【CD購入録】H.E.A.T「INTO THE GREAT UNKNOWN」(2017)

  • 2017/10/02(月) 00:00:00

【CD購入録】
INTO THE GREAT UNKNOWN
H.E.A.T「INTO THE GREAT UNKNOWN」(2017)

2009年にデビューして以降、コンスタントに良作を届け続けてくれているスウェーデンのメロディックロックバンドH.E.A.Tの5作目を買いました。ラインナップが安定しないバンドというイメージが強い彼等ですが、今回もメンバーチェンジがあり2013年に脱退したDave Dalone(G)が復帰しています。音楽性は今回もアリーナロック風の溌剌としたナンバーやキャッチーなメロハーが並びつつも、僕の好きな哀愁や泣きの要素は減少傾向にあると思います。バンド初期に比べると音楽性は拡散しているため散漫になっている感はあるものの、各曲に魅力的なメロディがあるのがH.E.A.Tの強みですね。スペーシーなキーボードが曲を引っ張る④Time On Our SideErik Gronwall(Vo)の歌い出しがMikael Erlandsson(Vo)っぽく聴こえるバラード⑥Eye Of The Storm、躍動感のあるサビを持った⑦Blind Leads The Blind、ドラマティックな展開を見せてくれる⑧We Ruleと続く中盤の流れがいいですね。今回もなかなかの出来栄えだと思います。

【CD購入録】HAREM SCAREM「UNITED」(2017)

  • 2017/06/18(日) 00:00:00

【CD購入録】
UNITED.jpg
HAREM SCAREM「UNITED」(2017)

カナダが誇るメロディック・ロックバンドHAREM SCAREMの14作目を買いました。再結成後初めてのオリジナルアルバムとなった前作「THIRTEEN」(2014)に伴う来日公演の際にメンバーは次のアルバムについて明言を避けていましたが2015年にライヴ盤「LIVE AT THE PHOENIX」をリリース、そして早くも本作を完成させたということはHAREM SCAREMが本格的に復活したということでしょうか。Harry Hess(Vo)によると今回はサビがパッと明るくなる曲作りを心掛けたとのことで、実際に聴いていてもサビの盛り上がりは近作以上だと思いますね。このアルバムからは現時点で4曲がオフィシャルで公開されているのですが、その第1弾④Sinking Shipをチェックした時からして好感触でした。HAREM SCAREMは既に音楽性が確立されているバンドなのでハズレ作品はなく、あとは僕好みのメロディがどれだけあるかに注目しているのですが今回のアルバムは彼等の作品群の中でも上位にくる1枚ですね。

【CD購入録】HEVISAURUS「JURAHEVIN KUNINKAAT」(2009)

  • 2016/10/28(金) 00:00:00

【CD購入録】
JURAHEVIN KUNINKAAT
HEVISAURUS「JURAHEVIN KUNINKAAT」(2009)

フィンランドから現れた恐竜着ぐるみバンドHEVISAURUSの1stフルレンスアルバムを買いました。なぜメンバーがこんな格好をしているかというと、彼等は子ども向けヘヴィメタルバンドだからだそうで日本で言うところのガチャピンとムック、または「おかあさんといっしょ」に出てくる着ぐるみキャラによるバンドという感じでしょうか。6,500万年前のジュラヘヴィ期という時代から眠りについていた恐竜達が魔女の力によってメタリックな卵から孵ったというのが公式設定だそうですが、実際のメンバーはHEVISAURUSの発案者でもあるMirka Rantanen(Ds/THUNDERSTONE) を筆頭にJens Johansson(Key/STRATOVARIUS)、Henrik Klingenberg(Key/SONATA ARCTICA)、Nino Laurenne(G/THUNDERSTONE)、Mikko Salovaara(Vo/ex-KIUAS)といったフィンランドメタル界の有名人がレコーディングに参加していることもあってクオリティの高い仕上がりとなっています。曲調もバラエティに富んでいて正統派ヘヴィメタル、フォーク/ヴァイキングメタル風から哀愁のバラード、シンガロングを誘うアリーナロックまであって楽しめますね。歌詞は全てフィンランド語なので内容はわかりませんが、「ウンガチャカ ウンガチャカ♪」に始まり「ウィーゥウィーゥ ウィッキッウッ♪」のサビへと繋がる⑧Intiaanin Sotahuuto、「ポッポッポー♪」と歌うサビが頭から離れない⑪Popkornipullaなど、気づけは口ずさんでいる曲も少なくないし、IRON MAIDENテイストに溢れた疾走曲⑬Louhikaarme Ja Ritariも文句なしのカッコよさです。被り物バンド(?)の先駆者として同じくフィンランドにLORDIがいますがHEVISAURUSも負けていません。こうして小さい頃からメタルの英才教育を受けられるフィンランドの子どもたちが羨ましいですね(笑)。

【CD購入録】HAREM SCAREM「THIRTEEN」(2014)

  • 2016/03/31(木) 00:00:00

【CD購入録】
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HAREM SCAREM「THIRTEEN」(2014)

「HOPE」(2008)を最後に解散していたHAREM SCAREMが再結成して発表したタイトル通りの13作目を買いました。代表作「MOOD SWINGS」(1993)の20周年記念再録盤のために再結成した彼等ですがHarry Hess(Vo)は「HAREM SCAREMでの音楽活動はやり尽くした」と以前から語っていたし、中心人物のHarryとPete Lesperance(G)の両名がソングライター/プロデューサーとしても十分やっていける実力者なので今回の新作発表は予想外でしたね。実際に聴いてみると前作「HOPE」から6年ものインターバルがあるとは思えないほど真っ当なHAREM SCAREMサウンドが展開されています。Harryの野太いボーカル、Peteのテクニカルなギターワーク、各曲を彩る分厚いコーラスなど楽曲を構成する各要素にはこのバンドならではのアイデンティティが満載。抜群の安定感を誇る1枚である一方で、こちらの予想を上回るほどの盛り上がりがあるかというと、それは微妙だったりします。並のロックバンドと比べればクオリティの高い作品ながら、彼等ならこれくらいやってくれるだろうと思ってしまうのも事実。といいつつも一定以上の満足感は得られているので、新作が出ればチェックするつもりです。

HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/10/31(土) 00:00:00

MY GOD-GIVEN RIGHT
【No.451】
★★★★(2015)
年間ベスト2015年第7位

デビュー30周年を迎えたメロディックパワーメタルの始祖HELLOWEENの15thアルバム。80年代に現代メロパワの金字塔「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」をリリース、その後は迷走した時期があったもののAndi Deris(Vo/ex-PINK CREAM 69)を迎えた「MASTER OF THE RINGS」(1994)で復活。Andiの在籍期間は20年を超え、現在のラインナップになってからは10年間メンバーが固定されるなど、HELLOWEENはここに来て黄金期を迎えたと言いたくなるほどの安定感を誇っています。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)がAndi期HELLOWEENの最高傑作と呼びたくなるほどの内容だったので今回も期待していました。Michael Weikath(G)は本作を「既発の曲が入っていないベストアルバムのようなもの」と表現しているようですが、いかにもHELLOWEENらしいポジティブでキャッチーなメロディに溢れた1枚となっていますね。

