FC2ブログ

TNT「REALIZED FANTASIES」(1992)

  • 2020/06/10(水) 00:00:00

REALIZED FANTASIES
【No.543】
★★★(1997)

「TELL NO TALES」(1987)、「INTUITION」(1989)の2作品が高く評価され、北欧メタルの雄としての地位を日本で確立したTNTの5thアルバム。直近2作品は本国ノルウェーと日本で好評を博したもののアメリカでのセールスが不調に終わったためレーベルを移籍、そのレコード会社から楽曲に対する注文が入ることも少なくなかったようで当初の予定から大幅に遅れて完成に至ったのが今回のアルバムです。僕はリアルタイムで本作を聴いていませんが、リリース当時は日本のファンからも厳しい意見が多かったようで、後追いの僕にとっても「INTUITION」の次に本作を聴いた時にはかなり違和感がありました。

その違和感の要因としては、バンドがこれまでに築き上げてきた楽曲の透明感や北欧ならではの叙情メロディがかなり減退、アメリカンなロックサウンドに移行していることが大きいですね。それにともなってTony Harnell(Vo)もガナって歌う場面が散見されます。また細かい点かもしれませんが過去作品の収録時間が30分台だったのに対して、本作は50分弱のボリュームとなっている点も気になりますね。このバンドはコンパクトながらも密度の濃い作品を届けてくれるのが大きな特徴だったので4〜6分台の曲が並ぶ本作を聴いて「TNTがフツーのバンドになってしまった…」と一抹の寂しさを感じました。とはいえTonyのハイトーンは健在だし、Ronni Le Tekro(G)によるヘンテコなギターワークも相変わらず冴え渡っているので、従来のTNTと比較しなければそれなりに楽しめるのも事実です。

捻りの効いたギターが耳に残るハードロック①Downhill Racer、②Hard To Say GoodbyeやLAメタル的なドライヴィングチューン③Mother Warned Me、派手さはないもののサビメロがクセになるラスト曲⑩Indian Summerは本作ならではの楽曲だと思います。また坂本 龍一「戦場のメリークリスマス」に似たメロディが登場するバラード④Lionheart、爽やかでポップなメロディが気持ちいい⑤RainなどはTNTらしさが感じられるナンバーです。特に④は彼等がこれまでにバンドが生み出してきた名バラードに比べても遜色なく、この曲のために本作を聴く価値があると思えるほど。その一方でお洒落なピアノやギターソロの響きがQUEENを彷彿とさせる⑧Easy Street、ブルージーな⑨All You Needといった「TNTでやる必要がある?」と感じてしまうナンバーが集中するアルバム後半は微妙ですね。後にRonni自身も「妥協の産物」と語る本作が今ひとつ纏まりに欠けるアルバムになっているのは、バンドが目指す音とレーベルの意向が噛み合わなかったせいかもしれません。個人的にアルバム前半は気に入っているので駄作で片付けてしまうのは勿体ない1枚だと思います。本作を最後にTNTは一時解散、1997年に「FIREFLY」で復活を果たしますが多くのファンから本作以上に厳しい評価を受けてしまうことに…(苦笑)。僕は本作までしかTNTのアルバムは聴いていませんが「FIREFLY」以降の作品もいつかチェックしてみたいと思っています。

【音源紹介】
Lionheart

TNT「INTUITION」(1989)

  • 2020/05/25(月) 00:00:00

INTUITION.jpg
【No.542】
★★★★(1997)

「バンドの最高傑作」、「80年代北欧メタルを代表をする名盤」など高い評価を受けているTNTの4作目。2nd 「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)でTNTサウンドの礎を築き、前作「TELL NO TALES」(1987)ではその進化形を見せてくれましたが、今回は更に洗練されていて普段HR/HMに馴染みのない人にも受け入れられそうなほど聴きやすい作風となっています。透明感に溢れたサウンドの中で煌くメロディ、それを歌い上げるTony Harnell(Vo)の超絶ハイトーンボイスとRonni Le Tekro(G)による独特のギターフレーズが織り成す音世界は今回の本作で完成の域に達しています。

アルバムはTNTとしては初となる序曲①A Nation Free (Intro)でスタート、この曲がスケール感たっぷりなので荘厳な幕開けとなっています。②Caught Between The Tigersは個性的なギターリフとグルーヴを持ったロックチューンで、典型的なTNTソングとは一線を画す曲調ながらクセになる1曲ですね。それに続く北欧ハードポップの理想郷③Tonight I'm Falling、母国ノルウェーのクラシック音楽家グリーグの「ペール・ギュント」第二組曲の「ソルヴェイグの歌」のメロディ(後にKAMELOTも名曲Foreverでフィーチュアしています)をギターソロに取り入れた美麗バラード④End Of The Line、冒頭のギターメロディだけで心を鷲掴みされる爽やかな名曲⑤Intuitionの3連発は実に強力。それ以降も②に通じるメタリックな側面を見せる⑥Forever Shine On、ポップセンスが弾ける⑦Learn To Love、③や⑤といった超名曲の影に隠れがちですが並のアルバムならキラーチューン間違いなしの⑨Take Me Down (Fallen Angel)、ワルツのような雰囲気の中で泣きのメロディとミステリアスなギターソロが光るエンディング曲⑩Wisdomなど聴きどころが満載です。

惜しむらくはRonniがボーカルをとった小曲⑧Ordinary Loverが作品全体の流れから見て浮いていることでしょうか…。本作リリース後に実現した初来日の記念盤として再発された「INTUITION」(現在は入手困難)にはElectric Dancerという軽快なロックソングがボーナスとして追加されているのですが、なかなかの佳曲なので⑧よりもこちらの方を通常盤に収録して欲しかったですね。ちなみにElectric Dancerは1996年発売のベスト盤「TILL NEXT TIME」でも聴くことができます。とはいえ、全10曲中の約半数にあたる4曲(③、④、⑤、⑨)が名曲という充実振りには脱帽で、各所で高く評価をされていることも納得の名盤です。

【音源紹介】
Intuition

TNT「TELL NO TALES」(1987)

  • 2020/04/30(木) 00:00:00

TELL NO TALES
【No.541】
★★★★(1997)

本国ノルウェーでは3週連続でナショナルチャート1位に輝くなどヒットを記録したTNTの出世作にして通算3枚目となるアルバム。日本デビュー盤でもあった前作「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)はTNTがアイデンティティを確立するための重要作品だったのは事実ながら、バンドとしては発展途上にあることが感じられる1枚でもありました。それに対して本作では2ndにあったヴァイキングメタル系の曲は姿を消し、メジャー感が大幅に増しているだけでなく「北欧ならではの透明感と美しくもキャッチーなメロディを詰め込んだHR/HM」というTNTらしさを凝縮した仕上がりとなっていますね。

バンドの成長振りをいきなり見せつけてくれるアップテンポ①Everyone's A Star、ノリの良いギターリフからキャッチーなサビへ繋がっていく②10,000 Lovers (In One)、珠玉の美旋律ハードロック③As Far As The Eye Can See(見わたす限り)と続く冒頭3曲は実に強力。その後も邦題のセンスは微妙ながら美しさに溢れたバラード⑤Child's Play(チャイルド遊戯)からシームレスに繋がるアコースティックのインスト小品⑥Smooth Syncopationを挟んで爽やかなメロディが躍動する⑦Listen To Your Heart、曲名からして北欧テイスト満点の名バラード⑨Northern Lights、アルバムラストを派手に締めくくるスピードメタル⑪Tell No Talesを始めとする北欧メタルの最高峰が堪能できる1枚となっています。「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」の記事でも書いたように僕はベストアルバム「TILL NEXT TIME」(1996)がTNTとの出会いだったので、そこに収録されていない⑨を初めて聴いた時には「なぜこの曲が入っていないんだ?」というのが率直な感想でした。

