DOUBLE DEALER「DESERT OF LOST SOULS」(2007)

  • 2015/04/25(土) 00:00:00

DESERT OF LOST SOULS
【No.428】
★★★★★(2007)
年間ベスト2007年第1位

2000年に国産メタルシーン注目のプロジェクトとしてデビュー、活動休止期間を経て2005年に3rd「FATE & DESTINY」で復活したDOUBLE DEALERの4作目にしてラストアルバム。2006年には初のライブアルバム、DVDを発表するなど活動が軌道に乗ったかと思いきや、今回のアルバム制作中に島 紀史(G)のマネージャーと下山 武徳(Vo)の間で生じたトラブルがきっかけでリリース時には既にバンドが解散していたという、いわくつきの1枚でもあります。レコーディングが終了する前にトラブルが起きたため下山はバンドを脱退。一時はアルバムの発売自体が危ぶまれたものの、歌入れは済んでいたこともあり何とかリリースにこぎつけたという内部事情とは裏腹に内容は素晴らしいの一言。

前作もよくできたHR/HM作品でしたが、その手堅い作風が物足りなくもありました。ところが、今回はSABER TIGERを彷彿とさせる攻撃性と下山の迫力満点のボーカル(一部エフェクトあり)が炸裂するオープニング①Howl Of The Wolfからしてバンドの気迫、熱気が違います。フックに満ちた歌メロとギターソロがカッコいい②Like A Free Wind、曲の後半からエンディングにかけて怒涛の盛り上がりを見せる⑧Heart Never Bendsといったハードロック系、バラードのない本作で重要な役割を果たす哀愁ミドル④Star In The Dawn、待ってましたの疾走チューン⑤Judgement、キャッチーなコーラスが耳に残る⑥Cats In A Backyardなど、その後も芯はHR/HMにありつつも表情豊かな楽曲が続きます。それに加えてアルバム終盤ではFAIR WARNINGにも通じる爽やかなメロディを持ったDOUBLE DEALER流メロハー⑩Withered Grasses、ジャーマンメタルの香りも感じさせる疾走曲⑪Stained Lifeといった新機軸も見せていてバンドとしての伸びしろがまだあることを感じさせてくれますね。それだけにバンドがもう存在しないという事実がただただ残念でなりません…。

そんな楽曲群の充実もさることながら弱点だった音質面も改善されていて、プレイボタンを押した瞬間に今回は音が違うと感じたし礒田 良雄(Ds)の凄みもこれまで以上に伝わってきます。バンドの2枚看板は島と下山ですが礒田のドラミングもDOUBLE DEALERサウンドには欠かせませんね。多彩な音色で曲を彩るキーボードプレイヤー小池 敏之、楽曲に勢いをつけるベースラインとテクニックを持った木本 高伸(B)を加えたラインナップは日本のメタルシーンでも屈指の顔ぶれでしょう。個性のぶつかり合いがケミストリーを起こしたデビュー作も素晴らしかったですが、バンドとしての結束を増した末に完成した本作もまた名盤です。不本意な形で解散に至ってしまったDOUBLE DEALERですが、今年の7月に開催されるANTHEMのデビュー30周年記念フェスで一夜限りの復活をするそうですね。1st「DOUBLE DEALER」を2000年、本作を2007年の年間ベスト第1位に選出した僕としては、これをきっかけに継続的な活動に繋げてもらいたいのですが果たして…?

【音源紹介】
Like A Free Wind

DOUBLE DEALER「FATE & DESTINY」(2005)

  • 2015/04/22(水) 00:00:00

FATE & DESTINY
【No.427】
★★★(2005)
年間ベスト2005年第8位

2nd「DERIDE ON THE TOP」(2001)発表後に島 紀史(G)CONCERTO MOON下山 武徳(Vo)SABER TIGERといったメインバンドに活動の軸を戻したため自然消滅したかに思えたDOUBLE DEALERでしたが2004年に入りCONCERTO MOON、下山がSABER TIGER脱退後に立ち上げたSIXRIDEの両方が活動停止となったことで再始動。約4年振りとなる通算3枚目のアルバムが本作です。島と下山のぶつかり合いが化学反応を起こしたセルフタイトルのデビュー盤は素晴らしかったのに対し、前作が消化不良気味だったので一抹の不安もありましたが今回はなかなか良いですね。出たトコ勝負でレコーディングしたという過去2作と違い、今回は合宿をするなど時間をかけて制作したのが功を奏したのかもしれません。