所属レーベルNUCLEAR BLASTの社長がいたくお気に入りでオープニングに推薦したという①Heroesこそ佳曲レベルながら、それ以降が実に強力。Weikath節が炸裂する典型的なHELLOWEENソング②Battle's Won、いかにもAndiらしい哀愁のメロディラインが秀逸なタイトル曲③My God-Given Rigthtと中心人物2人がそれぞれの持ち味を発揮しています。またPINK CREAM 69風味も感じさせるAndi曲の④Stay Crazy、コミカルかつ軽快に駆けていく⑤Lost In America、ロシアっぽい(?)リフと無骨でシンプルなサビが耳に残る⑥Russian Ruleと続くアルバム前半を聴いた時点では前作を超える名盤となる予感すらありました。ところが⑦The Swing Of A Fallen World、⑧Like Everybody Elseで失速。アルバム後半の見せ場となっているWeikath曲⑨Creatures In Heaven、サビメロが「GAMBLING WITH THE DEVIL」収録のFinal Fortuneソックリですが僕好みのメロディなので許せてしまう⑩If God Loves Rock 'N' Roll、ここ最近ソングライターとしての存在感が増してきているMarkus Grosskopf(B)作曲の⑪Living On The Edge辺りで盛り返すものの近作と比べると物足りなさが残りますね。

今のHELLOWEENの強みは優れたソングライターが4人もいる点だと思いますが、本作に関してはSascha Gerstner(G)による楽曲が今ひとつでしょうか。また国内盤の限定ボーナストラックを含めると全16曲、収録時間73分という尺の長さもダレを誘っているように思います。HELLOWEENの曲は1曲でも多く聴きたいと思い、限定ボーナスも入った初回盤を買っておきながら言うのも何ですが、もう少し曲数を絞ってくれた方が好印象でしたね。このバンドの場合、楽曲には一定のフォーマットがありメンバーもファンが期待するHELLOWEENらしい曲を提供することに徹していることもあってか、既発曲に似たメロディがチラホラ存在する点も気になります。というわけで注文をつけたくなる部分もありますが総合的に見れば、そんじょそこらの若手には到達できない高みにいることは間違いないし、僕好みのメロパワを量産してくれています。HELLOWEENは今後もこのジャンルのトップに君臨し続けるであろうことを予感させるには十分の充実盤だと思いますね。

【音源紹介】
Battle's Won

【CD購入録】HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

  • 2015/05/28(木) 00:00:00

【CD購入録】
MY GOD-GIVEN RIGHT
HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」(2015)

2007年発表の12th「GAMBLING WITH THE DEVIL」以降、全てのオリジナルアルバムが僕にとっては名盤クラスという抜群の安定感を誇るHELLOWEENの15作目(初回限定盤)を買いました。前作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)はバンドの全作品の中でも上位に来る出来だったので今回も期待していましたが、そのハードルをきっちりと越えてくる辺りは流石ですね。先行で公開されていた②Battle's Won、⑤Lost In Americaを含む冒頭6曲は特に強力。ただアルバムトータルとしては前作に分があるという気もしますね。また僕が買った初回限定盤には「STRAIGHT OUT OF HELL」同様にバンダナが特典として付いています。前回も使い道に迷いましたが結局は子供の弁当箱を包むのに丁度よかったので、今回も同じように使わせてもらおうと思っています。あと僕が買ったCDショップではバンドのマスコットであるカボチャと各メンバーがビックリマン風にデフォルメされたオマケステッカーが付いていました。HELLOWEENのファン層にはビックリマン世代が多いと見込んでのことなのかもしれませんが、僕はドンピシャでその世代なのでこういうオマケは面白いですね(笑)。

【CD購入録】HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)

  • 2015/04/16(木) 00:00:00

【CD購入録】
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HARDCORE SUPERSTAR「HCSS」(2015)

北欧ロックンロールバンドのベテランHARDCORE SUPERSTARの9作目を買いました。タイトルの「HCSS」はバンド名Hard Core Super Starの頭文字を取ったもので、僕が初めて聴いたこのバンドの作品で名盤の4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)に続き2枚目のセルフタイトル作ということになります。ここ最近の彼等のアルバムは安定感がある一方でマンネリ気味だったので様子見しようかと思っていたのですが、先行で公開されていた①Don't Mean Shit⑨Glueが好感触だったので聴いてみました。現時点での感想は良くも悪くもHARDCORE SUPERSTARらしい作品という感じですね。⑤Flyはブルージーで渋さを前面に出したナンバーで新機軸と言えそうですが、こういうサウンドはあまり得意ではないんですよね…。ボーナストラックの⑫Run To Your Mama(Demo Version)は7th「SPLIT YOUR LIP」(2010)に収録されたピアノバラードのデモ音源。メンバーによると、この曲は元々ロックソングとして書いたものに色んなアレンジを試しているうちにピアノと歌のみのというシンプルな形に行き着いたらしいので、本作で聴けるバージョンは曲の原型に近いのかもしれません。本作のようなアレンジも良いと思いますね。

HARTMANN「OUT IN THE COLD」(2005)

  • 2014/12/06(土) 00:00:00

OUT IN THE COLD
【No.414】
★★★(2006)

ネオクラシカル・メタルバンドAT VANCEの実力派シンガーとして名を馳せたOliver Hartmannがバンド脱退後に結成した自身のプロジェクトHARTMANN名義で放つ1stアルバム。AT VANCEがYNGWIE MALMSTEEN直系のサウンドだったのに対して、本作は肩の力を抜いたメロディアスハード路線となっています(Tシャツにジーンズ姿のOliverが写ったブックレットも新鮮)。「より広い音楽性に挑戦したい」という思いでOliverはバンドを離れたそうですが、AT VANCE時代はOlaf Lenk(G)が創作面のほぼ全てを担っていたため彼の作曲能力は未知数で一抹の不安もありました。ところが本作にはそんな心配を一蹴するだけの楽曲が並んでいます。

ボーカリストによるプロジェクトということもあり、各曲の中心に据えられているのは「歌」。それでいて楽曲はミドルテンポ、バラードが大半を占めるためAT VANCEの要素を求めると肩透かしをくらいますが、ひとつの作品として聴くと十分楽しめる1枚となっていますね。本作の中では珍しいアップテンポ⑥What If I、⑩Listen To Your Heartは出色の出来だし、アルバム随一のヘヴィチューン④The Same Againもカッコいい。バラードに関しても優しく爽やかなメロディが心地よい⑤I Will Carry On、曲名の通り眩い光に向けて歩むOliverの姿が目に浮かぶ壮大な⑫Into The Light辺りが印象に残りました。そして一際素晴らしいのが哀感を爆発させたパワーバラード③Brazenですね。この曲は丸坊主の女性シンガーSkin擁するヘヴィロックバンドSKUNK ANANSIEのカバーで選曲の妙もさることながら、ファルセットを交えたボーカルパフォーマンスが圧巻でハイライトとなっています。