加入2作目となるTony Harnell(Vo)の突き抜けるようなハイトーンは更に伸びやかになっているし、メインソングライターでもあるRonni Le Tekro(G)もクラシカルなインスト④SapphireYNGWIE MALMSTEENばりに弾きまくっているほかリフやソロで、その独特なセンスを遺憾なく発揮していますね。全11曲で31分足らずと、収録時間だけ見るとEP並みのボリュームしかないものの中身は濃密で聴き応え満点の逸品となっています。一般的にTNTの最高傑作は4th「INTUITION」(1989)という声が多いようですが僕にとってはどちらも甲乙付け難い名盤です。メタリックなエッヂもある本作、そこから更に洗練された次作という感じでしょうか。これからTNTを聴く方にはどちらの作品も手に取ってもらいたいですね。

【音源紹介】
10,000 Lovers (In One)

TNT「KNIGHTS OF THE NEW THUNDER」(1984)

  • 2020/04/20(月) 00:00:00

KNIGHTS OF THE NEW THUNDER
【No.540】
★★★(1996)

Ronni Le Tekro(G)率いるノルウェー出身の北欧メタルバンドTNTの2ndアルバム。後にバンドの顔となるアメリカ人シンガーTony Harnell(当時はTony Hansen名義)は本作から加入しています。バンド名を冠した1stアルバムはDag Ingebrigtsen(Vo)なる人物が歌っていたのですが、その時点ではTNTの代名詞である透明感やキャッチーなメロディといった要素は皆無に等しく、歌詞はノルウェー語のB級メタルだったのに対して全編英語詞による本作ではTNTらしさが感じられるようになっていますね。とはいっても前作からの影響もまだ残っていて彼等の作品群の中ではメタリックな印象が強いアルバムです。ちなみにDagの後任にはMICHAEL SCHENKER GROUPを脱退したばかりのGary Barden(Vo)にほぼ決まりかけていたのですが、無名ながら圧倒的な歌唱力を誇るTonyを迎える決断を下したそうです。もしGaryが加入していたらバンドの音楽性も今とは別のものになっていたかもしれませんね…。

僕はバンド初のベスト盤「TILL NEXT TIME」(1996)で初めてTNTの音に触れ、その後にオリジナルアルバムを聴いたので、重厚でありつつキャッチーさも忘れない①Seven Seas、何度も繰り返されるサビがクセになる④Last Summer's Evil、HR/HMのお手本のような⑦Break The Ice、勇壮なヴァイキングメタル⑩Knights Of The Thunderなどベストアルバムの収録曲に耳がいきますね。ただ本作はそれ以外にも疾走感溢れるイントロと爽やかなサビの対比が見事な②Ready To Leave、タイトル通りのロマンティックなインスト小品③Klassisk Romance、いかにも北欧のバンドらしい美麗バラード⑤Without Your Love、TNTにしては珍しく漢臭いコーラスをフィーチュアした⑥Tor With The Hammerといった魅力的なナンバーが並んでいる点も見逃せません。

バンドの代表作と言われる3rd「TELL NO TALES」(1987)、4th「INTUITION」(1989)に比べると粗削りだし、Tonyのボーカルに力みが感じられたり、メンバーのルックスも垢抜けなかったりするのは事実ながら1st「TNT」(1982)から大きく進化していることは間違いありません。デビュー作のソングライティングには前任シンガーDagが関わっている曲がそれなりにあったようなので、TNTというバンドの基礎が確立されたのは本作からだと言えると思います。Dagは実力不足などを理由に事実上の解雇という形でバンドを離脱したそうですが、本作でもドラムを叩いているDiesel DahlがTNT脱退時に結成したTINDRUMの2nd「HOW 'BOUT THIS ?!」(1989)でリードボーカルを務めたり、2012年に敢行されたTNTの歴代シンガーが集ったライヴ(後に「THE 30TH-ANNIVERSARY CONCERT」としてDVD/CDがリリース)に参加したりしているのでメンバーとの関係性は悪くないようです。

【音源紹介】
Seven Seas

【CD購入録】TEMPERANCE「VIRIDIAN」(2020)

  • 2020/02/10(月) 00:00:00

【CD購入録】
VIRIDIAN.jpg
TEMPERANCE「VIRIDIAN」(2020)

Michele GuaitoliAlessia Scolletti嬢という男女のシンガーにMarco Pastorino(G/ex-SECRET SPHERE)を加えたトリプルボーカル体制によるイタリアのモダン・メロディックメタルバンドTEMPERANCEの5thアルバム。バンドの編成やサウンドからスウェーデンのAMARANTHEを連想させる部分があるもののTEMPERANCEはそこまで女性ボーカル偏重というわけではなく、デジタルサウンドも味付け程度なのでよりオーソドックスなメロディックメタルに近いように思います。それが顕著に表れているのが疾走感に溢れた④My Demons Can’t Sleepで、僕はこの曲を試聴してアルバムの購入を決めました。スピードチューンはそれほど多くありませんがフックに満ちたメロディが満載だし、ケルティックな⑨Nanook、ハンズクラップがリラックスした雰囲気を演出する2分足らずの小曲⑪Catch The Dreamといった変化球があるのも好印象。日本盤ボーナストラック⑫Lost In The Christmas Dreamは2019年にデジタル限定でリリースされた文字通りのクリスマスソングで、ボーナスにしておくには勿体ないほど魅力的ナンバーです。試聴段階から期待値が高かったのですが、その期待にしっかり応えてくれた充実盤なので過去の作品もチェックしたくなりました。

【CD購入録】TUNGSTEN「WE WILL RISE」(2019)

  • 2019/10/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
WE WILL RISE
TUNGSTEN「WE WILL RISE」(2019)

SILVER MOUNTAIN、YNGWIE MALMSTEEN、HAMMERFALLといったバンドで活動し、現在はMANOWARに在籍しているAnders Johansson(Ds)Karl Johansson(B、Key)、Niklas Johansson(G)という2人の息子と結成したTUNGSTENの1stアルバム。リードボーカルを務めるのはMike Andersson(PLANET ALLIANCE etc)というラインナップです。MVも制作されたタイトル曲①We Will Riseはフォークメタル調のイントロで幕を開け、Andersがこれまでに在籍したネオクラシカル系や正統派ヘヴィメタルとは一線を画す音楽性となっていますね。楽曲はKarl、Niklasの2人が中心となって書いているようで楽しげな民謡風のフレーズの中に、北欧らしい哀愁のメロディやインダストリアル系のヘヴィパートもあったりしてなかなか新鮮です。曲によっては現代の北欧HR/HMシーンの代表格SABATON、ウイーン出身のポルカメタルバンドRUSSKAJA、スウィングジャズを取り入れたDIABLO SWING ORCHESTRAなどを連想させる要素がありますね。飛び抜けたキラーチューンこそないもののリピートしたくなる魅力を持った1枚です。

【CD購入録】TWILIGHT FORCE「DAWN OF THE DRAGONSTAR」(2019)

  • 2019/08/27(火) 00:00:00

【CD購入録】
DAWN OF THE DRAGONSTAR
TWILIGHT FORCE「DAWN OF THE DRAGONSTAR」(2019)

スウェーデンのメロパワ界期待の若手TWILIGHT FORCEの3rdアルバム。今回の注目点は何と言っても過去2作で歌っていたChristian Eriksson(Vo)が脱退、後任にAlessandro Conti(Vo/TRICK OR TREAT、ex-LUCA TURILLI'S RHAPSODY)を迎えている点でしょう。いざ聴いてみるとAlessandroも実力者なので違和感なくバンドに馴染んでいますが、高音で歌う時に彼特有のクセが顔を出すとChristianとの違いを感じますね。また朗々と歌うAlessandroのスタイルが影響してか、全体的に明るいメロディやフォークメタルのようなフレーズが増えているのも特徴でしょうか。クサメロたっぷりにオープニングを飾る①Dawn Of The DragonstarからしてTWILIGHT FORCEらしさ全開です。中盤に配された④With The Light Of A Thousand Suns、⑤Winds Of Wisdom、⑥Queen Of Eternityの流れは強力だし、高揚感溢れる⑨Night Of Winterlightから12分に及ぶ大作⑩Blade Of Immortal Steelへと続く終盤も聴き応えがあります。シンガーがTWILIGHT FORCE専属ではなく他のバンドも掛け持ちするAlessandroに交代したことでアルバムを発表するペースは落ちてくるかもしれませんが、作品の出来栄えとしては期待を裏切らない仕上がりだと思います。

