SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

  • 2017/06/03(土) 00:00:00

UNDERWORLD.jpg
【No.494】
★★★(2015)

1998年の初来日以来、2度目の来日公演となるはずだったLOUD PARK 14を「レコーディングスケジュールの都合」を理由にキャンセルして多くのファンをガッカリさせたSYMPHONY Xの9thアルバム。そんなドタキャン劇の要因でもある本作の内容は2枚組という気合いの入った仕様でありながら、冷徹でヘヴィネス重視の方向へ傾倒していた前作「ICONOCLAST」(2011)と比べてメロディアスな作風にシフトしていますね。これまでに「アトランティス文明」、「失楽園」をアルバムの題材にしてきたバンドが今回取り上げたのはイタリアの詩人ダンテの叙事詩「神曲」です。Michael Romeo(G)によると3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)収録の3曲から、3つの引用があるらしいのですが僕はRomeoの仕掛けを見つけることができませんでした…(苦笑)。

シンフォニックな序曲①Overtureからパワーメタル系の疾走曲②Nevermoreへ繋がる流れは掴みとして申し分なし。この②はSYMPHONY Xにしてはキャッチーな部類に入ると思うのですが、楽曲の至るところで激しく動き回るギターをついつい耳で追ってしまいますね。また鍵盤奏者Michael PinnellaのキーボードをバックにRussell Allen(Vo)が歌うドラマティックなサビメロが秀逸なタイトル曲③Underworld、このバンドにしては珍しくメロディアスハード風でもあるパワーバラード④Without You、一転してブラストビートも取り入れた激しい曲調とゴリゴリのギターに圧倒される⑤Kiss Of Fireと緩急をつけたアルバム構成もお見事。過去には20分越えの大作、前作では10分以上の曲を3曲も収録していたことを思うと比較的コンパクトな楽曲が並ぶのも本作の特徴でしょうか。そんな中、今回のアルバム最長となる9分台の⑦To Hell And Backは曲の開始とともに流れるテーマメロディが素晴らしいドラマティックチューンでハイライトとなっています。また超絶技巧を盛り込んだ明るめのパワーメタル⑪Legendでラストを締めるというのも新鮮ですね。

バンドがこれまでに提示してきた音楽性を網羅しつつ、パワーメタル色が濃い仕上がりになっているという点で、僕にとってSYMPHONY Xの最高傑作候補でもある7th「PARADISE LOST」(2007)に近い印象を受けます。Michael Romeoは相変わらず弾きまくってはいるもののゴリゴリのギターサウンドは控えめになり、近作で影の薄かったMichael Pinnellaの存在感が増しているのも嬉しいですね。このバンドに対しては、もう少しわかりやすいメロディを聴かせて欲しいという気持ちがデビュー当初からあるもののリピートするうちにバンドが放つ魔力に惹きつけられてしまいます。前作は僕のツボにハマりませんでしたが今回はいいですね。「ICONOCLAST」はMichael Romeoが全曲を作曲していたのに対し、本作はMichael Pinnella、Mike LePond(B)もソングライティングに参加していることも影響しているのかもしれません。LOUD PARK 16で素晴らしいパフォーマンスを披露しドタキャンの埋め合わせをしたとはいえ、本作がリリースされた2015年時点では再来日の予定が立っていなかったことを踏まえるとアルバムに対する日本ファンの目は厳しくなっていたと思いますが聴き応えのある充実盤にとなっています。

【音源紹介】
Nevermore

SYMPHONY X「ICONOCLAST」(2011)

  • 2017/05/26(金) 00:00:00

ICONOCLAST.jpg
【No.493】
★★(2011)

ADAGIO、DGM、TIME REQUIEMなどフォロワーと呼べるバンドが登場するほどの地位を築き上げたSYMPHONY Xの8作目はオリジナルアルバムとしては珍しい2枚組仕様。といっても最初から2枚組にする予定だったわけではなくMichael Romeo(G)が創作意欲の赴くままに作曲をした結果、1枚に収まりきらないほどのマテリアルが揃った結果の産物だそうです。2枚のCDでアルバムを発売するとなると当然価格も高くなるのでセールス面を考えるとチャレンジングであるにもかかわらず、レーベル側がそれを容認していることからもSYMPHONY Xが大物バンドの仲間入りを果たしたことが窺えますね。ちなみに日本では2枚組バージョン(全12曲、約83分)のみの発売ですが、海外ではDisc-1の全7曲にDisc-2の5曲中2曲を加えた1枚仕様も存在するようです(僕は2枚組の日本盤を買いました)。

本作でも6th「THE ODYSSEY」(2002)辺りから顕著になってきたヘヴィなギターを軸に、ダークでドラマティックなヘヴィメタルが展開されています。ただし今回は「機械に支配された社会」をテーマにしたアルバムということもあってか、これまで以上に冷徹でメカニカルなサウンドになっているように思いますね。Michael Romeoが以前から「過去作品と同じことの繰り返しはしたくない」と語っていたことを踏まえると「今回はこうきたか」と好意的に受け止めることもできなくもないですが、肝心のメロディアスな要素が減退しているため個人的には敷居の高さを感じてしまいます。それに加えて純然たるバラードと呼べる楽曲がなく、力でグイグイ押してくる曲調が続くためDisc-1の中盤辺りで聴き疲れしてしまうというのが正直なところでしょうか…(苦笑)。前作「PARADISE LOST」(2007)がこのバンドにしてはわかりやすいサウンドだった反動から、ここまでヘヴィな作風になったのかもしれませんが本作を聴いているとバンド初期の繊細さが恋しくなってきますね。

Michael Romeoを中心としながらもメンバーによる共作曲もあった従来作品と違い、今回は全てRomeoが単独で作曲しMichael Pinnella(Key)にスポットが当たる場面が減っている(ギターはもちろん弾きまくり)ことを考えると、バンド内のパワーバランスが変わりRomeoの嗜好が色濃く表れた結果が本作なのかもしれません。アルバム単位での満足度はさほど高くないものの、個々の楽曲を取り出して聴くとハッとさせられる場面もあります。中でも一番のお気に入りは「剛」のサウンドが支配的な本作においてMichael Pinnellaのピアノが数少ない「柔」の場面を演出する出だしから徐々に激しくなっていくDisc-1⑦When All Is Lostですね。メロディックパワーメタルを好む僕としてはSYMPHONY Xの作品群の中でも聴く機会の少ないアルバムですが、本国アメリカのチャートでバンド初のトップ100入りを果たすなどセールス面では成功を納めたアルバムのようです。やはりアメリカではこういうモダンなサウンドの受けがいいんですかね。

【音源紹介】
When All Is Lost

SYMPHONY X「PARADISE LOST」(2007)

  • 2017/05/14(日) 00:00:00

PARADISE LOST.jpg
【No.492】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第7位

日本ではネオクラシカル・プログレッシブメタルの雄として不動の地位を築いた感のあるSYMPHONY Xの7作目。前作「THE ODYSSEY」(2002)が本国アメリカでも好評だったようでMEGADETH、DREAM THEATERをダブルヘッドライナーとしたGIGANTOURに参加するなどアメリカでも人気に火がついたようです。数々のツアーに加えてMichael Romeo(G)Timo Kotipelto(Vo/STRATOVARIUS)のバンドKOTIPELTOにゲスト参加、Russell Allen(Vo)は自身初のソロ作品やALLEN-LANDEでも歌声を披露、Michael Pinnella(Key)もインストのソロアルバムを発売するなどしていたこともあり前作から約4年もの間隔が空いてしまいました。今回のアルバムはジョン・ミルトンの著書「失楽園(Paradise Lost)」をテーマにした1枚ではあるものの失楽園を題材にしたコンセプトアルバムというわけではないようです。ここ最近のアルバムはメロディアスな要素が減退していたこともあり、僕の中では3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)をピークとして彼等に対する関心は下降線を辿っていたのですが、本作は「SYMPHONY Xのこんな作品が聴きたかった!」と思える起死回生の名盤となっています。メロディックパワーメタル色が強調され聴きやすくなっている点が大きいですね。

映画音楽のように壮大なサウンドで期待感を煽りまくるイントロ①Oculus Ex Inferniから繋がる②Set The World On Fire (The Lie Of Lies)からしてSYMPHONY Xにしてはストレートな曲調で、このバンドについて回る難解なイメージは払拭されています。その後も緊迫感とフックのあるメロディが一体となった⑥Eve Of Seduction、3rdに収録されたバンド屈指の名曲Out Of Ashesを彷彿とさせる⑧Sevenなど、メロパワ風の楽曲が複数あるのが嬉しいですね。それとは対照的なバラードでは幻想的なコーラスを配したタイトル曲⑤Paradise Lost、SYMPHONY Xにしては珍しくアコースティックギターも登場する⑨The Sacrificeを収録していてダークでヘヴィな作風の中でいいアクセントになっています。また「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」収録のSea Of Liesを思わせるベースソロから始まるヘヴィチューン③Domination、まるで蛇が這いずるようなグルーヴィなリフがうねる④The Serpent's Kiss、そしてアルバムを締めくくるに相応しいプログレチューン⑩Revelation (Divus Pennae Ex Tragoedia)も収録していてバラエティに富んでいる点も見逃せません。

前作同様にヘヴィでゴツいギターとバンド初期にあったネオクラシカルテイストが融合した本作はSYMPHONY Xというバンドの集大成的な1枚。圧倒的なテクニックでアルバムを支配するマエストロMichael Romeoの存在感が際立っていますね。演奏面におけるもう1人のキーパーソンMichael Pinnellaにスポットが当たる場面は少なくなっているように感じますが曲の世界観を巧みに演出したり、バックを彩る優雅なピアノを奏でたりとその実力を遺憾なく発揮しています。ガナリ気味に歌うRussellについてはクドすぎる感があるのは事実ながら、迫力満点のインストパートに対抗するにはこれくらいのパワーで歌う必要があるのかもしれませんね(バラード系では繊細に歌っていますし)。耳に残るメロディ、個々の楽曲のインパクトという点では「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」に及ばないもののアルバム全体の完成度としては甲乙付け難いほどの出来栄えです。ちなみにアルバムジャケットはSYPHONY Xの作品群はもちろん、他のCDを含めてもダントツで気に入っています。

