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【CD購入録】MASTERPLAN「PUMPKINGS」(2017)

  • 2018/10/31(水) 00:00:00

【CD購入録】
PUMPKINGS.jpg
MASTERPLAN「PUMPKINGS」(2017)

1989年〜2001年までHELLOWEENに在籍していたRoland Grapow(G)がHELLOWEEN時代に生み出した楽曲をMASTERPLAN名義でリメイクした企画盤を買いました。正直なところHELLOWEEN時代からRolandが書く曲はヘヴィな印象が強く僕の好みとは言えないものが多かったのですが、こうしてひとつの作品として聴いてみても感想はあまり変わりませんでした(苦笑)。ただし冒頭に流れるギターメロディの時点で心を奪われる①The Chance、ドラマティックな展開を見せる⑩The Dark RideはRolandの傑作だと思いますね。それ以外にもHELLOWEENには珍しいタイプのメタルチューン②Someone's Crying、軽快なロックンロールテイストが気持ちいい⑪Take Me Home辺りは結構好きだったりします(特に前者はオリジナル以上かも)。本作でリードボーカルを務めるRick Altzi(AT VANCE、ex-THUNDERSTONE)の歌はMAGNUS KARLSSON'S FREE FALLでゲスト参加しているのを聴いたくらいだったのでほぼ初体験です。その熱唱スタイルは力強さに溢れているものの前任のJorn Lande(Vo/JORN、ALLEN-LANDE)ほど器用ではないので本作をJornが歌っていたら…とつい思ってしまいますね。

【CD購入録】MICHAEL ROMEO「WAR OF THE WORLDS / PT. 1」(2018)

  • 2018/10/19(金) 00:00:00

【CD購入録】
WAR OF THE WORLDS PT 1
MICHAEL ROMEO「WAR OF THE WORLDS / PT. 1」(2018)

SYMPHONY Xを率いる凄腕ギタリストMichael Romeoのソロアルバムを買いました。彼のソロ作品といえば今は亡きゼロ・コーポレーションから1995年に「THE DARK CHAPTER」というインスト作品がリリースされていましたがMichael自身「あれはデモ作品」と語っていて公式には本作がMichael Romeoのソロ第1弾となるようで今回はRick Castellanoなるシンガーを迎えた歌モノ作品に仕上がっています。そのRickの歌いっぷりはというとガナリを抑えたRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)という印象で、これまで無名だったのが不思議なくらいの実力者。サウンドについてもデジタルサウンドを大胆に取り入れた④F*cking Robotosのような曲もありますがメロディ自体は印象に残るし、基本的にはSYMPHONY Xとかけ離れた内容ではありません。本家との違いを挙げるとすれば無機質にも思えたゴリゴリのギターは控えめ、その一方で映画音楽風の壮大なオーケストレーションを導入している点でしょうか。お気に入りは聴き応えのあるギターソロが炸裂する③Blackですね。ここ最近のSYMPHONY Xよりも本作の方が好みかもしれません。タイトルにもある通り本作はコンセプトアルバムの第一部にあたり続編も既に制作が進んでいるようなので今から楽しみですね。

【CD購入録】MOON SAFARI「LOVER'S END」(2010)

  • 2017/09/18(月) 00:00:00

【CD購入録】
LOVERS END
MOON SAFARI「LOVER'S END」(2010)

先日CD購入録の記事を書いたBAROCK PROJECTと共に2017年6月に来日、その後に追加で単独公演も敢行したスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドMOON SAFARIの3作目を買いました。初めてこのバンドを聴くにあたり、どの作品がいいのか調べたところ評判が良くジャケットもインパクトがある本作をチョイス。アルバム全編に渡って爽やかでファンタジックな雰囲気が溢れていますね。BAROCK PROJECTが気品のあるサウンドだとすればMOON SAFARIはポップで甘酸っぱいメロディが特徴でしょうか。同郷スウェーデンのA.C.Tに通じるものがありますね。ただし明るいメロディが主体なので泣きや哀愁といった要素が好きな僕としてはスーッと流れていき、気がつけばアルバムが終わっていたと感じるのも事実。美旋律を丁寧に紡いでいくスタイル自体は好きなのでリピートするうちに味わいが増してきそうな予感はしています。

【CD購入録】MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

  • 2017/05/30(火) 00:00:00

【CD購入録】
SILENT ASSASSINS
MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS「MIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINS」(2014)

5th「V: THE NEW MYTHOLOGY SUITE」(2000)からSYMPHONY Xに加入し、2017年現在まで不動のベーシストとして在籍しているMike LePondによるソロプロジェクトMIKE LEPOND'S SILENT ASSASSINSのセルフタイトル作を買いました。ベースに加えてリズムギターと全曲の作詞作曲も手がけるLePond以外のメンバーはSYMPHONY XのリーダーMichael Romeo(G)がギターだけでなくキーボードも担当、Metal Mike Chlasciak(G/HALFORD etc)も複数の曲でギターソロを弾いていて2人が共演している曲もあります。ボーカルはAlan Tecchioなる人物で、いかにもアメリカのヘヴィメタルシンガーという感じのタイプですね。本作の音楽性はSYMPHONY Xよりもストレートなヘヴィメタルでありつつスラッシーに突っ走ったり、民謡調のフレーズが飛び出したりとなかなか面白い仕上がりとなっています。特にアルバム後半の充実振りは目を見張るものがあり、前のめりに突進する⑥Silent Assassins、ロックンロール調の⑦Ragnarok、終盤でスリリングなインストパートが展開される⑧The Progeny、ラストを飾る11分の大作⑨Oath Of Honorなど聴き応えがありますね。これは意外な掘り出し物かもしれません。

【CD購入録】MORS PRINCIPIUM EST「DAWN OF THE 5TH ERA」(2014)

  • 2017/01/15(日) 00:00:00

【CD購入録】
DAWN OF THE 5TH ERA
MORS PRINCIPIUM EST「DAWN OF THE 5TH ERA」(2014)

フィンランドのメロディック・デスメタルバンドMORS PRINCIPIUM ESTの5作目を買いました。一度聞いただけでは覚えられないバンド「モルス・プリンシピアム・エスト」はラテン語で「死は始まりに過ぎない」という意味の言葉だそうです。彼等については以前から名前だけは知っていてKALMAH、SCAR SYMMETRYなどと同じく北欧メロデス界の中堅バンドというイメージがありましたが実際に聴くのは今回が初めてです。いざ聴いてみるとこれが予想以上に好感触で、上に挙げた2バンド以上に僕のツボにハマるバンドかもしれません。まず印象的なのが弾きまくりのソロパートのみならずリフでも耳に残るフレーズを連発しているギターパート。そしてアグレッシブに押しまくるだけでなく、スピードを抑えた楽曲も持ち前のメロディセンスによって魅力的な仕上がりとなっています。お気に入りはタイトな演奏で迫ってくる③Leader Of The TitansARCH ENEMYを彷彿とさせる④We Are The Sleep、リリカルなピアノの調べに導かれて激しさと美しさの両面を見せつけてくれる⑪The Forsakenといったところでしょうか。過去作品もなかなか評判が良いみたいだし、1月25日発売予定の6th「EMBERS OF THE DYING WORLD」(2017)も期待できそうなのでいつか聴いてみたいですね。

【CD購入録】MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

  • 2016/09/08(木) 00:00:00

【CD購入録】
BRAVER THAN WE ARE
MEAT LOAF「BRAVER THAN WE ARE」(2016)

欧米では大御所ロックシンガーとして名を馳せているものの、日本ではブレイクに至らないMEAT LOAFの新作(邦題:勇者再誕)を買いました。今回の目玉は何と言っても「BAT OUT OF HELLシリーズ」の生みの親でもあるJim Steinmanと再びタッグを組み、Jimがアルバム本編全曲を手掛けている点でしょう。MEAT LOAFというと壮麗なピアノをバックにロックオペラを聴かせるイメージが強いので①Who Needs The Youngの気だるいイントロは意外に感じましたが、「Who needs the young〜♪」という歌い出しが流れてきた瞬間にMEAT LOAFの作品を聴いていることを実感しました。その後も目まぐるしく展開するJim Steinman節全開の曲や10分越えの長編、女性シンガーとのデュエットなど僕がこのタッグに期待する要素を盛り込んだ楽曲が並びます。現時点で本作がBAT OUT OF HELL3部作に匹敵する1枚になるかはわかりませんが、しばらくヘビロテすることになりそうです。

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL Ⅲ‐ THE MONSTER IS LOOSE」(2007)