そんな③に象徴されるように本作をワンランク上に押し上げているのがOliverの歌唱力。David Coverdale(Vo/WHITESNAKE)のような深みとEric Martin(Vo/MR.BIG)ばりのソウルフルな響きを併せ持つ彼のボーカルは絶品です。音楽性の関係もあってAT VANCE時代と比べると声を張り上げて歌う場面は激減、HARTMANNではマイルドかつ表情豊かなアプローチとなっていてシンガーとしての力量はこちらの方が活かせているような気もします。AT VANCEから脱退してしまったのは残念ですがHR/HMというジャンルにOliverを止めておくべきではないのかもしれませんね。個人的にはHARTMANNと並行して、どこかのメタルバンドのパーマネントメンバーとして活動して欲しいというのが正直なところですが…。

【音源紹介】
・What If I

【CD購入録】HUMANIMAL「HUMANIMAL」(2002)

  • 2014/10/28(火) 00:00:00

【CD購入録】
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HUMANIMAL「HUMANIMAL」(2002)

Marcel Jacob(B)、Jeff Scott Soto(Vo)、Pontus Norgren(G)というTALISMANのメンバー3人が在籍するニューアクト(?)HUMANIMALの1stアルバムを買いました。ちなみにドラマーはTomas Bromanなる人物です。ラインナップからしてTALISMANとの違いがよくわからないのですが、元々はPontusとMarcelで新しいプロジェクトを立ち上げようという話からHUMANIMALが誕生、その後Tomasが加入し、レーベルの意向でシンガーがJeffに決まったという経緯があり結果的にこのようなラインナップになったのだとか(何故TALISMANの3rdアルバムと同じプロジェクト名にしたのかは謎ですが…)。Pontus主導と言いながらもソングライティングはMarcelとJeffのコンビが手掛けているので本作がTALISMANらしくないわけがありません。相違点を挙げるとすれば楽曲の幅を広げすぎて散漫にも感じられたTALISMANの5th「TRUTH」(1998)よりもギターオリエンテッドでオーソドックスなHR/HMに焦点が定まっていることでしょうか。ただ近年のTALISMANやHUMAN CLAY同様、質は高いが決め手に欠けるので聞き流してしまいがちです。そんな中⑦Iは初めて聴いた時から印象に残っていますね。

【CD購入録】HUMAN CLAY「U4IA」(1997)

  • 2014/10/25(土) 00:00:00

【CD購入録】
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HUMAN CLAY「U4IA」(1997)

TALISMANサウンドの中核を担うMarcel Jacob(B)Jeff Scott Soto(Vo)によるHUMAN CLAYの2作目を買いました。「HUMAN CLAYは単発プロジェクト」という大方の予想に反して、セルフタイトルの前作から僅か1年のインターバルで発表された今回のアルバムでは新たにJamie Borger(Ds/TALISMAN)が加入していて、TALISMANとの差別化がますます難しくなっています(ギターは全てMarcelがプレイ)。 TALISMAN時代から曲名や歌詞でYouの発音を「U」、Forの発音を「4」と表記したりしていましたが、パッと見ただけでは読めない本作のタイトルはその極みですね。アルバムタイトルの読みはユーフォリア=「EUPHORIA(幸福感の意)」だそうです。Marcel曰く「HUMAN CLAYの音楽性は自分達が影響を受けたアーティストへの思いを表現したもの」とのことですが、聴く人によっては露骨と感じるほどのオマージュも少なくないようでライナーノーツでもMarcel自身がそれを認め、楽しんでいることも含めて言及されています。個人的にパクリはそれほど気にならないものの、デビュー作よりも耳に残るメロディが少ないということが残念ですね。そんな中④Pain & Deceptionはカッコいいなぁと思っていたら、この曲はYNGWIE MALMSTEENがデビュー前に制作したEP「MERLN'S CASTLE」(ベースはMarcelがプレイ)のタイトル曲の焼き直しだとライナーで暴露されています(苦笑)。

【CD購入録】HUMAN CLAY「HUMAN CLAY」(1996)

  • 2014/10/22(水) 00:00:00

【CD購入録】
HUMAN CLAY
HUMAN CLAY「HUMAN CLAY」(1996)

4作目「LIFE」(1995)リリース後にギタリストのFredrik Akessonが脱退、レーベルとの関係が悪化したことなどもあって活動停止状態となったTALISMANの中心人物Marcel Jacob(B)、Jeff Scott Soto(Vo)が新たに結成したHUMAN CLAYの1stアルバムを買いました。本作にはYngwie Malmsteen、Brian Young(BEAU NASTY)そしてFredrik Akessonという3人のギタリストがゲスト参加しているものの、基本メンバーはMarcelとJeffだけでMarcelがベースのみならずギターとキーボード、ドラムのプログラミングまでもこなしています。TALISMANファンであれば最も気になるであろうYngwieと共演した④Jealousyについては、曲調がヴァイキングメタル風ということもあって彼のギターが見事にハマっていますね。それ以外の楽曲についてもファンキーな要素が薄くなっている他はTALISMANの新作と呼んでも差し支えなさそうなナンバーが並び、メロハーテイストの⑧Don't Look Backが収められているなど「本作はTALISMANが2nd「GENESIS」(1993)の次に発表したアルバム」と言われればすんなり受け入れられそうなほどです。その一方で「LIFE」に収録されていた名曲Bodyのリメイク⑨Holdin' Onは持ち味だったグルーヴ感が大きく減退した仕上がりでガッカリ…。全体的に飛び抜けたナンバーこそありませんが、一定レベル以上の佳曲をこうして並べられる辺りは流石と言うべきでしょうか。

【CD購入録】H.E.A.T「TEARING DOWN THE WALLS」(2014)

  • 2014/04/18(金) 00:00:00

【CD購入録】
TEARING DOWN THE WALLS
H.E.A.T「TEARING DOWN THE WALLS」(2014)

2013年7月にツインギターの片翼にして、主にソロパートを演奏していたDave Daloneが脱退したものの同年10月に行われたメロディックロックの祭典FIREFESTに出演、今年のFIREFESTではヘッドライナーを務める予定だというH.E.A.Tの4作目を買いました。BLESSED BY A BROKEN HEART「FEEL THE POWER」を彷彿とさせるジャケットを見て路線変更したのかと思いましたがそんなことはなく、先行シングル②A Shot At Redemptionに象徴されるアメリカンなノリと威勢のよさに溢れ、北欧のバンドながら哀愁は薄めというH.E.A.Tらしいアルバムとなっています。2代目シンガーErik Gronwallが加入して初のアルバムとなった前作「ADRESS THE NATION」(2012)収録のLiving On The Run級のキラーチューンこそありませんが明るさ弾ける③Infernoはかなり好きだし、アルバム全体としても非常に手堅い仕上がりだと思います。

HEAVENS GATE「LIVIN' IN HYSTERIA」(1991)

  • 2014/02/06(木) 00:00:00

LIVIN' IN HYSTERIA
【No.392】
★★★★(1996)

HELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」(邦題「守護神伝」)がきっかけとなり、ジャーマンメタル旋風が吹き荒れていた80年代後半にデビューし、数あるフォロワーの中でも日本ではなかなかの人気を博していたHEAVENS GATEの2ndアルバム。ただこのバンドを紹介する場合、ジャーマンメタルブームの中で登場したバンドと言うよりもAVANTASIA、EDGUY、KAMELOT、RHAPSODY(OF FIRE)など数々のメロディックメタルバンドを手掛けるプロデューサーSascha Peath(G)が在籍していたバンドと言った方が今は通りが良さそうですね。僕はリアルタイムで聴いていたわけではないのですがBLIND GUARDIANとほぼ同時期にデビューした当初は同等クラスだったのに、その後は明暗がはっきり分かれた印象があります。1990年に3rd「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」をリリースしたBLIND GUARDIANがその後大きく飛躍して欧州メタルのトップバンドへのし上がっていったのに対し、このバンドはジャーマンメタルの枠に縛られない音楽性を見せながらも本作以上にファンの心を掴むアルバムを生み出すことができず5th「MENERGY」(1999)を最後にひっそりと解散しています…。

というわけで残念ながらバンドとして成功を収めたとは言いがたいHEAVENS GATEですが本作がメロディ、パワー、スピードの三拍子が揃った名盤だということは間違いありません。何といってもタイトルチューン①Livin' In Hysteriaと曲名からしてバンドのテーマソングであることが明白な⑩Gate Of Heavenというオープニング/エンディング曲の素晴らしさが群を抜いていて、これらを聴くためにアルバムを買う価値があると思えるほど。この2大キラーチューンが強烈すぎるために他の曲は影が薄くなっているかというとそんなことはなく、正統派メタルの空気を吸い込んだ②We Got The Times⑨We Want It All、いかにもジャーマンメタルな明るいムードを持った④Empty Way To Nowhereやアルバム中最速を誇る疾走曲⑦Flashesなども魅力的です。それに加えて重厚でドラマティックなミドル③The Never Ending Fire、スリリングなギターインスト⑤Fredless、この手のバンドとしては珍しくノリ重視で聴かせる⑥Can't Stop Rockin'、叙情メロディが冴える名バラード⑧Best Days Of My Lifeなど歌ものメタルチューン以外でも見せ場があるというのも本作の強みですね。個々の楽曲の素晴らしさもさることながら曲順もこれしかないと思えるほどハマっていて、アルバムの流れも文句のつけようがありません。またSaschaと並ぶメインソングライターでもあるThomas Rettke(Vo)Michael Kiske(Vo/HELLOWEEN)ほどクリアな声質でもなければ、Hansi Kursh(Vo/BLIND GUARDIAN)のように中音域をメインに歌うわけでもない適度な荒さを持ったハイトーン系シンガーで正統派メタルの要素もあるバンドのサウンドにマッチしていますね。

本作に収録された疾走曲は最近のメロパワバンドに比べるとテンポ自体は遅いのですが楽曲に漲るエネルギーと勢いこちらの方が断然上でカッコいいし、アルバムが発表されてから20年以上が経過した今聴いても古臭さを感じさせません。そんな「狙っていても身に付けられない凄味」を持つ本作はシーンに数少なく存在する時代を超えた1枚と言っても過言ではないでしょう。アルバム単体のクオリティとしてはHELLOWEEN、BLIND GUARDIANにも負けていません。ただバンドにとっては「諸刃の剣」的なアルバムという見方ができるのも事実で、かつてのHAREM SCAREM「MOOD SWINGS」(1993)がそうだったように2枚目という早い時点でシーンに名を刻む名盤を作り上げてしまったことが重荷となり、結果的にバンドを苦しめ解散へと繋がってしまったのかもしれませんね…。

【音源紹介】
・Gate Of Heaven

HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

  • 2013/10/31(木) 00:00:00

STRAIGHT OUT OF HELL
【No.389】
★★★★(2013)
年間ベスト2013年第2位

アルバムによって若干の出来・不出来はあるものの常にメロディックパワーメタルの第一線で活躍し続けるHELLOWEENの14thアルバム。メンバーチェンジが頻繁に起こるバンドではありますが11th「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -LEGACY」(2005)で現ラインナップが固まって以降、その安定感は盤石のものとなったように思いますね。オープニングを飾る①Nabataeaが7分に及ぶ曲の中でプログレッシブな展開とAndi Deris(Vo)の歌唱が緊迫感を放つメタリックチューンなので、 攻撃性重視の姿勢に賛否両論あった(僕は好きですが) 前作「7 SINNERS」(2010)のテイストを今回も継承しているのかと思いきや②World Of War以降では帯タタキにもある通り「メロディアスでハッピーでポジティブ」なHELLOWEEN流メタルが次から次へと飛び出してきます。

キーパーサウンドに魅了されてメタルに入門した身としては上記の②や④Far From The Stars、⑤Burning Sunのような疾走曲が並ぶアルバム前半を聴いた時点で本作が名盤だと確信しました。Andiが在籍していたPINK CREAM 69時代のマテリアルをAndiとSascha Gerstner(G)で仕上げた③Live Now!(シンプルなサビが耳に残ります)、いかにもAndiらしい哀メロが堪能できる⑥Waiting For The Thunderを疾走チューンズの間に配する辺りもお見事だし、QUEENWe Will Rock Youを意識したという2分弱の⑧Wanna Be Godも作品の前半と後半を繋ぐ絶妙な役割を果たすなどアルバム構成もよく練られています。そしてアルバム後半は最近ソングライターとしての成長著しいMarkus Grosskopf(B)によるタイトル曲⑨Straight Out Of Hellからしてエンジン全開。「これぞヴァイキーの真骨頂!」な⑪Years、切迫感のあるパートからSTRATOVARIUSBlack Diamondっぽいサビメロへ展開していく⑫Make Fire Catch The Fly、Saschaお得意のドラマティックチューン⑬Church Breaks Downと繋がる怒濤の流れで本編を締めるなど隙がありません。またボーナストラックの充実振りも流石で国内盤デラックス・エディション限定の⑭No Eternityはおまけにしておくには勿体ない佳曲だし、シングル曲⑤のバージョン違い⑮Burning Sun(Hammond Version)もなかなかの仕上がりです。

ベテランならではの安定感を持ったアルバムであると同時にベテランらしからぬフレッシュさをも併せ持った1枚。HELLOWEENは長い歴史においてシーンを象徴する名曲を生み出してきたバンドなので、本作の収録曲が過去のマスターピースを越えたとは言えないもののアルバム全体の完成度としては圧倒的なオリティを誇っています。このバンドにはかつてKai Hansen(G/GAMMA RAY、UNISONIC)、Michael Kiske(Vo/UNISONIC)といったメロディックメタル界のレジェンド達が在籍していましたが、伝統と革新性が絶妙なバランスで融合した高品質メタルを量産できる現体制もバンドの黄金期と言えると思います。

