HARTMANN「OUT IN THE COLD」(2005)

  • 2014/12/06(土) 00:00:00

OUT IN THE COLD
【No.414】
★★★(2006)

ネオクラシカル・メタルバンドAT VANCEの実力派シンガーとして名を馳せたOliver Hartmannがバンド脱退後に結成した自身のプロジェクトHARTMANN名義で放つ1stアルバム。AT VANCEがYNGWIE MALMSTEEN直系のサウンドだったのに対して、本作は肩の力を抜いたメロディアスハード路線となっています(Tシャツにジーンズ姿のOliverが写ったブックレットも新鮮)。「より広い音楽性に挑戦したい」という思いでOliverはバンドを離れたそうですが、AT VANCE時代はOlaf Lenk(G)が創作面のほぼ全てを担っていたため彼の作曲能力は未知数で一抹の不安もありました。ところが本作にはそんな心配を一蹴するだけの楽曲が並んでいます。

ボーカリストによるプロジェクトということもあり、各曲の中心に据えられているのは「歌」。それでいて楽曲はミドルテンポ、バラードが大半を占めるためAT VANCEの要素を求めると肩透かしをくらいますが、ひとつの作品として聴くと十分楽しめる1枚となっていますね。本作の中では珍しいアップテンポ⑥What If I、⑩Listen To Your Heartは出色の出来だし、アルバム随一のヘヴィチューン④The Same Againもカッコいい。バラードに関しても優しく爽やかなメロディが心地よい⑤I Will Carry On、曲名の通り眩い光に向けて歩むOliverの姿が目に浮かぶ壮大な⑫Into The Light辺りが印象に残りました。そして一際素晴らしいのが哀感を爆発させたパワーバラード③Brazenですね。この曲は丸坊主の女性シンガーSkin擁するヘヴィロックバンドSKUNK ANANSIEのカバーで選曲の妙もさることながら、ファルセットを交えたボーカルパフォーマンスが圧巻でハイライトとなっています。

そんな③に象徴されるように本作をワンランク上に押し上げているのがOliverの歌唱力。David Coverdale(Vo/WHITESNAKE)のような深みとEric Martin(Vo/MR.BIG)ばりのソウルフルな響きを併せ持つ彼のボーカルは絶品です。音楽性の関係もあってAT VANCE時代と比べると声を張り上げて歌う場面は激減、HARTMANNではマイルドかつ表情豊かなアプローチとなっていてシンガーとしての力量はこちらの方が活かせているような気もします。AT VANCEから脱退してしまったのは残念ですがHR/HMというジャンルにOliverを止めておくべきではないのかもしれませんね。個人的にはHARTMANNと並行して、どこかのメタルバンドのパーマネントメンバーとして活動して欲しいというのが正直なところですが…。

【音源紹介】
・What If I