期待を煽る長めのイントロからメロパワ風に展開する①Stream Of Time、「これぞ島 紀史!」なギターソロが炸裂する②The Cruel End、一際キャッチーなメロディが胸に響くリーダートラック③No Reasonの3曲はどれも強力。下山のボーカルも柔軟性を増していて、早口でたたみかける歌い方がカッコいい④Shedded Blood、力を抜いたサビでの歌唱が絶妙な⑥The Beast Fang To Tear Downなどが新鮮ですね。「北の凶獣」SABER TIGERで披露していた激しい歌唱に加えて、歌をメインに据えたSIXRIDEでの経験を積んだ後だからこそのパフォーマンスだと思います。またアルバム後半もゴスペルパートをバックに下山が熱唱するバラード⑦Pieces Of My Soul、メロウかつヘヴィな⑨Flame Of Regret、本編ラストに相応しいメタルチューン⑩Forgive All The Liesなどが並び前作ほとテンションが下がらないのも好印象。

アルバム全体としては、これまで以上にサウンドが洗練されているように感じますね。それを象徴しているのが下山の声を重ねたボーカルハーモニーの導入で①、③、⑦などを筆頭に大きな効果を発揮しています。これまでは各メンバーが他のバンドとの掛け持ちだったのが、本作からDOUBLE DEALER一本に集中できる環境になったことで前作の弱点だった楽曲の練り込み不足は解消されています。その一方で、島と下山がガチンコでぶつかり合うことで生まれていた熱気が減退しているのも事実だったりするのですが…。一度聴いただけで打ちのめされる超名曲はないものの安定感がある作品なので、良くも悪くも手堅い1枚だと思います。

【音源紹介】
No Reason

DOUBLE DEALER「DERIDE ON THE TOP」(2001)

  • 2015/03/29(日) 00:00:00

DERIDE ON THE TOP
【No.424】
★★(2001)

島 紀史(G/CONCERTO MOON)下山 武徳(Vo/SABER TIGER)を中心に結成、バンド名を冠したデビュー作がいきなりの名盤だったDOUBLE DEALERの2ndアルバム。「DOUBLE DEALER」(2000)発表後は国内ライブに加えてSYMPHONY X、MAJESTICと共にフランスツアーを敢行するなど単発プロジェクトではなく正式なバンドであることを高らかに宣言するかのように精力的な活動をする中でリリースされた1枚です。今回もBURRN!誌の広瀬編集長が興奮しながら大絶賛のライナーノーツを書いていますが、僕としては本作の満足度はデビューアルバムに比べるとかなり落ちるというのが正直なところですね。

アルバムの幕開けに相応しいアグッシブチューン①Soul Squeezed My Straight Shoutに始まり、ビデオクリップも制作された正統派メタルの傑作②Draw A Curtainへと至る流れは実に見事で掴みとして申し分ありません。そこから畳み掛けるように続くシャッフルビートの中で礒田 良雄(Ds)のドラミングが躍動するハードロック③Deride On The Top、前作収録のDeep Blue Skyとは趣の異なるポジティブな空気に覆われたバラード④If The Fate Includes All The Love、正統派メタルにロックンロールフィーリングを適度に注入した⑤Petal In The Palaceというアルバム序盤を聴いた時点では「今回も凄い作品を生み出してくれた!」と思ったのですが、その後は急速にトーンダウンしてしまいます。コテコテのネオクラシカル疾走曲⑦Love Is Not An Indulgenceを除いて、アルバム後半の曲がほとんど印象に残らないのが痛いですね。乱暴な例えをするならばデビュー作で唯一物足りなかったLeave As It Is Nowのようなインパクトの楽曲が並ぶという感じでしょうか。メンバーも後になって告白しているように本作発表当時、島はCONCERTO MOONの再始動、下山はSABER TIGERのニューアルバム制作を控えていて2人とも多忙を極めていたため、かなりタイトなスケジュールだったようですね。楽曲の練り込み次第では化けそうな曲もあるので、時間的な余裕があれば違う結果になっていたのかもしれませんが…。

