SIXRIDE「SIXRIDE」(2004)

  • 2015/04/07(火) 00:00:00

SIXRIDE
【No.426】
★★★★(2004)
年間ベスト2004年第4位

「アニキ」の愛称で親しまれている魂のボーカリスト下山 武徳(Vo/DOUBLE DEALER、ex-SABER TIGER)率いるSIXRIDEの2ndアルバム。基本的にはデビューアルバム「TICKET TO RIDE」(2003)で確立した歌謡曲テイストもあるジャパニーズロックを継承していますが、前作に若干残っていたSABER TIGER風のゴリゴリメタルチューンは姿を消しているため一段とメロディアスになったように感じます。バンドのメインソングライター青柳 慎太郎(G)のメロディセンスが冴え渡る楽曲群、喜怒哀楽を見事に表現した下山の圧倒的な「歌」の説得力と胸に突き刺さる歌詞が一体となって迫ってくるSIXRIDEの魅力がダイレクトに伝わってきますね。

静かなイントロで始まり終盤は鬼気迫る歌唱でドラマティックに盛り上がる①「マグダラ」、そこから間隔を開けずに続く②「三千世界」は前曲の勢いをうまく引き継いだ絶妙なミドルチューンとなっていて、この冒頭2曲で僕は本作の世界に引き込まれました。それ以降もSIXRIDEを代表するバラードと呼べそうな③「蒼い刻」、哀愁と親しみやすさが融合したハードロック④「蜃気楼の彼方」が並び、デビュー作を超えるのではという期待感を抱かせてくれます。バンドのヘヴィサイドを強調した⑤Black Native World以降は若干テンションが下がるものの、シャッフル調のリズムが新鮮で心地よい⑥Float Flower、リリカルなピアノと下山の繊細な歌唱が胸に沁みる叙情バラード⑦「月影」(作曲はベーシストの竹内 聡)、歌謡曲風でありながら不思議な力強さも感じられる⑧F-Angel、ノリのいいハードロック⑨Row Out、そして前作のREGRET DAYSと同様に明るくアルバムを締めくくってくれる⑪On The Windと良曲が満載です。スラッシーなビートを刻むモダンな⑩「切り裂けば黒い泥が流れる者へ」はサビ以外が語りまたはシャウトという実験的なナンバーでアルバムの中では浮いていますが、これはこれでアリだと思います。

前作以上にメタル成分が減退しているためSIXRIDEにSABER TIGERの続きを期待すると肩透かしをくらいますが、HR/HMファン以外にもアピールできそうな1枚でもあります。惜しむらくはデビュー作に収録されていた「茜色の空」、Dec.級のキラーチューンがないことでしょうか。とは言っても楽曲は十分粒揃いなので、それを求めるのは贅沢なのかもしれませんが…。デビューから2枚続けて名盤クラスのアルバムを発表してくれたSIXRIDEでしたが、2004年の12月にセカンドギタリスト荒瀬 崇光の脱退とバンドの活動休止を発表しています。その後、下山は島 紀史(G/CONCERTO MOON)と組んだDOUBLE DEALERを再始動(2009年に解散、2010年にはSABER TIGERに復帰)、青柳は2006年に自身のバンドJADESTERを結成し2009年に1stアルバム「EGOIST」をリリースするなど中心メンバーの2人は別々の道を歩んでいます。とはいえ青柳が下山のアコースティックライブ「夜会」にゲスト参加するなど交流は続いているようだし、SIXRIDEとしても2014年5月にGACHARIC SPINの札幌公演に友情出演して新曲を披露したそうなのでいつか復活してほしいですね。

【音源紹介】
ごめんなさい。本作の音源を見つけることができませんでした。

SIXRIDE「TICKET TO RIDE」(2003)

  • 2015/04/01(水) 00:00:00

TICKET TO RIDE
【No.425】
★★★★(2003)
年間ベスト2003年第2位

1997年にSABER TIGERへ加入、その後は島 紀史(G/CONCERTO MOON)DOUBLE DEALERを結成するなどしていた魂のボーカリスト下山 武徳がSABER TIGER脱退後に結成した自身のバンドSIXRIDEのデビュー作。下山のバックを固めるのは青柳 慎太郎、荒瀬 崇光という若いギターチーム、SABER TIGER時代の盟友で下山と共にバンドを脱退した竹内 聡(B)、礒田 良雄(Ds)ということもあって実際に聴くまではSABER TIGERにも通じるメタルサウンドを漠然と想像していました。しかし本作ではヘヴィメタルというジャンルに囚われることなくロックンロール、モダンロック、歌謡曲調からバラードまで幅の広いロックサウンドを聴かせてくれます。

穏やかなイントロに続くキャッチーなサビからスタートする①「茜色の空」はPVも制作されたリードトラックで、歌謡曲っぽいメロディは一度聴いたら耳から離れないし終盤でロック調になるアレンジもグッド。SABER TIGER直系のメタリックチューン②HANG ON MY SOUL、③SOME LIEで畳み掛けた後は一転して悲哀に満ちた④That I Wish、アコースティックで優しく聴かせる⑤「想い人へ」というバラードが2曲続きます。このバンドはメタルソングもさることながら、それ以外の楽曲に魅力的なものが多いと感じていたのですがメカニカルなインスト⑦Sigma 6に導かれて始まるスピードメタル⑧SIGNAL X以降のアルバム後半でその傾向はより顕著になっています。メロディアスなサビが秀逸なミドル⑨「アルマレトラ」、爽やかな中にも哀愁のメロディをしっかり刻み込んだ名バラード⑩Dec.、そしてアルバムを軽やかに締めくくるロックンロール系⑭REGRET DAYSなど、これまでに下山が在籍していたバンドでは聴くことのできなかったナンバーが素晴らしいですね。そんな楽曲群の全てを手掛ける青柳 慎太郎はこれまで無名の存在でしたが本作を聴いて以降、僕にとっては注目のメロディメイカーとなりました。

そんな青柳との出会いも印象的だったものの、本作(というかSIXRIDE)の核となるのはやはり下山の情感溢れるボーカルです。SABER TIGER、DOUBLE DEALER、ソロ名義のアコースティック作品など、これまでは全て英語詞で歌っていましたが下山 武徳という歌い手は語感の良さよりも歌詞に想いを込めることを重視するタイプなので、それを英語で実現しようとするとメロディにうまく歌詞が乗らなかったり、そもそも英語として不自然に感じたりする場面があったのも事実。それに対してSIXRIDEでは日本語で歌う下山が聴けるので、彼の想いやメッセージがより明確に伝わってくるのが大きいですね。下山の歌唱法はアクが強いものの既に免疫ができていた僕にとっては逆にそこが魅力的だし、感情剥き出しでぶつかってくる彼のボーカルパフォーマンスは胸に響きます。下山主導のバンドということもあってSIXRIDEではSABER TIGERやDOUBLE DEALER以上に彼の歌が活かされていますね。

【音源紹介】
茜色の空