【音源紹介】
・Years

【CD購入録】HAREM SCAREM「MOOD SWINGS Ⅱ」(2013)

  • 2013/08/25(日) 00:00:00

【CD購入録】
MOOD SWINGS2
HAREM SCAREM「MOOD SWINGS Ⅱ」(2013)

HAREM SCAREMの2ndアルバムにしてバンドの出世作であり、その後の活動に良くも悪くも多大な影響を与えた「MOOD SWINGS」(1993)の発売20周年を記念して制作された再録盤を買いました。普段はリレコーディング作品をほとんど買わない僕ですが、思い入れが強い「MOOD SWINGS」となれば話は別です。内容の方は基本的にオリジナルを忠実に再現していますがドラムがクリアになっていたり、ダークな雰囲気や独特の緊張感が薄れていたりと興味深い仕上がりとなっていますね。と言いつつも1996年に「MOOD SWINGS」と出合い何度も何度も聴いてきた身としては(思い出補正もあって)オリジナルを越えていると思えないし、本作の⑩Just Like I Planned⑪Had Enoughのアレンジに違和感を覚えたのも事実。特にアカペラだった⑩が普通のアコースティックバラードに変わってしまったのは残念ですね。インスト(⑦Mandy)やアカペラも収録した「何が出てくるか予測不可能なハードロック作品」というのが「MOOD SWINGS」の魅力のひとつだと思っていたので…。また本作には新曲が3曲収録されていて、いずれも後期HAREM SCAREMを思わせるナンバーです。

日本で絶大な人気を誇り、僕自身も大好きな「MOOD SWINGS」ですが、Harry Hess(Vo)はこれまでに「あの作品はそれほど好きではない、ファンの間でなぜ評価が高いのかわからない」という主旨の発言していたのでHAREM SCAREMが再結成をして「MOOD SWINGS」をリメイクするというニュースを聞いた時にはとても驚きました。BURRN!誌のインタビューや本作の初回限定盤付属DVDでの発言から察するに、ようやくバンド自身もこのアルバムの重要性に気づいてくれたようで嬉しいですね。現時点では本作リリース後に「MOOD SWINGS」の発売20周年記念ツアーを行うこと以外は決まっていないようですが、これからのHAREM SCAREMの動向に注目したいと思います。

HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

  • 2013/08/21(水) 00:00:00

LIVING IN YESTERDAY
【No.385】
★★★(2012)

2008年にHAREM SCAREMが解散した後は第一線から身を引き、ソングライター/プロデューサーとして多くのアーティストを手がけるというスタイルで音楽活動を続けてきたHarry Hess(Vo/ex-HAREM SCAREM)の2ndソロアルバム。Harryといえば2010年にFRONTIERS RECORDS主導のプロジェクトFIRST SIGNALでも衰えぬ歌声を披露していましたが、あちらは外部ライターがHAREM SCAREMを意識して書いた曲を歌うことがテーマだったので、Harryのペンによる楽曲で構成されたアルバムとしては解散後初めてということになりますね。1stソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)を9年前にリリースした時はHAREM SCAREMと差別化するためかソロではソフト路線となっていたのに対して、今回はロック色が強調されていて全体的にHAREM SCAREM寄りのサウンドとなっています。

HarryをバックアップしているのはPete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった前作と同じHAREM SCAREM時代の盟友(Peteはベースもプレイ、Darrenはドラムではなくバックコーラスで参加)なので、HAREM SCAREMらしい仕上がりになるのも自然なことだったんだと思います(強いて言えばギターを始めとするバッキングが若干軽いのがバンドとの相違点でしょうか)。上記の基本メンバー以外にもHarryがバンド解散後の活動で築いた人脈から多くのゲストが作曲や演奏面で参加していて、余談ですが本作は英語だとHESS名義となっているのに対して日本語表記では「ハリー・ヘス・アンド・フレンズ」となっています。そんな「フレンズ」の中で僕の目を引いたのは①Living In Yesterdayのギターソロを弾いているMagnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)⑧I Live For YouをHarryと共作しているFredrik Bergh(Key/STREET TALK、BLOODBOUND)、ギターとキーボードの一部を演奏し⑨I Don't Wanna Want Youの作曲にも参加しているTommy Denander(G/RADIOACTIVE etc)⑩Where To RunでギターソロをプレイしているChris Green(G/ex-PRIDE)ですね。英国のメロハーバンドPRIDE解散後に僕の中で消息不明扱いとなっていたChris Greenのギターを久し振りに聴きましたが、やはり彼は僕好みのプレイを聴かせてくれます。現在はFURYONなるバンドで活動していると知ったのでYouTubeで聴いてみたらメロハーとは縁遠いモダンなヘヴィロック的な音楽性でビックリしました(ギターは素晴らしいのですが…)。

アルバム本編10曲の半数以上がミドル~スローテンポの楽曲で占められている辺りは、自他ともに認める(?)バラードライターHarryのソロらしい作風と言えそうですね。ともすれば、まったりしたアルバムになりがちな本作をメリハリあるものにしてくれているのはキャッチーなボーカルハーモニーによる歌い出しで聴き手の心を掴む①、爽やか系メロハーの王道を行く②Reach For You、後期HAREM SCAREMの作品に収録されてそうなポップロック⑥Nothing Lasts Forever、Harry節が色濃く表れている本作で新鮮味が感じられる数少ないナンバー⑨といったロックソングの充実によるところが大きいと思います。正直なところバンド時代を凌駕しているわけではないし、超名曲が収録されているわけでもないのですがメロディ、歌、アレンジなど様々な面で安心して聴ける1枚ですね。

【音源紹介】
・Living In Yesterday

【CD購入録】HARDCORE SUPERSTAR「C'MON TAKE ON ME」(2013 )

  • 2013/04/03(水) 00:00:00

【CD購入録】
CMON TAKE ON ME
HARDCORE SUPERSTAR「C'MON TAKE ON ME」(2013 )

バッドボーイズロック系バンドの中で僕が一番注目しているHARDCORE SUPERSTARの8作目を買いました。今回のアルバムを聴いて思い浮かぶ言葉は「実験的」でしょうか。冒頭のイントロ①Cutting The Slackからしてシンセ主体でミステリアスなものとなっているし、⑥Stranger Of Mineでは退廃的でブルージーなサウンドを追求したり、⑦Won't Take The Blame Pt.1~⑧Won't Take The Blame Pt.2(Sect Meeting)で2部構成の楽曲にチャレンジしたりしている辺りも新たな試みと言えそうです。それ以外の特徴としてはこのバンドらしさはキープしつつ、前作に溢れていたエネルギーや衝動性は控えめになり歌メロがキャッチーになったという点でしょうか。ここ最近の作風に3rd「NO REGRETS」(2003)の要素を注入したようにも感じます。「らしさ全開」の③One More Minute⑪Too Much Businessがツボですね。

【現在の愛聴盤】HARDCORE SUPERSTAR「THE PARTY AIN'T OVER 'TIL WE SAY SO...」(2011)

