのかも。そんじょそこらのメロパワバンドには到達できない高みにあるものの、HELLOWEENを聴くなら他に優先すべき作品があるという思いを抱いてしまうアルバムです。

【音源紹介】
・The Dark Ride

HELLOWEEN「BETTER THAN RAW」(1998)

  • 2008/10/17(金) 07:47:58

BETTER THAN RAW
【No.056】
★★★(1998)

ジャーマンメタルの枠を超える範囲にまで音楽性を広げ過ぎた時期もありながら、ここ最近のアルバムでジャーマンメタルの王者たる安心ブランドを取り戻したHELLOWEENの8thアルバム。振り返って見れば、過去2作は一度失いかけた信頼を取り戻すための手堅い内容のアルバムで、新編成の下、この音楽性でやっていくんだという決意表明をしている作品だったように思えます。そんなHELLOWEENが前2作の雰囲気を継承しつつも、実験的な要素を取り入れたパワーメタルを聴かせているのが本作です。

これまでの序曲シリーズの中でも一段とゴージャスで荘厳な①Deliberately Limited Preliminary Prelude Period In Zを聴くと、その後にどんなスピードチューンが来るのかと期待しますが、そんなファンの意表をついて繰り出されるのがHELLOWEEN史上最もブルータルな②Pushです。Andy Deris(Vo)の声域を完全に無視したUli Kusch(Ds)によるこの曲は、悲痛なボーカルで歌い上げるパワーソングでなかなか面白いです。中盤のクサみを持ったギターソロもいいですね。他にも明るい曲調にラテン語を乗せた実験的なものでありながら、HELLOWEEN流ポップメタルに仕上げた⑩Lavdate Dominumも流石。そんな新しい試みにチャレンジする一方で、王道路線もしっかり押さえていて③Falling Higher、④Hey Lord!といったメロディックメタル、そしてHELLOWEENならではのポップセンスが弾ける⑧I Canなど、らしさもキープしています。また本作ではUliがソングライティング面で5曲に絡む活躍ぶりで、特にスケールの大きな疾走曲⑥Revelationは彼の傑作ですね。

これはHELLOWEENの他の作品にも言えることだけど、今回も僕の好きな曲とのめり込めない曲がはっきり分かれてしまっているため、アルバムを通して聴くと物足りなさを感じてしまうのがやや惜しいですね。磐石の基盤を築いた王者が新たな高みへ登りつめようとする姿勢を感じ取れる意欲作ではありますが。

【音源紹介】
・I Can

HELLOWEEN「THE TIME OF THE OATH」(1996)

  • 2008/10/13(月) 06:00:25

THE TIME OF THE OATH
【No.055】
★★★(1996)
年間ベスト1996年第5位

前作でAndy Deris(Vo)Uli Kusch(Ds)を迎えた新体制としてスタートを切ったHELLOWEENの通算7作目。内容的には前作の流れを汲んだパワーメタル作品で、これまで以上にメタリックで硬質なサウンドはHELLOWEENとしては一際ヘヴィでアグレッシブな印象が強い1枚になっています。

アルバムの冒頭3曲は途切れることのないメタリックチューン連発で、いきなりパワー全開です。そして本作のリーダートラックである④Powerは切なくもキャッチーなパワーメタルの理想型ともいえる名曲で、サビも良いけどそこに至るまでのメロディが発散する哀感はただごとではありません。それに続くAndyらしいクサいメロディが堪能できる泣き泣きのバラード⑤Forever And One(Neverland)は、HELLOWEENのバラードの中でも最も好きな曲です。その後も突進力を持った⑥Before The War、⑨Kings Will Be Kingsというスピードチューン、本作からソングライティングに参加したUliによる印象的なメロディが映えるミドルテンポ⑦A Million To One、これまでにもあったポップサイドを強調した⑧Anything My Mama Don’t Likeと怒涛の勢いで高品質メタル曲が畳み掛けてきます。