【音源紹介】
Seven

SYMPHONY X「THE ODYSSEY」(2002)

  • 2017/04/20(木) 00:00:00

THE ODYSSEY
【No.491】
★★(2002)

デビュー当初は日本でしかアルバムが発売されていなかったものの3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)からヨーロッパでも注目されるようになり、2001年には初のライヴ盤「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」をリリースするなどSYMPHONY Xがバンドとして成長していく中で発表した6thアルバム。ちなみに「LIVE ON THE EDGE OF FOREVER」は2枚組となっていてDisc-1では前作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)冒頭のPreludeから9曲目The Death Of Balance / Lacrymosaまでをアルバム通りに再現、Disc-2にはバンドの代表曲を収録しています。ただし超名曲Candlelight Fantasiaがメドレー形式でしか聴けなかったり、セットリストが「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」に偏っていて初期2作品の曲が入っていなかったりすることなどから個人的な満足度はさほど高くありません(初めてのライヴ盤にしてはセットリストで冒険しすぎかな)。

そんなライヴアルバムを挟んでリリースされた本作は「ギター中心のヘヴィなものを目指した」とMichael Romeo(G)が語っている通り、SYMPHONY X特有のミステリアスな雰囲気は薄まっていてバンドのメタリックな部分が強調された作風となっています。オープニングの①Inferno (Unleash The Fire)からしてこれまで以上の攻撃性とギターの緊迫感で押し寄せてくるし、続く②Wicked、③Incarnations Of The Apprenticeもリフでグイグイ押してくるタイプなので息が詰まるのも事実で、比較的メロディアスな④The Accolade IIでようやくホッと一息つくことができます。その④は曲名にもある通り3rdの収録曲The Accoladeの続編で共通するメロディが散りばめられています。The Accoladeほど凝った展開はない代わりにグッと骨太になった曲調はSYMPHONY Xの音楽変遷をそのまま表しているように思えて興味深いですね。続く⑤King Of Terrorsも勢いに溢れたサウンドの中で響く「テェ〜エ リィ ファ〜イ♪」のサビが耳に残るナンバーで結構気に入っています。

そして本作を語る上で外せないのはアルバム本編のラストに鎮座する7部構成24分越えの超大作⑧The Odysseyでしょう。SYMPHONY Xがこれまでに生み出してきた長編曲同様ダレないと言えば嘘になりますが、まるで映画音楽のようなオープニングと勇壮なメロディが胸に響くラストは実に感動的。それだけに中間部にもうひと山欲しかったですね。全体的に見ればSYMPHONY Xというバンドの凄みがヒシヒシと伝わってくる作品ではあるものの、日本盤ボーナストラック⑩Frontiersを含め78分という長丁場を聴き終えた後に印象に残っているメロディはそう多くありません。聴き始めの頃はデビュー作のリメイク⑨Masqueradeが一番のお気に入りだったほどです(苦笑)。バンドの軸となる部分はブレずにモダンでヘヴィなサウンドへ傾倒したという点でDREAM THEATERの「TRAIN OF THOUGHT」(2003)にあたる作品と言えるかもしれません。「TRAIN OF THOUGHT」は自分でも不思議なほどハマったアルバムでしたが本作にはそこまでのめり込むことはなかったですね。

【音源紹介】
Inferno (Unleash The Fire)

【CD購入録】STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

  • 2017/04/16(日) 00:00:00

【CD購入録】
LOWER THE BAR
STEEL PANTHER「LOWER THE BAR」(2017)

2年ほど前からニューアルバムに関する情報を耳にしていたような気がするSTEEL PANTHERの4作目(邦題「鋼鉄酒場!」)を買いました。Stix Zadinia(Ds)のアルコール依存症のリハビリ等で予定が遅れてしまったそうですがStixは本作にもメンバーとして名を連ねています。STEEL PANTHERは元々トリビュートバンドだったこともあって当初は80年代の有名バンドからフレーズを大胆に借用していたので短命のコミックバンドになってしまうような気がしていました。ところが3rd「ALL YOU CAN EAT」(2014)辺りから、露骨なオマージュの登場頻度は減りオリジナルバンドになってきたように思います(僕がオマージュに気づいていないだけかもしれませんが)。今回も前作の延長線上にある高品質な1枚であることは事実ながら、印象に残るメロディはこれまでで一番少ないかもしれません…。現時点で好きな曲はバンド初のライヴ盤「LIVE FROM LEXXI'S MOM'S GARAGE」(2016)にも先行収録されていた大らかなバラード④That's When You Came Inですね。

SYMPHONY X「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)

  • 2017/04/04(火) 00:00:00

V THE NEW MYTHOLOGY SUITE
【No.490】
★★(2000)

前作「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)リリース後に日本公演を含む初めてのツアーを実現させ、スタジオ盤の制作だけでなくライブアクトとしても優れたバンドであることを証明してみせたSYMPHONY Xの5作目。4thのレコーディング時には脱退していたJason Rullo(Ds)が来日前に復帰、ツアー中にThomas Miller(B)が突然バンドを離脱(音楽業界からも引退)するなど慌ただしかったようですが、後任にMichael LePond(B)を迎えて以降SYMPHONY Xはメンバーチェンジすることなく活動しています。本作はアトランティス文明をテーマにしたバンド初のコンセプトアルバムとなっていることもあってかSYMPHONY X特有の神秘的なムードがこれまで以上に色濃くなっていますね。

クラシック作曲家ヴェルディのレクイエムをモチーフにした序曲①Preludeに導かれてスタートする②Evolution(The Grand Design)がいきなりのキラーチューン!ダークで神秘的なムードと気品すら漂うメロディライン、それでいてサビは一緒に歌えそうなほどキャッチーなこの曲にはSYMPHONY Xの魅力が凝縮されていますね。ここまで聴いた時点で本作への期待値がグンと上がったのですが、それ以降はあまり好きになれませんでした…。端的に言うとメロディがこれまで以上に地味な曲が多いように思います。それに加えて曲間にインストを挟むなどして、アルバム冒頭から⑨The Death Of Balance / Lacrymosaまで切れ目なく繋がっているため何曲目を聴いているのかわからなくなることもあったりします。

バンドを構成する要素のひとつであるプログレッシブな作風を強めた結果、僕のストライクゾーンから外れてしまった1枚という感じですね。過去作品と比べて複雑さが増していること、アルバムのテーマがアトランティス文明という僕があまり関心のないジャンルということもあって歌詞を読んでも本作のストーリーに入り込めなかったというのもマイナス要因でしょうか。といいつつ美しく幻想的な⑤Communion And The Oracle、重厚なコーラスをフィーチュアした⑩Absence Of Lightから疾走曲⑪A Fool's Paradiseを経てエンディング曲⑫Rediscovery(Segue)〜⑬Rediscovery(Part II)- The New Mythologyに至る展開は感動的だし、①以外にもクラシックのフレーズを巧みに引用したり、オーケストラサウンドを導入することで生み出される壮大な世界観は聴き応えがあります。また、リーダーMichael Romeo(G)によるテクニカルプレイ、バッキングにソロにと適材適所の音色で楽曲を彩るMichael Pinnella(Key)の存在感、説得力に溢れた歌唱で迫るRussell Allen(Vo)のボーカルといったSYMPHONY Xらしさは本作でも健在なので、ファンならば楽しめる作品ではあるものの個人的にはもう少しわかりやすいメロディが欲しかったですね。SYMPHONY Xのアルバムはリアルタイムで聴いている時はそんなに好きではなかったけれどリピートするうちにハマることが多いのですが、本作は聴き始めの頃からあまり印象が変わりませんでした…。

【音源紹介】
Prelude~Evolution(The Grand Design)

SYMPHONY X「TWILIGHT IN OLYMPUS」(1998)

  • 2017/03/18(土) 00:00:00

TWILIGHT IN OLYMPUS
【No.489】
★★★(1998)

3rd「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)が過去のアルバムを凌駕する出来だったこともあり、それまでの日本に加えてヨーロッパでも人気に火がつきはじめたSYMPHONY Xが放つ4作目。ギターサウンドがグッとヘヴィになってファンを驚かせた前作よりも初期2作品で濃かったネオクラシカルテイストが前に出ているため、本作が2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)の次のアルバムと言われてもシックリくる作風です。これまで不動だった演奏陣にメンバーチェンジがありドラマーのJason Rulloがレコーディング前に脱退、後任にTom Walling(Ds)を迎えていますが次回作「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000) ではJasonが復帰しています。

毎回思うのですが、このバンドはアルバムの掴みがいつも強力ですね。今回もネオクラシカルなフレーズが乱舞する疾走曲①Smoke And Mirrors、SYMPHONY Xにしては珍しく一緒に歌えそうなサビと「ヘイ!ヘイ!」という掛け声をフィーチュアした②Church Of The Machineから間髪入れずにベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」をモチーフにしたインスト小品③Sonataを挟み、④In The Dragon's Denで再びパワフルに疾走する流れに引き込まれました。今回のアルバムは全8曲と収録曲が少ないのですが後半も「鏡の国のアリス」を題材にした13分の大作⑤Through The Look Glass (PartⅠ,Ⅱ,Ⅲ)に始まり、やや薄味ながらも疾走感が心地よい⑥The Relic、メロディが捻くれているため即効性はないもののMichael Romeo(G)Michael Pinnella(Key)による圧巻のソロバトルが楽しめる⑦Orion - The Hunter、和音階を取り入れた叙情バラード⑧Lady Of The Snowなど魅力的なナンバー並びます。