  • 2013/02/14(木) 00:00:00

【現在の愛聴盤】
THE PARTY AINT OVER TIL WE SAY SO
HARDCORE SUPERSTAR「THE PARTY AIN'T OVER 'TIL WE SAY SO...」(2011)
2000年に「BAD SNEAKERS AND A PINA COLADA」でワールドワイドデビューを果たし、これまでにフルアルバム7枚とライブDVDを1枚リリースしてきたHARDCORE SUPERSTAR初のベストアルバムをレンタルして聴いています。

【トラックリストと収録アルバム】
01. We Don't Need A Cure(新曲)
02. We Don't Celebrate Sundays(4th「HARDCORE SUPERSTAR」)
03. Moonshine(7th「SPLIT YOUR LIP」)
04. My Good Reputation(4th「HARDCORE SUPERSTAR」)
05. Wild Boys(4th「HARDCORE SUPERSTAR」)
06. Someone Special(1st「BAD SNEAKERS AND A PINA COLADA」)
07. Dreamin' In A Casket(5th「DREAMIN' IN A CASKET」)
08. Into Debauchery(6th「BEG FOR IT」)
09. Here Comes That Sick Bitch(7th「SPLIT YOUR LIP」)
10. Last Call For Alcohol(7th「SPLIT YOUR LIP」)
11. Beg For It(6th「BEG FOR IT」)
12. Liberation(1st「BAD SNEAKERS AND A PINA COLADA」)
13. Bastards(5th「DREAMIN' IN A CASKET」)
14. Medicate Me(5th「DREAMIN' IN A CASKET」)
15. Standin' On The Verge(4th「HARDCORE SUPERSTAR」)
16. Still I'm Glad(3rd「NO REGRETS」)
17. Have You Been Around(1st「BAD SNEAKERS AND A PINA COLADA」)
18. Shame(2nd「THANK YOU(FOR LETTING US BE OURSELVES)」)
19. Honey Tongue(3rd「NO REGRETS」)
20. Run To Yur Mama(7th「SPLIT YOUR LIP」)

このバンドのスタジオ盤を全て持っている僕としては未発表新曲①We Don't Need A Cureが目当てで本作を聴いてみたのですが、その肝心の①は子供のコーラスや民謡風のテイストもあるHARDCORE SUPERSTARとしては異色のミドルチューンでなかなかの佳曲。バンドの本道とは違うスタイルの楽曲なのでベスト盤の1曲目ではなくラストに配置すべきナンバーのような気もしますが、敢えて冒頭に持ってくるという不敵さも彼等らしいですね。それ以降の19曲については「これは外せない」というものから「他の曲を入れて欲しかった」というものまでありますが、CDランニングタイムの限界近くまで収録してくれているので、このバンドに入門するためのベスト盤としてはありがたいかもしれません。初期3作品はバンドが音楽性を模索している状態だったので当たり外れががある一方で意外性が感じられ、4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)以降では自身のサウンドが固まってきて、その枠の中で優れた曲を量産してくれているという印象ですね。現在の安定感も捨て難いけれど、初期のような冒険をしてくれても面白いかな…とデビュー作から3rd「NO REGRETS」(2003)までの曲が続く終盤を聴いて思いました。

HARDCORE SUPERSTAR「SPLIT YOUR LIP」(2010)

  • 2013/02/11(月) 00:00:00

SPLIT YOUR LIP
【No.363】
★★★(2010)

メジャーデビューから約10年が経過し、今やベテランバンドの域に達した感がある北欧随一のバッドボーイズ・ロックンロールバンドHARDCORE SUPERSTARの7thアルバム。前作「BEG FOR IT」(2009)がこのバンドにしてはメロディの輪郭がハッキリした整合感のあるメロディアスなメタル寄りの作風だったのに対して、今回はバンドの本質的要素でもある破天荒なサウンドが前面に出ていますね。またJocke Berg(Vo)もメロディをきっちりなぞるのではなく、いい感じに荒れたしゃがれ声で歌っているためアルバムから感じられる熱気や衝動性も前作以上だと思います。

まずはオープニングの①Sadistic GirlsがいかにもHARDCORE SUPERSTARらしいロックチューンだし、「ラス、コー!フォ、アルコ!ホー!」のコーラスが理屈抜きでカッコいい③Last Call For Alcohol、パワフルなサビに合唱必至なタイトルトラック④Split Your Lip、曲の進行と共に加速していき終盤には裏打ち疾走する⑤Moonshineなど、アルバム前半に好きな楽曲が多いですね。アルバムに一貫して流れているのは4th「HARDCORE SUPERSTAR」(2005)の延長線上にあるサウンドではあるものの⑦What Did I Doではグロウル、⑩Honeymoonではスラッシュメタルのテイストを取り入れるなど新鮮さも垣間見せています。また⑥Here Comes That Sick Bitchではアコギ、本編ラストの⑪Run To Your Mamaではピアノのみというシンプルなアレンジで聴かせるバラード2曲もなかなか魅力的で、Jockeの声質にしっとり系のバラードが合うのか疑問でしたが結構いい味を出していますね。ちなみにバラードらしからぬ曲名の⑥は元々ロックソングとして書いたものに色んなアレンジを試しているうちに今の形に行き着いたのだとか。オリジナル(?)のロックバージョンも聴いてみたい1曲です。

アルバム全体の印象としては勢いとノリの良さで勝負する作風が純粋にカッコよく、安心して聴いていられるので自身の音楽スタイルを完成させたバンドならではの強みを感じます。ただバンドが今の音楽性に到達したセルフタイトル作の4thに魅了されてHARD CORE SUPERSTARを聴くようになった身としては、「ここ最近のアルバムも好盤ではあるけれども4作目を越えるには至っていない」と感じてしまうのも事実(この辺りは個人の思い入れによるところも大きいと思いますが…)。次のアルバムは、若干残るそんなモヤモヤ感を問答無用で吹き飛ばしてくれるほどの快作となることを期待したいですね。

【音源紹介】
・Sadistic Girls

【CD購入録】HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

  • 2013/01/17(木) 00:00:00

【CD購入録】
STRAIGHT OUT OF HELL
HELLOWEEN「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)

ここ最近のアルバムが抜群の安定感を誇るジャーマンメタル、いやメロディックメタル界の王者HELLOWEENの14作目を買いました。前作「7 SINNERS」(2010)がこのバンドにしてはかなり攻撃的な作風だった反動からか、今回は帯タタキにもある通りメロディアスでハッピーでポジティブなHELLOWEEN流メタルがぎっしり詰まっています。本作(僕はデラックス・エディションを購入)は15曲収録で約70分にも及ぶ長丁場でありながら何度も繰り返し聴きたくなる魅力がありますね。4人のソングライターが各自の持ち味を出しながらも各曲がHELLOWEENらしさを保持しているのが素晴らしく、今のラインナップが過去最高とメンバーが自負しているのもうなずけます。お気に入り曲を挙げればキリがないほど好きな曲が多いですが一番印象的なのは、いかにもMichael Weikath(G)らしい⑪Yearsですね。2013年初買いのCD購入録記事でこんなことを書くのも何ですが、早くも年間ベスト当確アルバムが登場したかもしれません。デラックス・エディションの特典のバンダナはこれから使い道を考えたいと思います(苦笑)。