が、しかし⑨の後はやや尻すぼみな感は否めず、リリカルなバラード⑪If I Knewで盛り返すものの、それ以降が続かないためアルバム終盤にモヤモヤ感が残ってしまうのが惜しい。前半から中盤あたりは攻撃的な楽曲を中心に、HELLOWEENらしい空気に満ちていて聴き応え十分なんだけど。それと音質が良くないせいか、音の詰め込みすぎと思えるところもあって聴いてて耳が疲れることもしばしば。ただ作品としてみればAndy加入後のHELLOWEENの代表作といえる内容で、Roland Grapow(G)とUliを含むラインナップ期では一番よく聴いた作品だと思います。

【音源紹介】
・Power

HELLOWEEN「MASTER OF THE RINGS」(1994)

  • 2008/10/12(日) 06:46:49

MASTER OF THE RINGS
【No.054】
★★★(1994)

「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」という超名盤を作り上げた後の2作(「PINK BUBBLES GO APE」、「CHAMELEON」)でメンバー間の音楽性の相違が露呈し、賛否両論(主に否の意見が多かったですが)を巻き起こしていたHELLOWEENの6thアルバム。前作発表後に看板シンガーMichael KiskeIngo Schwichtenberg (Ds)が衝撃脱退し、バンド存続すら危ぶまれていましたが、Andy Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)Uli Kusch(Ds/ex-GAMMA RAY)の2人を迎え入れ見事に復活。僕はAndyの声は苦手だけど、彼の非凡なメロディセンスとHELLOWEENのパワーメタルサウンドが融合した本作は、過去2作でモヤモヤしていたメタラーの溜飲を下げさせるのには十分ですね。

イントロからスピードチューンに繋ぐというKEEPER時代のフォーマットに則った冒頭の流れからして、過去2作になかったメタリックな響きを有しているし②Sole Survivor、③Where The Rain Growsという実質的な1曲目、2曲目が良質のメタルチューンであることからも、バンドが過去の迷いを吹っ切ったんだと思わせてくれます。その後に続く④Why?はAndyがPINK CREAM 69時代から温めていたポップなナンバーで彼のメロディセンスが活かされてます。また印象的なメロディを持った⑥Perfect Gentlemanもこれまでにない新しい魅力だし、往年のコミカル路線を引き継いだ⑦The Game Is On、キャッチーかつもの悲しいメロディが冴える⑧Secret Alibi、ロックンロール色の強い⑨Take Me Homeなどバラエティも豊富。ちなみにボーナストラック⑬Grapowski’s Malmsuite 1001 (In D-Doll)は、タイトルからしてネオクラ界の巨匠ギタリストを連想させるインストでRoland Grapow(G)が弾きまくってますが、あくまでもおまけですね。

ただ本作の収録曲は僕の好きなタイプの楽曲と、そうでないものの両方が存在するので、アルバムトータルの満足度はもう一息という感じ。しかも、このアルバムは「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」の2枚組と一緒に買ったので、購入当初は「KEEPER~」の方ばかり聴いてて、本作はCDトレイに乗ることが少なかったのが実情でした。が、久し振りに聴きなおしてみると、これが意外と良くてAndy時代のHELLOWEENのベースは本作で築かれたんだと実感。一般的には評判の高い本作は、個人的にのめり込んだアルバムではないけれどMichael Kiske脱退後のHELLOWEEN入門にはいいかもしれませんね。

【音源紹介】
・Where The Rain Grows

HELLOWEEN「CHAMELEON」(1992)

  • 2008/10/10(金) 06:46:15

CHAMELEON
【No.053】
★(1995)

大御所バンドになってくると、その長い歴史の中で「問題作」といわれる作品が少なからずあるものですが、このHELLOWEENの5thアルバム「CHAMELEON」はその代表的存在として語られることが多い1枚です。本作に収められた楽曲は、HELLOWEENが構築したジャーマンメタルスタイルはおろかハードロックの枠でも括りきれないロック作品で、これまでのHELLOWEENの面影はほとんど残っていません。