【CD購入録】TURILLI / LIONE RHAPSODY「ZERO GRAVITY - REBIRTH AND EVOLUTION」(2019)

  • 2019/08/22(木) 00:00:00

【CD購入録】
ZERO GRAVITY
TURILLI / LIONE RHAPSODY「ZERO GRAVITY - REBIRTH AND EVOLUTION」(2019)

Luca Turilli(G/LUCA TURILLI'S RHAPSODY)、Fabio Lione(Vo/ANGRA etc)という元RHAPSODY OF FIREの2人がRHAPSODY名義でフェアウェルツアーを敢行したことがきっかけで誕生したTURILLI / LIONE RHAPSODYの1stアルバム。ラインナップはフェアウェルツアーと同じでLUCA TURILLI'S RHAPSODYをベースとしつつAlex Holzwarth(ex-RHAPSODY OF FIRE)を迎え、シンガーがAlessandro Conti(Vo/TRICK OR TREAT)からFabioに交代したものがTURILLI / LIONE RHAPSODYです。フェアウェルツアーには不参加だったAlex Staropoli(Key)率いるRHAPSODY OF FIREを含めると第3のRHAPSODYということになるかもしれませんが、個人的にはLUCA TURILLI'S RHAPSODYがTURILLI / LIONE RHAPSODYとして再スタートを切ったと表現した方がしっくりきますね。肝心の中身はというと緻密に作り込んだオーケストラサウンドで彩られたプログレッシブメタルとなっていて、RHAPSODY OF FIREが「THE EIGHTH MOUNTAIN」(2019)で提示したパワーメタルとは一線を画しています。クサメロと高揚感、そして勢いに溢れたRHAPSODY OF FIREの方が僕好みですが本作もなかなか聴き応えがあります。特に先行で公開されていた①Phoenix Rising、②D.N.A. (Demon and Angel)、③Zero Gravityの冒頭3曲は出色の出来。中盤以降はややテンションが下がるもののQUEENのようなアプローチを取り入れた⑨I Amは好きですね。

【CD購入録】TOBY HITCHCOCK「RECKONING」(2019)

  • 2019/05/11(土) 00:00:00

【CD購入録】
RECKONING.jpg
TOBY HITCHCOCK「RECKONING」(2019)

Jim Peterik(G/ex-SURVIVOR)と組んだPRIDE OF LIONSでこれまでに5枚のアルバムをリリースしているToby Hitchcock(Vo)の2ndソロ作品。前作「MERCURY'S DOWN」(2011)ではErik Martensson(Vo、G/ECLIPSE、W.E.T.)が全面参加していたのに対して今回はDaniel Flores(Ds、Key/FIND ME etc)プロデュースの下、FRONTIERS RECORDS御用達のAlessandro Del Vecchio(Key)Marcus Nygren(Vo/STATE OF SALAZAR)、Michael Palace(Vo/PALACE)といったソングライターが曲を提供しています。ラインナップを見ただけで「ハズレはない」と確信できる顔ぶれですが中身の方もその期待を裏切りません。Tobyの伸びやかな高音を活かす溌剌としたサウンドが気持ちいい①No Surrender、②Promise Meの冒頭2曲と雄大なバラード③Show Me How To Liveを筆頭にメロディックロックの王道をゆく楽曲群がズラリと並びます。優等生過ぎる感があるのも事実ながらメロハー職人達と実力派シンガーが集結しただけあってクオリティは折り紙つきですね。

【CD購入録】TREAT「TUNGUSKA」(2018)

  • 2018/09/25(火) 00:00:00

【CD購入録】
TUNGUSKA.jpg
TREAT「TUNGUSKA」(2018)

スウェーデン産メロディックロックのベテランバンドTREATの8作目を買いました。18年振りの復活アルバムとなった前々作「COUP DE GRACE」(2010)に比べると、前作「GHOST OF GRACELAND」(2016)は一撃のインパクトはさほど大きくないものの円熟味を感じさせる作品でした。今回もその延長線上にあると言えそうな作風で、一度聴いただけで頭から離れなくなってしまうようなキラーチューンはない一方で味わい深いメロディックロックが楽しめます。先行で音源が公開されていた④Rose Of Jericho、⑧Build The Loveは流石の出来だし、重厚なオープニング曲①Progenitorsや即効性高めの⑨Riptide、そして本編ラストをカッコよく締めくくる⑫Undefeatedなどもお気に入りですね。派手さはなくともバンドの魅力がしっかりと発揮された1枚だと思います。

【CD購入録】THRESHOLD「LEGENDS OF THE SHIRES」(2017)

  • 2017/12/12(火) 00:00:00

【CD購入録】
LEGENDS OF THE SHIRES
THRESHOLD「LEGENDS OF THE SHIRES」(2017)

英国が誇るプログレッシブHR/HMのベテランTHRESHOLDの11作目を買いました。僕が初めて彼等の音に触れた8th「DEAD RECKONING」(2007)リリース後に長年フロントマンを務めたAndrew "Mac" McDermott(Vo/ex-SARGANT FURY)が体調不良のため脱退(残念ながら2011年に他界)、初代シンガーDamian Wilsonが復帰したものの再度離脱したためバンドは2nd「PSYCHEDELICATESSEN」(1994)でリードボーカルをとっていたGlynn Morganを迎えています。Glynnというシンガーのことは全く知りませんでしたがIRON MAIDENBruce Dickinson後任ボーカルオーディションで最終選考まで残ったという実力者だそうで本作でも力強い歌声を披露してくれています。「DEAD RECKONING」がお気に入り盤だったので続く9th「MARCH OF PROGRESS」(2012)も試聴はしたものの、インパクトに欠ける印象が拭えずスルーしていました。ところが適度な疾走感とTHRESHOLDらしからぬ(?)キャッチーなメロディを持ったDisc-1②Small Dark Linesを試聴して気に入ったため購入。本作は2枚組83分のコンセプトアルバムでメンバーは物語の詳細を語らず聴き手に委ねたいという意向のようですがアルバムジャケットにも描かれ、タイトルにもなっているThe Shire(シャイア)という場所が舞台となっているようです。一聴してガツンとくるナンバーは少ないのは事実ながらDisc-1⑤Stars And Satellites、Disc-2④State Of Independence、Disc-2⑤The Superior Machineなどリピートしたくなる魅力に溢れた作品だと思います。

【CD購入録】TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」(2017)

  • 2017/05/06(土) 00:00:00

【CD購入録】
HEROES OF MIGHTY MAGIC
TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」(2017)

デビューアルバム「TALES OF ANCIENT PROPHECIES」(2014)がクサメタラーの間で好評だったアドヴェンチャー・メタルバンドTWILIGHT FORCEの2作目を買いました。トワイライトキングダムを舞台としたストーリーアルバムでもある本作は2016年夏に輸入盤で発売され、評判も良さげだったので日本盤ボーナストラックに期待して国内盤を待ち続けていました。その日本盤は輸入盤から半年近く遅れて、本編のカラオケバージョンとライヴ音源1曲が入った2枚組限定盤、通常盤の2バージョンが発売されたもののカラオケには興味がないので通常盤を購入。待った甲斐があまりなかったような気もしますが、アルバムに登場する各キャラクターの設定やステータスの和訳が付いているのでアルバムの世界観に浸るにはいいのかもしれません(笑)。中身の方は前作を気に入った方なら今回もイケるであろうシンフォニックなメロパワで相変わらず明るめのメロディが目立ちます。個人的にはもう少し哀メロが欲しいし、似た曲調が続くためアルバムとしての抑揚に欠ける感はありますが、疾走曲を次から次へと繰り出すその作風はそんな不満を吹き飛ばすだけのパワーに溢れています。お気に入り曲はいきなりクサメロが炸裂するオープニング①Battle Of Arcane MightFabio Lione(Vo/ANGRA、ex-RHAPSODY OF FIRE)がゲスト参加した長編⑤There And Back Again辺りでしょうか。それ以外の楽曲も高揚感満載のメロパワチューンで否が応でもテンションが上がりますね。ちなみに⑪Epilogueは6分近くもある語り、⑫Knights Of Twilight's Mightはトワイライトキングダムの国歌だそうです(笑)。前作を聴いて膨らんだ期待を裏切らないメロディック・クサメタルの充実盤だと思います。

