【CD購入録】MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

  • 2016/09/08(木) 00:00:00

【CD購入録】
BRAVER THAN WE ARE
MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

欧米では大御所ロックシンガーとして名を馳せているものの、日本ではブレイクに至らないMEAT LOAFの新作(邦題:勇者再誕)を買いました。今回の目玉は何と言っても「BAT OUT OF HELLシリーズ」の生みの親でもあるJim Steinmanと再びタッグを組み、Jimがアルバム本編全曲を手掛けている点でしょう。MEAT LOAFというと壮麗なピアノをバックにロックオペラを聴かせるイメージが強いので①Who Needs The Youngの気だるいイントロは意外に感じましたが、「Who needs the young〜♪」という歌い出しが流れてきた瞬間にMEAT LOAFの作品を聴いていることを実感しました。その後も目まぐるしく展開するJim Steinman節全開の曲や10分越えの長編、女性シンガーとのデュエットなど僕がこのタッグに期待する要素を盛り込んだ楽曲が並びます。現時点で本作がBAT OUT OF HELL3部作に匹敵する1枚になるかはわかりませんが、しばらくヘビロテすることになりそうです。

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL Ⅲ‐ THE MONSTER IS LOOSE」(2007)

  • 2016/08/11(木) 00:00:00

BAT OUT OF HELL 3
【No.475】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第8位

1977年に発表されたシリーズ1作目が約3,700万枚、1993年にリリースされた2作目が約1,500万枚とロック史に燦然と輝くセールス記録を樹立したMEAT LOAFのモンスターアルバム「BAT OUT OF HELL」(邦題:地獄のロック・ライダー)の3作目にして、足かけ30年で完結を迎えるシリーズ最終作。これまでの「BAT OUT OF HELL」シリーズといえばJim Steinmanが書いた大仰でドラマティックな楽曲群をMEAT LOAFがクドく、暑苦しく歌い上げるのが大きな特徴でした。それに対して今回はJimのペンによる楽曲は14曲中7曲にとどまり、BON JOVI等を手掛けたヒットメーカーDesmond Childが6曲(全て他のライターとの共作)、AEROSMITHのヒットバラードI Don't Want To Miss A Thingなどの作曲者としても知られるDiane Warrenが1曲を提供しています。

創作面でJimのインプットが少なくなっているほかNikki Sixx(B/MOTLY CRUE)、John 5(G/ROB ZOMBIE、ex-MARILYN MANSON)がDesmondと共作という形で作曲に関わっていたりBrian May(G/QUEEN)、Steve Vai(G)をゲストとして迎えるなどHR/HM畑からの登用が目立つのも本作の特徴ですね。それが顕著に現れているのがオープニングの①The Monster Is Looseで、過去2作にあった華麗なピアノは影を潜めヘヴィなギターが曲を引っ張っています。本作のハイライトは北欧の歌姫Marion Ravenとのデュエットが見事な名バラード③It's All Coming Back To Me Now〜記憶の中へ…、ドラクエのラスボスが現れそうな出だしからクワイアに繋がる小品⑦Monstroに導かれてスタートする飛翔感に溢れたロックチューン⑧Alive、Jim Steinman節全開の⑫Seize The Night辺りでしょうか。ちなみに③は元々JimがプロデュースしたPANDORA'S BOX「ORIGINAL SIN」(1989)の収録曲で後にCeline Dionが歌い大ヒットしたナンバーですがMEAT LOAF曰く、元々は「BAT OUT OF HELL」シリーズのために用意された曲なんだそうです。