  • 2016/08/11(木) 00:00:00

BAT OUT OF HELL 3
【No.475】
★★★★(2007)
年間ベスト2007年第8位

1977年に発表されたシリーズ1作目が約3,700万枚、1993年にリリースされた2作目が約1,500万枚とロック史に燦然と輝くセールス記録を樹立したMEAT LOAFのモンスターアルバム「BAT OUT OF HELL」(邦題:地獄のロック・ライダー)の3作目にして、足かけ30年で完結を迎えるシリーズ最終作。これまでの「BAT OUT OF HELL」シリーズといえばJim Steinmanが書いた大仰でドラマティックな楽曲群をMEAT LOAFがクドく、暑苦しく歌い上げるのが大きな特徴でした。それに対して今回はJimのペンによる楽曲は14曲中7曲にとどまり、BON JOVI等を手掛けたヒットメーカーDesmond Childが6曲(全て他のライターとの共作)、AEROSMITHのヒットバラードI Don't Want To Miss A Thingなどの作曲者としても知られるDiane Warrenが1曲を提供しています。

創作面でJimのインプットが少なくなっているほかNikki Sixx(B/MOTLY CRUE)、John 5(G/ROB ZOMBIE、ex-MARILYN MANSON)がDesmondと共作という形で作曲に関わっていたりBrian May(G/QUEEN)、Steve Vai(G)をゲストとして迎えるなどHR/HM畑からの登用が目立つのも本作の特徴ですね。それが顕著に現れているのがオープニングの①The Monster Is Looseで、過去2作にあった華麗なピアノは影を潜めヘヴィなギターが曲を引っ張っています。本作のハイライトは北欧の歌姫Marion Ravenとのデュエットが見事な名バラード③It's All Coming Back To Me Now〜記憶の中へ…、ドラクエのラスボスが現れそうな出だしからクワイアに繋がる小品⑦Monstroに導かれてスタートする飛翔感に溢れたロックチューン⑧Alive、Jim Steinman節全開の⑫Seize The Night辺りでしょうか。ちなみに③は元々JimがプロデュースしたPANDORA'S BOX「ORIGINAL SIN」(1989)の収録曲で後にCeline Dionが歌い大ヒットしたナンバーですがMEAT LOAF曰く、元々は「BAT OUT OF HELL」シリーズのために用意された曲なんだそうです。

上記の曲以外にも聴き応えのある曲が目白押し。Brian Mayがいかにも彼らしいギターを奏でて強烈な個性を放っている④Bad For Good、Diane Warrenのペンによるドラマティックバラード⑤Cry Over Me、ダイナミックな曲調の中でSteve Vaiのギターソロが冴える⑥In The Land Of The Pig, The Butcher Is King(タイトルを見ただけでJim Steinmanの曲だとわかりますね/笑)の流れは申し分ないし、ブラスサウンドがファンキーな雰囲気を生み出す⑩If It Ain't Broke Break It、MEAT LOAFのツアーに長年帯同しているPatti Russoとデュエットした爽やかソング⑪What About Love、映画「DREAM GIRLS」でオスカーを獲得したJennifer Hudsonが力強い歌声を響かせる⑬Future Ain't What It Used To Beなどなどお気に入り曲を挙げだすとキリがありません。本シリーズの生みの親でもあるJim Steinmanの関わりが薄い今回のアルバムは「BAT OUT OF HELL」とは呼べないという声もあるようですが、過去2作品の流れはしっかり受け継いでいると思います。僕は本作から「BAT OUT OF HELL」シリーズにハマりました。

【音源紹介】
・It's All Coming Back To Me Now〜記憶の中へ…

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL Ⅱ‐ BACK INTO HELL」(1993)

  • 2016/07/30(土) 00:00:00

BAT OUT OF HELL2
【No.474】
★★★★(2007)

1977年にMEAT LOAFが発表したロックオペラの金字塔「BAT OUT OF HELL」シリーズの続編に当たる作品で通算6枚目のアルバム。シリーズ1作目は70年代ロックシーンにその名を刻むモンスターアルバムとなり大きな成功をおさめましたが、今回のアルバムが完成するまではMEAT LOAFが喉を痛めたり「BAT OUT OF HELL」の発案者でもある作曲家のJim Steinmanとの関係性が悪化したりと色々あったようです。そんな紆余曲折を乗り越えて制作された本作でもJimが全曲の作詞作曲に加えてプロデューサーとしても関わっていて、結果的には各曲のドラマ性や作り込み度合い、曲名の長さや邦題のユニークさに至るまで様々な面で「BAT OUT OF HELL」以上に濃密な作風となっています。それまで下降線を辿っていたMEAT LOAFの人気も本作で再び盛り返したそうなので、彼のキャリア的にも起死回生の1枚と言えそうですね。

まずはオープニングを飾る1stシングル①I'd Do Anything For Love(But I Won't Do That)〜愛にすべてを捧ぐからして12分に及ぶ大作で聴き手の度肝を抜いてくれます。ビルボードチャート1位に輝いたこの曲でMEAT LOAF自身も第36回グラミー賞の最優秀ロック・ボーカル・ソロ・パフォーマンス賞を受賞するなど彼の代名詞と呼ぶに相応しい名曲となっています。その後に続く重厚なコーラスが印象的な②Life Is A Lemon And I Want My Money Back〜ひどい人生だ、金返せ!などもさることながら、アルバム中盤以降が特に好きですね。明るく快活な⑤Out Of The Frying Pan(And Into The Fire)〜焼け焦げたフライパンの中から(そして炎の中へ)、前曲から一転して胸に沁みるメロディをMEAT LOAFが切々と歌うバラード⑥Objects In The Rear View Mirror May Appear Closer Than They Are〜バック・ミラーに映るオブジェクト達、力強さと高揚感に溢れた⑧Everything Louder Than Everything Else〜何よりも高らかに、テクノ風のサウンドを取り入れたキャッチーソング⑨Good Girls Go To Heaven(Bad Girls Go Everywhere)〜お嬢ちゃんは天国に(不良少女はどこへだって行ける)の流れが実に強力(それにしても曲名が長い/苦笑)。

Jim Steinmanが曲を書き、MEAT LOAFが歌うことで完成する「BAT OUT OF HELL」の世界観はそのままに、一段とスケールが大きくなっていますね。それを象徴するかのように各曲とも長編になる傾向があってJimが熱く語る⑦Wasted Youth〜無為の輩とインストの⑩Back Into Hell〜地獄への帰還を除けば大半の曲が7分以上、①と⑥は10分超えのためアルバム1枚で75分の大作となっています。その長さに聴き疲れしてしまう感は否めないものの、⑧のラストで登場するバグパイプや⑨冒頭のサックスなど突拍子もないと思えるパートですらリピートするうちにしっくりきて、どんどん引き込まれてしまいますね。本作のレコーディング中から「BAT OUT OF HELL」シリーズは3部作として完結させるというアイデアが出ていたそうですが、その最終章がリリースされるのは13年後の2006年(日本では2007年)となります。僕は1→3→2の順に聴き、以前までは3が一番好きでしたが最近では本作がかなり気に入っています。

【音源紹介】
I'd Do Anything For Love(But I Won't Do That)〜愛にすべてを捧ぐ(エディットバージョン)

MEAT LOAF「BAT OUT OF HELL」 (1977)

  • 2016/07/14(木) 00:00:00

BAT OUT OF HELL
【No.473】
★★★★(1995)

巨漢シンガーMEAT LOAFが1977年にリリースし、全世界累積セールスが3,700万枚以上という驚異的な売上を記録しているモンスターアルバムにしてロック/ポップス史上5番目に多く売れている作品(売上枚数、ランキングはどちらも2007年時点)。MEAT LOAFというのは勿論ニックネームで本名はMarvin Lee Adayといい60年代に歌手デビュー、70年代以降は俳優としても活動している人物でMEAT LOAFという愛称は少年時代の彼がアメリカンフットボールの練習中に得意のタックルでコーチを倒したというエピソードから来ているのだとか。本作の収録曲は全て作曲家Jim Steinman(Key)によるもので、彼がピーター・パンにちなんだミュージカル「NEVERLAND」のために書いた楽曲をロックオペラ作品として発表するというアイデアを実現するにあたり、Jimが以前から交流のあったMEAT LOAFに声をかけたことからアルバムの制作がスタートしたそうです。