【CD購入録】TWILIGHT FORCE「TALES OF ANCIENT PROPHECIES」(2014)

  • 2017/05/02(火) 00:00:00

【CD購入録】
TALES OF ANCIENT PROPHECIES
TWILIGHT FORCE「TALES OF ANCIENT PROPHECIES」(2014)

自らの音楽を「アドヴェンチャー・メタル」と称するスウェーデンの新鋭TWILIGHT FORCEの1stアルバムを買いました。「アドヴェンチャー・メタル」というワード、火を吹くドラゴンが描かれたジャケットから想像がつく通り、剣と魔法が登場するシンフォニック・クサメタルでRHAPSODYGLORYHAMMERを彷彿とさせますね(後者は特にメンバーのコスチューム的に/笑)。これらのバンドよりも明るいメロディが目立っているのがTWILIGHT FORCEの特徴でしょうか。ジャケットははっきり言ってチープですが、中身の方は意外と(?)しっかりしていてデビュー作としては上々の出来栄えです。若かりし頃のTobias Sammet(Vo/EDGUY、AVANTASIA)にも似たシンガーChristian Erikssonが高音域で時折苦しそうになるのも、この手のバンドではよくあるケースなのでさほど気になりません。アップテンポの曲を中心としつつ、後半に配されたバラードかいいアクセントになっているし、なんと言っても各曲のクサメロが光っています。その中でも際立っているのがアルバムに先駆けて配信されていたという②The Power Of The Ancient Force。サビでバンド名が高らかに歌い上げられるこの曲はTWILIGHT FORCEのテーマソングと呼べそうですね。また日本盤ボーナストラックにはHELLOWEENの超名曲⑫Eagle Fly Freeのカバーを収録。このバンドのカラーに合った壮大な仕上がりではあるものの基本的にオリジナルに近いアレンジとなっています。

【CD購入録】TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.2」(2016)

  • 2016/10/31(月) 00:00:00

【CD購入録】
RABBITS HILL PT2
TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.2」(2016)

「ハッピーメタル」を標榜するイタリアのメロディック・パワーメタルバンドTRICK OR TREATの4作目を買いました。タイトルからもわかる通り、バンド初のコンセプトアルバム「RABBITS' HILL」の後編にあたる1枚です。前作「RABBITS' HILL PT.1」(2012)は持ち前の爽系メロパワサウンドから距離を置き、多様性を見せた作風ではあったものの僕の琴線に触れるメロディは減少していたので今回は購入を迷っていました。そんな中、各所で本作の良い評判を耳にしたので聴いてみたのですが、これがなかなか好感触。牧歌的な②Together Againでいきなりスローダウンしてしまうのはマイナスですが、バンド初のデス声をフィーチュアした①Inle'(The Black Rabbit Of Death)、これぞTRICK OR TREAT!な③Cloudrider⑥The Great Escape、クサいメロディと劇的な展開が秀逸な10分越えの大作⑩The Showdownなど聴きどころが多いですね。恒例となっている感のあるゲストシンガーとしてはSara Squadrani(Vo/ANCIENT BARDS)がドラマティックなバラード⑤Never Say GoodbyeTim "Ripper" Owens (Vo/ex-JUDAS PRIEST、ICED EARTH)がパワフルな⑦They Must DieTony Kakko(Vo/SONATA ARCTICA)がフォーキーな⑨Unitedで客演していて、特にSaraとTimが持ち味を発揮しています。

【CD購入録】TREAT「GHOST OF GRACELAND」(2016)

  • 2016/04/14(木) 00:00:00

【CD購入録】
GHOST OF GRACELAND
TREAT「GHOST OF GRACELAND」(2016)

6th「COUP DE GRACE」(2010)が「最後の一撃」という邦題通りラストアルバムになる予定だったTREATが解散宣言を撤回してリリースした7作目を買いました。前作はここ数年に聴いた全てのCDの中でもナンバーワンと呼べる超名盤だっただけに、本作にも並々ならぬ期待とそれに応えてくれるのかという不安が交錯していましたが「流石はTREAT」と思える仕上がりとなっています。ただし全体的にはジャケットやタイトル曲①Ghost Of Gracelandに象徴されるように、ダークで重厚な要素が強まっているように思います。現時点でのお気に入りはアルバム発表前から公開されていた⑤Endangered、⑥Infernoの2曲と一際キャッチーな⑧Nonstop Madnessですね。バラードの⑪Together AloneRobert Ernlund(Vo)を差し置いてギタリストのAnders Wikstromが歌っていると聞いて一抹の不安もありましたが、なかなかの歌声を披露してくれています。

TIME REQUIEM「OPTICAL ILLUSION」(2006)

  • 2015/08/16(日) 00:00:00

OPTICAL ILLUSION
【No.439】
★★(2006)

MAJESTIC、TIME REQUIEM、SPACE ODYSSEYで発表した5作品から厳選した10曲をリメイクしたベスト盤「THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION」(2006)をリリースしたRichard Andersson(Key)が僅か半年のスパンで放つTIME REQUIEM名義での3作目。TIME REQUIEMの前身バンドMAJESTICの2nd「TRINITY OVERTURE」(2000)から在籍していたMagnus Nordh(G)、Apollo Papathanasio(Vo)はバンドを離れRichardの幼馴染みでSPACE ODYSSEYのギタリストでもあるMagnus Nilssonが加入、シンガーにはGoran Edman(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)を迎え、リズム隊はAndy Rose(B)、Jorg Andrews(Ds)という「THE ULTIMATE ANDERSSON COLLECTION」と全く同じラインナップとなっています。リメイク作品とオリジナル盤とはいえRichardが同じメンバーでアルバムを制作したのは今回が初めてですね。ちなみにGoranはもうメタルを歌わないと思っていたのですがネオクラ系バンドからのオファーをほとんど断っている中、Richardは本物だと感じることができたため参加したそうです。

SPACE ODYSSEYの2nd「THE ASTRAL EPISODE」(2005)がTIME REQUIEM寄りのプログレメタル風だったので、TIME REQUIEMの音楽性がどうなるのか注目していたのですがデビュー作で顕著だった張り詰めるような緊張感、その中でキラリと光る哀メロといったTIME REQUIEMのアイデンティティはかなり薄れていますね。このバンドにしては珍しいアコギと笛の音色に導かれて始まるオリエンタルなムードを湛えた①Sin To Sinからして違和感があります。その一因となっているのがシンガーの交代でしょう。野太いハスキーボイスが特徴だった前任者Apolloとは対照的なGoranの声質を考えると、この変化は自然なのかもしれませんが別バンドになってしまったかのように感じる場面も少なくありません。その最たる曲がYNGWIE MALMSTEENバンドでGoranが歌ったTeaser(「FIRE AND ICE」収録)に通じる明るさを持った⑦Miracle Manですね。曲全体としては薄味ながらサビではクサメロパートに移行する②The Talisman、④The Ashen Soulには「ハッ」とさせられるし、ネオクラの王道をゆく⑧Sphere Of Fantasyは気に入っていますが、過去のアルバムほどのめり込めない自分がいます。