Candlelight Fantasia、Out Of The Ashesというバンドの「静」と「動」それぞれの魅力を凝縮した名曲を収録した3rdに比べると小粒な感は否めませんが、今回もネオクラシカルのマスターピース①を筆頭になかなかの力作に仕上がっています。また②の「バ〜ゥ ダ〜ゥ♪」という歌い出し(サビから曲がスタートするのはこのバンドで初めてかも)や⑥のサビメロなど一度聴いただけで口ずさんでしまいそうなメロディがあるのも本作の特徴でしょうか。当時のSYMPHONY Xはライヴを行っておらず事実上スタジオバンドだったことを差し引いても1994年にデビューして以降、ほぼ毎年フルアルバムを作り上げる彼等の創作意欲には頭が下がりますね。なおバンドは1998年6月に初来日公演(SYMPHONY Xとして初のライヴだったとか)を行い、その後ワールドツアーを敢行するなどライヴ活動が本格化していくため次作からはアルバム発表の間隔は2年毎、4年毎と長くなっていくこととなります。

【音源紹介】
Smoke And Mirrors

SYMPHONY X「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」(1996)

  • 2017/03/02(木) 00:00:00

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY
【No.488】
★★★★(1996)

圧倒的な演奏テクニックとアメリカのバンドらしからぬ叙情メロディで、日本のパワーメタルファンの心を掴んだSYMPHONY Xの3作目。このアルバムはバンド初期の代表作であり、2017年現在でもSYMPHONY Xの最高傑作に挙げられることも多い1枚です。過去の作品に比べるとギターが骨太になりヘヴィでモダンなサウンドを導入している点に変化が見られるものの、肝心のメロディは疎かになるどころか更に磨きがかかっていますね。従来のネオクラテイストは減退し、本作以降も程度の差こそあれどその傾向は維持されているため本作でSYMPHONY Xサウンドが確立されたと言えるかもしれません。複雑になりがちな彼等の作品群の中では比較的わかりやすいメロディが多いので僕にとってもお気に入り盤となっています。

本作はなんと言ってもアルバム序盤の流れが圧巻です。過去2作品とは明らかに異なるヘヴィネスに驚かされるものの楽曲の根幹はSYMPHONY X節全開な①Of Sins And Shadows、このバンド特有のミステリアスな雰囲気の中で炸裂するMichael Romeo(G)の滑らかなギターソロとそれに対抗するMichael Pinnella(Key)、そこにThomas Miller(B)のテクニカルプレイも加えた②Sea Of Lies、怒涛の勢いと哀愁のメロディが高次元で融合したSYMPHONY Xの最速チューンにして本作のハイライト③Out Of The Ashesの3曲はどれもがキラーチューンと呼べるほどの素晴らしさ。そんな疾走系3連発の後を受け継ぐ④The Accoladeは10分近くある長尺曲で、ここでは一転してバンドのプログレメタルの側面を強調していて聴き応え満点です。この一連の流れは前作「THE DAMNATION GAME」(1995)のThe Damnation Game、Dressed To KillからThe Edge Of Foreverへ繋がる展開を彷彿とさせますが、更にグレードアップしていてバンドの成長を感じさせてくれます。

また本作はラストを⑨Candlelight Fantasiaという超名曲で締めくくっているのも大きなポイント。この曲で聴ける「悲哀のメロディの極致」と呼ぶべき美旋律が堪りません。個人的には③と⑨の2曲を聴くためだけに本作を買う価値があると思いますね。そして7部構成20分越えの超大作⑧The Divine Wings Of Tragedyも存在感抜群。各パートの繋ぎ方が強引だったり、率直に言って長すぎると感じたりするのも事実ですがSYMPHONY Xの凄みを見せつけてくれています。これらの曲のインパクトが大きいために、ヨーロッパ民謡風フレーズを散りばめたネオクラ疾走曲⑦The Witching Hourなどは単体で聴けば十分魅力的なのですが、本作の中では影が薄くなっていますね。一方で捻くれた歌メロが怪しげな雰囲気を醸し出す⑤Pharaohは聴けば聴くほどクセになるナンバーです。楽曲の充実度が過去最高なのに加えて、バンドのウィークポイントだった音質面も改善されているのも好印象。SYMPHONY Xをこれから聴くという方には、まず本作をオススメしたいですね。

【音源紹介】
Candlelight Fantasia

SYMPHONY X「THE DAMNATION GAME」(1995)

  • 2017/02/22(水) 00:00:00

THE DAMNATION GAME
【No.487】
★★★(1995)

Michael Romeo(G)率いるSYMPHONY Xがバンドの声と呼べる看板シンガーRussell Allenを迎え、デビュー作「SYMPHONY X」(1994)から僅か9ヶ月という短いインターバルで発表した2ndアルバム。僕が初めてこのバンドの音に触れた1枚でもあります。音楽性は前作と同じくネオクラシカル風サウンドを盛り込んだプログレメタルながら、クオリティは大幅にアップしていますね。その功労者はやはりRussellでしょう。今ではマフィアのボスのような風貌でドスの効いた歌声を響かせてリスナーを圧倒するスタイルを持ち味としている彼ですが、本作では比較的クリーンに歌っている場面が多いですね。剛柔どちらでも表現力豊かに歌い上げられるRussellがバンドに加わったことでSYMPHONY Xのラインナップは完成したと言えると思います。バンドは本作以降リズム隊に若干のメンバーチェンジがあったもののMichael Romeo、Russell AllenそしてMichael Pinnella(Key)の3人は不動で2017年現在まで活動しています。

楽曲面でもスケールアップを遂げていて、イントロ数秒で聴き手の心をガッチリ掴む疾走曲①The Damnation Game、怪しげなムードの中で緊迫感溢れるサビメロが冴え渡る②Dressed To Killの畳み掛けが実に強力!そんなオープニング2曲に続く③The Edge Of Foreverはドラマティックな長編曲で、バラード風に始まり終盤へ向かうに連れて盛り上がっていく展開が秀逸です。中でも3分15秒辺りのピアノソロが凄く印象的で、僕としてはテクニカルなギターソロ以上にこういうパートを聴くと「SYMPHONY Xだなぁ」と感じます(少数意見かもしれませんが)。また⑤Whispersは優しくも儚いメロディが至福のひとときを与えてくれる逸品。こういう楽曲はバンド初期ならではの特徴だと思いますね。

YNGWIE MALMSTEENHELLOWEENでHR/HMに目覚めたメタラー1年生(1995年当時)の僕にとって本作の①と②はあまりに衝撃的でした。幸か不幸かこの2曲がこのバンドとの出会いだったため、本作の後半や彼等の他のアルバムを聴く時にハードルが上がってしまい、結果として「SYMPHONY Xは好きな曲とそうでない曲の落差が激しいバンド」というイメージが僕の中で定着してしまった感があります(苦笑)。率直に言うと、もっとわかりやすいメロディが欲しいんですよね…。とはいえデビュー作と比べるとボーカル交代は成功だったと思うし、まだ物足りなさは残るものの音質も向上しているので順当な成長作と言えるでしょう。ちなみに今回ブログ記事を書くために聴き直すまで、本作の後半に収録された曲は印象に残っていなかったのですが最近になってラストを飾る⑧A Winter's Dream - Prelude(Part I)、⑨A Winter's Dream - The Ascension(Part II)の2部作がジワジワと好きになってきました。

【音源紹介】
Dressed To Kill

SYMPHONY X「SYMPHONY X」(1994)

  • 2017/02/14(火) 00:00:00

SYMPHONY X
【No.486】
★★(1996)

今や押しも押されぬネオクラシカル系プログレメタルバンドの重鎮としてその名を馳せるSYMPHONY Xが1994年にリリースした1stアルバム。デビュー当時はグランジ/オルタナティヴ全盛期ということもあって母国アメリカやヨーロッパでは全くと言っていいほど話題にならず、ゼロ・コーポレーションが彼等を発掘して日本でのみリリースされた作品のようです。このアルバムの時点でダークかつミステリアスなSYMPHONY Xサウンドは既に確立されているものの、僕は2nd「THE DAMNATION GAME」(1995)でこのバンドを知り、後追いで本作を聴いたため物足りなさを感じる点も少なくありません。その最たる例が本作でフロントマンを務めていたRod Tyler(Vo)のボーカルで、独特の味があるヘタウマ系と感じる場面もなくはないですが、次作から加入する実力派Russell Allen(Vo)に比べると不安定さが目立ってしまいますね…。

そんな弱点があるのは事実ながら僕の琴線に触れる楽曲も聴くことができます。特に④Masqueradeはゼロ・コーポレーションが所属アーティストの曲をテーマ毎に集めたコンピレーション盤「煌 CRYSTAL」(1996)に収録されているほか、バンド自身も1998年にリメイクしたバージョンをベストアルバムの1曲目、6th「THE ODYSSEY」(2002)のボーナストラックに再録している初期の代表曲です。それ以外にも「トゥナ〜イ♪」のコーラスが耳に残る②The Raging Season、骨太なサウンドに変化した今では聴けそうにないメロウなバラード⑥Shades Of Grey、キャッチーなサビメロを持った⑧Rapture Or Pain辺りは結構好きですね。コーラスワークにQUEENっぽさが感じられるのも本作ならではの特徴でしょうか。

DREAM THEATERに通じるプログレッシブメタルにYNGWIE MALMSTEENを彷彿とさせるネオクラシカルテイストを融合させたものがSYMPHONY Xの根幹部だと思っているのですが、その中でも本作はネオクラ要素が強い作風となっています。リーダーでもあるMichael Romeo(G)の流麗なギタープレイは同時期の本家YNGWIE以上に聴き応えがありますね。SYMPHONY Xは作品を重ねる度に複雑でプログレ色が濃くなっているので、このバンドの中では比較的聴きやすい1枚だと思います。本作はボーカルと音質(特にドラム)に難はあるものの、ダイヤの原石のような輝きも見せてくれる作品なので現メンバーでリメイクすると面白いかもしれませんね。