JUDAS PRIEST「PAINKILLER」(1990)を彷彿とさせるアルバムジャケット、「地獄のロック・ライダー」という邦題から激しめのサウンドかと思いきや、本作で聴けるのは軽快なピアノやサックス、手拍子などをフィーチュアしたロックンロールで初めて聴いた時は拍子抜けしました。想像していた音楽性と異なっていたものの本作の収録曲はドラマティックな要素があって大仰な展開を見せてくれるし、MEAT LOAFのボーカルも力強くて聴き応えがあります。そんな本作の魅力を凝縮したのが9分を超えるタイトル曲①Bat Out Of Hell~地獄のロック・ライダー~でしょう。それ以外では穏やかな曲かと思っていたら3分30秒辺りから一気に激しくなる④All Revved Up With No Place To Go~暴走~、劇的な3部構成の中でMEAT LOAFと女性シンガーEllen Foleyが白熱の掛け合いを見せる⑥Paradise By The Dashboard Light~ロックンロール・パラダイス~などがお気に入りですね。とはいえ本作と出会った1995年当時はそれほどのめり込むこともなく、2007年にリリースされたシリーズ最終章に当たる「BAT OUT OF HELL Ⅲ‐ THE MONSTER IS LOOSE」を好きになり、改めて聴き返した時にこのアルバムの凄みに気づいたというのが正直なところですが(苦笑)。

Jim SteinmanはIt's All Coming Back To MeCeline Dionに、昭和を代表する学園ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」の原曲Holding Out For A HeroBonnie Tylerに提供している名うてのソングライターで、このアルバムにおいてもその才能を遺憾無く発揮していますね。俳優でもあるMEAT LOAFは抜群の表現力で曲毎の登場人物になりきって情感たっぷりに歌い上げています。そんな彼の歌唱力が一際輝いているのが車の中で彼女と熱い夜を過ごそうとしていたら急に結婚を迫られ、それに応じて結婚したものの後になって昔を懐かしむ男の悲哀(?)を描いた⑥、オペラ風の長編バラード⑦For Crying Out Loudですね。全7曲と収録曲数は少ないながらどの曲も濃密なので物足りなさは感じません。海外では有名アーティストとなっているMEAT LOAFですが日本では知名度が低く本作も2007年にリマスター盤がボーナストラックとDVD付で再発されるまでは廃盤となっていたようです。やはり「巨漢シンガー」という言葉がぴったりなルックスと「地獄のロック・ライダー」というおどろおどろしい邦題がブレイクできなかった要因でしょうか。内容的にHR/HM要素は薄く、幅広い層に受けそうなサウンドなので日本でも彼が評価されると嬉しいんですけどね…。

【音源紹介】
Bat Out Of Hell

【CD購入録】MYRATH「LEGACY」(2016)

  • 2016/06/13(月) 00:00:00

【CD購入録】
LEGACY_20160320214217865.jpg
MYRATH「LEGACY」(2016)

3rd「TALES OF THE SANDS」(2011)で日本デビューを果たしたチュニジアンメタルバンドMYRATHの4作目を買いました。今回も前作同様、エスニックなムードとプログレテイストに溢れたメロディックメタルを展開しているのですがメロディ、音作りなどあらゆる面でメジャー感が増していますね。ド派手に疾走したり、激しさを全面に出したりする場面はほとんどなくミディアム、バラード調の曲でとにかくメロディを聴かせるスタイルと、バンドの顔でもあるZaher Zorgati(Vo)によるコブシの効いた独特の歌い回しは本作でも健在です。決め手となる1曲がないのも相変わらずながら、このバンドの場合は聴き応えのある楽曲揃いなので突出したナンバーがないと感じるタイプなのだと思います。どの曲も甲乙付け難いのですが、お気に入りは序曲①Jasminに導かれて始まるリーダートラック②Believerですね。バンド名のミラスとはアラビア語で「遺産」を意味するため本作がバンドのセルフタイトル作ということになりますが、文字通りこのアルバムでMYRATHのアイデンティティが確立されたと言えるのではないでしょうか。

【CD購入録】MYRATH「TALES OF THE SANDS」(2011)

  • 2016/06/10(金) 00:00:00

【CD購入録】
TALES OF THE SANDS
MYRATH「TALES OF THE SANDS」(2011)

最新作「LEGACY」(2016)が各方面で好評を博しているチュニジア出身のプログレッシブ・メタルバンドMYRATHの3作目を買いました。BURRN!誌上では「アラブのDREAM THEATER」と評されていましたが、中東的なフレーズを盛り込みながらメロディアスに進行していく彼等の楽曲から僕が最初に思い浮かべたのはイスラエル出身のORPHANED LAND、そしてそこにKAMELOTのテイストを加味したという感じでしょうか。一撃で聴き手をねじ伏せるほどのキラーチューンこそないものの、どの曲も聴き応えがあるし⑥Dawn Within、⑦Wide Shut、⑧Requiem For A Goodbye辺りは即効性高めですね。デビュー前にはSYMPHONY Xのカバーバンドとして活動していたということもあって演奏陣はさすがの安定感を誇っているし、フロントマンZaher Zorgatiによる艶やかで力強い歌唱、Kevin Codfert(Key/ADAGIO)がプロデューサーを務めたサウンドプロダクションなどB級臭さは感じられません。「LEGACY」では更に成長した姿を見せてくれているようなので、そちらも購入予定です。

【CD購入録】MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「KINGDOM OF ROCK」(2015)

  • 2015/10/22(木) 00:00:00

【CD購入録】
KINGDOM OF ROCK
MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「KINGDOM OF ROCK」(2015)

Pete Sandberg(Vo)、Jonas Reingold(B/THE FLOWER KINGS)らが結成した叙情派メタルバンドMIDNIGHT SUNの2代目ギタリストとしてシーンに登場、今や現代HR/HMシーンに欠かせないソングライター/マルチプレイヤーへと成長したMagnus Karlsson(G、B、Key)のソロプロジェクト第2弾を買いました。今回も豪華なゲストシンガーを迎えていてRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、David Readman(PINK CREAM69、VOODOO CIRCLE)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Russell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)などデビュー作に引き続き参加したメンバー(Russellはボーナストラックのみ)に加えてMagnusが憧れの存在と語るJoe Lynn Turner(ex-RAINBOW etc)、Tonny Martin(BLACK SABBATH etc)やMagnusと何らかの形で活動を共にしたことのあるJorn Lande(JORN、ALLEN-LANDE)、Jakob Samuel(THE POODLES)、Harry Hess(HAREM SCAREM)そして無名の新人Rebecca De La Motteが参加しています。本作でもMagnusは各シンガーの特徴を捉えた作曲スキルと年々上手くなっていくリードボーカルを披露してくれていて安定感抜群の1枚となっています。現時点でのお気に入りは③No Control(featuring Joe Lynn Turner)、⑧Never Look Away(featuring Tony Harnell)といったメロハー系ナンバーですね。FRONTIERS RECORDSに酷使されたため(?)一時は楽曲の輝きが薄れたようにも感じられたMagnusですが、本作を聴く限り復活したと言えるのではないでしょうか。

MY CHEMICAL ROMANCE「THE BLACK PARADE」(2006)

  • 2015/10/04(日) 00:00:00

THE BLACK PARADE
【No.447】
★★★★★(2006)
年間ベスト2006年第1位

アメリカ出身のエモ/スクリーモ系ロックバンド「マイケミ」ことMY CHEMICAL ROMANCEの3rdアルバム。フラリと立ち寄ったCDショップで大々的にプッシュされていたので試聴してみて即購入を決めた1枚です。メジャーデビュー盤の前作「THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE」(2004)もアメリカだけで140万枚以上のセールスを記録、日本デビュー前にサマーソニックへの出演が決定するなど、既に注目度の高いバンドだったようですが僕はノーチェックでした。本作は「死」をテーマにしたコンセプトアルバムで「主人公の癌患者(The Patient)が死の世界を旅し、再び生きることを決心する」というのが大まかなストーリーのようです。メンバーによると今回のアルバムはTHE BEATLES「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」(1967)、QUEEN「A NIGHT AT THE OPERA」(1975)、PINK FLOYD「THE WALL」(1979)といった作品にインスパイアされたとのことで、中でもQUEENからの影響が強く表れているように思いますね。