Richardのキーボードに関しては、これまでのような速弾き一辺倒で曲を覆い尽くすことはなく、彼にしては押し引きをわきまえたプレイになっていますね。それと比例するようにギターパートも増量されているので客観的に見ればバランスが良くなったようにも感じますが、限界以上に弾きまくるのがRichardのスタイルだったことを思うと物足りなかったりもします。というわけでTIME REQUIEMがこれまでに築き上げてきた個性が希薄になっているので戸惑ってしまう部分が多いのが気になりますね。TIME REQUIEMの作品であるかどうかを別にして繰り返し聴くうちにジワジワと好きになっていった1枚なので、別バンドとしてリリースしてくれた方がすんなり受け入れることができたように思います。

【音源紹介】
The Talisman

TIME REQUIEM「THE INNER CIRCLE OF REALITY」(2004)

  • 2015/07/19(日) 00:00:00

THE INNER CIRCLE OF REALITY
【No.436】
★★★★(2004)
年間ベスト2004年第10位

メンバーの5人中4人は前身のMAJESTICと同じながらバンド名を冠した1stアルバムで一段と濃密、そしてテクニカルなサウンドへと変化したTIME REQUIEMの2作目。前作リリース後には初来日、その模様を収めたライブ盤「UNLEASHED IN JAPAN」(2003)を発売したり、新たにSPACE ODYSSEYを立ち上げたりと活動を更に加速させているRichard Andersson(Key)の創作意欲は留まるところを知らないようで、SPACE ODYSSEYのデビュー作「EMBRACE THE GALAXY」(2003)から僅か半年ほどで届けられたTIME REQUIEMの新作となります。リズム隊がメロデス畑の人選からJonas Reingold(B/ex-MIDNIGHT SUN etc)、Zoltan Csorsz(Ds)というTHE FLOWER KINGS組に替わったことが影響してか、前作ほどガッチガチにタイトな演奏ではなく音の隙間が感じられるサウンドになった印象がありますね。

そんな変化が如実に表れているのが、これまでにないプログレッシブ・ロックのような空気を放ちつつテクニカルに進行していく11分超のタイトル曲②The Inner Circle Of Realityです。3分近くに及ぶソロパートではRichardのキーボードは言うまでもありませんが、Zoltanのドラムも凄いことになっていますね。MAJESTICの2nd「TRINITY OVERTURE」(2000)辺りから顕著になってきたSYNPHONY Xテイストが色濃く出たダークなプログレメタル①Reflections、ネオクラシカルメタルの王道をひた走る④Attar Of Rosesやクラシカルなメロディが乱舞する⑧Hidden Memoriesといった従来路線の楽曲も出色の出来。作品のインパクトとしてはデビュー作に及びませんが今回もネオクラファンにとっては十分楽しめる内容となっています。Richard Anderssonの関連作品を語る上で避けられない他のバンドからのパクリに関しては確かにSYMPHONY XやYNGWIE MALMSTEEN、DREAM TEHATERを連想させる場面はあるものの前作ほど露骨ではないように思います(今回は前作やMAJESTICの曲と似ているパートがチラホラあったりしますが…)。

ただRichardが曲調とは関係なく弾きまくるキーボードの音色はバリエーションに乏しく大半が「ピロピロピロピロ…」という電子系の音なので、どうにも単調なムードになってしまうのはマイナス。泣きの叙情バラード⑥Quest Of A Million Soulsはピアノサウンドなどを使っていれば、更に感動を増幅できたと思うのですが…。SPACE ODYSSEYは幼馴染みでもあるMagnus Nilsson(G)と組んだバンドということもあってギターもそれなりに目立っていましたがRichardの独裁体制下で制作されるTIME REQUIEMではギターをかき消さんばかりにキーボードが楽曲を覆い支配しています。全体的なバランスとしてはどうかと思いますが、ここまで来ると強烈な個性として受け入れるしかありませんね(笑)。いくつかの不満点があるとはいえRichardの生み出す楽曲はやはり僕の琴線に触れまくりなので、かなりリピートしていた作品です。

【音源紹介】
The Inner Circle Of Reality

RICHARD ANDERSSON'S TIME REQUIEM「TIME REQUIEM」(2002)

  • 2015/06/13(土) 00:00:00

TIME REQUIEM
【No.432】
★★★★(2002)
年間ベスト2002年第10位

Richard Anderson(Key)による圧倒的に速いキーボードテクニックとYNGWIE MALMSTEEN、SYMPHONY Xといったバンドからの絶妙な引用フレーズが僕のツボだったスウェーデン産ネオクラシカル・メタルバンドMAJESTICが、契約上の問題からバンド名をTIME REQUIEMへと変更して放つ第1弾アルバム。メンバーはべーシストに若きテクニシャンDick Lovgren(B/LAST TRIBE、ex-ARMAGEDDON etc)が加入していることを除けばMAJESTICの2nd「TRINITY OVERTURE」(2000)と同じです。本作最大の特徴はこれまでのネオクラシカル路線にプログレメタルの要素を加味し、タイトかつテクニカルに生まれ変わっている点でしょう。各メンバーの演奏力にこれまでよりもスポットが当たる作風となっていて、プログレメタルからエクストリーム系まで幅広いバンドに在籍経験のあるPeter Wildoer(Ds/DARKANE、ex-ARCH ENEMY etc)のドラミングがMAJESTIC以上に活かされていますね。

バンド名を冠した9分の長編①Time Requiemでの並外れた緊張感はMAJESTICにはなかったもので、冒頭からTIME REQUIEMというバンドが目指すヴィジョンを明確に示しています。またMAJESTICの作品でも散見された借用フレーズも健在であるばかりか一層大胆になっていますね。いくつか挙げるとすれば歌いまわしがSYMPHONY Xを連想させる②Watching The Tower Of The Skies、YNGWIEのLiar(「TRILOGY」収録)な歌メロが登場する③Milagros CharmDREAM THEATER風のイントロからネオクラ疾走曲へと展開する⑥Visions Of New Dawnなど、といったところでしょうか。それにもかかわらず各曲が今まで以上にカッコいい仕上がりとなっているので、もうこれはRichardの才能だと認めるしかないですね(苦笑)。そんなRichard流コラージュメタル(?)の極致ともいうべき楽曲が⑦Grand Opus。YNGWIEがライブでFar Beyond The Sunのイントロとして演奏することでも有名な「パガニーニのヴァイオリン協奏曲第4番二短調」にボーカルメロディを乗せた歌い出しに始まり、サビメロはYNGWIEのWield My Sword(「ALCHEMY」収録)、そしてキーボードソロでは超有名クラシック曲「モーツァルトの交響曲40番の第4楽章」を挟むというやりたい放題なこの曲は、その継ぎはぎっぷりが奇跡の相乗効果を生み出している名曲です。

そんなパクリッシュサウンドと双璧をなすRichardの個性である鍵盤捌きについても、聴いているこちらの腕がつってしまいそうなほどの速弾きが炸裂する超絶インスト⑤Brutal Mentorを筆頭にもう笑うしかないほどの凄まじさ。Richardが書く難解なパートをきっちりこなす力量を持ちつつもエゴはないApollo Papathanasio(Vo)、Magnus Nordh(G)の両名と屈強のリズム隊も良い仕事をしています。アルバム2枚で消滅したMAJESTIC、Richardが2003年に立ち上げた別バンドSPACE ODYSSEY、そしてこのTIME REQUIEMの3バンドいずれにおいても同じラインナップでアルバムが制作されたことは一度もありませんでしたが、本作のメンバーでもう一度活動してもらいたいですね。借用フレーズの絶妙なセンス、各メンバーの力量など様々な面でRichardの関連アルバムにおいては本作が一番のお気に入りとなっています。

【音源紹介】
Grand Opus

【CD購入録】TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

  • 2015/03/26(木) 00:00:00

【CD購入録】
REINVENT YOURSELF
TERRA NOVA「REINVENT YOURSELF」(2015)