だからといって、本作の楽曲が駄曲ばかりかというと決してそうではなく、アルバム中最もハードロック然とした①First TimeMichael Weikath(G)ことヴァイキーのポップセンスを活かした名曲だと思うし、ダイナミックなメロディ展開が秀逸な⑤Giants、メランコリックな美旋律バラード⑥Windmill(3曲ともMichael Weikathの楽曲)もかなり好きな曲です。その他にも、モダンなアレンジが施された②When The Sinner、のんびり感漂うアコースティックチューン③I Don’t Wanna Cry No More、メタルファンには衝撃的ですらあるホーンセクションを導入したハッピーロックチューン④Crazy Catなど、アルバム前半はHELLOWEENらしいかどうかは度外視して曲単体とすればなかなかのもの。ただ⑦Revolution Now以降に関しては致命的ともいえる強烈なダレを誘う楽曲(⑫Longingは好きですが)が続き、アルバムの印象を悪くしてしまってます。

この当時のHELLOWEENはMichael Weikath、Michael Kiske(Vo)、Roland Grapow(G)という3人のソングライターがいたわけですが、各自が楽曲を持ち寄って収録曲を選ぶのではなく、アルバム制作前から3人の曲を4曲ずつ収録することが決まっていたらしく、まるでソロ曲の寄せ集め的な印象もあります。そのせいかアルバムとして散漫な印象が強く、問題作と考えられてるのも仕方ないかもしれませんね。せめて⑥までのような音楽としては魅力的な楽曲がアルバム後半にもあと何曲かあれば、違う印象になったんだろうけど。

【音源紹介】
・Windmill

HELLOWEEN「PINK BUBBLES GO APE」(1992)

  • 2008/10/07(火) 06:45:43

PINK BUBBLES GO APE
【No.052】
★★★(1995)

HELLOWEENの名を一気にスターダムへと押し上げた名作「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」に続く4作目である本作は、ファンがHELLOWEEENに求めるジャーマンメタル像と、実際にアルバムで聴けるサウンドの間に隔たりがあると言わざるを得ない作品です。前作発表後に、実質的にバンドリーダーだったKai Hansen(G)が脱退したことに加え、レコード会社とのトラブルでリリースが大幅に遅れるなどバンドとしても苦労の末の発表となったようです。

Kaiが脱退、もう1人のメインソングライターMichael Weikath(G)も本作では2曲しか書いておらず、あとの楽曲はMichael Kiske(Vo)とKaiの後任、Roland Grapow(G)が手がけているため普通に考えれば前作の音楽性を継承してる方が不思議なわけで、本作で聴けるのはやたらとポップな面を強調したハードロックサウンドです。30秒弱のアコースティックソング①Pink Bubbles Go Apeで始まる辺り、メタルファンとしては拍子抜けだし、その後もChris Tsangaridesプロデュースの洗練された音像によるポップかつアメリカナイズされた楽曲が続きます。と、書いてしまうと本作が駄作のように思えるかもしれませんが、そういうわけでもありません。⑦Someone’s Crying、⑩Chanceなんかは前作に収録されてても良さそうだし、タイトルを連呼するコーラスが面白い⑤Heavy Metal Hamsters、楽しげなギターフレーズが耳に残る⑥Goin’ Home、アメリカンな雰囲気漂う大陸風バラード⑪Your Turnなど佳曲は多いです。個人的にはMichael Weikathの傑作ポップバラード④Number Oneが一番のお気に入りですね。

HELLOWEENの歴史の中で、本作と次作「CHAMELEON」は問題作という認識が一般的ですが、僕はこのアルバム結構好きです。ポップになったとはいえ、らしさを感じさせるパートは確実に存在するしMichael Kiskeの伸びやかなハイトーンも相変わらずの素晴らしさ。前作と比べると小粒感が漂いまくりではあるけど、問題作の烙印を押されてしまうにはあまりに勿体ない1枚です。

【音源紹介】
・Your Turn

HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 2」(1988)

  • 2008/06/28(土) 10:09:44

KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 2

【No.003】
★★★★★(1995)

