MY CHEMICAL ROMANCE「THE BLACK PARADE」(2006)

  • 2015/10/04(日) 00:00:00

THE BLACK PARADE
【No.447】
★★★★★(2006)
年間ベスト2006年第1位

アメリカ出身のエモ/スクリーモ系ロックバンド「マイケミ」ことMY CHEMICAL ROMANCEの3rdアルバム。フラリと立ち寄ったCDショップで大々的にプッシュされていたので試聴してみて即購入を決めた1枚です。メジャーデビュー盤の前作「THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE」(2004)もアメリカだけで140万枚以上のセールスを記録、日本デビュー前にサマーソニックへの出演が決定するなど、既に注目度の高いバンドだったようですが僕はノーチェックでした。本作は「死」をテーマにしたコンセプトアルバムで「主人公の癌患者(The Patient)が死の世界を旅し、再び生きることを決心する」というのが大まかなストーリーのようです。メンバーによると今回のアルバムはTHE BEATLES「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」(1967)、QUEEN「A NIGHT AT THE OPERA」(1975)、PINK FLOYD「THE WALL」(1979)といった作品にインスパイアされたとのことで、中でもQUEENからの影響が強く表れているように思いますね。

本作の根底にあるのはパンキッシュなロックサウンドなのですが、それを壮大かつシアトリカルに仕上げることで感動の一大ロック絵巻が完成しています。アコギをバックに徐々に盛り上がっていく①The End.から一際ポップでキャッチーな②Dead!へと続く流れで一気にアルバムの世界観に引き込まれますね。音楽性は異なりますが、この感覚はDREAM THEATERの名盤「METROPOLIS PT 2: SCENES FROM A MEMORY」(1999)に通じるものがあると思います。冒頭2曲の勢いを引き継ぐのはイントロからして秀逸なロックチューン③This Is How I DisappearMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)を彷彿とさせる哀愁が堪らない④Sharpest Lives、そして本作のみならずMY CHEMICAL ROMANCEを代表する超名曲⑤Welcome To The Black Paradeで、序盤5曲の畳み掛けは実に強力です。1枚のアルバムとして各曲のクオリティが高いだけでなく、バラードひとつとってみても穏やかな⑥I Don't Love You、切々と歌い上げる⑧Cancer、スケールが大きく力強い⑫Disenchantedなど表情が豊かなのも好印象。ミュージカルっぽくもあるヒネリの効いた曲展開で魅せてくれる⑨Mama、「I am not afraid to keep on living〜♪」とポジティブに歌うサビがな印象的な事実上のラストトラック⑬My Famous Last Wordsが中盤以降のハイライトですね。

一般的には有名であっても僕にとっては「意外な伏兵」というべきバンドが届けてくれた名盤。スクリーモというジャンルに分類されるバンドのことはよくわかりませんが、本作はドラマティックなアレンジと北欧のバンドを連想させる美メロ、哀メロをフィーチュアしたメロディックロック作品として素直に楽しめました。中心人物のGerard Way(Vo)はそれまでアニメーターの職に就いていたものの9.11のテロを目撃し、自分の生き方に疑問を感じバンド結成を決意、その僅か5年後にこれだけの作品を生み出したという事実には驚くばかりですね。ただ「本作の時点で言いたいことのほぼ全て言い切ってしまった」と後にGerardが吐露しているように、バンドは次作「DANGER DAYS」(2010)を最後に解散しています。現在Gerardはソロ名義で、他のメンバーも新たにバンドを結成するなど音楽活動は継続しているようですね。

【音源紹介】
Welcome To The Black Parade