オランダが誇るメロディックロックの雄TERRA NOVAがデビュー20周年を迎える2015年に発表した6作目を買いました。2013年頃には前作「COME ALIVE」(2010)に続く新作をレコーディング中だという噂があったものの、それ以降は音沙汰がなかったので解散してしまったのかと心配していましたがライナーノーツでその事情が明らかになっています。どうやら本作の音楽性をめぐってFRONTIERS RECORDSのSerafino Pergino社長と意見が合わず、別のレーベルと契約しなくてはならなかったためアルバムリリースが当初の予定から大幅に遅れてしまったようですね…。Serafinoは解散していたTERRA NOVAを「ESCAPE」(2005)で見事に復活させた立役者なので、彼と音楽性の相違が生じたという話に不安がよぎりましたがプレイボタンを押すとおなじみのTERRA NOVAサウンドが流れてきて一安心。このバンド特有の爽やかな楽曲群のみならず、能天気なロックソング⑥Rock Armyやポコポコと軽いドラムサウンドなどマイナス面も含めて「らしい」アルバムとなっています。この内容で何故FRONTIERS RECORDSから離れる必要があったのか不思議でなりません。お気に入りは「ネバキ ネバキ〜♪」のサビ(Never keepと歌っています)が耳に残る④Promises、先行で公開されていた淡いバラード⑤Jennaですね。過去の名盤を凌駕するほどではないにせよTERRA NOVAファン、メロディックロックを好んで聴く方なら聴いて損はない1枚だと思います。

【CD購入録】TALISMAN「7」(2006)

  • 2014/12/03(水) 00:00:00

【CD購入録】
TALISMAN7
TALISMAN「7」(2006)

スウェーデンの重鎮TALISMANによるタイトル通りの7作目を買いました。正直なところ4th「LIFE」(1995)をピークとしてTALISMAN関連の作品に物足りなさを感じていたのですが今回は一味違いますね。勢いに満ちたハードロック①Fallingで幕を開けるやMarcel Jacob(B)のベースが全編でうなり、グルーヴィなナンバーからポップソング、バラードまで多彩な表情を見せてくれます。従来のバンドにはなかったタイプの曲が書けるJamie Borger(Ds)の存在も大きく、彼のペンによる産業ロック系⑨Shed A Tear Goodbyeが良いアクセントになっていますね。TALISMANが持つ音楽的要素がバランスよく溶け合っているという意味では入門盤に相応しい1枚と言えるかもしれません。これだけの充実作を生み出しておきながら当時のメンバーは課外活動に忙しくMarcelとJamieはLAST AUTUMN'S DREAMで毎年アルバムを発表、Fredrik Akesson(G)ARCH ENEMYにも在籍、そしてJeff Scott Soto(Vo)は憧れのバンドでもあったJOURNEYのシンガーの座を射止めたこともあって本作がラストアルバムになるのではないかと囁かれていました。結局FredrikはARCH ENEMYを、JeffはJOURNEYを脱退したのですがMarcelの自殺という形で本作がTALISMAN最後のアルバムとなってしまったのが残念でなりません…。アヴァロン・レーベルによるとバンドは未発表音源を収録したアルバムの制作を予定しているそうです。

【現在の愛聴盤】TALISMAN「CATS AND DOGS」(2003)

  • 2014/11/30(日) 00:00:00

【現在の愛聴盤】
CATS DOGS
TALISMAN「CATS AND DOGS」(2003)

今年に入ってマイブームとなっているTALISMANの後期作品の中で以前から持っていた唯一のアルバム(6作目)をヘビロテ中です。前作「TRUTH」(1998)とHUMANIMALで活動を共にしていたPontus Norgren(G)は脱退、前任者Fredrik Akesson(G)が復帰しています。「ヘ!ヘ!ヘェェェイ!!」というJeff Scott Soto(Vo)のシャウトとファンク要素の強い①Skin On Skinに面食らうものの、HR/HM好きなら理屈抜きで熱くなれるアップテンポ②Break It Down Again、リピートするに連れて味わいが増してくる③In Make Believe、④Love Will Come AgainMarcel Jacob(B)を中心とした演奏陣にスポットを当てた⑤Outta My Wayと続くアルバム前半はなかなかの手応え。後半にテンションが下がってしまうのが残念ですがJamie Borger(Ds)のペンによる爽やか系ミドル⑦Sorryは本作で一番のお気に入りです。ベテランらしい貫禄のある作品である一方、初期のアルバムに収録されていたような名曲が欲しくなる1枚でもありますね。

【CD購入録】TALISMAN「TRUTH」(1998)

  • 2014/11/27(木) 00:00:00

【CD購入録】
TRUTH.jpg
TALISMAN「TRUTH」(1998)

独特のグルーヴ感と叙情メロディが織り成すTALISMANサウンドを完成させた傑作「LIFE」(1995)を発表後、別プロジェクトHUMAN CLAYを結成して2枚のアルバムをリリースしたMarcel Jacob(B)Jeff Scott Soto(Vo)が再びTALISMANの名の下でタッグを組んだ通算5枚目のアルバムを買いました。ドラマーはお馴染みのJamie Borgerですが、ギタリストはPontus Norgren(ex-GREAT KING RAT)にチェンジしています。まず驚かされるのはTALISMANとしては3年振りの復活作でありながらQUEENのカバー①Let Me Entertain Youで幕を開けるという点です。自他共に認める(?)ひねくれ者で皮肉屋のMarcelらしいと言えばそうなのかもしれませんが。アルバムの作風としては前作「LIFE」、前々作「HUMANIMAL」(1994)ほどのヘヴィさはなく、全体的にマイルドな仕上がりになっています。中でも⑤I'll Be There 4 U、⑧Heaven's Got Another Hero、⑨Your Manといったバンドのソフトサイドを担う楽曲が充実していますね。特に⑤はJamie Borger(Ds)が書いたナンバーで、後にLAST AUTUMN'S DREAMで発揮される作曲センスが窺える1曲です。一方、メタリックチューンとしては⑬Pavilion Of Oblivionのような「らしい」曲はあるものの過去の名曲と比べると物足りない気もしますね。それなりに楽しめるアルバムではありますが決め曲に欠けていたり、音楽性を拡げすぎた感があったりするのでTALISMANの作品としては微妙かな。

【CD購入録】TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.1」(2012)

  • 2014/10/31(金) 00:00:00

【CD購入録】
RABBITS HILL PT1
TRICK OR TREAT「RABBITS' HILL PT.1」(2012)

バンド名と音楽性の両方で清々しいほどのHELLOWEENフォロワー振りを見せているイタリアン・パワーメタラーTRICK OR TREATの3作目を買いました。 前作「TIN SOLDIERS」(2009)にはMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)がゲスト参加していましたが、今回はAndre Matos(Vo/ex-ANGRA)が客演していてます。過去2作品では微笑ましいまでのキーパーサウンド愛が溢れていたのに対して今回はそんな要素をキープしつつフォークメタル調、ジャズっぽい雰囲気を持つナンバーなど音楽性を広げた感があります。バンドの将来を考えると、いつまでもキーパー風メタル一筋で行くわけにもいかないのだとは思いますが僕が心惹かれるのは②Prince With A 1000 Enemies、⑤Wrong Turn、⑧Rabbits' Hillといったメロパワ系の曲ばかりだったりします(苦笑)。本作はイギリスではベストセラーとなっている(らしい)児童文学「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」を題材としたコンセプトアルバムで2部構成となっているようなので、どうしてもHELLOWEENの名盤「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」が頭をよぎりますね。Part 1にあたる本作を聴く限り微妙な印象は拭いきれませんが、この「RABBITS' HILL」以降にTRICK OR TREATがどのような進化を遂げるのか注目したいと思います。

【現在の愛聴盤】TALISMAN「LIFE」(1995)

  • 2014/09/06(土) 00:00:00

【現在の愛聴盤】
LIFE.jpg
TALISMAN「LIFE」(1995)