本作の根底にあるのはパンキッシュなロックサウンドなのですが、それを壮大かつシアトリカルに仕上げることで感動の一大ロック絵巻が完成しています。アコギをバックに徐々に盛り上がっていく①The End.から一際ポップでキャッチーな②Dead!へと続く流れで一気にアルバムの世界観に引き込まれますね。音楽性は異なりますが、この感覚はDREAM THEATERの名盤「METROPOLIS PT 2: SCENES FROM A MEMORY」(1999)に通じるものがあると思います。冒頭2曲の勢いを引き継ぐのはイントロからして秀逸なロックチューン③This Is How I DisappearMikael Erlandsson(Vo/LAST AUTUMN'S DREAM)を彷彿とさせる哀愁が堪らない④Sharpest Lives、そして本作のみならずMY CHEMICAL ROMANCEを代表する超名曲⑤Welcome To The Black Paradeで、序盤5曲の畳み掛けは実に強力です。1枚のアルバムとして各曲のクオリティが高いだけでなく、バラードひとつとってみても穏やかな⑥I Don't Love You、切々と歌い上げる⑧Cancer、スケールが大きく力強い⑫Disenchantedなど表情が豊かなのも好印象。ミュージカルっぽくもあるヒネリの効いた曲展開で魅せてくれる⑨Mama、「I am not afraid to keep on living〜♪」とポジティブに歌うサビがな印象的な事実上のラストトラック⑬My Famous Last Wordsが中盤以降のハイライトですね。

一般的には有名であっても僕にとっては「意外な伏兵」というべきバンドが届けてくれた名盤。スクリーモというジャンルに分類されるバンドのことはよくわかりませんが、本作はドラマティックなアレンジと北欧のバンドを連想させる美メロ、哀メロをフィーチュアしたメロディックロック作品として素直に楽しめました。中心人物のGerard Way(Vo)はそれまでアニメーターの職に就いていたものの9.11のテロを目撃し、自分の生き方に疑問を感じバンド結成を決意、その僅か5年後にこれだけの作品を生み出したという事実には驚くばかりですね。ただ「本作の時点で言いたいことのほぼ全て言い切ってしまった」と後にGerardが吐露しているように、バンドは次作「DANGER DAYS」(2010)を最後に解散しています。現在Gerardはソロ名義で、他のメンバーも新たにバンドを結成するなど音楽活動は継続しているようですね。

【音源紹介】
Welcome To The Black Parade

MAJESTIC「TRINITY OVERTURE」(2000)

  • 2015/05/31(日) 00:00:00

MAJESTIC T OVERTURE
【No.432】
★★★(2000)

1999年に「ABSTRACT SYMPHONY」でデビュー、中心人物Richard Andersson(Key)が弾いて弾いて弾き倒すキーボードとYNGWIE MALMSTEENからの影響をダイレクトに反映させた音楽性が話題となったMAJESTICの2ndアルバム。前作リリース後にメンバー間(というかRichard VS 他のメンバー)で一悶着あったようで、今回はMartin Wezovski(B)以外のメンツを一新して制作されています。インタビュー等で元メンバーを公然と批判するRichardのビッグマウスっぷりに「プレイスタイルだけでなく言動もキーボード版YNGWIEだなぁ」と思った記憶がありますね(苦笑)。ちなみにMAJESTICを脱退したJonas Blum(Vo)らはREPTILIANを結成して2枚のアルバムを発表しています。MAJESTICは新メンバーにギリシャ人シンガーApollo Papathanasio、ギタリストにはMagnus Nordh(G)という無名の人材を起用、ドラマーに実力は折り紙つきながら複数のバンドを転々とするイメージが強いPeter Wildoer(Ds/DARKANE、ex-ARCH ENEMY)を迎えていて、益々Richardのワンマン化が進行した印象がありますね。Richardに「俺が唯一知るエゴのない素晴らしいリードシンガー」と評されたApolloはその控えめな性格を活かして(?)EVIL MASQUERADE、FIREMIND、SPIRITUAL BEGGARSなど様々なバンドのシンガーとして活躍していくこととなります。

中身の方は前作の路線をそのまま継承したネオクラシカル道まっしぐらな作品で、YNGWIEの代表曲Rising Force(「ODYSSEY」収録)そのまんまなフレーズで始まるインスト①Entering The Arenaからしてデビュー作で話題になった大胆なパクリセンスが炸裂。ただ今回気になったのは、一連の借用以前に前作のGolden SeaBlack Moon Risingに匹敵するキラーチューンがないことでしょうか。それに加えてキーボードにギターが真っ向勝負を挑む場面も減少していて、バンドが放つスリリングさを担うのがRichardのみとなっているのも寂しいですね。Richard曰く、新ギタリストのMagnusは「自分が書いた難しいパートを文句を言わず忠実に弾いてくれるプレイヤー」だそうなので、今の環境がRichardにとっては理想的なのだとは思いますが、デビューアルバムで漲っていた「聴き手を圧倒するほどのエネルギー」が希薄になっているのは残念。

そんな物足りなさを感じつつも本作、というかMAJESTICというバンドを代表する疾走曲②Voodoo Treasure(ソロパートが凄い)、ミステリアスな曲調の中でクサいメロディが乱舞する④I’ll Shoot The MoonといったYNGWIEに加えてSYMPHONY Xテイストも顔を覗かせる楽曲群は流石の出来だし、ネオクラフレイヴァー満載のスピードチューン⑥Curtain Of Fire、⑧Approaching The Stormなどは、この手のサウンドが好きな身としては堪りません。また本編ラストに配されたタイトル曲⑩Trinity Overtureのメロディも魅力的。こうして見ると偶数曲にお気に入りが集中していますね…。デビューから2作品続けてネオクラシカル道を邁進するアルバムを発表したMAJESTICでしたがレーベル、マネジメントとの関係が悪化したため本作を最後にバンドは活動を停止。Richardはほぼ同じメンバーで2002年にTIME REQUIEMを立ち上げ、新たなスタートを切ることとなります。

【音源紹介】
Voodoo Treasure

MARVELOUS 3「HEY! ALBUM」(1999)

  • 2015/01/26(月) 00:00:00

HEY! ALBUM
【No.416】
★★★★(2000)

後にAvril Lavigneのプロデューサー/コンポーザーとして名を馳せ、日本のアーティストでは織田 裕二PUFFYとのコラボレーションなどで脚光を浴びることになる天才肌のメロディメイカーButch Walker(Vo、G)率いるポップロックバンドMARVELOUS 3のメジャーデビュー作にして通算2枚目のアルバム。元々は1998年にインディーズ盤としてリリースされていたようですが、1999年に収録曲を一部変更して大手レーベルElektra Recordsから再発されていて僕が持っているのもElektraからの国内盤です。本作の魅力は何といっても作品全体に溢れるポップでキュートなメロディの数々。そのキャッチーさたるや初めて聴いた時から鼻歌で歌えそうなレベルで聴いていてホントに気持ちいいアルバムとなっています。余分な装飾は一切排除して徹頭徹尾メロディを聴かせるアレンジもお見事ですね。

MARVELOUS 3の魅力をギュッと凝縮したかのような快活ポップチューン①You're So Yesterday、②Freak Of The Weekや気だるいムードの中で印象的なメロディに酔いしれる③Until You See、⑤Let Me Goそして極上の歌メロを持った④Write It On Your Handなど、フック満載のナンバーが目白押しで即効性が高いだけでなく聴き込むほどに味わいが増してきます。Butch Walker節とさえいえそうな彼特有のメロディセンスは親しみやすくて、暖かみがあるだけでなく仄かな哀愁を感じさせてくれるのがミソですね。シンガーとしてのButchは圧倒的な歌唱力を備えているというわけではありませんが、バンド最大の武器である歌メロが聴き手に真っ直ぐ伝わってくる歌い方だし、曲によって巧みに声の表情を使い分けていて⑦Indie Queenなどは彼の裏声で歌ってこその1曲だと思います。そんな充実盤である本作の中でも個人的キラーチューンは⑪Vampire's In Loveですね。しばらくこの曲が頭から離れない時期もありました。

僕がMARVELOUS 3と出会ったのは2000年で、当時はHR/HMよりソフトな音楽にも手を伸ばして複数のバンドをチェックしましたが、その中でお気に入りだったのが先日紹介したBBMAK「SOONER OR LATER」と本作ですね。このアルバムがきっかけでButchが影響を受けたというCHEAP TRICK、ENUFF Z'NUFFの作品を何枚か聴いたりもしました。バンドは残念ながら次作「READY SEX GO」(2000)発表後に解散しBBMAK同様、短命で終わってしまったもののどちらも僕のミュージックライブに確かな足跡を残してくれています。なおButchは解散後ソロで活動を続けていて、いくつかのアルバムを聴いてみましたが今のところ本作が一番好きですね。

【音源紹介】
・Freak Of The Week

【CD購入録】MASQUERADE「SURFACE OF PAIN」(1994)

  • 2014/08/30(土) 00:00:00

【CD購入録】
SURFACE OF PAIN
MASQUERADE「SURFACE OF PAIN」(1994)

北欧ハードポップの魅力が詰まったセルフタイトル作で1992年にデビュー、当時はTNTの後継者との呼び声も高かったMASQUERADEの2作目を買いました。「当時流行っていたグランジの影響を受けてダーク/ヘヴィな路線になった」という評判だったので覚悟はしていましたが、確かに大胆な路線変更をしていますね。正直なところ前作と同じバンドによるアルバムとは思えません。通して聴くにはなかなか厳しい作品ではありますがサビメロがキャッチーな④Sufferingは耳に残りますね。そのインパクトたるや、この曲をたまたま聴いていた長男(6歳)が「さっふぁり、さっふぁり♪」と歌い出したほど(笑)。本作がリリースされた1994年というと、それまでメロディアスな音楽を生み出していたバンドがダークなサウンドに変貌してしまうケースが多くゼロ・コーポレーションに在籍していたアーティストだけ見てもこのMASQUERADEだけでなくTALISMAN、FORTUNEもそのパターンに含まれると思います。個人的にはバンドの独自性を強調した結果としてヘヴィになったTALISMANはまだしも、他の2バンドの路線変更は好きになれないですね。ただ本作に関してはデビューアルバムと切り離して聴けば充実盤だという評価も少なくないようなので、聴き込めば印象が違ってくる…かも?

