SYSTEM OF A DOWN「HYPNOTIZE」(2005)

  • 2015/09/28(月) 00:00:00

SOAD HYPNOTIZE
【No.446】
★★★★★(2005)
年間ベスト2005年第2位

変態ヘヴィロックバンドSYSTEM OF A DOWNの5thアルバムにして2部作「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の後編。本作の楽曲も「MEZMERIZE」と同時期に制作されたということもあって、前作に収録されていたとしても違和感のないナンバーが並んでいます。「MEZMERIZE」との違いを挙げるとすれば一段と劇的でメロディアスになったという点でしょうか。そんな印象を決定付けているのがアルバムラストに収録された⑪Lonely Days、⑫Soldier Sideの2曲。前者はSYSTEM OF A DOWN史上最もソフトなバラード、後者は悲哀を通り越して悲痛とさえ表現できそうなメロディを持った壮大なナンバーです。特に⑫はタイトルにもある通り「MEZMERIZE」の1曲目で今回の2部作のオープニングでもあるSoldier Side‐Introと共通のフレーズも登場し、大きな感動をもたらしてくれます。

メロディアスな側面が強調された作風とはいえ怒涛のアグレッションや強烈な歌詞、予測不能な曲展開など前作で僕を魅了してくれたSYSTEM OF A DOWNらしさは今回も健在です。曲名そのままに剥き出しの攻撃性で襲いかかってくる①Attack、激しいイントロからの落差が激しいメロウなサビへ繋がる②Dreaming、ツインボーカルで掛け合いをしつつこのバンドらしからぬクサメロで疾走する③Kill Rock & Rollの流れは実に強力。続くタイトル曲の④Hypnotizeはアルバムを象徴するかのようなドラマティックチューンでじわじわと胸に迫ってきます。SYSTEM OF A DOWNならではの変態ソングもしっかり存在していて「ビデビデビデビデ…」な⑦U-Fig、「バナナ バナナ バナナ テラコッタ バナナ テラコッタ テラコッタ パイ!」という意味不明なフレーズに思わず笑ってしまう、それでいてクセになる⑨Vicinity Of Obscenityや奇怪なリズムとDaron Malakian(Vo、G)による音を外し気味な歌がラリった感を醸し出している⑩She's Like Heroinなどは狂気を感じ、聴いていて身震いしてしまうほど。

楽曲のハチャメチャ度合いに関しては前作に一歩譲りますが、それはあくまでもSYSTEM OF A DOWNにしてはという話であって本作でも様々な要素が絡み合う何でもありのサウンドが展開されています。それでいてかなりメロディアスなので、このバンドの作品の中でもかなり効きやすい部類に入るのではないでしょうか。曲間を短くすることで、まるでアルバム自体がひとつの曲であるかのようにスムーズに進んでいく本作は単体でも十分楽しめますが、是非とも「MEZMERIZE」と一緒に聴いて独特の世界観に浸りたいですね。「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の2部作はどちらも全米1位に輝き、前作からのシングルカット曲B.Y.O.B.がグラミー賞のベスト・ハードロック・パフォーマンス賞を獲得するなど活動は順調かと思われましたが2006年にバンドは長期活動休止に入ることを発表。Serj Tankian(Vo、Key)はソロ、DaronはSCARS ON BROADWAY名義で音楽活動を続けていくこととなります。2011年からはSYSTEM OF A DOWNとしての活動を再開してライブは行っているようなので、本作の先にあるスタジオ盤にも期待したいですね。

【音源紹介】
Soldier Side

SYSTEM OF A DOWN「MEZMERIZE」(2005)

  • 2015/09/25(金) 00:00:00

MEZMERIZE
【No.445】
★★★★★(2005)
年間ベスト2005年第1位

バンド名を冠したデビュー作を1998年にリリースするや100万枚以上のセールスを記録、その後OZZFESTへの出演を果たすなどへヴィロックシーンで注目を集めるロサンゼルス出身の4人組バンドSYSTEM OF A DOWNの4作目。「STEEL THIS ALBUM!」(2002)を3rdアルバムと見なすか、アウトテイク集と見なすか意見が分かれているようですが当ブログでは前者の立場をとっています。メンバー全員がアルメニア系移民ということもあってか社会的、政治的なメッセージが込められた歌詞が多く中心人物のSerj Tankian(Vo、Key)は政治団体を立ち上げるなどしているようです。このバンドに関しては2nd「TOXICITY」(2001)が世間的に評価が高かったので名前だけは知っていましたが、メロディアスなHR/HMを好む僕には合わないというイメージが強く実際に聴くことはありませんでした。旅先(たしかバリ島)でたまたま安く売られているのを見つけ、この金額なら失敗してもいいかなと思ったのが本作を購入したきっかけです。

そんな軽い気持ちで手に取った本作ですが、結果的には2005年に聴いた新譜の中で最も重要なアルバムとなりました。陰鬱なイントロ①Soldier Side‐Introに導かれて始まる②B.Y.O.Bの激しく刻むリフをかき消すような「Why do they always send the poor!(どうして戦場に送られるのはいつも貧しい者たちなんだ!)」の絶叫が炸裂した瞬間からSYSTEM OF A DOWNワールドが全開。ゆったりしたパートから突如爆走するこの曲はアルバム中最もメタリックなナンバーで、一筋縄ではいかない曲構成と先の読めない展開に引き込まれます。それ以降も柔/剛、シリアス/コミカルといった相反する要素が絡み合う唯一無二の楽曲群は中毒性が高く、一度ハマると抜け出せません。中でも「エビバデエビバデ…」と早口でまくしたてる⑦Violent Pornographyが異彩を放っていますね。奇想天外で曲作りのセオリーを無視したかのような独創性を持ちながら、魅力的な楽曲として成立してしまうことができるのがSYSTEM OF A DOWNの凄いところです。大半の曲を手掛けるDaron Malakian(Vo、G)の頭の中がどうなっているんでしょうね…。また曲順についても、これしか考えられないほどハマっていて作品としての完成度も申し分ありません。11曲で35分弱という収録時間の短さもあって気がつけば何度もリピートしています。

ハチャメチャなのに整合性があり、狂気に満ちていていながらもキャッチーな本作を一言で表現するとすれば「常人ではたどり着けない変態ヘヴィロック」という感じでしょうか。情感のこもった声で歌い上げたかと思えば素っ頓狂なシャウトを決めるなど変幻自在のパフォーマンスを見せるSerj、そこにやや調子外れながらも味のあるDaronの歌が絡むボーカルパートもSYSTEM OF A DOWNの大きな特徴ですね。ちなみにこのアルバムは2部作「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の1枚目で、バンドは本作リリースの約半年後に続編の「HYPNOTIZE」を発表しています。本作を聴いてすっかりこのバンドに魅了された僕は次作のみならず、過去作品も購入。「HYPNOTIZE」は本作同様、大のお気に入り盤となった一方1st〜3rdはあまり好きになれませんでしたが…。

【音源紹介】
B.Y.O.B