【CD購入録】HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

  • 2012/12/09(日) 00:00:00

【CD購入録】
LIVING IN YESTERDAY
HESS「LIVING IN YESTERDAY」(2012)

HAREM SCAREM解散後はソングライター/プロデューサーという裏方にまわり、多くのアーティストを手がけるというスタイルで音楽活動を続けてきたHarry Hess(Vo/ex-HAREM SCAREM)の2枚目となるソロアルバムを買いました。Harryといえば2010年にFRONTIERS RECORDS主導で外部ライターが書いたHAREM SCAREM的な楽曲を歌うプロジェクトFIRST SIGNALでの活動もありましたが、ソロ作となると「JUST ANOTHER DAY」(2003)以来、約9年振りのリリースとなります。本作でHarryをバックアップするのはPete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった前作と同じHAREM SCAREM時代の盟友(Darrenはドラムではなくバックコーラスで参加)に加えて、Magnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR)、Tommy Denander(G/RADIOACTIVE etc)といった顔ぶれです。1stソロはHarryらしいメロディが楽しめる良盤ではあったものの大人しめの仕上がりだったのに対して、今回はロック色が強調されているのが個人的には嬉しいし、個々の楽曲に関しても後期HAREM SCAREMのアルバム以上に魅力的なメロディが多いように思います。爽やかなサビメロから始まるオープニングの①Living In Yesterdayはインパクト大で一気に本作に引き込まれました。Harryお得意のバラード系③It's Over、⑧I Live For YouなどHAREM SCAREMを思い出させるナンバーが多い中、⑨I Don't Wanna Want Youはバンド時代にはあまりなかったタイプと言えそうですね。

HESS「JUST ANOTHER DAY」(2003)

  • 2012/11/09(金) 00:00:00

JUST ANOTHER DAY
【No.351】
★★★(2010)

バンド名をRUBBERからHAREM SCAREMに戻してリリースした復活作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)が好評を博し、イギリスで開催されるメロディックロックの祭典THE GODS FESTIVALにも初出演を果たしたHAREM SCAREMの中心人物Harry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)、Creighton Doane(Ds)、Darren Smith(Ds)といった現/元HAREM SCAREMメンバーや地元カナダのプレイヤー達のサポートを受けてHESS名義で発表した初のソロアルバム。ちなみにPeteは全曲に参加していますがHAREM SCAREM色が強くなりすぎてしまうという理由から主にアコースティックギターを担当しているようです。目を引くゲストとしてはEric Martin(Vo/ex-MR.BIG)①Look Right Through Meのバックボーカルで参加していますね(彼が歌っているとわかるのは曲がフェイドアウトする直前ですが…)。HAREM SCAREMでは、そのバンド名が一定のサウンドを連想させるため音楽性にある程度の制約があったことをバンドの歴史が証明しているので、より自由な環境で制作できるソロではどんな音を聴かせてくれるのかと思っていたところ、過去のHAREM SCAREM作品群の中でも今やキャリアの黒歴史となった感のあるRUBBER名義「ULTRA FEEL」(2001)に穏やかで大人びたアレンジを施した作風となっているように思います。

Harry自身が「最も自然に書けるタイプの曲」と語る②Wasted Awayに象徴されるHAREM SCAREM風のメロディがそこかしこで聴ける今回のアルバムと本家の違いを挙げるとすれば、本作の方がよりボーカルオリエンテッドで楽曲の装飾を排除したシンプルな仕上がりとなっている点でしょうか。僕のお気に入り曲はとにかくポップで前向きなフィーリングが心地よい③Everybody、シンプルなアレンジだからこそメロディのフックが浮き彫りになったバラード④Just Another Day、RUBBER期を思い出させるパワーポップ⑧WhyQUEENからの影響を感じさせるボーカルハーモニーをフィーチュアした⑨Miles Awayなどですね。また2nd「MOOD SWINGS」(1993)ではDarrenが歌っていた⑩Sentimental Blvd.をセルフカバーしていて、このアルバムのテイクは91年~92年に録音した音源を基本にしつつ歌とドラムを差し替えたもののようです。Harryが歌う本バージョンも興味深くはありますが、基本的には原曲に近いハードな印象なのでリラックスムードが漂う本作に必要だったのかは疑問が残りますね。

本家と比べるとパンチに欠けるように思いますが、これまでも類稀なるソングライティングのセンスを見せつけてくれていたHarryのソロ作品だけあってどの曲も繰り返し聴きたくなる魅力を持っていますね。日本盤ボーナスながらゆったりしたメロディがアルバムを締めくくってくれる⑪Up Hill Climbもなかなか効果的。ロックソングと呼べそうなのは⑧くらいだし、派手さはないもののメロディがじんわりと胸に沁みる1枚です。それにしても2002年に7th「WEIGHT OF THE WORLD」で復活して以降、同年にライブ盤「LIVE AT THE GODS」、2003年には本作に加えてHAREM SCAREMの初期音源集「THE EARLY YEARS」と新作「HIGHER」の3枚、2004年にはPeteが1stソロ「DOWN IN IT」をリリースするなど、HarryとPeteのワーカホリック振りには驚かされますね。

【音源紹介】
・Just Another Day

HAREM SCAREMのベストアルバム5作品

  • 2012/10/02(火) 00:00:00

僕の中でFAIR WARNING、GOTTHARD、TERRA NOVAと並ぶ「メロディック・ロック四天王」の一翼を担うHAREM SCAREMのオリジナルアルバム、ライブ/企画盤を紹介してきましたが最後は彼等が発表した5枚のベストアルバムに関する記事でHAREM SCAREM特集を締めくくりたいと思います。
まずは各ベスト盤のトラックリストと簡単な感想から。

THE BEST OF
「THE BEST OF」(1998)

【トラックリストと収録作品】
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Blue(3rd「VOICE OF REASON」)
05. Believe(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
06. Rain (Full Band Version) (4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
07. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
08. Staying Away(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
09. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
10. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
11. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
12. So Blind(Kevin Elson Mix)(5th「BIG BANG THEORY」)
13. Tables Turning(Kevin Elson Mix)(5th「BIG BANG THEORY」)
14. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
15. Morning Grey(Kevin Elson Mix)(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
16. New Religion(Remix)(「LIVE AT THE SIREN」)
17. What I Do(未発表曲)
デビュー作「HAREM SCAREM」(1991)~5th「BIG BANG THEORY」(1998)までの楽曲からなるバンド初のベストアルバム。押さえるべき楽曲は概ね収録されているし、最初のベスト盤ということもあって「彼等のベストと言えば本作」という印象が強いですね。シングルカットもされた未発表曲⑰はインダストリアルな雰囲気漂うロックソングで当時のバンドはこういうモダンな方向性を目指していたことが窺えます。また既発曲は全てリマスターされているほか、4th「BELIEVE」収録曲の大半と5th「BIG BANG THEORY」の代表曲⑫などにリミックスが施されていてオリジナル盤とは異なる仕上がりとなっています(僕はオリジナルミックスの方が好みですが)。