【音源紹介】
Masquerade

【CD購入録】SONIC STATION「NEXT STOP」(2015)

  • 2017/01/27(金) 00:00:00

【CD購入録】
NEXT STATION
SONIC STATION「NEXT STOP」(2015)

スウェーデン出身のギタリスト/ソングライターAlexander Kronbrink率いるAORプロジェクトSONIC STATIONの2作目を買いました。セルフタイトルのデビュー作では4人のシンガーが歌っていたそうですが、今回は前作に続いての参加となる女性ボーカルMarika Willstedtが3曲、彼女の紹介で初参加となった男性シンガーJohan Bodingが8曲で歌う体制となっています。都会的なAORといった感じのSONIC STATIONサウンドを聴いて最初に連想したのはRobert Sall(G)擁するWORK OF ARTですね。アルバムの幕開けに持ってこいの爽快チューン①Ameliaからして強力で「女性の名前をタイトルにしたAORソングにハズレなし」という法則が見事に当てはまっています。それ以外にも心温まるメロディが秀逸な⑧Broken Man、Marikaの力強い歌声が映えるドラマティックバラード⑪Hide And Seekを筆頭に、HR/HMとして聴くにはソフトすぎるきらいはあるものの、とことんメロディアスな楽曲がズラリと並びます(意外と自己主張の強いギターパートもグッド)。AlexanderにはSONIC STATIONを今後も継続してもらいたいですね。

【CD購入録】SPIRITUAL BEGGARS「SUNRISE TO SUNDOWN」(2016)

  • 2016/10/05(水) 00:00:00

【CD購入録】
SUNRISE TO SUNDOWN
SPIRITUAL BEGGARS「SUNRISE TO SUNDOWN」(2016)

LOUD PARK16に所謂「アモット枠」で出演するのでは、という大方の予想に反して単独来日公演を10月に行うことが発表されたSPIRITUAL BEGGARSの9作目を買いました。3代目シンガーのApollo Papathanasioが加入して3枚目のアルバムとなります。前任のJB(Vo/GRAND MAGUS)が在籍している頃は大好きなバンドだったのですが、現体制になってからは今ひとつのめり込めずにいました。あまり期待せずに本作を聴いたこともあってか第一印象としては好感触。勢いのあるハードロック①What Doesn't Kill You、キャッチーなギターメロディが曲を引っ張る②Sunrise To SundownPer Wiberg(Key)のハモンドサウンドが存在感を発揮している③Diamond Under PressureLudwig Witt(Ds)が作詞作曲した④Hard Roadと続く序盤は特に良い感じですね。後半に進むにつれてトーンダウンしているように思うし、ボーナストラックにカバー2曲とライヴ5曲を収録というのは流石に多すぎて間延びしてしまっているのが残念ですが…。iPodに本編11曲とカバーソングだけを取り込んでリピートしています。

【CD購入録】SUNBURST「FRAGMENTS OF CREATION」(2016)

  • 2016/04/18(月) 00:00:00

【CD購入録】
FRAGMENTS OF CREATION
SUNBURST「FRAGMENTS OF CREATION」(2016)

ギリシャから彗星の如く現れたプログレッシブ・パワーメタルバンドSUNBURSTの1stアルバムを買いました。僕はこのバンドのことを全く知らなかったのですがBURRN!誌上で藤木さんがプッシュされている記事を読み、YouTubeで試聴してすぐさま購入を決めました。中心人物のGus Drax(G)は新世代のギターヒーローとして注目されているようですね。本作はそんなGusが敬愛するDREAM THEATER(初期)、SYMPHONY X、CONCEPTION、NEVERMOREといった先達からの影響の下にあるサウンドで個人的にはビルドアップされたKAMELOTという印象が強いです。実際、シンガーのVasilis GeorgiouRoy Khan(Vo)の後任を探していたKAMELOTのオーディションを受けたこともあるそうで(Gus談)、ウェットかつ表現力に溢れた彼がTommy Karevik(Vo/SEVENTH WONDER)の代わりにKAMELOTに加入していても違和感なかったのではと思うほど。こうしてボーカルとギターに実力者が揃っているバンドはやはり強いですね。ズバ抜けたキラーチューンこそないものの全体的にクオリティは高く、ザクザクと刻まれるリフと哀愁を帯びたサビが印象的な①Out Of The Worldを皮切りにバラード⑤Lullabyやギターインスト⑦Beyond The Darkest Sun、12分に及ぶ長編曲⑩Remedy Of My Heartなど楽曲のバリエーションもあって聴き応えは十分。2016年のブライテストホープ有力候補が登場しましたね。

【CD購入録】SVEN LARSSON「SUNLIGHT AND SHADOW」(2010)

  • 2015/12/25(金) 00:00:00

【CD購入録】
SUNLIGHT AND SHADOW
SVEN LARSSON「SUNLIGHT AND SHADOW」(2010)

北欧メロディックロック界の隠れた名バンドSTREET TALKに2nd「TRANSITION」(2000)から加入してセンス溢れるギターを聴かせてくれているSven Larsson(G)の1stソロアルバムを買いました。音楽性はジャケットから連想できる通りの爽やかなAOR系ですね。楽曲的にはSTREET TALK以上にソフトですが、ソロアルバムということもあってギターのフィーチュア度合いはこちらの方が上だしインストも2曲収録しています。STREET TALKで彼のギターに魅了された身としてはそれだけである程度満足ですね。全体的に爽やか過ぎてHR/HMファンにとっては引っ掛かりに欠ける面は否定できないものの、心地よいサウンドなので何度もリピートしています。お気に入りチューンの⑧It's OverまではAORの王道、それ以降は若干ハードさが増しています。ちなみに本作ではSvenがリードボーカルも担当しているのですが予想以上に上手いですね。

STREET TALK「V」(2006)

  • 2015/12/22(火) 00:00:00

V.jpg
【No.457】
★★★★(2006)
年間ベスト2006年第5位

Mr.北欧ボイスGoran Edman(Vo/ex-YNGWIE MALMSTEEN etc)を擁するスウェーデン産メロディック・ロックバンドSTREET TALKの4thフルレンスアルバム。タイトルが「V(ファイヴ)」となっているのは国内盤未発のベスト盤「DESTINATION」(2003)を含めると5枚目の作品にあたるからだそうです。Steve Perry(Vo/ex-JOURNEY)が1984年に発表したソロ作品のタイトルをバンド名にしていることから予想がつく通り、メロディックロックの王道をゆくサウンドですがハードな面は控えめで柔和なAORに近い印象を受けます。彼等のことはデビュー作「COLLABORATION」(1997)の時から知っていて好きなタイプのバンドだと思いつつも、本作以上にソフトな作風だったのでそれ以降は聴いていませんでした。今回は前評判が高かったので軽い気持ちでチェックしてみると、これが予想以上の名盤でビックリ。

メインソングライターFredrik Bergh(Key)が生み出す楽曲群が実に素晴らしいんですよね。瑞々しくも優しい雰囲気と爽快感を持ちつつ、北欧ならではの強烈な泣きというよりは仄かな哀愁漂う旋律が胸に沁みます。オープニングには持ってこいの軽快なサウンドが気持ちいい①Responsible、飛翔感のある必殺のサビ(イ ファイクゥ〜♪)がインパクト抜群の③If I Could、爽快度満点のメロハー⑤Family Business、本作の中で最もスピーディーな⑨Sniperといったロックチューンを聴いていると胸が躍るし中でも③が大好きですね。それとは対照的なバラード系ではAOR風のお洒落な雰囲気を持った④At The End Of The Day、心温まる珠玉のメロディとアレンジが素晴らしい⑧Groundhog Dayが秀逸。また本作のボーナストラックが前述のベストアルバム「DESTINATION」にのみ収録されていた⑫Astray、⑬Made For Paradiseの2曲だというのも嬉しいですね(勿論これらもSTREET TALKらしい高品質ナンバー)。

そんな優れた楽曲の数々を歌うGoranの歌唱も絶品。TIME REQUIEM「OPTICAL ILLUSION」(2006)でメタルを歌うには線が細いという弱点を露呈していたGoranもSTREET TALKのようなメロディアス路線の楽曲では、その透き通ったハイトーンの魅力を遺憾なく発揮してくれています。高音だけでなく力を抑えて歌うパートも非常に味わい深いです。また見た目はフツーのオジサマながら各曲に華を添えているSven Larsson(G)のギタープレイもSTREET TALKの大きな武器ですね。彼の見せ場となっているのは⑤の終盤と⑥Just A Little Appetizer冒頭のギターソロでしょうか。珠玉のメロディとその魅力を最大限に活かせる歌唱、充実のギタープレイが詰まった本作はこれまでに聴いたメロディック・ロックアルバムの中でも指折りの傑作です。ところが、これだけの名盤を生み出しておきながらFredrikは本作をリリースした2006年に立ち上げた正統派メタルバンドBLOODBOUNDへ活動の軸を移し、そちらでは2014年までに6枚ものアルバムを発表しているのに対してSTREET TALK名義では本作が最後のアルバムとなっています。BLOODBOUNDも悪くないのですが、僕はやはりSTREET TALKの新作が聴きたいですね。本作のライナーノーツによると2つのバンドを並行活動させていくとFredrikは語っていたそうなので何とか実現してほしいものです…。

【音源紹介】
If I Could

SYSTEM OF A DOWN「HYPNOTIZE」(2005)