そんな楽曲にメロディラインをなぞること以上に歌詞内容を重視する下山が言葉を乗せていったことで、歌メロが退屈になってしまっているように思えますね。メロディ自体に魅力が感じられなくなってくると、免疫ができたはずだった下山のクセのある歌唱が気になってきます。中でもアルバムラストに収録されたCONCERTO MOONのリメイク⑫Time To Die(Real Version)における下山の歌い方は、オリジナルの尾崎 隆雄(Vo/ex-CONCERTO MOON)バージョンを知る身としては違和感が強いですね。また前作ほどの目立つノイズはなくなったものの、相変わらず音質が悪いのもマイナス。アルバム前半の勢いが持続していれば、こんなマイナス要素も吹き飛ばせたのかもしれませんが…。デビュー作ではガッチリ噛み合っていたはずの歯車が今回は上手く噛み合わなかったように思えるバンドは本作を最後に一旦活動を休止、2005年に復活するまで島はCONCERTO MOON、下山は「F.U.S.E.」(2002)をリリース後にSABER TIGERを脱退し自身のバンドSIXRIDEをメインに活動をしていくことになります。

【音源紹介】
Draw A Curtain

DOUBLE DEALER「DOUBLE DEALER」(2000)

  • 2014/09/21(日) 00:00:00

D DEALER D DEALER
【No.408】
★★★★★(2000)
年間ベスト2000年第1位

1999年にシンガーの尾崎 隆雄が脱退したため事実上の活動休止状態にあったCONCERTO MOONのリーダー島 紀史(G)が以前から惚れ込んでいた下山 武徳(Vo/SABER TIGER)に熱烈ラブコールを送ったことから誕生したDOUBLE DEALERのデビューアルバム。島と下山の脇を固めるのは三谷 耕作(B/CONCERTO MOON)、小池 敏之(Key/CONCERTO MOON)、礒田 良雄(Ds/SABER TIGER)といった顔触れなのでCONCERTO MOONとSABER TIGERの混成バンドという見方もできるかもしれません。そんなラインナップからCONCERTO MOON風のネオクラシカルメタルを下山が歌う作風かと思いきや、本作は予想以上に骨太な正統派メタルアルバムに仕上がっています。僕はこのアルバムで初めて下山の熱唱を体験したため、聴き始めの頃は独特でクセの強いボーカルに馴染めなかったのですが、リピートする内に溢れんばかりの感情を込めた彼の歌唱に魅了されました。

そんな下山のパートナーである島もCONCERTO MOONの楽曲に対して僕が抱いていたイマイチ感を払拭させるほどの楽曲を揃えてくれていますね。フックに満ちたサビメロがたまらなくカッコいい疾走曲①The Long Way Roadとその勢いを見事に引き継いだ②Pandora's Box、キャッチーなサビとは対照的に下山が静かに歌い上げるパートを経て奏でられるギターソロが大きな感動を呼ぶ③The Enemy、下山の熱唱と泣きのギターソロが素晴らしい絶品バラード④Deep Blue Skyと続く怒濤の流れは圧巻の一言。中盤以降も実に強力で礒田の跳ねるリズムにメジャーキーのメロディが乗ることで爽やかさを発散する⑤Primitive Life、ヘヴィなイントロからは想像できないほど美しくスケール感たっぷりのサビへ展開していくドラマティックソング⑥Inner Voice、哀メロのお手本のような旋律が涙を誘う⑦Too Young And Vane、下山の獰猛なボーカルを前面に出して怒りの感情をブチまけた⑧Look At Your Faceなど個々の楽曲が素晴らしいだけでなくバリエーションも実に多彩です。後半に進むにつれて勢いが落ちる気もしますがCONCERTO MOONの前身バンドCRYSTAL CLEAR時代のアイデアを再度練り上げて完成させたメタリックチューン⑩Raise Your Fistでアルバムを締めくくってくれているので聴後感も良好です。なお初回限定盤には島が梶山 章(G/ex-PRECIOUS)と熱いギターバトルを繰り広げるインストFire Drakeを収録したミニCDが付いています。

BURRN!誌の広瀬編集長のやりすぎとも思える持ち上げっぷりが仇となり(?)、このバンドに関しては賛否両論あるようですが僕は大好きなアルバムですね。たしかに音質が悪いだけでなくチリチリというノイズすら聞こえる点や歌詞の内容を重視するあまり不自然になっている英詞、赤地に黒文字で書かれた読みにくいライナーノーツなど不満点はありますが、それらをねじ伏せるだけの力が感じられる1枚でもあるんですよね。DOUBLE DEALERは休止期間を挟みながらも継続的に活動し、4枚のオリジナルアルバムを発表しています。人間関係の悪化が原因で2007年に解散してしまった彼等ですが2013年になって柴田 直人(B/ANTHEM)の呼びかけで島と下山の2人が同じステージに立ち(ベースはもちろん柴田でドラムは礒田)、DOUBLE DEALERの曲を演奏したようなので奇跡の復活にも密かな期待を寄せています。

【音源紹介】
・Deep Blue Sky