MASQUERADE「MASQUERADE」(1992)

  • 2014/08/26(火) 00:00:00

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【No.405】
★★★★(2010)

90年代前半に創設、1999年に閉鎖されるまでメロディアスなHR/HMを好んで聴く僕にとって最重要レーベルのひとつだったゼロ・コーポレーション。このレコード会社は超マイナーであっても良質のバンドであれば作品を世に送り出すというスタンス(後に有名バンドの作品もリリース)を持っていて、ゼロ・コーポレーションに見出だされた代表格としては今や大物へと成長したSYMPHONY X、僕に哀メロとは何かを教えてくれたMIKAEL ERLANDSSONなどが挙げられますが、このスウェーデン出身の4人組MASQUERADEもゼロ・コーポレーションを語る上で欠かせないバンドだと思います。彼等がデビューした1992年はEUROPE、TNTといった北欧のビックネームが活動休止や解散を表明(後にどちらも再結成)したこともあり、MASQUERADEは北欧メタルシーン期待の若手としてその筋ではかなり注目されていたようですね。

キーボードをフィーチュアした煌びやかで透明感のあるサウンド、伸びやかなハイトーンボーカル、楽曲に華を添えるテクニカルギターといった要素からはTNTの遺伝子が感じられるし、爽やか系ハードポップの極致⑤Ride With The Windは正にその王道を行くナンバーです。しかし本作のハイライトはなんと言っても①Gimme All Your Loveでしょう。「キュイィ~ン♪」と唸るギター、「フゥォッ!」という掛け声から始まるキャッチーでノリのいい曲調とその中に絶妙なバランスで配された哀メロが一体となったこの曲は北欧メタル史に残る名曲ですね。そんな①と同系統のロックチューンでは前述の⑤に加えて⑧Wild Child、⑬Give It A Shotが素晴らしいし、持ち前のメロディセンスを活かしたミッドテンポも明るいムードと北欧ならではの透明感が見事に融合した②Four Letter Words、終盤のオーオーコーラスが◎な③Our Time Has Come、ゆったりしたメロディが心地よい⑨Dancin' On The Edgeと粒揃い。特にアルバム前半の充実振りは目を見張るものがありますね。注文をつけるとすればバラード系のナンバーにもう少しインパクトが欲しかったということくらいでしょうか。アルバム構成にも気を配っているようで⑦Le Baugeux De Triomphe、⑩Liaisonといったアコギインストの小品を挟んだり、曲間をSEで繋いでいたりしています(SEが効果的かどうかは微妙ですが…)。

本作がリリースされるや北欧メタルファンの間で話題となり、シンガーTony Yoansonの声質がTony Harnell(Vo/ex-TNT)を彷彿とさせることもあって「ポストTNTの最右翼」と呼ばれるほどだったとか。そんな当時の盛り上がりもデビューアルバムとは思えないクオリティを誇る本作を聴いていると納得できます。1stアルバムで早くもファンの心を掴んだかに見えたMASQUERADEですが、1994年に発表した2nd「SURFACE OF PAIN」では当時流行していたグランジに感化されたかのようなヘヴィでダークな作風へと変化していて日本での人気は急降下。2001年に2ndの路線を引き継いだ作風の3rd「FLUX」、2005年には未発表音源集(?)「IN DISGUISE」をリリースしたものの、その後は音沙汰がありません。本作の路線で復活してくれたら嬉しいんですけどね…。ちなみに今年の9月3日にアヴァロン・レーベルからリリースされる再発盤にはボーナストラックとして「IN DISGUISE」に収録されていた1stアルバム寄りのナンバーが3曲、⑤と⑬のデモバージョンが追加されているようです。

【音源紹介】
・Gimme All Your Love

MAJESTIC「ABSTRACT SYMPHONY」(1999)

  • 2014/07/29(火) 00:00:00

MAJESTIC A SYMPHONY
【No.402】
★★★(1999)
年間ベスト1999年第10位

Jens Johansson(STRATOVARIUS)Vitalij Kuprij(ARTENSION)がメロディックメタル界屈指のキーボードプレイヤーとして注目されていた1999年、その2大巨頭に割って入ったのが本作でデビューを果たすMAJESTICを率いるRichard Andersson(Key)です。Vitalijもデビュー時にはキーボード版YNGWIE MALMSTEENといわれていましたが、MAJESTICはARTENSION以上に音楽性とプレイスタイルの両方でよりYNGWIE度が高いため、本作はネオクラシカルメタルというジャンルに興味のある人ならば聴いて損のない1枚となっています。実際、YngwieがRichardの腕を見込んで自身のバンドへの加入を要請したが「MAJESTICに専念したい」という理由で固辞したというエピソードもあるようですね。

いかにもネオクラなインスト①Medieval Nightsに続き、哀愁に満ちたメロディを撒き散らしながら疾走する②Golden Sea、一度聴いたら忘れられないキャッチーソング⑦Black Moon Risingという飛び抜けた名曲を筆頭にネオクラの王道をいく⑤Crimson Sun、笑ってしまうほどのハイスピードで爆走する⑩Nitro Pitbullなどの疾走曲やリリカルなバラード③Standing Aloneなど強力なナンバーが並びます(個人的にツボにはまった曲とそうでない曲の差は結構ありますが)。そしてバンド最大の特徴となっているのがスピードチューンかバラードか、バッキングだろうがソロパートだろうが、お構いなしに弾いて弾いて弾き倒すRichardの激速キーボードです。またARTENSIONと比較してみるとRoger Staffelbach(G/ARTENSION)が存在感でVitalijに完敗していたのに対し、このバンドのギタリストPeter Espinoza(ex-ESPINOZA etc)は強烈な個性を持つRichardを相手に真っ向勝負を挑み、手に汗握るバトルを繰り広げる場面もしばしば。そしてシンガーのJonas Blum(ex-POLE POSITION)も⑤など一部の曲のキーについていけず苦しそうではあるものの、持ち前の甘いハスキーボイスで魅力的な歌を聴かせてくれるし、リズム隊もなかなかの手練揃いなのでRichardの弾きまくりキーボードに頼りっきりになっていないのもポイントです。とはいってもバンドのアイデンティティの大部分をキーボードが担っているのは間違いないんですけどね…。

Richard Andersson関連の作品に必ずと言っていいほど登場する過去の楽曲からの借用フレーズ(メタルバンド、クラシック作曲家問わず)は本作で既に散見されていて⑦の出だしはYNGWIEのDeja Vu(「ODYSSEY」収録)だし、④Abstract Symphonyはモーツァルトのフレーズをそのまま引用しています。個人的にはメロディさえ良ければ借用はさほど気になりませんが、上記以外にもどこかで耳にしたフレーズが散見されるので、それが嫌だという人にとって本作は聴くに絶えない作品かもしれません。ただし、そんなパクリフレーズがあることを差し引いても⑦はインパクト絶大だし、②はネオクラメタル史に燦然と輝く名曲なので「パクリ」の一言で片付けるには勿体ない存在ですね。

【音源紹介】
・Golden Sea

冒頭の20秒弱はMedieval Nightsの音源です

【CD購入録】MAEDER「MAEDER」(2007)

  • 2013/09/01(日) 00:00:00

【CD購入録】
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MAEDER「MAEDER」(2007)

