LOST HORIZON「AWAKENING THE WORLD」(2001)

  • 2014/11/03(月) 00:00:00

AWAKENING THE WORLD
【No.411】
★★★★(2001)
年間ベスト2001年第4位

2001年に突如現れた「ヘヴィメタル・メサイア」LOST HORIZONによる衝撃のデビューアルバム。1986年公開の映画「ハイランダー」にインスパイアされたというメンバーが戦士風コスチュームを身に纏い、フェイスペイントを施して「腐り切った世界をヘヴィメタルで救う」とインタビューで語っているところを初めて見た時は「愛すべきメタルバカ」なバンドかと思っていました。ところがLOST HORIZONが生み出すサウンドは、そんじょそこらのイロモノバンドとは比べ物にならないほどのクオリティを誇っていて熱さと男気、そして疾走感に溢れた剛直なヘヴィメタルの数々に圧倒されるばかり。所謂メロパワを好んで聴く僕は正統派メタルの王道を行くバンドは苦手だったりするのですが、LOST HORIZONは北欧ならではの「泣き」や「哀愁」といった要素も併せ持っているのですんなり聴くことができました。

バンドのメインソングライターであり、曲の聴きどころとなるギターソロを次々と繰り出すWojtek Lisicki(G)を筆頭にMartin Furangen(B)のベキベキと唸るベース、Christian Nyquist(Ds)による手数の多いドラムと演奏陣も安定感がありますが、このバンドの主役は何と言っても実力派スキンヘッド・シンガーDaniel Heiman(Vo)です。声質そのものが魅力的なミドルレンジ、吐き捨て系シャウトから強力なハイトーンまで自在に操る彼なくしてLOST HORIZONの世界観がこのレベルにまで到達することはなかったと思います。2000年以降に登場したメタルシンガーの中でも屈指の逸材でしょう。90年代後半から2000年代初頭にかけてはRHAPSODY、SONATA ARCTICAなど有望な若手バンドが次々とシーンに登場していましたが、その中でもLOST HORIZONはインパクトがあったのでたった2枚のアルバムを残しただけで活動を休止(事実上の解散)してしまったことが悔やまれますね。

アルバムは序曲①The Quickeningで幕を開けるや「ハァッ!オッ!ストウッ!」のコーラスに胸が熱くなる灼熱のメタルチューン②Heart Of Storm、LOST HORIZON流メタルアンセムにしてバンドの代表曲③Sworn In The Metal Windへと雪崩れ込み冒頭から怒涛の畳み掛けを見せます。特に③は気持ちを高揚させるかのように早口で捲くし立てるパートと歌詞に込められた熱きメタル魂が「漢(おとこ)」を感じさせる名曲!ピアノによる小インスト④The Song Of Airを挟んで続く後半以降も、そのメタルウォリアーっぷりは衰えることなくDanielの切れ味鋭いシャウトが響き渡る⑤World Through My Fateless Eyes、「オー、オーオーオー♪」というコーラスとタイトルからして勇壮なミドルチューン⑥Perfect Warrior、キラキラしたキーボードサウンドとわかりやすいメロディがメロパワ要素を感じさせる⑦Denial Of Fate、静かな出だしから徐々に盛り上がっていきキャッチーなサビを聴かせる⑧Welcome Back、LOST HORIZONの凄みを9分に凝縮した長編⑨The Kingdom Of My Willからアウトロ⑩The Redintegrationに繋がるというアルバム構成も文句なし。全10曲中3曲が1分弱のインストで収録時間は43分弱とコンパクトな作品なので聴き始めの頃は食い足りない気もしていましたが、中身が非常に濃いアルバムなので聴き疲れを避けるためにもこれくらいの長さがちょうど良いのだと思います。なお本作で凄まじい歌唱を披露しているDanielはLOST HORIZONを脱退して以降、今ひとつパッとしませんでしたが現在はHARMONYというスウェーデンのバンドに在籍しているようです。HARMONYの2nd「CHAPTER II: THE AFTERMATH」(2008)にDanielはゲスト参加していて、彼が歌ったInner Peaceなる曲を聴く限りバンドとの相性は良さそうなので11月26日にリリース予定の3rd「THEATRE OF RDEMPTION」には密かに期待しています。

【音源紹介】
・Sworn In The Metal Wind