上記の曲以外にも聴き応えのある曲が目白押し。Brian Mayがいかにも彼らしいギターを奏でて強烈な個性を放っている④Bad For Good、Diane Warrenのペンによるドラマティックバラード⑤Cry Over Me、ダイナミックな曲調の中でSteve Vaiのギターソロが冴える⑥In The Land Of The Pig, The Butcher Is King(タイトルを見ただけでJim Steinmanの曲だとわかりますね/笑)の流れは申し分ないし、ブラスサウンドがファンキーな雰囲気を生み出す⑩If It Ain't Broke Break It、MEAT LOAFのツアーに長年帯同しているPatti Russoとデュエットした爽やかソング⑪What About Love、映画「DREAM GIRLS」でオスカーを獲得したJennifer Hudsonが力強い歌声を響かせる⑬Future Ain't What It Used To Beなどなどお気に入り曲を挙げだすとキリがありません。本シリーズの生みの親でもあるJim Steinmanの関わりが薄い今回のアルバムは「BAT OUT OF HELL」とは呼べないという声もあるようですが、過去2作品の流れはしっかり受け継いでいると思います。僕は本作から「BAT OUT OF HELL」シリーズにハマりました。

【音源紹介】
・It's All Coming Back To Me Now〜記憶の中へ…

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL Ⅱ‐ BACK INTO HELL」(1993)

  • 2016/07/30(土) 00:00:00

BAT OUT OF HELL2
【No.474】
★★★★(2007)

1977年にMEAT LOAFが発表したロックオペラの金字塔「BAT OUT OF HELL」シリーズの続編に当たる作品で通算6枚目のアルバム。シリーズ1作目は70年代ロックシーンにその名を刻むモンスターアルバムとなり大きな成功をおさめましたが、今回のアルバムが完成するまではMEAT LOAFが喉を痛めたり「BAT OUT OF HELL」の発案者でもある作曲家のJim Steinmanとの関係性が悪化したりと色々あったようです。そんな紆余曲折を乗り越えて制作された本作でもJimが全曲の作詞作曲に加えてプロデューサーとしても関わっていて、結果的には各曲のドラマ性や作り込み度合い、曲名の長さや邦題のユニークさに至るまで様々な面で「BAT OUT OF HELL」以上に濃密な作風となっています。それまで下降線を辿っていたMEAT LOAFの人気も本作で再び盛り返したそうなので、彼のキャリア的にも起死回生の1枚と言えそうですね。

まずはオープニングを飾る1stシングル①I'd Do Anything For Love(But I Won't Do That)〜愛にすべてを捧ぐからして12分に及ぶ大作で聴き手の度肝を抜いてくれます。ビルボードチャート1位に輝いたこの曲でMEAT LOAF自身も第36回グラミー賞の最優秀ロック・ボーカル・ソロ・パフォーマンス賞を受賞するなど彼の代名詞と呼ぶに相応しい名曲となっています。その後に続く重厚なコーラスが印象的な②Life Is A Lemon And I Want My Money Back〜ひどい人生だ、金返せ!などもさることながら、アルバム中盤以降が特に好きですね。明るく快活な⑤Out Of The Frying Pan(And Into The Fire)〜焼け焦げたフライパンの中から(そして炎の中へ)、前曲から一転して胸に沁みるメロディをMEAT LOAFが切々と歌うバラード⑥Objects In The Rear View Mirror May Appear Closer Than They Are〜バック・ミラーに映るオブジェクト達、力強さと高揚感に溢れた⑧Everything Louder Than Everything Else〜何よりも高らかに、テクノ風のサウンドを取り入れたキャッチーソング⑨Good Girls Go To Heaven(Bad Girls Go Everywhere)〜お嬢ちゃんは天国に(不良少女はどこへだって行ける)の流れが実に強力(それにしても曲名が長い/苦笑)。

Jim Steinmanが曲を書き、MEAT LOAFが歌うことで完成する「BAT OUT OF HELL」の世界観はそのままに、一段とスケールが大きくなっていますね。それを象徴するかのように各曲とも長編になる傾向があってJimが熱く語る⑦Wasted Youth〜無為の輩とインストの⑩Back Into Hell〜地獄への帰還を除けば大半の曲が7分以上、①と⑥は10分超えのためアルバム1枚で75分の大作となっています。その長さに聴き疲れしてしまう感は否めないものの、⑧のラストで登場するバグパイプや⑨冒頭のサックスなど突拍子もないと思えるパートですらリピートするうちにしっくりきて、どんどん引き込まれてしまいますね。本作のレコーディング中から「BAT OUT OF HELL」シリーズは3部作として完結させるというアイデアが出ていたそうですが、その最終章がリリースされるのは13年後の2006年(日本では2007年)となります。僕は1→3→2の順に聴き、以前までは3が一番好きでしたが最近では本作がかなり気に入っています。

