LAST TRIBE「THE UNCROWNED」(2003)

  • 2013/05/20(月) 00:00:00

L TRIBE UNCROWNED
【No.376】
★★★★(2003)
年間ベスト2003年第9位

2001年のデビュー以降、1年に1枚のペースで高品質なアルバムを届け続けるLAST TRIBEの3作目。ソングライティングやギタープレイだけではなくキーボード、プロデュース、ボーナストラックではボーカルまでこなす中心人物Magnus Karlsson(G)のマルチな才能はここに来て一段と輝きを増していますね。前作「WITCH DANCE」(2002)ではプログレテイストもある正統派、躁なメロディを持ったジャーマンメタル調からポップな歌ものまでバラエティに富んだ楽曲が並んでいましたが、今回は上に挙げたタイプの中でも「プログレテイストもある正統派メタル」に焦点を絞ってきたように思います。これまでの作品には少なからず収録されていた疾走系ナンバーがないこと、楽曲がやや画一的になったこともあって地味になった感は否めませんがリピートするうちに味わいが増してくる辺りは流石ですね。

本作は何と言ってもアルバム冒頭が実に強力。重厚かつヘヴィなリフワークから流麗なサビへと展開していく①Healer、メジャーキーを用いた明るい曲調と終盤のアレンジが秀逸な②The Chosen Oneという名曲2連発で幕を開けます。そして、パイプオルガンで荘厳に始まるイントロからエンディングまで一分の隙もないドラマティックメタルの極致④The Uncrownedも本作のハイライトですね。そんなタイトルトラック以降は若干テンションが下がるもののMagnusらしいギターが炸裂する⑤Otherworld、配置も絶妙な1分半の叙情インスト⑥April Skyや本編ラストの⑩Call Of The Tribeなどは確かな聴きどころとなっています。またMagnusが歌う⑪Blessed By The Darkも楽曲、歌唱の両面でボートラだとは信じがたいほどのクオリティを誇っている点にも驚かされました。

このバンドの要がMagnusであることは間違いないのですが、デビュー当時からMagnusの相棒を務めるRickard Bengtsson(Vo/ex-ARMAGEDDON)、屈強のリズム隊としてバンドの屋台骨をしっかり支えるDick Lowgren(B/TIME REQUIEM、ex-ARMAGEDDON etc)、Jaime Salazar(Ds/BAD HABIT、ex-THE FLOWER KINGS etc) といった他のメンバーもLAST TRIBEに欠かせない存在となっている点も見逃せません。特にRickardは1st「THE RITUAL」(2001)やARMAGEDDONの頃と比べて大きく成長しましたね(最大の見せ場は⑨Full Moonのラストでしょうか)。派手さこそないもののデビューから3枚続けて質の高いアルバムを作り上げ、メンバーも定着してきたLAST TRIBEに大きな期待を寄せていたのですが現時点では本作を最後にバンドは自然消滅しています。その才能を高く評価されてMagnusが多くのプロジェクトに引っ張りだこになったことが大きな要因だと思うのですがALLEN/LANDE、STARBREAKER、THE CODEXなど彼が携わったプロジェクトは一定以上の質は担保されているけれどLAST TRIBEほどの感動は得られない作品が大半だというのがファンとしてはもどかしいですね。2013年現在MagnusはMat Sinner(B、Vo/SINNER)、Ralf Scheepers(Vo/ex-GAMMA RAY)を擁するPRIMAL FEARのパーマネントメンバーとなっているし、Rickardはプロデューサーやエンジニアとして活躍、DickはエクストリームメタルバンドMESHUGGAHに10年近く在籍、Jaimeは相変わらず複数のバンドやプロジェクトを掛け持ちするなど多忙なようですが、いつかLAST TRIBEを復活させてもらいたいですね。

【音源紹介】
・The Uncrowned

LAST TRIBE「WITCH DANCE」(2002)

  • 2013/05/17(金) 00:00:00

L TRIBE W DANCE
【No.375】
★★★★(2002)
年間ベスト2002年第6位

Pete Sandberg(Vo)がリーダーだと思っていたらそのPeteが脱退、後任にTALISMANでドラマーを務めていたことがあり後にTHE POODLESを結成することになるJakob Samuel(Vo)を迎えたことで、実はJonas Reingold(B)のバンドだということが明らかになったMIDNIGHT SUN。そのバンドの2代目ギタリストとしてシーンに登場したMagnus Karlsson率いるLAST TRIBEの2ndです。いちプレイヤーに徹していたMIDNIGHT SUNに対して、自分の理想とする音楽を追求するために結成したLAST TRIBEでは弾きまくりのギターや卓越したソングライティング能力で僕を魅了してくれていたので、期待が高まっていましたが本作はそんな期待にきっちり応えてくれる仕上がりとなっていますね。リズム隊にセッションミュージシャンを起用していたこともありプロジェクトっぽさが感じられたデビュー作「THE RITUAL」(2001) からメンバーチェンジがあり、技巧派ベーシストDick Lowgren(B/TIME REQUIEM、ex-ARMAGEDDON etc)とMIDNIGHT SUNでも活動を共にしていた北欧の名手Jaime Salazar(Ds/BAD HABIT ex-THE FLOWER KINGS etc)が加入していて大幅にレベルアップ。Magnus自身も「今のLAST TRIBEは正式なバンド」だと表明しています。