9月3日にTALISMANの1st「TALISMAN」(1990)、2nd「GENESIS」(1993)がリマスター再発されたことを受けてTALISMAN特有の音楽性が完成の域に達した4th「LIFE」(1995)をリピート中です。初期2作品も良いけれど僕にとってTALISMANと言えば本作ですね。新しく取り入れたヘヴィネスとグルーヴが前作「HUMANIMAL」(1993)では強調され過ぎていた感がありましたが、今回は持ち前のメロディセンスと見事に融合しています。①Tears In The Sky、⑥Loveblind、⑨Bodyなどはこのバンドならではの名曲ですね。なお本作は先行で発売された国内盤と、リマスターの上ボートラとして未発表曲1曲とデモ音源3曲を追加した欧州盤とで曲順やミックスが異なります。僕はゼロ・コーポレーションから出ていた日本盤を最初に聴き、1993年に行われた初の来日公演の模様を収めたライブアルバム「5 OUT OF 5 LIVE IN JAPAN」と本作のヨーロッパ盤がセットになった2枚組を後で購入しました(勿論お目当てはライブの方)。聴き比べてみると音質の良さ、曲間が短くクロスオーバー気味に楽曲が繰り出されるミックスのハマリ具合などからヨーロッパ盤の方が好きなのですが不満がひとつあります。それは国内盤では①のラストで繰り広げられていたボーカルとベースの応酬がカットされていること。アルバム全体で見ても大きな聴きどころになっていたのに何故このようなミックスにしたのか疑問です…。この点にさえ目をつぶればライブとセットになった輸入盤の方が断然お得だと思います。

【CD購入録】TALISMAN「HUMANIMAL」(1994)

  • 2014/08/20(水) 00:00:00

【CD購入録】
HUMANIMAL
TALISMAN「HUMANIMAL」(1994)

Marcel Jacob(B)、Jeff Scott Soto(Vo)という元YNGWIE MALMSTEEN組を中心としたスウェーデン産ハードロックバンドTALISMANの3作目を買いました。1994年のリリース当時は日本とヨーロッパで収録曲が異なるバージョンが発売されていましたが今回僕が買ったのは再発盤の2枚組仕様です。

トラックリストはこちら
DISC-1
01. 3233 + Colour My XTC
02. Fabricated War
03. Tainted Pages
04. TV Reality
05. Seasons
06. All + All
07. D.O.A.P.S.
08. Blissfull Garden
09. Lonely World
10. Delusions Of Grandeur
11. Since You've Gone
12. Humanimal
13. Doin' Time Wit' My Baby

DISC-2
01. Animal Ritual
02. You Cannot Escape From The Revelation Of The Identical By Seeking Refuge In The Illusion Of The Multiple
03. My Best Friends Girl
04. Dear God
05. Hypocrite
06. Wastin' R Time
07. To Know Someone Deeply(Is To Know Someone Softly)
08. Todo Y Todo(All + Allのスペイン語バージョン)

デビュー作は北欧メタルの王道、2ndアルバムではそこにグルーヴィな味わいを加えるなど音楽性を変化させてきた彼等ですが、今回は一段とヘヴィなサウンドに傾倒していますね。このアルバムで展開されている路線がTALISMANの持ち味のひとつであることは確かながら、バンドのダークサイドをかなり強調した仕上がりとなっていてデビュー当時とはまるて別バンドのよう。特にDISC-1①Colour My XTCPVは曲調もさることながらラッパーのような風貌と振り付けで歌うJeffに驚かされました。僕は本作を後追いでチェックしたため、ある程度の耐性はできていましたがリアルタイムで聴いていたらショックだったでしょうね…。ただ過去の音楽性と切り離して聴くと決して悪い作品ではないし、DISC-1⑨Lonely World、⑫HumanimalはTALISMANらしさ全開の好メタルチューンとなっています。ちなみにタイトルが異様に長いDISC-2②You Cannot Escape From The Revelation Of The Identical By Seeking Refuge In The Illusion Of The Multipleはテクニカルな演奏をバックにJeffが曲名をメロディに乗せて歌う実験的なナンバーです。全21曲という長尺のボリューム、曲調の振り幅の大きさなどから冗長、散漫といったイメージもありますがもう少し聴き込んでみようと思います。

TALISMAN「GENESIS」(1993)

  • 2014/08/16(土) 00:00:00

GENESIS_20120810161737.jpg
【No.403】
★★★(1995)

結成当初はMarcel Jacob(B/ex-YNGWIE MALMSTEEN)のスタジオプロジェクトと見なされていたTALISMANの2ndアルバム。バンド名を冠したのデビュー作から約3年振りとなる今回のアルバムでもJeff Scott Soto(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN)がMarcelの相棒を務めていますが、JeffはもうひとつのバンドEYESに専念するために一時TALISMANを脱退するなど再びタッグを組むまでは紆余曲折があったようです。またギタリストにはオーディションで発掘した新人Fredrik Akessonを迎えており、彼は後のTALISMAN作品にも多く参加することとなります。Fredrikは2005年にChristopher Amott(G)ARCH ENEMYから脱退した際にツアーギタリストとして加入(2007年にChristopherが復帰したためスタジオ盤には不参加)、今ではOPETHに在籍するなど現代北欧ミュージックシーンで名うてのギタリストとしての地位を確立しているのでMarcelは見る目があったということですね。

音楽性はというと「典型的な北欧メタル」だった前作から一皮剥けて、後のTALISMANサウンドのキーとなる「独特のうねり」が顔を出すようになっているためデビュー作はMarcelのソロ、今回がTALISMANとしてのリアルファーストアルバムと捉えることができるかもしれません。そんな変化を象徴するかのように1stアルバムで楽曲を彩っていたキーボードは大幅に減少してサウンドが骨太になっています。グルーヴィなバッキングとキャッチーなサビメロが耳に残る①Time After TimeYNGWIE MALMSTEENの「MARCHING OUT」(1985)に収録されてそうなハードチューン②Comin' Homeで掴みはOK。HR/HMには似つかわしくないファンキーなアレンジを巧みに取り入れた④If U Would Only Be My Friendを聴いているとTALISMANが凡百の北欧メタルバンドと一線を画す存在だと感じさせられますね。そんなバンドの新生面が強調されている今回のアルバムは楽曲のインパクトという面ではデビュー作に一歩譲りますが、強力な哀メロが炸裂する⑨Give Me A Signはバンドを代表する名曲です(サビ直前のアコギもいい!)。また、MR.BIGの有名曲Addicted To That Rushに酷似した⑤All Or Nothingは冒頭の歌詞までもがそっくりなのできっと確信犯でしょうね(笑)。

TALISMAN最大の特徴であるMarcelのベースはかなり目立ってきているし、Jeffの剛柔を巧みに使い分けたボーカルも安定感を増しています。「お行儀のいい」タイプの曲が多かったデビュー盤よりも、本作ぐらい適度にロックした作風の方がJeffの声が活かされていますね。さほどのめり込めない曲があるのも事実だし音質が良くなかったり、ドラムが打ち込みであるため迫力に欠けるといった弱点は今回も改善されていませんが「GENESIS」(=「創世記」、「起源」)と題された本作でTALISMANは自分達のサウンドを掴んだと言えると思います。なおアヴァロン・レーベルから9月3日にリリースされる再発盤は2012年に輸入盤でのみ発売されていたバージョンと同じ内容のようです。

【音源紹介】
・Give Me A Sign

TALISMAN「TALISMAN」(1990)

  • 2014/08/12(火) 00:00:00

TALISMAN.jpg
【No.402】
★★★(1995)

10代の頃からYngwie Malmsteen(G)と音楽活動を共にし、 彼のソロ名義で2作目にあたる「MARCHING OUT」(1985)にも参加していたスウェーデン屈指のベースプレイヤーMarcel Jacob(故人。2009年7月に自殺)が自分のやりたい音楽を追及するために結成したTALISMANの1stアルバム。後にMarcelとJeff Scott Soto(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN)を中心としたバンドへと成長していったTALISMANですが、結成当時はMarcelのソロプロジェクト的な色合いが強かったようでシンガーもJeffではなく「Mr.北欧ボイス」ことGoran Edman(Vo/ex-MADISON)が想定されていたのだとか。ところがGoranがYngwieに引き抜かれたためMarcelが「MARCHING OUT」のバンドメンバーでもあったJeffに声をかけたという経緯があったようです。なおキーボードプレイヤーとしては後のYngwieバンドに長期間(1989年から2001年まで)在籍することとなるMats Olaussonも参加していて良い仕事をしています。