【音源紹介】
I'd Do Anything For Love(But I Won't Do That)〜愛にすべてを捧ぐ(エディットバージョン)

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL」 (1977)

  • 2016/07/14(木) 00:00:00

BAT OUT OF HELL
【No.473】
★★★★(1995)

巨漢シンガーMEAT LOAFが1977年にリリースし、全世界累積セールスが3,700万枚以上という驚異的な売上を記録しているモンスターアルバムにしてロック/ポップス史上5番目に多く売れている作品(売上枚数、ランキングはどちらも2007年時点)。MEAT LOAFというのは勿論ニックネームで本名はMarvin Lee Adayといい60年代に歌手デビュー、70年代以降は俳優としても活動している人物でMEAT LOAFという愛称は少年時代の彼がアメリカンフットボールの練習中に得意のタックルでコーチを倒したというエピソードから来ているのだとか。本作の収録曲は全て作曲家Jim Steinman(Key)によるもので、彼がピーター・パンにちなんだミュージカル「NEVERLAND」のために書いた楽曲をロックオペラ作品として発表するというアイデアを実現するにあたり、Jimが以前から交流のあったMEAT LOAFに声をかけたことからアルバムの制作がスタートしたそうです。

JUDAS PRIEST「PAINKILLER」(1990)を彷彿とさせるアルバムジャケット、「地獄のロック・ライダー」という邦題から激しめのサウンドかと思いきや、本作で聴けるのは軽快なピアノやサックス、手拍子などをフィーチュアしたロックンロールで初めて聴いた時は拍子抜けしました。想像していた音楽性と異なっていたものの本作の収録曲はドラマティックな要素があって大仰な展開を見せてくれるし、MEAT LOAFのボーカルも力強くて聴き応えがあります。そんな本作の魅力を凝縮したのが9分を超えるタイトル曲①Bat Out Of Hell~地獄のロック・ライダー~でしょう。それ以外では穏やかな曲かと思っていたら3分30秒辺りから一気に激しくなる④All Revved Up With No Place To Go~暴走~、劇的な3部構成の中でMEAT LOAFと女性シンガーEllen Foleyが白熱の掛け合いを見せる⑥Paradise By The Dashboard Light~ロックンロール・パラダイス~などがお気に入りですね。とはいえ本作と出会った1995年当時はそれほどのめり込むこともなく、2007年にリリースされたシリーズ最終章に当たる「BAT OUT OF HELL Ⅲ‐ THE MONSTER IS LOOSE」を好きになり、改めて聴き返した時にこのアルバムの凄みに気づいたというのが正直なところですが(苦笑)。

Jim SteinmanはIt's All Coming Back To MeCeline Dionに、昭和を代表する学園ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」の原曲Holding Out For A HeroBonnie Tylerに提供している名うてのソングライターで、このアルバムにおいてもその才能を遺憾無く発揮していますね。俳優でもあるMEAT LOAFは抜群の表現力で曲毎の登場人物になりきって情感たっぷりに歌い上げています。そんな彼の歌唱力が一際輝いているのが車の中で彼女と熱い夜を過ごそうとしていたら急に結婚を迫られ、それに応じて結婚したものの後になって昔を懐かしむ男の悲哀(?)を描いた⑥、オペラ風の長編バラード⑦For Crying Out Loudですね。全7曲と収録曲数は少ないながらどの曲も濃密なので物足りなさは感じません。海外では有名アーティストとなっているMEAT LOAFですが日本では知名度が低く本作も2007年にリマスター盤がボーナストラックとDVD付で再発されるまでは廃盤となっていたようです。やはり「巨漢シンガー」という言葉がぴったりなルックスと「地獄のロック・ライダー」というおどろおどろしい邦題がブレイクできなかった要因でしょうか。内容的にHR/HM要素は薄く、幅広い層に受けそうなサウンドなので日本でも彼が評価されると嬉しいんですけどね…。

【音源紹介】
Bat Out Of Hell