全体的には前作と同じく当時流行っていたメロパワとは一線を画したメロディックメタルで、楽曲が複雑な展開を見せる場面がありつつも歌メロは更にキャッチーになっていて更に聴きやすさが増していますね。序曲①The Gatheringに導かれて劇的なイントロから始まるタイトルトラック②Witch Dance、ミドルテンポの王道的ナンバー③Messengerと繋がる流れは鉄板です。それ以降も絶品のボーカルメロディに「キュイ~ン♪」とうなるMagnusのギターが絡む④Bring Out The Brave、爽やかなメロディがドラマティックに駆け抜けていく⑥Behind Your Eyes、ジャーマンメタル調の明るいメロディも飛び出す⑧Man Of Peace(Magnusの高速フレーズにDickがユニゾンするパートがカッコいい)といったメタリックチューン、ポップとすら言えそうな⑪DreamerBilly JoelHonestyっぽい?)など、多彩かつ高品質なナンバーが目白押し。前作に収録されていた超名曲Black Widowほどのインパクトこそないものの、アルバム全体の出来としては本作の方が上かもしれません。

それにしてもMagnusのギターは聴いていて気持ちがいいですね。良い意味でギタリストのエゴが感じられたデビュー作に比べて今回は楽曲のためのプレイに重きを置きつつ、見せ場もきっちり作ってくれています。それだけでなくMagnusは日本盤ボーナストラック⑫Tell Me Moreではリードボーカルも披露していてアコースティックバラード風の曲調と彼の素直な歌声がマッチしているし、客観的に見ても十分上手いと思います。本作と同時期にリリースされたMIDNIGHT SUNの4作目にしてラストアルバムとなった「METAL MACHINE」(2001)が僕好みの作風ではなかったこともあって、本作を聴きながらMagnusにはLAST TRIBEに専念してもらいたいと思ったことを今も覚えていますね。

【音源紹介】
・Dreamer

LAST TRIBE「THE RITUAL」(2001)

  • 2008/08/02(土) 10:46:22

THE RITUAL
【No.018】
★★★★(2001)
年間ベスト2001年第5位

Pete Sandberg(Vo/ex-ALIEN etc)がシンガーを務める北欧叙情派メタルバンドMIDNIGHT SUNに3rdアルバム「NEMESIS」から加入し、その名が知られるようになったMagnus Karlsson(G)のバンドLAST TRIBEのデビュー作。ちなみにフロントマンにはChristopher Amott(G/ARCH ENEMY)のソロプロジェクトARMAGEDDONで来日経験もあるRickard Bengtsson(Vo)を迎えています。MIDNIGHT SUNでのMagnusはさほど前に出ることなく、目立つ存在でもなかったので期待せずに聴いたのですが、これが予想以上に素晴らしい出来で驚きました。

LAST TRIBEの基本はあくまでメロディックメタルですが、STRATOVARIUSSONATA ARCTICAのようなスピーディーなネオクラシカル風メロパワ作品ではなく、どっしりと腰を据えた正統派メタル(ややプログレ風味あり)路線です。それはSteve Vai(G)Steve Morse(G/DEEP PURPLE)を敬愛しているというMagnusのギタープレイにも反映されていて、インスト⑩The Ritualも北欧ギタリストにありがちなYNGWIEフォロワー的な代物にならず、口ずさめるほどのキャッチーなギターメロディに溢れています。若干SYMPHONY Xっぽさを感じさせるパートもありますが、歌メロの充実振りはSYMPHONY X以上だし、○○系と簡単にくくれない独自性あるサウンドです。

肝心の楽曲の方も疾走感は控えめながら、どれもが魅力的なメロディを持っているのがLAST TRIBEの強みですね。中でも本作唯一の疾走曲と呼べる③Black Widowは悶絶必至のクサいメロディを撒き散らしながら駆け抜けていく名曲です。特に曲終盤でサビメロにMagnusのテクニカルなギターが絡んでいくパートは、ホンットにカッコいい。MIDNIGHT SUNでは知ることのできなかったMagnus Karlssonというギタリストのバカテク振りと、高いソングライティング能力を見せつけてくれる作品です。メタルは速くてナンボという人には物足りないと思うし、楽曲・メンバーともに派手さに欠けるきらいはありますが、印象に残るメロディとギタープレイ満載の本作は僕にとって名盤ですね。

【音源紹介】
・Black Widow