GOTTHARDの顔でもあったシンガー故Steve Leeの後任としてバンドに加入したNic Maeder(Vo)が兄弟のSebastian Maeder(G)等と共に結成したロックバンドMAEDERの1stアルバムを買いました。実直でやや渋めのロックサウンドを展開する本作を聴いていると、Nicが加入して初となるGOTTHARDのアルバム「FIREBIRTH」(2012)がメロディアスな面を抑えた作風だったのはNicの影響によるところが大きかったのかも…と思えてきますね。こういうロックアルバムも良いですが個人的にはもう少しキャッチーさや哀愁、泣きのメロディが欲しくなってきます。印象に残っているのは「イッツォグゥ、イッツォグゥ~♪」のサビが覚えやすい⑨It's All Good、アルバムを爽やかに締めてくれる⑫Give Away辺りでしょうか。

【CD購入録】MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL」(2013)

  • 2013/05/23(木) 00:00:00

【CD購入録】
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MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL「MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL」(2013)

自身のバンドLAST TRIBEとして3枚のアルバムを発表した後はマルチプレイヤー、コンポーザー、プロデューサーとしても才能を発揮して主にFRONTIERS RECORDSの様々なプロジェクトに携わってきたMagnus Karlsson(G)による初のソロ作品を買いました。LAST TRIBEのアルバムはどれも傑作だったのに対して、その後に乱発気味にリリースされたプロジェクト作品ではFRONTIERSに酷使されるあまり(?)以前ほどの魅力が感じられなかったのですが今回はなかなか良いですね。本作では多くのゲストシンガーを迎えているのも話題のひとつでRussell Allen(SYMPHONY X、ALLEN-LANDE)、Ralf Scheepers(PRIMAL FEAR)、Tony Harnell(STRABREAKER、ex-TNT)、Mark Boals(THE CODEX、ex-ROYAL HUNT、YNGWIE MALMSTEEN)、Mike Andersson(PLANET ALLIANCE)、Rickard Bengtsson(ex-LAST TRIBE)といった過去のMagnus関連作品のリードシンガーに加えてRick Altzi(AT VANCE、MASTERPLAN、THUNDERSTONE)、Herman Saming(A.C.T)、David Readman(PINK CREAM69、VOODOO CIRCLE)も参加しています。またMagnusも3曲でリードシンガーも務めていて、上記のゲストボーカル陣の中にあっても違和感ない歌を披露しています。個人的に一番楽しみだった⑨Last Tribeは曲調、歌詞の両面でLAST TRIBEというバンド名に込められた「自分達がメタルの最後の種族だ」という気持ちが伝わってくるメタル讃歌となっていてニヤリ。こうなってくるとプロジェクトではなくMagnusがイニシアチブを握る正式なバンドが聴きたくなりますね。

【CD購入録】THE MAGNIFICENT「THE MAGNIFICENT」(2011)

  • 2012/01/23(月) 00:00:00

【CD購入録】
THE MAGNIFICENT
THE MAGNIFICENT「THE MAGNIFICENT」(2011)

ノルウェー産プログレメタルのホープCIRCUS MAXIMUSのフロントマンMichael EriksenとフィンランドのメロディアスHR/HMバンドLEVERAGEのギタリストTorsti Spoofがタッグを組んだニュープロジェクトTHE MAGNIFICENTの1stアルバムを買いました。北欧の若手有望株バンドに所属する2人がメロディアス系レーベルの名門FRONTIERS RECORDSから作品をリリースすると聞いた時点で一定レベル以上のアルバムになると予想していましたが、本作はその期待を裏切らない出来栄えだと思います。このアルバムで聴けるのはCIRCUS MAXIMUSのような歌ものプログレメタルではなくLEVERAGEを更に取っ付きやすくした感じの北欧メロディアスハード(ギターはしっかり弾きまくり)で、CIRCUS MAXIMUSの2nd「ISOLATE」(2007)に収録されていたArrival Of Loveでその片鱗を見せていたMichaelの歌声とポップな楽曲との相性の良さを発揮してくれています。お気に入りは瑞々しいメロディが躍動する③Memories、バラード作りのツボを的確に押さえた④Angelですね。それと見逃せないのが日本盤ボーナスで全盛期のTENを彷彿とさせる爽快チューン⑬Driveの存在。終盤に若干テンションが下がり気味な本作の聴後感をグッと向上してくれています。メロディックロック系(特にFRONTIERS関連)のボートラというと、アルバム本編曲のバージョン違いが多い印象でしたがこの⑬は「日本盤を買って良かった!」と素直に思える1曲でした。

【CD購入録】MASQUERADE「MASQUERADE」(1992)

  • 2010/09/21(火) 00:00:00

【CD購入録】
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MASQUERADE「MASQUERADE」(1992)

メロディ派リスナーの僕にとって最重要レーベルのひとつだったものの、1999年に倒産してしまったゼロ・コーポレーションより1992年に日本デビューを果たした北欧メタルバンドMASQUERADEの1stアルバムを買いました。ゼロ・コーポレーション所属アーティストによるオムニバス作品「煌(CRYSTAL)」(1996)に収録されているGimme All Your Loveを聴いて「素晴らしい曲だなぁ」と思いつつも、オリジナルアルバムをゲットするには至らずにいたところ、ゼロ・コーポレーションが消滅し入手困難になってしまったため僕にとって本作は「いつか聴きたい幻の1枚」となっていたのですが、輸入盤を中古で発見したので即捕獲しました。前述の名曲①Gimme All Your Loveが素晴らしいのは言わずもがな、それ以外にも印象的な楽曲が多いのは嬉しい誤算ですね。ボーカルの声質がTony Harnell(Vo/STARBREAKER etc、ex-TNT)に似ていることもあって黄金期TNTを連想させるピュア北欧メタルサウンドは正に僕好み。末永く愛聴することになりそうな予感がしています。

MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

  • 2010/08/30(月) 00:00:00

TIME TO BE KING
【No.253】
★★(2010)

音楽性の相違や人間関係のもつれが原因でJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE)Uli Kusch(Ds/BEAUTIFUL SIN etc、ex-HELLOWEEN etc)が脱退してしまうという危機に直面しながらもリーダーRoland Grapow(G/ ex-HELLOWEEN)がバンドを立て直し3rd「MKⅡ」(2007)を何とかリリースしたMASTERPLANでしたが、現代メタルシーン屈指の実力派シンガーJornの離脱はRolandのモチベーションを著しく下げてしまったようで前作のツアー終了後に2代目シンガーMike DiMeo(Vo/ex-RIOT)も脱退してしまい、一時期バンドは活動停止状態だったようです。そんな不安定状態だったMASTERPLANにJornが2009年に復帰したことでバンドは再び活力を取り戻して完成させたのが通算4作目となる本作です。かつてJornは「(典型的メロパワの代名詞といえる)ハイトーンボイスを多用することは自らのシンガー寿命を短くしてしまう」と主張して一部の楽曲のキーを下げさせたこともあったとRolandがインタビューで語っていたこともあり、Jornが参加しなかった前作がバンドの中でもメロパワ色の濃い作風となったことに妙に納得していたので、彼がバンドに戻ると聞いてメロパワ的要素は減るだろうと思っていたのですが、実際に本作はメロパワとは距離を置いた重厚感のあるHR/HMアルバムとなっていますね。

デビュー作と2ndアルバムでもそうでしたが、今回はこれまで以上にJornの圧倒的なボーカルを軸とした作風となっていて、各曲からはアルバムタイトル通りの威厳や風格が感じられます。そんなJornのボーカルパフォーマンスに負けじとインスト陣もパワフルな演奏をしていて、これまで以上に前に出ることで存在感を増したRolandのギター、前作では控えめに感じられた豪腕Mike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)のヘヴィなドラミング、MASTERPLANの世界観には欠かせない存在となったAxel Mckenrott(Key)の彩り豊かなキーボード/ストリングスサウンドなど、音を隙間なく詰め込んだ濃密で分厚い音像となっています。JornとMikeというメタルシーンきっての渡り鳥系実力者が同時に在籍していることもあってメンバーの豪華さ、バンドとしての一体感も過去最高でボーカルとインストパートががっちり噛み合うことで生み出されるMASTERPLAN流のドラマティックなヘヴィメタルのひとつの到達点が本作と言えるのかもしれません。