TALISMANは後にファンキーでグルーヴィーな要素を強めていきますが、本作は透明感あるキラキラサウンドと瑞々しいメロディの数々が楽しめる「これぞ北欧メタル」な1枚となっています。力強くもキャッチーな歌メロをフィーチュアしたオープニングチューン①Break Your Chains、冒頭のアカペラからして爽快感に溢れたハードポップ③I'll Be Waiting、北欧ならではの哀メロが冴え渡る⑤Just Between Us、⑨Day By Dayなどはこのバンドのみならず北欧メタルを代表するナンバーだと思います。また上記4曲には一歩譲るもののハードにドライヴィングする⑦Queenも結構好きだし、それ以外も佳曲揃いでMarcelが優れたソングライターであることを証明してくれていますね。アルバムの中で明らかに浮いているロックンロール⑩Women, Whiskey, And Songsこそ微妙ですが、本編を締めくくるインスト⑪Great Sandwichでは泣きのギターとMarcelらしいベースソロが楽しめて好印象。

このアルバムにはいくつかのバージョンが存在していて、僕が最初に聴いたのはオリジナルの11曲にボーナストラックとしてライヴ音源が6曲も追加されたゼロ・コーポレーションからの国内盤でした。追加音源の中にはMarcelも参加していたJohn Norum(G/EUROPE)の1stソロ「TOTAL CONTROL」に収録されていたLet Me Love You、Eternal FlameやMarcelがJoey Tempest(Vo/EUROPE)と共作したEUROPE随一のメタルチューンScream Of Angerといった興味深いナンバーも含まれていますが音質が極めて悪いためほとんど聴いていません(苦笑)。また2003年には本作のナンバーをGoranが歌ったデモバージョン7曲とインスト1曲が追加されたリマスター盤が再発され、GoranによるTALISMANの曲が聴きたくて買い直しました。一部、曲タイトルや歌詞が異なるGoranバージョンはJeffが歌うオリジナルと聴き比べても遜色ないばかりか、中にはDay By DayのようにGoranの方がはまっていると思える曲もあるほどです。バンドはJeffの持ち味を活かすため作を重ねるごとに今回のアルバムで展開しているような北欧サウンドから離れていくことになるのですが、もしGoranがフロントマンになっていたらTALISMANがどのような方向性へ進んでいたのか聴いてみたい気もしますね。ちなみに9月3日にアヴァロン・レーベルから再発される国内盤にはGoranが歌っている音源は収録されていないようです。

【音源紹介】
・I'll Be Waiting

【CD購入録】TIMO TOLKKI'S AVALON「THE LAND OF NEW HOPE」(2013)

  • 2013/06/29(土) 00:00:00

【CD購入録】
THE LAND OF NEW HOPE
TIMO TOLKKI'S AVALON「THE LAND OF NEW HOPE」(2013)

Andre Matos(Vo/ex-ANGRA、SHAMAN etc)らと一種のスーパーバンドSYMFONIAを結成したものの、僅か1枚で解散したばかりか音楽業界からの引退をも示唆するコメントを発表したTimo Tolkki(G/ex-STRATOVARIUS)でしたが、FRONTIERS RECORDS社長Serafino Perginoから多くのゲストを迎えたメタルオペラ・プロジェクトの提案を持ちかけられ誕生したTIMO TOLKKI'S AVALONの1stアルバムを買いました。プロジェクト名からしてTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAを連想せずにはいられませんが、ゲストを見てみるとMichael Kiske(Vo/UNISONIC、ex-HELLOWEEN)、Sharon Den Adel(Vo/WITHIN TEMPTATION)、Elize Ryd(Vo/AMARANTHE)、Russell Allen(Vo/SYMPHONY X、ADRENALINE MOB)、Rob Rock(Vo/DRIVER、ex-IMPELLITTERI)、Tony Kakko(Vo/SONATA ARCTICA)、Jens Johansson(Key/STRATOVARIUS) 、Derek Sherinian(Key/BLACK COUNTRY COMMUNION、ex-DREAM THEATER)、Alex Holzwarth(Ds/RHAPSODY OF FIRE)といった顔ぶれでAVANTASIAに参加していた人もチラホラ、というかシンガーではElyzeとTony以外はAVANTASIAファミリーですね。歌っている比率を踏まえるとTolkkiとElyze、Rob Rockを基本メンバーとしたプロジェクトと言えるかもしれません。内容の方はAVANTASIAがメタルオペラを名乗っていた初期2作品ほどメロパワ一辺倒ではなく、その後の「THE SCARECROW SAGA」を歌ものメタルっぽくした感じでしょうか。ライナーノーツによると、Tolkkiがこのプロジェクトのために書き上げたストーリー「THE LAND OF NEW HOPE」は3部作を予定しているそうなので、 アルバム契約が4枚分あったというSYMFONIAを投げ出した前科があるTolkkiですが(苦笑)今回は完結まで頑張ってもらいたいですね。

【CD購入録】TRICK OR TREAT「EVIL NEEDS CANDY TOO」(2006)

  • 2012/10/31(水) 00:00:00

【CD購入録】
EVIL NEEDS CANDY TOO
TRICK OR TREAT「EVIL NEEDS CANDY TOO」(2006)

バンド名からしてHELLOWEENフォロワーだということが伝わってくるイタリアン・パワーメタラー…というか今ではLUCA TURILLI'S RHAPSODYのシンガーに抜擢されたAlessandro Conti(Vo)が在籍するバンドと言った方が通りがいいかもしれないTRICK OR TREATが今年の10月24日にリリースした3作目ではなく1stアルバムを買いました。2nd「TIN SOLDIERS」(2009)や3rd「RABBITS HILL」と違って本作の日本盤リリースはありませんが、メロパワ好きの僕としては結構楽しめそうな気がしています。このバンドの特徴はメロディック・パワーメタルとしてだけでなく、コミカルさという面でもキーパーサウンドからの影響を取り入れている点でしょうか。パロディ丸出しのジャケットやドナルド・ダックの声(?)が挿入された④Like Donald Duck、アルバム中盤に配されたCyndi Lauperのカバー⑤Girls Just Want To Have Funなどもそれを物語っていると思います。2nd同様に本作もオリジナリティは希薄ですが、それを理由に聴かずにおくのは勿体ないアルバムですね。

【CD購入録】TOBY HITCHCOCK「MERCURY'S DOWN」(2011)

  • 2012/05/19(土) 00:00:00

【CD購入録】
MERCURYS DOWN
TOBY HITCHCOCK「MERCURY'S DOWN」(2011)

それまでは無名だったもののJim Peterik(G/ex-SURVIVOR)に見出だされるや、その伸びやかな歌声でメロディック・ロックファンの注目を集めることとなったToby Hitchcock(Vo)による初のソロアルバムを買いました。Jimと組んだPRIDE OF LIONSで発表した3枚のアルバムで素晴らしい歌声を披露してくれていたので、彼がJim以外のソングライターと組むとどんな作品が出来上がるのか興味があったし、ソロの相棒がECLIPSEW.E.T.で目下売り出し中の若手注目株Erik Martensson(Vo、G)だと聞いて期待値がグッと上がったことは言うまでもありません。本作で聴けるのはPRIDE OF LIONSよりも若干ヘヴィながらキャッチーさをしっかり保ったメロディアスハードで流石のクオリティを備えています。現時点でのお気に入りはPVも制作された①This Is The Moment~②Strong Enoughという冒頭の流れと本編を締めくくるタイトル曲⑫Mercury's Downですね。ただし本作がメロディックロックの充実盤であるのは確かながら、この2人ならこれくらいはやってくれるだろうという想定内の出来だというのも事実だったりします。FRONTIERS RECORDSの作品によくある「良いアルバム止まり」というか…。贅沢な望みだというのはわかっているんですけどね。