  • 2015/09/28(月) 00:00:00

SOAD HYPNOTIZE
【No.446】
★★★★★(2005)
年間ベスト2005年第2位

変態ヘヴィロックバンドSYSTEM OF A DOWNの5thアルバムにして2部作「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の後編。本作の楽曲も「MEZMERIZE」と同時期に制作されたということもあって、前作に収録されていたとしても違和感のないナンバーが並んでいます。「MEZMERIZE」との違いを挙げるとすれば一段と劇的でメロディアスになったという点でしょうか。そんな印象を決定付けているのがアルバムラストに収録された⑪Lonely Days、⑫Soldier Sideの2曲。前者はSYSTEM OF A DOWN史上最もソフトなバラード、後者は悲哀を通り越して悲痛とさえ表現できそうなメロディを持った壮大なナンバーです。特に⑫はタイトルにもある通り「MEZMERIZE」の1曲目で今回の2部作のオープニングでもあるSoldier Side‐Introと共通のフレーズも登場し、大きな感動をもたらしてくれます。

メロディアスな側面が強調された作風とはいえ怒涛のアグレッションや強烈な歌詞、予測不能な曲展開など前作で僕を魅了してくれたSYSTEM OF A DOWNらしさは今回も健在です。曲名そのままに剥き出しの攻撃性で襲いかかってくる①Attack、激しいイントロからの落差が激しいメロウなサビへ繋がる②Dreaming、ツインボーカルで掛け合いをしつつこのバンドらしからぬクサメロで疾走する③Kill Rock & Rollの流れは実に強力。続くタイトル曲の④Hypnotizeはアルバムを象徴するかのようなドラマティックチューンでじわじわと胸に迫ってきます。SYSTEM OF A DOWNならではの変態ソングもしっかり存在していて「ビデビデビデビデ…」な⑦U-Fig、「バナナ バナナ バナナ テラコッタ バナナ テラコッタ テラコッタ パイ!」という意味不明なフレーズに思わず笑ってしまう、それでいてクセになる⑨Vicinity Of Obscenityや奇怪なリズムとDaron Malakian(Vo、G)による音を外し気味な歌がラリった感を醸し出している⑩She's Like Heroinなどは狂気を感じ、聴いていて身震いしてしまうほど。

楽曲のハチャメチャ度合いに関しては前作に一歩譲りますが、それはあくまでもSYSTEM OF A DOWNにしてはという話であって本作でも様々な要素が絡み合う何でもありのサウンドが展開されています。それでいてかなりメロディアスなので、このバンドの作品の中でもかなり効きやすい部類に入るのではないでしょうか。曲間を短くすることで、まるでアルバム自体がひとつの曲であるかのようにスムーズに進んでいく本作は単体でも十分楽しめますが、是非とも「MEZMERIZE」と一緒に聴いて独特の世界観に浸りたいですね。「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の2部作はどちらも全米1位に輝き、前作からのシングルカット曲B.Y.O.B.がグラミー賞のベスト・ハードロック・パフォーマンス賞を獲得するなど活動は順調かと思われましたが2006年にバンドは長期活動休止に入ることを発表。Serj Tankian(Vo、Key)はソロ、DaronはSCARS ON BROADWAY名義で音楽活動を続けていくこととなります。2011年からはSYSTEM OF A DOWNとしての活動を再開してライブは行っているようなので、本作の先にあるスタジオ盤にも期待したいですね。

【音源紹介】
Soldier Side

SYSTEM OF A DOWN「MEZMERIZE」(2005)

  • 2015/09/25(金) 00:00:00

MEZMERIZE
【No.445】
★★★★★(2005)
年間ベスト2005年第1位

バンド名を冠したデビュー作を1998年にリリースするや100万枚以上のセールスを記録、その後OZZFESTへの出演を果たすなどへヴィロックシーンで注目を集めるロサンゼルス出身の4人組バンドSYSTEM OF A DOWNの4作目。「STEEL THIS ALBUM!」(2002)を3rdアルバムと見なすか、アウトテイク集と見なすか意見が分かれているようですが当ブログでは前者の立場をとっています。メンバー全員がアルメニア系移民ということもあってか社会的、政治的なメッセージが込められた歌詞が多く中心人物のSerj Tankian(Vo、Key)は政治団体を立ち上げるなどしているようです。このバンドに関しては2nd「TOXICITY」(2001)が世間的に評価が高かったので名前だけは知っていましたが、メロディアスなHR/HMを好む僕には合わないというイメージが強く実際に聴くことはありませんでした。旅先(たしかバリ島)でたまたま安く売られているのを見つけ、この金額なら失敗してもいいかなと思ったのが本作を購入したきっかけです。

そんな軽い気持ちで手に取った本作ですが、結果的には2005年に聴いた新譜の中で最も重要なアルバムとなりました。陰鬱なイントロ①Soldier Side‐Introに導かれて始まる②B.Y.O.Bの激しく刻むリフをかき消すような「Why do they always send the poor!(どうして戦場に送られるのはいつも貧しい者たちなんだ!)」の絶叫が炸裂した瞬間からSYSTEM OF A DOWNワールドが全開。ゆったりしたパートから突如爆走するこの曲はアルバム中最もメタリックなナンバーで、一筋縄ではいかない曲構成と先の読めない展開に引き込まれます。それ以降も柔/剛、シリアス/コミカルといった相反する要素が絡み合う唯一無二の楽曲群は中毒性が高く、一度ハマると抜け出せません。中でも「エビバデエビバデ…」と早口でまくしたてる⑦Violent Pornographyが異彩を放っていますね。奇想天外で曲作りのセオリーを無視したかのような独創性を持ちながら、魅力的な楽曲として成立してしまうことができるのがSYSTEM OF A DOWNの凄いところです。大半の曲を手掛けるDaron Malakian(Vo、G)の頭の中がどうなっているんでしょうね…。また曲順についても、これしか考えられないほどハマっていて作品としての完成度も申し分ありません。11曲で35分弱という収録時間の短さもあって気がつけば何度もリピートしています。

ハチャメチャなのに整合性があり、狂気に満ちていていながらもキャッチーな本作を一言で表現するとすれば「常人ではたどり着けない変態ヘヴィロック」という感じでしょうか。情感のこもった声で歌い上げたかと思えば素っ頓狂なシャウトを決めるなど変幻自在のパフォーマンスを見せるSerj、そこにやや調子外れながらも味のあるDaronの歌が絡むボーカルパートもSYSTEM OF A DOWNの大きな特徴ですね。ちなみにこのアルバムは2部作「MEZMERIZE/HYPNOTIZE」の1枚目で、バンドは本作リリースの約半年後に続編の「HYPNOTIZE」を発表しています。本作を聴いてすっかりこのバンドに魅了された僕は次作のみならず、過去作品も購入。「HYPNOTIZE」は本作同様、大のお気に入り盤となった一方1st〜3rdはあまり好きになれませんでしたが…。

【音源紹介】
B.Y.O.B

SPIRITUAL BEGGARS「DEMONS」(2005)

  • 2015/09/19(土) 00:00:00

S BEGGARS DEMONS
【No.444】
★★★★(2005)
年間ベスト2005年第3位

現代HR/HMシーンにおける最重要人物のひとりMichael Amott(G/ARCH ENEMY)ARCH ENEMYで追求しているメロデスとは異なる音楽性でその才能を発揮するSPIRITUAL BEGGARSの6thアルバム。4th「AD ASTRA」(2000)リリース後のフロントマン交代劇には驚きましたが、またもメンバーチェンジがありRoger Nilsson(B/THE QUILL)が脱退、後任にARCH ENEMYファミリーでもあるSharlee D'Angelo(B)を迎えています。前作「ON FIRE」(2002)で確立したオールドスタイルのロックサウンドにMichael Amottの泣きのギターが乗るというスタイルはそのままに、ややマイルドな印象もあった5thに比べるとメタリックな質感が強調されているように感じますね。

序曲の①Inner Strength(Intro)に続いて②Throwing Your Life Away、③Salt In Your Woundsとノリのいい曲が並ぶため前作よりも即効性は高いし、キャッチーかつグルーヴィなリフが絶大なインパクトを誇る④One Man Armyへと至るアルバム序盤の流れは流石です。印象的なリフワークという点でいえば⑪Elusiveも素晴らしいし、このバンドのレパートリーで最も聴きやすい部類に入りそうなドライヴィングチューン⑥Treading Waterも秀逸。そんな楽曲群の充実振りもさることながら前作から加入したJB(Vo)のボーカルパフォーマンスは目を見張るものがありますね。⑤Through The Halls、⑬No One HeardではDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)を彷彿とさせるディープな歌声を披露、そうかと思えば曲によってはブルータルなボーカルで攻めてくる幅広いスタイルを持つ彼は紛れもなく逸材でしょう。

バンドの中心人物がMichaelであることは間違いないのですが前述のJBは勿論、今やSPIRITUAL BEGGARSに欠かせないオルガンサウンドで楽曲を彩るPer Wiberg(Key)そしてLudwig Witt(Dr)とSharleeのリズム隊など各パートにタレントが揃っているのもこのバンドの強みですね。Michaelは2005年にARCH ENEMY名義でも「DOOMSDAY MACHINE」というアルバムを発表していますが、当時はSPIRITUAL BEGGARSの方が好きでした。また本作の初回限定盤には渋谷AXでのライブ音源8曲が収録されたボーナスCDが付属しています。8曲中2曲がカバーソング、1曲はギターソロであること、そもそも収録時間が30分弱と短いことから食い足りなさを感じますがJBがライブでも優れたシンガーであることが確認できます(MCで話す時の声も渋い!)。残念ながらJBは自身のバンドGRAND MAGUSの活動に専念するため、本作を最後にSPIRITUAL BEGGARSを離れてしまうこととなります…。

【音源紹介】
・One Man Army

【CD購入録】SOILWORK「THE RIDE MAJESTIC」(2015)

  • 2015/09/16(水) 00:00:00

【CD購入録】
THE RIDE MAJESTIC
SOILWORK「THE RIDE MAJESTIC」(2015)