傑作アルバム「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 1」の続編。前作もその超高品質な出来栄えに驚きましたが、今回は更にその上をいく完成度。これを聴かなきゃ、欧州メタルは語れないといいたくなるほどの名盤になってますMichael Kiske(Vo)のクリアなハイトーンは前作にも増して神々しさが漂ってるし、楽曲も更にドラマティックにキャッチーに迫ってきます。

アルバムの幕開けからしてインパクトは絶大!1分ほどの序曲①Invitationに続く②Eagle Fly Freeがメタル史にその名を刻むであろう名曲で、これを聴いて胸が熱くならないのであればメタルとは縁がないのでは?とさえ思える1曲です。また前作のFuture World路線を更に推し進めた④Rise And Fallではコミカルなメタルに果敢に挑戦してるし、メタルの攻撃性とポップセンスが絶妙のバランスで融合した⑤Dr.Stein⑧I Want Outもお見事!また15分にも及ぶ大作⑨Keeper Of The Seven Keysのドラマティックな展開は、他のバンドの追随を許さないほどの素晴らしさ。その他の曲に関しても、3曲のボーナストラックに至るまで一度聴いたら忘れられないメロディを持った曲ばかりです。僕が持っているのはPART 1とPART 2を合わせた完全版(2枚組)で、2枚通して聴くと感動も倍増します。

僕自身、このアルバムがきっかけとなってジャーマンメタルを聴くようになりました。が、今でもこのジャンルで本作を超える感動を与えてくれたアルバムはありません。メロディ、スピード、ドラマティックなツインギターそしてハイトーンボーカルといったメロディック・パワーメタルに求められる要素がガッチリと手を組んだ孤高の1枚です。というか、僕の中ではこのアルバムそのものがメロディック・パワーメタルの基本であり、教科書になってますね。

【音源紹介】
・Eagle Fly Free

HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 1」(1987)

  • 2008/06/28(土) 10:04:32

KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 1

【No.002】
★★★★★(1995)

今で言うところの「ジャーマンメタル」の元祖HELLOWEENのオリジナルアルバムとしては2作目にして、バンドがその音楽性を世に知らしめた傑作アルバム。「ジャーマンメタル」と聞いて連想する「親しみやすいメロディ」「ハイトーンボーカル」「疾走感」「ドラマティックな曲展開」といったキーワードが、全て盛り込まれたアルバムです。HELLOWEENは前作でも独特の作曲センスで優れた楽曲を作ってきてたけど、ギターとボーカルを兼ねるKai Hansenのシンガーとしての力量に物足りなさがあったのも事実。そんなバンドが新たに名シンガーMichael Kiske(Vo)を迎え、バンドとしてのグレードが数段上がりましたね。

そのMichael Kiskeのハイトーンボイスが実に素晴らしく、数あるメタルシンガーの中でも彼ほどこの手のメタルを歌うのに適した人材はいないと思ってます。このアルバムでも当時18歳(!)というのが信じられないほど、歌声にカリスマ性みたいなものが宿ってるのが凄い。序曲①Initiationから疾走感溢れる②I’m Aliveという文句なしの流れ、④Twilight Of The Godでのメタリックな感触、Michael Kiskeのまるでの演歌のような歌いまわしが光るバラード⑤Tale That Wasn’t Right、ポップフィーリングたっぷりで親しみやすい⑥Future World、そして極めつけは13分に渡る長編ながらダレない⑦Halloweenといった具合に名曲クラスが連発される本作はジャーマンメタル、いやメロディックメタルの名盤です。

STRATOVARIUSANGRAなど90年代にデビューした大物メロディックメタルバンドも、このアルバムがなければ存在しなかったのではないかとさえ思えるほど、メロディックメタルというジャンルに大きな影響を与えた作品だと思ってます。今から20年近くも前の作品でありながら、古くさいと思わせる要素はゼロ。この手の音楽をはじめて聴くという人には、まず本作と次作「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 2」をお薦めしたいですね。

【音源紹介】
・Future World