その一方で、これまでの魅力のひとつだった(そして僕が最も惹かれていた)キャッチーなメロディと共に駆け抜ける疾走曲は激減しているため即効性は低くなっていますね。パワフルにアルバムの幕開けを告げる①Fiddle Of Time、先行シングルにもなったキャッチー佳曲③Far From The End Of The World、煌びやかなキーボードとJornの「ブルゥ~ウ、エウロォパァァ~♪」というサビの歌い回しがカッコいいメロディアスチューン⑨Blue Europa以外は基本的にどっしりと腰を据えたミドルチューンが続きます。僕はMASTERPLANというバンドにHELLOWEENの遺伝子を受け継いだメロパワサウンドとJornがもたらすブルージーテイストの融合を期待していたので、聴かせるタイプの楽曲を中心とした本作の音楽性には素直に喜べなかったりします。個々のメロディが耳に残るというよりも、楽曲そのものが醸し出す凄みを堪能する1枚という感じなので聴き込むにつれて味が出てくる作品ではありますが、日本盤ボーナス⑪Never Walk Aloneのようなわかりやすい歌メロがもう少し欲しいところですね。Jorn復帰のいきさつを思い起こしつつ前作と本作を聴き比べてみるとRolandが本当にやりたいのは3rdのようなメロパワ寄りの音楽だけど、Jornをバンドに引き留めるために本作が渋めの方向性になったのでは…という穿った見方をしてしまうのも事実だったりします。

【音源紹介】
・Far From The End Of The World

MASTERPLAN「MKⅡ」(2007)

  • 2010/08/24(火) 00:00:00

MASTERPLAN MK2
【No.252】
★★★(2007)

バンドの顔と言うべき存在だったJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE、ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)に続き、Roland Grapow(G/ex-HELLOWEEN)と共にバンドを創設したUli Kusch(Ds/RIDE THE SKY、BEAUTIFUL SIN、ex-HELLOWEEN、GAMMA RAY etc)までもが脱退してしまったMASTERPLANが後任にMike DiMeo(Vo/ex-RIOT)Mike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)という2人のMikeを迎えてリリース3rdアルバム。渡り鳥シンガーJornの脱退には「やっぱり…」という気持ちがありましたが、Uliまで離脱してしまうとは意外でした。

前作はやや落ち着いたベテランらしいアルバムである反面、地味な印象もあったのに対して本作は今のバンドの姿を表しているかのようなタイトルがつけられたイントロ①Phoenix Risingから疾走曲②Warriors Cryに繋がるという定型フォーマットに則っていることもあってメロパワ寄りの作風と言えそうですが、それほどスピードチューンに依存するのではなく前作で開眼した感のある③Lost And Gone、⑥I'm Gonna Win、⑪Enemyといったミッドテンポも充実していて過去2作の路線を継承した内容に仕上がっています。上に挙げた4曲や爽やかな中に仄かな哀愁が漂う④Keeps Me Burningなどがお気に入りなのですが、本作最大のハイライトはUliが脱退前に残したマテリアルをRolandが仕上げた⑩Masterplanですね。「マァス!タァ!プラァン!」というシンガロングを誘う強力なサビを持つこのパワフルチューンはバンド名を冠するに相応しいアンセムだと思います。

名シンガーJornとソングライティングでも貢献していたUli脱退のニュースを聞いた時は、今後MASTERPLANとしてやっていけるのか心配になりましたが、楽曲面ではメンバーチェンジの痛手は予想したほど大きくはないような気がします。ドラマーに関してはUliよりもMike Terranaの方が好きですしね。一方のシンガーについてはMike DiMeoも踏ん張っているものの、やはりJornの存在の大きさを感じさせられる場面もしばしば。特にじっくり聴かせるナンバーでは「これをJornが歌っていたら…」と思ってしまうこともあります。Jornの後釜としてMike DiMeoがどのようにバンドに溶け込んでいくのかと思っていたら2009年にJornが復帰し、次の4thアルバム「TIME TO BE KING」はシンガーにJorn Landeを据えたラインナップでリリースしています。

【音源紹介】
・Masterplan

MASTERPLAN「AERONAUTICS」(2005)

  • 2010/08/19(木) 00:00:00

MASTERPLAN AERONAUTICS
【No.251】
★★★(2005)

2003年にリリースしたデビュー作が同時期のHELLOWEEN以上に僕好みだったHELLOWEEN脱退組のRoland Grapow(G)Uli Kusch(Ds)によるMASTERPLANの2ndアルバム。これまでひとつのバンドに留まることの少なかったJorn Lande(Vo/ ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)がフロントマンということもあり、このMASTERPLANも単発プロジェクトで終わるかと思いましたが、前作から2年という間隔で2作目を無事リリースしてくれたことが嬉しかったですね。前作の時点で既にHELLOWEENとは異なる方向性を示してはいましたが、本作では更に典型的なメロパワから距離を置いたアダルトなパワーメタルという趣きです。

ジャケットイメージとリンクするサイレンのSEで始まるオープニングトラック①Crimson Rider、本作の中では浮いているように思えるほどキーパいジャーマンメタル③Wounds、緊迫感に満ちた⑧Into The Arena、流れるようなメロディに耳を奪われる⑩Falling Sparrowと、要所にスピードチューンを配しながらも全体的に疾走感は抑えめでどっしりと腰を据えた作品となっており、特にミドルチューン②Back For My Life④I'm Not Afraidは出色の出来ですね。こういう路線こそがMASTERPLANの特徴であり、強みであるような気がします。中盤以降はJornの歌に救われている楽曲があるような気もしますが、ドラマティックに展開する10分弱の大作⑪Black In The Burnがアルバム後半の山場を作ってくれています。

欧州メロディックメタル勢の中でも、スピードに頼らずベテランならではの大人びた楽曲を抜群に上手いシンガーが歌うことで完成されるMASTERPLANサウンドが本作で確立されたという感じですね。個人的には派手にハジけた曲や哀メロナンバーがもう少し欲しい気もしますがマイナス要素は見当たらない作品だと思うし、メロディックメタル寄りの楽曲を歌うJornを聴きたい時に手が伸びる1枚です。

【音源紹介】
・Back For My Life

MASTERPLAN「MASTERPLAN」(2003)

  • 2010/08/14(土) 00:00:00

MASTERPLAN.jpg
【No.250】
★★★(2003)

元々はRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Janne Wirman(Key/CHILDREN OF BODOM)といった豪華メンバーがRoland Grapow(G)のプロジェクトにゲスト参加する予定だったのですが、RolandとUli Kusch(Ds)HELLOWEENを解雇されたため正式なバンドとして始動することになったMASTERPLANのデビュー作。正式バンドとして活動するからにはパーマネントなメンバーが必要だということでRussellやJanneの参加は見送られたようです(Janneはゲストとして本作で演奏したそうですが)。Russellに代わりフロントマンを務めるのは、これまでに数多くのバンドを渡り歩いた実力派職人シンガーJorn Lande(Vo/ex-ARK、MILLENIUM、YNGWIE MALMSTEEN etc)で、渡り鳥Jornも遂に定住の地を見つけたかと本作リリース時には話題になりました。元HELLOWEENのメンバーによる新バンドということもあり本家との比較は避けられないMASTERPLANですが、本作に関して言えばRolandとUli在籍時HELLOWEENの最終作「THE DARK RIDE」(2000)や新体制による1枚目「RABBIT DON'T COME EASY」(2003)よりも好きかもしれません。

元HELLOWEENのメンバーとJorn Landeが合体ということだけでも注目に値するのに、本作にはJornがMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)とデュエットした④Heroesという目玉ソングが収録されています。その④はいかにもキーパー風なHELLOWEENチューンで「あざとさ」も感じますが、この2人の共演の前ではそんなことはどうでもよくなってしまいますね。そして僕にとって嬉しい驚きだったのは、MASTERPLANがそんな話題性だけでなくバンドとしての魅力をしっかり備えているという点です。前述の④を筆頭に、爽やかな空気を発散しながら疾走する①Spirit Never DieやHELLOWEENのWhere The Rain Grows(「THE MASTER OF THE RINGS」収録)っぽさもある⑩Sail Onでメロパワファンの要求を満たす一方で、Jornの存在感ある歌唱力が物を言うパワーバラード⑤Into The Light、哀愁のハードロック⑥Through Thick And Thin、ブルージーテイストも感じさせる⑨The Kid Rocks Onなど、メロディックメタルの枠に収まらない楽曲も良いですね。

バンドの中心人物であるUliとRolandに関して、Uliの楽曲はHELLOWEEN時代から好きだったのですがRolandのソロ作やHELLOWEEN時代の曲を聴く限りThe ChanceThe Dark Rideといった一部の楽曲を除き、心ときめくものがなかったので期待していませんでした。ところが本作を聴いているとHELLOWEENでは活かしきれなかったRolandのハードロックテイストはMASTERPLANならではの持ち味なのかもしれないと思えてきます。そして本作最大の功労者は胸を熱くしてくれるシャウトからソウルフルなディープボイスまでを駆使して歌い上げるJornでしょう。上に挙げたお気に入り曲は勿論、やや弱いかなと思える楽曲までも彼が歌うことでワンランク上のレベルに聴こえてきます。ちなみに本作は僕が持っている日本盤(⑥、⑨がボーナストラック)と輸入盤では収録曲と曲順が異なっていて、ヨーロッパでのシングルEnlighten Meなる曲は日本盤未収録となっています。