メンバーチェンジを繰り返しながらもバンドとして成長を続けるメロデス/エクストリームメタル界の重鎮SOILWORKの10作目を買いました。現代ヘヴィメタルのひとつの型となった感すらあるグロウルとクリーンボイスを駆使したSOILWORKサウンドはそのままに、今回はクリーンパートの歌メロが更に強調されています。この辺りはBjorn“Speed”Strid(Vo)David Andersson(G)が在籍し、Bjornがノーマルボイスで歌うTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAでの活動が活かされているのかもしれませんね。先行で公開されていた①The Ride Majesticが好感触だったので購入したのですが、アルバムのハイライトはその①と⑦The Ride Majestic(Aspire Angelic)でしょうか。バンドの最高傑作かどうかはさておき十分楽しめる作品だと思います。

SPIRITUAL BEGGARS「ON FIRE」(2002)

  • 2015/09/13(日) 00:00:00

ON FIRE
【No.443】
★★★★(2002)

メンバー間の不和からSpice(Vo、B)が脱退、後任にJBことJanne Christoffersson(Vo/GRAND MAGUS)Roger Nilsson(B/THE QUILL)を迎えて5人編成となったSPIRITUAL BEGGARSの5thアルバム。Spiceは抜群に上手いというわけではなかったものの、適度にラフな荒くれ歌唱がアンダーグラウンド臭と妖気漂うSPIRITUAL BEGGARSにマッチしていたのでシンガー交代がどんな影響をもたらすのか不安もありました。いざ聴いてみると、このJBという歌い手が予想以上の実力者でビックリ。前任者に負けず劣らずの力強さに加えてソウルフルな低音が胸に響くJBの歌声にすっかり魅了され、彼のメインバンドGRAND MAGUSの作品をチェックするようになったほどです。中でも4th「IRON WILL」(2008)はお気に入り盤となっています。

本作に話を戻すと4th「AD ASTRA」(2000)が感性に直接訴えかけてくる理屈抜きでカッコいいサウンドだったのに対して、今回は整合感が増して小奇麗にまとまっているように感じられます。バンドとしての成長が窺える一方、前作にあった魅力が削がれているようにも思えて最初のうちはあまり好きになれませんでした。本作の魅力がわかるようになってきたのはアルバムを買って1〜2年が経過した後でしょうか。アップテンポの曲が少なく、前作収録のSedatedや3rd「MANTRA Ⅲ」(1998)のEuphoria級のキラーチューンがないため、即効性には欠けますが本作が醸し出す渋さとカッコよさを併せ持ったサウンドは正に大人のハードロック。聴き始めの頃は各曲が小粒だと感じていましたが飛び抜けたナンバーがないのではなく、ハイライトになり得る楽曲が並んだ1枚だと今では思っています。

「ドンテイキ フォ グラァンテェ〜♪」と歌うキャッチーなサビを持った①Street Fighting Savioursからして過去作品になかったメジャー感が備わっているし、JBのディープボイスに惚れ惚れしてしまう④Fools Goldなどもこれまでにない魅力ですね。また本作はアルバム構成もよく練られていて圧倒的な重量感で迫ってくる⑤Black Feathers、それとは対照的に小気味よく刻まれるギターリフに自然と身体が揺れてくる⑥Beneath The Skin、静かなインスト小品⑦Fejee Mermaidから⑧Dance Of The Dragon Kingに至る一連の流れは秀逸。そして終盤の見せ場となっている⑨Tall Tales、⑩The Lunatic Fringe、⑪Look Backの畳み掛けも実に強力です。特に泣きメロ職人Michael Amott(G/ARCH ENEMY)らしいエモーショナルなギターソロが楽しめる⑪は素晴らしいの一言。本来苦手なヘヴィでスローな曲でも、このバンドだと不思議と楽しめるんですよね。70年代のロックバンドに造詣がある人にとってはアルバムに散りばめられたオマージュを楽しむこともできる作品のようですが、それらのバンドをよく知らない僕にとってはかえって新鮮でした。「IRON WILL」同様、聴き込むほどに味わいが増す「これぞスルメ盤」と言うべきアルバムですね。

【音源紹介】
Look Back

【CD購入録】STRATOVARIUS「ETERNAL」(2015)

  • 2015/09/10(木) 00:00:00


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STRATOVARIUS「ETERNAL」(2015)

僕の中でHELLOWEENと並ぶメロディックパワーメタル界の重鎮となっているSTRATOVARIUSの15作目を買いました。HELLOWEENよりも遅い1989年にデビュー、2004年〜2006年にかけては解散騒動があったりした彼等ですがアルバム枚数では既に追いついていて順調な活動振りが窺えます。オープニングの①My Eternal Dreamがそうだからかもしれませんが、今回はネオクラ系パワーメタル色が戻ってきているように感じますね。この点についてはソングライティングにJani Liimatainen(G/CAIN'S OFFERING、ex-SONATA ARCTICA)が参加していることも関係しているのかもしれません。第一印象としては前作「NEMESIS」(2013)収録のHalcyon Days級のキラーチューンこそないものの、STRATOVARIUSらしいサウンドが堪能できる1枚だと思います。ちなみに本作は10曲入りの通常盤に加えて⑥Endless Forest、⑦Giantsのボーナストラック2曲を追加したSHM-CDとLOUD PARK13の模様を収録したDVD2枚組限定盤があり、僕は迷った末に限定盤を買いました。家でライブDVDを見ることはほとんどないのですが、今のSTRATOVARIUSの曲はひとつでも多く聴きたいというのが限定盤を選んだ理由です。ボートラに関しては静かでメルヘンチックなインスト⑥、キャッチーな歌メロが耳を捕らえる⑦という感じで特に後者が気に入っています。ライブDVDは家族が寝静まった後にでも見ようかな。

SPIRITUAL BEGGARS「MANTRA Ⅲ」(1998)

  • 2015/08/29(土) 00:00:00

MANTRA Ⅲ
【No.442】
★★★(2001)

Michael Amott(G/ARCH ENEMY、ex-CARCASS)がリーダーを務めるトリオ編成のハードロックバンドSPIRITUAL BEGGARSの3作目。僕は次作4th「AD ASTRA」(2000)を聴いてバンドのファンになり後追いでこのアルバムを聴きましたが、こちらも毒々しくサイケデリックな荒くれハードロックというSPIRITUAL BEGGARSならではの魅力に溢れた良作でBLACK SABBATH、DEEP PURPLEといった70年代の有名バンドからの影響を感じられると評されることの多いアルバムでもあります。正直なところ、僕はその時代のロックバンドを聴いてもあまりピンと来ないのですが、本作はレトロなサウンドでありながら古臭さを感じさせないし、当時のバンドを改めて聴きたいと思わせるだけの魅力を備えていますね。再トライの結果、70年代のバンドにのめり込むことはありませんでしたが…(苦笑)。

「AD ASTRA」以上にドゥーミーな空気に満ちているものの、重たいだけで終っていない辺りは流石。それを象徴するのがヘヴィなイントロから幻想的なオルガンサウンドに導かれて極上のサビへと繋がる③Euphoriaで、この曲は間違いなく本作のハイライトですね。そこから一転してファンキーな④Broken Morningもカッコいいし、タイトル通りのボッサな曲調に驚かされるインスト⑥Superbossanovaまでこなしてしまうバンドの懐の深さと、アルバム中盤にこの曲を配するセンスに脱帽です(2000年に再発されたリマスター盤では1曲目になっているようですが)。それ以降も終盤にスローダウンする展開にグッとくる⑦Bad Karma、Michaelらしい泣きのギターが炸裂する⑧Send Me A Smile、前曲から間髪入れずに始まり勢いで押し切るロックチューン⑨Cosmic Romanceの3連発は強力だし、⑪Sad Queen Boogieも好きな楽曲ですね。

このバンドに関してはドゥーム/ストーナーロックに分類されることが多かったため「音楽はまずメロディありき」と考える僕とは相性が良くないかと思っていました。本作に関しても全曲がストライクというわけではないものの、退廃的なムードと聴き手をねじ伏せる凄みに溢れたSPIRITUAL BEGGARSサウンドはクセになりますね。その中心となっているのがMichael Amottのギターとソングライティングであることは間違いないのですがゲストプレイヤーとして参加しているPer Wiberg(Key/DEATH OTGAN etc)のオルガンサウンドも本作で重要な役割を担っています。どの曲でも大きな存在感を放っているので、次の作品からPerが正式メンバーとして迎えられたのも納得。次作以降SPIRITUAL BEGGARSはアンダーグラウンド臭を薄め、アルバムを重ねる度に洗練性を増していくこととなります。

【音源紹介】
Euphoria

RICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY「TEARS OF THE SUN」(2006)

  • 2015/08/23(日) 00:00:00

TEARS OF THE SUN
【No.441】
★(2007)

ワーカホリックな鍵盤魔人Richard Andersson(Key)が2003年にMagnus Nilsson(G)と立ち上げたSPACE ODYSSEYの3作目。Richardの別バンドTIME REQUIEMの3rd「OPTICAL ILLUSION」(2006)から約9ヶ月という短い間隔でリリースされたということもさることながら、SPACE ODYSSEYとして新作を発表したこと自体が僕にとっては予想外でした。というのも「OPTICAL ILLUSION」にはMagnusが参加していたしTIME REQUIEMの従来サウンドとは一線を画していたので、SPACE ODYSSEYはTIME REQUIEMに吸収される形で自然消滅したと思っていたからです。それに加えてSPACE ODYSSEYの重要なファクターであるNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)もスケジュールが合わないため不参加、後任にDavid Fremberg(Vo/ANDROMEDA)を迎えたとリリース前から伝わってきていたので期待値は下がっていました。

いざ聴いてみると、本作で展開されているのはRichardがこれまでに追求してきたネオクラシカルメタルの面影が全くないハードロックサウンドでビックリ。Richardによる各曲解説にも「どの曲も楽曲重視のスタイルにして、プログレッシブな要素は排除しようと思った」「今回はボーカルがあまり高い音域で歌わないスローな曲をやってみた」「ギターを前に出してキーボードをちょっと引っ込めている」といった言葉が並び、意図的に今回のような音楽性にシフトしたことが窺えますが肝心のメロディがほとんど印象に残りません…。お気に入りと呼べそうなのは本作では珍しくキーボードソロが聴ける⑤Dark Wings Of Universe、日本盤ボーナスの⑨Jailbareakerといったアップテンポのナンバーくらいでしょうか(これら2曲についても過去の楽曲群と比べると弱いと思いますが)。本作のブックレットでは作詞作曲、プロデュースのクレジットは当然の如くRichard Anderssonとなっているのですが、その下に(In collaboration with Mr. Magnus Nilsson)という表記があります。Magnusが曲作りに関わったことで今回のようなサウンドになってしまったのだとしたら残念ですね。

「OPTICAL ILLUSION」も従来とは異なる路線で驚きましたが、作品単体としてはそれなりに楽しめるアルバムでした。それに対して本作はRichardのアルバムかどうかは別にしても僕の琴線に触れるメロディが極端に少ないのが痛いですね。自身のトレードマークであるネオクラサウンドや速弾きキーボードを封印してまでこの路線でやっていく意味が見えないように思います。SPACE ODYSSEY、TIME REQUIEM共に3枚目のアルバムで路線を転換したため今後の活動に一抹の不安を覚えたのですが案の定、両バンドとも4作目をリリースすることはありませんでした(2015年現在)。それどころか、これまで複数のバンドを掛け持ちして1年に1〜2枚のアルバムを発表していたRichard Andersson自身も本作を最後に表舞台から姿を消してしまいます。以前にインタビューで「短期間に沢山のアルバムを出し過ぎではないか?」と聞かれ「自分はプロのミュージシャンで、音楽で家族を養っているから」と答えていた彼がどのようにして生計を立てているのか気になりますね(スタジオ経営などの裏方に徹することにしたのでしょうか?)。長らく動向が掴めなかったRichardですがDEVIL'S HEAVENというグループに在籍して2014年に「HEAVEN ON EARTH」というアルバムを出しているようです。

【音源紹介】
Dark Wings Of Universe

RICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY「THE ASTRAL EPISODE」(2005)

  • 2015/07/29(水) 00:00:00

THE ASTRAL EPISODE
【No.438】
★★★(2005)

TIME REQUIEMでも精力的に活動しているRichard Andersson(Key)率いるSPACE ODYSSEYの2ndアルバム。デビュー当時はTIME REQUIEMにもRICHARD ANDERSSON'Sとつけられていたのが2作目からシンプルにバンド名だけとなっていたのに対して、こちらはRICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY名義のままなのでTIME REQUIEMはバンド、SPACE ODYSSEYはプロジェクトという位置付けなのかもしれません。前作「EMBRACE THE GALAXY」(2003)はTIME REQUIEMの前身バンドMAJESTICに近いコンパクトなネオクラ路線だったのに対し、本作はテクニカルなフレーズとプログレテイストを増強していてTIME REQUIEMの音楽性に近づいた感がありますね。楽曲面におけるTIME REQUIEMとの差別化要因としてはMagnus Nilsson(G)によるギターパートのフィーチュア度が高いという点くらいでしょうか。

Richard Andersson関連の作品では恒例となっているメンバーチェンジは今回もあって、ドラマーにはRichardも惚れ込んだという17歳の新鋭Andreas Brobjer(PLATITUDE)が加入。オープニングの①Through Dreams And Realityからしてその実力を見せつけてくれています。ベースはギタリストのMagnusがデモ段階で弾いたものが楽曲の求める要素を満たしているという理由からMagnusのプレイを採用したそうです。前作に参加していた北欧メタル界のレジェンドMarcel Jacob(B/TALISMAN)に対して「彼が参加したことでアルバムセールスが伸びたわけではない」と言ってしまうRichardの俺様っぷりがなんとも…(苦笑)。そして前作で衝撃のデビューを飾った超絶シンガーNils Patrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)の豪快な歌いっぷりは更に凄みを増していて漲る感情をぶちまけた暑苦しい歌唱法だけでなく、Nilsがクリーンボイスで全編を歌い上げる日本盤ボートラのピアノバラード⑨The Finest Of A Good Kindなどはこれまでにないアプローチで新鮮。また⑧The Seventh Star FantasyではWUTHERING HEIGHTSでも披露していた「1人デュエット」が聴けるのですが、本作ではそのクオリティがアップしていてシンガーとしての成長が窺えます。

楽曲としては過去に引用実績のあるYNGWIE MALMSTEENRising Force風のパートに始まり秀逸なサビメロへ繋がる④Dazzle The Devilが一番のお気に入りです。それ以外でも最近のRichard作品によく登場するSYMPHONY Xタイプの曲調をベースにしつつサビではクサく盛り上がる②Astral Episode、曲名通りのダークな空気が支配的な⑤Back To The Dark、ネオクラエッセンスを凝縮したインスト⑥Presence Of Mind、前作にもあったジャーマンメタル路線⑦Reversationや前述の⑧、⑨など曲のバリエーションもなかなか豊富。聴き始めの頃はTIME REQUIEMとの違いが分かりにくくなったこと、Richardがこれまでにリリースした作品と比べても突出した要素が感じられなかったことなどから、あまり好きになれなかったのですが、リピートするうちに段々と好きになってきたスルメタイプの1枚ですね。

【音源紹介】
Dazzle The Devil

【CD購入録】SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

  • 2015/07/23(木) 00:00:00

【CD購入録】
UNDERWORLD.jpg
SYMPHONY X「UNDERWORLD」(2015)

前作「ICONOCLAST」(2011)から約4年振りとなるSYMPHONY Xの9作目を買いました。濃密で攻撃的なサウンドがぎっしり詰まった前作に比べて今回は若干メロディアスになった印象を受けます。それに伴いMichael Pinella(Key)の存在感がアップしているのも嬉しいポイント。相変わらずテクニカルなプレイを連発するMichael Romeo(G)、暑苦しいほどの熱唱で聴き手を圧倒するRussell Allen(Vo)を軸にダークなプログレメタルが展開されていますね。正直なところ、もう少しキャッチーなメロディが欲しいし、この手のジャンルに現れる若手バンドも良いのですが、やはりSYMPHONY Xは別格だと本作を聴いて感じました。余談ですが「ラストダンスは堕天使に」という帯タタキはバンドがかつて所属していたゼロ・コーポレーションに通じるものがありますね(笑)。

RICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY「EMBRACE THE GALAXY」(2003)

  • 2015/06/22(月) 00:00:00

EMBRACE THE GALAXY
【No.434】
★★★(2003)

MAJESTICからTIME REQUIEMへとバンド名は変われど、圧巻の鍵盤捌きと抜群のパクリセンス(笑)でファンを拡大してきた鍵盤魔人Richard Andersson(Key)が新たに立ち上げたRICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEYのデビュー作。プログレ指向が強かったTIME REQUIEMに比べて、本作はよりストレートでシンプルなアプローチのネオクラシカルメタルでMAJESTICの頃に立ち戻ったかのような印象です。今回もRichardが作詞作曲、プロデュースなどを取り仕切っていますがRichard曰く彼の旧友Magnus Nilsson(G)とタッグを組んでいること、TIME REQUIEMよりもソフトなサウンドとなっていることがSPACE ODYSSEYの特徴だそうです。確かにRichardがとにかく弾きまくるTIME REQUIEMに比べるとギターの存在感が大きいように思いますね(それでも依然としてキーボード重視ですが…)。

中身の方はというと、もはや安心印のRichard Anderssonミュージックなのですが本作の目玉は無名のパワフルシンガーPatrik Johansson(Vo/ASTRAL DOORS、WUTHERING HEIGHTS)による圧巻のボーカルパフォーマンスでしょう。古くはRonnie James Dio(Vo)、最近ではJorn Lande(Vo/MASTERPLAN)系の熱唱スタイル基本にDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)のようなディープボイスも操る彼は本作でその名をHR/HMシーンに轟かせることとなります。オープニングトラック①Despair And Painのサビ前で炸裂する「ニョォォ〜!」のシャウトは思わず笑ってしまうほどの暑苦しさですが、ここまで力強く歌えるPatrikは間違いなく逸材ですね。当初はD.C. Cooper(Vo/SILENT FORCE、ex-ROYAL HUNT)を迎える構想があったらしく、いいところまで話が進んでいたそうですが金額面での折り合いがつかず断念したのだとか。ちなみにD.C.は2006年にイタリアのメロパワバンドSTEEL SEALのデビュー作「BY THE POWER OF THUNDER」にゲストボーカルとして全面参加していますが、その理由のひとつに「メロディもやりたいように書ける自由があった」ことを挙げているのでAndre Andersen(Key/ROYAL HUNT)以上の独裁者(と思われる)Richardと組んだとしても合わなかったかもしれませんね。

話が少し逸れましたが隠れた実力派シンガーPatrikに加えてべーシストには初期YNGWIE MALMSTEENを支えた名手Marcel Jacob(B/TALISMAN)、北欧を代表するプログレバンドTHE FLOWER KINGSのドラマーZoltan Csorsz、そのTHE FLOWER KINGSの中心人物でMIDNIGHT SUNなどでも活動していたJonas Reingold(B)がミックスや共同プロデューサーとして関わるなどシーン屈指のプレイヤーが参加しています。楽曲的にも従来のRichard関連作品にはなかった新技ジャーマンメタルテイストを導入した④Entering The Dome、⑥Grand Openingのような高揚感溢れる曲もあってグッド。相変わらず他のバンドからの引用が散見されるので、その点が容認できない方にとっては駄目なサウンドだとは思いますが僕は曲が自分好みなら問題ありません(パクリに気付かないこともしばしばあるので/苦笑)。本作がリリースされた2003年といえばYNGWIE MALMSTEENやSTRATOVARIUSといった大御所が僕の好みから外れ気味だったので、それに取って代わる存在となってくれるのではという期待もありましたね。