【音源紹介】
・Heroes

【CD購入録】MUTINY WITHIN「MUTINY WITHIN」(2010)

  • 2010/08/02(月) 00:00:00

【CD購入録】
MUTINY WITHIN
MUTINY WITHIN「MUTINY WITHIN」(2010)

CHILDREN OF BODOM、DREAM THEATER、SOILWORK、SYMPHONY Xといったバンドに影響を受けたというアメリカはニュージャージー出身の6人編成バンドMUTINY WHITHNのデビュー作を買いました。元々はMUTINYという名義でCHILDREN OF BODOMのカバーバンドとして活動を開始したようですが、本作を一聴した印象としてはSOILWORKのスタイルを下敷きにして初期CHILDREN OF BODOMに通じるネオクラシカルなギターパート、DREAM THEATERやSYMPHONY Xを彷彿とさせるキーボードの音使いも楽しめるアルバムという感じです。また、このバンドにはそんなインスト陣の魅力に加えて、オペラの素養もあるChris Clancy(Vo)がクリーンボイスで歌い上げるパートに説得力があるという強みもありますね。飛び抜けた1曲こそないものの、デビュー作としては上々の1枚だと思います。

MILLENIUM「HOURGLASS」(2000)

  • 2010/07/31(土) 00:00:00

MILLENIUM HOURGLASS
【No.248】
★★★★(2000)
年間ベスト2000年第6位

アメリカはフロリダを拠点とするメロディアス・ハードロックバンドMILLENIUMが新ボーカルにJorn Lande(Vo/ex-VAGABOND、THE SNAKES etc)を迎えてリリースした3作目。本作発表当時は「これから注目すべき実力派」として知られていたJornも今や数多くのバンド、プロジェクトを掛け持ちしたり、他のアーティストの作品にゲスト参加しては自分色に染め上げてしまったりとHR/HMシーン屈指のシンガーとなりましたね。その歌唱力はこの頃から既に折り紙つきで、Tod Plant(Vo)が歌った前作「ANGELFIRE」と比べても作品を1ランク~2ランク上に押し上げるその存在感はやっぱり圧倒的です。僕が初めてJornの歌声を聴いたのは本作でした。

MILLENIUMの音楽性がメロディアス・ハードロックであるため大半の曲では伸びやかなクリアトーンで歌い上げているJornですが、③HourglassではTHE SNAKESでも披露していたDavid Coverdale(Vo/WHITESNAKE)風の渋い声を駆使し、センチメンタルなバラード④No More Miraclesを優しさたっぷりに聴かせたかと思えば、ポップさが際立つ⑤Superstar⑥Rocket Rideは明るく快活に歌い、ブルージーな⑦I Will Followでは楽曲の雰囲気にマッチしたムーディーな歌声を響かせていて変幻自在とは正にこのこと。いやぁ、本当に凄いボーカルですね。と、まるでJornがメインのバンドのように書いてしまいましたが、MILLENIUMの中心人物はテクニカルで情感に満ちたギタープレイと素晴らしい作曲能力を見せつけてくれているRalph Santolla(G)です。そのRalphが生み出した超名曲がアルバムのオープニングを飾る①The Power To Loveで、爽やかなアカペラから勢い良く疾走したかと思うと中盤ではピアノ~ギターソロを経てJornのロウトーンボイスで一旦スローダウンした後に飛翔感あるサビを歌い、再び突っ走るというあまりにカッコいい展開を持ったこの曲はMILLENIUM最高の1曲にしてメロディアスハード史上に残る屈指のナンバーだと断言できます。

FAIR WARNINGTERRA NOVAといった同系統のバンドに比べて知名度が低いMILLENIUMですが、本作の完成度はこの手のバンドの中でもトップクラスですね。上手いギターとボーカル、そして抜群のメロディセンスも楽しめる本作はメロディアスハード好きにとってマストアイテムだと思います。①があまりに素晴らしいため、それ以降の曲の印象が薄い気もしますが1曲1曲は聴き応えのある充実作です。最近のRalphはDEICIDEOBITUARYといったデスメタル系バンドでの活動に重きを置いているようですが、是非メロハーの世界に帰ってきて欲しいですね。

【音源紹介】
・The Power To Love

【CD購入録】MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

  • 2010/05/20(木) 00:00:00

【CD購入録】
TIME TO BE KING
MASTERPLAN「TIME TO BE KING」(2010)

2nd「AERONAUTICS」(2005)リリース後に脱退したJorn Lande(Vo/ALLEN-LANDE)が復帰を果たしたMASTERPLANの4作目を買いました。Mike DiMeo(Vo/ex-RIOT)が歌った前作も悪くなかったものの、やはりこのバンドはJornあってこそ!という印象ですね。僕の好きなメロパワ的要素は希薄ながら、圧倒的な存在感を誇るボーカルを主軸とした堂々たるHR/HM作品です。また今回は前作から加入したMike Terrana(Ds/ex-RAGE etc)が引き続き参加していて、JornとMikeという2人の渡り鳥系実力派プレイヤーを同時に在籍させることに成功したRoland Grapow(G/ex-HELLOWEEN)に拍手を送りたいですね。デビュー作のような派手さや勢いは感じられませんが、ベテランの域に達したメンバー揃いのバンドらしく成熟した旨味がこれから出てきそうな予感がしています。

MEGADETH「ENDGAME」(2009)

  • 2009/12/22(火) 00:00:00

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【No.209】
★★★★★(2009)
年間ベスト2009年第1位

Dave Mustine(Vo、G)指揮の下、従来のスラッシュメタルにテクニカルなインストパートと複雑に練られた曲展開を盛り込んだ「インテレクチュアル・スラッシュメタルサウンド」で80年代後半~90年代中盤にかけてメタルシーンに大きな衝撃を与えたMEGADETHでしたが、黄金期を支えたMarty Friedman(G)の脱退やDaveが腕を故障してしまったことが原因で2002年に解散。2004年にDaveがセッションメンバーを迎えて製作した「THE SYSTEM HASFAILED」でMEGADETH名義を復活させてからの3作目、通算12枚目にあたるのが本作です。僕が聴いたことのあるMEGADETHの作品は代表作の誉れ高い4th「RUST IN PEACE」(1990)と、Marty在籍時MEGADETHの後期を象徴するメロディアス路線だった7th「CRYPTIC WRITINGS」(1997)のみですが、この「ENDGAME」はその両者の美味しいところをギュッと凝縮したかのような傑作となっています。

激烈メタルサウンドの中で乱舞するDaveと新加入ギタリストChris Broderickの凄まじいギターワークをメインに、時折顔を覗かせるメロディアスなフレーズが堪らなくカッコいいですね。いきなり火花散るギターバトルが繰り広げられるインスト①Dialectic Chaosから曲間なく繋がるスピードチューン②This Day We Fight!は要所でギターソロが炸裂する名曲だし、ヘヴィなリフのバックで流れる無線通信によるやりとりのSEが緊張感を煽るミッドテンポ③44 Minutes、魅惑のギターリフをザクザク刻みながら突っ走る④1,320という怒涛の流れは圧巻の一言。その後も佳曲揃いの本作にあって一際輝いているのが⑨Head Crusherですね。本作唯一のバラードタイプ⑧The Hardest Part Of Letting Go... Sealed With A Kissの静かな余韻を破壊しながら切り込んでくる⑨のイントロを初めて聴いた時は背筋が震えました。

とにかく素晴らしいギターワークが満載の本作において、触れておかなければならないのが新ギタリストChris Broderickの存在。恥ずかしながら本作を聴くまで彼のことを知らなかったのですが元NEVERMOREという肩書きはダテではなく、切れ味の鋭さと抜群のテクニックを兼ね備えたギタリストのようですね。またプロデューサーにはARCH ENEMY「DOOMSDAY MACHINE」、NEVERMORE「THIS GODLESS ENDEAVOR」を手がけたことでも知られるAndy Sneapを迎えていて、Andyの冷徹な音作りとMEGADETHによるガチガチのメタルサウンドが見事にマッチしています。MEGADETHビギナーの僕が言うのも何ですが、このアルバムを「原点回帰作」とする声が多いのも納得です。個人的に「RUST IN PEACE」でネックになっていると感じたDaveの歌唱力が向上しているのも好印象。裏ジャケで誇らしげにギターを高く掲げるDaveの気迫と自信がヒシヒシと伝わってくる痛快なヘヴィメタルアルバムですね。

【音源紹介】
・Head Crusher