【音源紹介】
Entering The Dome

SHAMAN「RITUAL」(2002)

  • 2015/02/13(金) 00:00:00

RITUAL.jpg
【No.418】
★★★(2002)

人間関係のもつれからANGRAを脱退したAndre Matos(Vo)が新たに結成したバンドSHAMANの1stアルバム。Andreと共にANGRAを離れたリズム隊Luis Mariutti(B)、Ricardo Confessori(Ds)、そしてLuisの実弟Hugo Mariutti(G)が脇を固めDerek Sherinian(Key/ex-DREAM THEATER)Tobias Sammet(Vo/EDGUY、AVANTASIA)がゲストとして参加しています。衝撃的な分裂劇を乗り越えてKiko Loureiro(G)、Rafael Bittencourt(G)率いる新生ANGRAがデビュー作「ANGELS CRY」(1993)を彷彿とさせる「REBIRTH」(2001)で文字通り復活したのに対して、SHAMANは民族音楽色が濃くANGRAの2nd「HOLY LAND」(1996)をシンフォニックメタル寄りにした印象を受けますね。

本作を聴いてまず驚いたのがAndreの歌唱法が別人かと思うほどに変化している点です。ANGRA時代と比べると荒れ気味でアグレッシブな歌い方となっていて透明感は失われているものの妙な裏声ハイトーンも激減しているので、これはこれでアリかもしれません。イントロダクションとしては3分とやや長めで壮大な①Ancient Windsに続くメタリックな攻撃性とAndreらしい優雅さを併せ持った疾走曲②Here I Amはインパクト抜群。その後もダイナミックなサビメロに加えてインストパートも充実した③Distant Thunder、南米フォークロア調のイントロから始まるパワーバラード④For Tomorrow、②に比べると薄味ながら軽快に駆け抜けるサウンドが気持ちいい⑤Time Will Come、ダークな出だしからドラマティックに展開していく⑥Over Your Head(キーボードソロはDerekがプレイ)とアルバム中盤まではかなり良い感じです。後半は失速気味ではありますがAndreとTobiasがデュエットしたストレートなメタルチューン⑩Prideでラストを締めくくっているので全体的には好印象。

民族音楽テイストとシンフォニックメタルサウンドが絡み合う演奏パート、そこに個性的なAndreのボーカルが乗ることで確固たるアイデンティティを築いていますね。アルバムの総合力としてはANGRA「REBIRTH」に軍配が上がりますがSHAMANの第1作目としては上々の滑り出しと言えるのではないでしょうか。今回の分裂劇はひとつのバンドがANGRAとSHAMANに別れ、その両方が聴き応えのある作品をリリースしてくれたので僕としては結果オーライという感じですね。本作を聴いた時点では2nd「REASON」(2005)をリリース後、ドラマーのRicardoを除く全員がバンドを脱退することになるとは夢にも思いませんでした…。バンドは今も存続していてAndreを欠く現体制でも2枚のアルバムを発表しています。

【音源紹介】
・Here I Am

SPIRITUAL BEGGARS「AD ASTRA」(2000)

  • 2014/06/09(月) 00:00:00

S BEGGARS AD ASTRA
【No.398】
★★★★★(2000)
年間ベスト2000年第2位

「リヴァプールの残虐王」の名で一世を風靡したデスメタルバンドにして代表作「HEARTWORK」(1993)がメロデスというジャンルの先駆けとなったとも言われるCARCASSから脱退したMichael Amott(G/ARCH ENEMY)率いるSPIRITUAL BEGGARSの4thアルバム。現在の一般的な知名度はARCH ENEMYの方が上ですがCARCASS脱退後のMichaelは1993年に結成したSPIRITUAL BEGGARSをメイン、1995年に立ち上げたARCH ENEMYをサイドプロジェクトと見なしていたようですね。ところがARCH ENEMYの方が先に人気が出たため両方がメインバンド(事実上ARCH ENEMYがファーストプライオリティ?)となったようです。SPIRITUAL BEGGARSの初期2作品は当初輸入盤でしかリリースされていなかったので、ARCH ENEMY人気を受けて3rd「MANTRA Ⅲ」(1998)から日本盤が出るようになったのではないかと推測しています。僕もARCH ENEMYの3rd「BURNING BRIDGES」(1999)が非常に素晴らしかったので「Michaelが所属しているもうひとつのバンドも聴いてみなくては!」という気持ちで本作を購入した次第です。

怒涛の攻撃性とそこに突如として流れ込んでくる美麗ツインギターとの対比が持ち味のARCH ENEMYとはまた異なるSPIRITUAL BEGGARSのサウンドは独特の妖気を発散するグルーヴィーなハードロックという印象で、直感的にカッコいいと思える楽曲がズラリと並びます。歪んだベースとそこに絡むドラム、その上にギターと重厚なハモンドオルガンが重なってくる①Left Brain Ambassadorsの開始10秒で本作の世界に引き込まれました。中でも徐々に緊張感を高めていくリフと官能的なギターソロに聴き惚れてしまう③Sedatedが僕的にはハイライトですね。それ以外にもアルバム随一のキャッチーなメロディが冴え渡る②Wonderful World④Angel Of Betrayal、グルーヴィーな曲調がサビでは一転してポジティブになりアウトロのギターも非常にメロディアスな⑨Escaping The Fools、耽美的なムードから盛り上がっていく展開がドラマティックな⑫Mantraなどを筆頭に極上のハードロックが満載。また小気味良く刻まれるギターリフで始まる⑥Per Aspera Ad Astra、手拍子に合わせて歌うサビをフィーチュアした⑩On Dark Riversを聴いていると自然と身体が揺れてきます。

バンドの看板であるMichaelのギターはメランコリックなものからキャッチー、ファンキーなものまでソロ/リフの両面で素晴らしいプレイを連発してくれているし、それに絡んでくるPer Wiberg(Key/DEATH OTGAN etc)による鍵盤サウンドがお互いを引き立てあっていますね。これまでのサポートから正式メンバーに昇格したPerのキーボードなくして本作は語れません(ちなみに彼は本作のサイケデリックなジャケットも手掛けているのだとか)。そんな相性抜群の2人に加えて、バンド創設者の1人でもあるLudwig Witt(Dr)のズシリと腹に響いてくるドラミングとそれらをまとめあげた北欧の名プロデューサーFredrik Nordstromによるサウンドプロダクションも秀逸。フロントマンSpice(Vo、B)の荒々しい吐き捨て型ボーカルもこの音楽性にマッチしていますね。残念ながら彼は本作を最後に脱退、バンドは後任に圧倒的な歌唱力を誇るJB(Vo/GRAND MAGUS)を迎えて更に飛躍していくことになるのですが「本作のラインナップの先にあるもの」を聴いてみたかった気もします。SPIRITUAL BEGGARSに対してはドゥーム/ストーナー系バンドというイメージがありましたが、本作を聴いてそれが一変しました。このアルバムにすっかり魅了された僕は過去のアルバムも買い揃え、これ以降の新作も全てチェックしていますが「AD ASTRA」こそがバンドの最高傑作だと思います。それに次ぐのが5th「ON FIRE」(2002)、6th「DEMONS」(2005)というJB時代の2作品ですね。

【音源紹介】
・Sedated

【CD購入録】STEEL PANTHER「ALL YOU CAN EAT」(2014)

  • 2014/04/14(月) 00:00:00

【CD購入録】
ALL YOU CAN EAT
STEEL PANTHER「ALL YOU CAN EAT」(2014)

下ネタ全開の歌詞を高品質なHR/HMサウンドに乗せてリスナーにお届けする(笑)STEEL PANTHERの3作目(邦題「鋼鉄の宴!」)を買いました。過去2作品がどちらも当ブログの年間ベストアルバムにランクインする充実の出来だったので今回も期待していましたが、それを裏切らない仕上がりとなっています。前作「BALLS OUT」(2011)がそうだったようにインパクト面ではデビュー作に一歩譲るものの、ボーナストラックを含めた全13曲いずれも安心して聴けるナンバーが並びます。鋭いギターワークがカッコいいオープニング①Pussywhippedはメタリックな曲調ですが、それ以外はバンドの代名詞でもある「Party」という単語を盛り込んだ②Party Like Tomorrow Is The End Of The Worldに象徴される楽しげなムードを持った曲が多いように思います。ハードチューンあり、バラードありの楽曲群で歌われている内容は今回もキョーレツなものばかりで、中でも④Bukkake Tears(なぜかカタカナ表記はブカッケ・ティアーズ)は爽やかな曲調と歌詞のギャップが凄すぎ。僕が買った初回限定盤に付属しているDVDは帯タタキによると下品な字幕つきらしいので、家族がいない時にコッソリ見ようと思います(苦笑)。


【CD購入録】SPIRITUAL BEGGARS「EARTH BLUES」(2013)

  • 2013/11/29(金) 00:00:00

【CD購入録】
EARTH BLUES
SPIRITUAL BEGGARS「EARTH BLUES」(2013)

Michael Amott(G)ARCH ENEMYと並行して活動させているSPIRITUAL BEGGARSの8作目を買いました。シンガーが3代目のApollo Papathanasio(ex-FIREWIND、TIME REQUIEM etc)に交代して初のアルバムでもあった7th「RETURN TO ZERO」(2010)は流石のクオリティではあったものの、今ひとつのめり込めずにいたのですが今回は前作よりも聴きやすい印象ですね。基本線は近作と同じオールドスタイルのハードロックでMichaelのギターが随所で見せ場を作っていて④Hello Sorrow、⑤One Man's Curse などはなかなか魅力的。ただ、やはり名盤「AD ASTRA」(2000)や前任ボーカルJB(GRAND MAGUS)在籍時の作品に比べると物足りないような気もします。ARCH ENEMYの最新作「KHAOS LEGIONS」(2011)も以前の作品ほどハマることがなかったのでMichaelが生み出す楽曲と僕の嗜好がズレてきたのかな…。