BALLADS.jpg
「BALLADS」(1999)

【トラックリストと収録作品】
01. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
02. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
03. Something To Say(1st「HAREM SCAREM」)
04. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
05. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Just Like I Planned(2nd「MOOD SWINGS」)
07. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Let It Go(3rd「VOICE OF REASON」)
09. Necessary Evil(3rd「VOICE OF REASON」)
10. Rain(4th「BELIEVE」)
11. Hail, Hail(4th「BELIEVE」)
12. The Mirror(4th「BELIEVE」のSPECIAL EDITION」)
13. In My State Of Mind(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Without You(シングル「SO BLIND」)
15. More Than You'll Ever Know(「LIVE IN JAPAN」)
16. Remember(未発表曲)
17. Why(未発表曲)
6th「RUBBER」(1999)に伴う来日の記念盤として発表されたバラードベスト。収録曲の大半が「THE BEST OF」と異なっているにもかかわらず、バラードという枠の中でこれだけ多彩な楽曲を揃えられるHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)の作曲能力の高さには脱帽ですね。ちなみにHarryは自他共に認めるバラードライターで、本作のオープニングを飾るバンドの代表曲①を弱冠17歳で書き上げたという有名なエピソードがあるほどです。未発表曲はどちらもなかなかの佳曲で僕は特に後者が好きですね。

ROCKS_20120130111142.jpg
「ROCKS」(2001)

【トラックリストと収録作品】
01. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
02. With A Little Love(1st「HAREM SCAREM」)
03. How Long(1st「HAREM SCAREM」)
04. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
05. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
07. Sentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
09. Believe(4th「BELIEVE」)
10. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
11. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
12. Climb The Gate(5th「BIG BANG THEORY」)
13. Sometimes I Wish(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Stuck With You(6th「RUBBER」)
15. Trip(6th「RUBBER」)
16. If I'd Been Awake(未発表曲)
17. Going Nowhere(未発表曲)
「BALLADS」(1999)の約2年後にリリースされたロックソングベスト。アルバムタイトル、ジャケットからもわかるとおり、「BALLADS」と対になっている本作はRUBBER名義で発表された唯一のアルバム「ULTRA FEEL」(2001)の来日記念盤でもあります。選曲自体は手堅いものの僕の好きなロックチューンは「THE BEST OF」や翌年発表の「THE VERY BEST」で一通り聴けるので本作でしか聴けない楽曲に関して言うと、このバンドのロックソングとしては2番手に位置する佳曲でバラードの穴埋めをしたという印象も…。また新曲2曲についても⑯はどちらかというとバラード風で、ガツンと来るハードロックを期待していた身からすると作品の主旨から外れているように思えることもあって「BALLADS」と比べて満足感はやや低めだったりします。

THE VERY BEST OF HAREM SCAREM
「THE VERY BEST」(2002)

【トラックリストと収録作品】
01. Freedom(未発表曲)
02. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
05. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
07. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
08. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
09. Blue(4th「BELIEVE」)
10. Believe(4th「BELIEVE」)
11. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
12. Rain(4th「BELIEVE」)
13. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
14. Climb The Gate(5th「BIG BANG THEORY」)
15. Turn Around(5th「BIG BANG THEORY」)
16. Without you(シングル「SO BLIND」)
17. Stuck With You(6th「RUBBER」)
18. Draggin' Me Down(RUBBER名義「ULTRA FEEL」)
改名騒動の末に再びHAREM SCAREMとして活動していくことを表明した記念に(?)リリースされたベスト盤。「THE VERY BEST」と銘打っているだけあって、デビュー作からRUBBER名義の「ULTRA FEEL」までの全アルバムから選曲されているので網羅性は過去最高です。ただし収録曲を見ると新曲①を除く17曲中12曲は「THE BEST OF」でも聴けるので7th「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)でHAREM SCAREMに興味を持った新規ファン向けの1枚という印象が強いですね。「THE BEST OF」との差別化としては、デビュー作のオープニングにして名曲の②が収録されている点とアルバム順に曲が並んでいるのでバンドの音楽性が変化していくのを楽しめることでしょうか。

THIS AINT OVER BEST OF AVALON YEARS
「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」(2009)

【トラックリストと収録作品】
01. Weight Of The World(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
02. Next Time Around(10th「HUMAN NATURE」)
03. Higher(8th「HIGHER」)
04. Days Are Numbered(11th「HOPE」)
05. Don't Come Easy(9th「OVERLOAD」)
06. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. Watch Your Back(11th「HOPE」)
08. Human Nature(10th「HUMAN NATURE」)
09. Give It To You(8th「HIGHER」)
10. If You(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
11. Shooting Star(11th「HOPE」)
12. Afterglow(9th「OVERLOAD」)
13. Voice Inside(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
14. Daggar(9th「OVERLOAD」)
15. Lost(8th「HIGHER」)
16. This Ain't Over(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
17. Tomorrow May Be Gone(10th「HUMAN NATURE」)
18. If There Was A Time(アコースティックバージョン)
19. Honestly(アコースティックバージョン)
バンド名をRUBBERからHAREM SCAREMに戻した7th「WEIGHT OF THE WORLD」~ラストアルバム11th「HOPE」までの作品から選ばれたバンド後期としては唯一のベストアルバム。7作目以降は1枚のアルバムとして聴いた時に物足りなさを感じることも少なくなかったのですが、こうして選りすぐりの楽曲群を聴くと改めてメロディ作りの上手さにうならされますね。「この曲よりもあちらが聴きたかった」というものも2~3曲ありますが、この内容であれば文句なし。バンド後期については各アルバムに好きな曲が点在している印象を持っていた僕にとっては非常にありがたいアイテムですね。本編の後に収録されている既発曲のアコースティックバージョン2曲は日本未発売の企画盤「MELODICROCK EP」(2008)からのテイク。前者は初のアコースティクアレンジ、後者はアコースティクギター・バージョンだった「LIVE AND ACOUSTIC」(1994)のテイクとは、一味違うピアノバージョンで今回も見事な出来栄えです。

以上、各アルバムを振り返ってみると1991年にデビューしてから2008年に解散するまでの約17年間でベスト盤を5枚も発売していて供給過多の感は否めません。特に1997年~2002年の間にRUBBER名義を含めるとスタジオアルバム5枚、ベスト盤を4枚、ライブ作品を3枚、B面曲を集めた企画盤、90年代後半には複数のシングルがリリースされているため、どうしても食傷気味になってしまいますね。当時のHAREM SCAREMは3rd「VOICE OF REASON」(1995)がバンドの作品に対する満足感とは裏腹にセールス面で失敗に終わったため、レーベル側が制作に介入した4th「BELIEVE」(1997)を発表するなどしていたので、作品濫発の原因はレコード会社にあるのだとは思いますが…。
ベスト盤5作品に話を戻すと、これからこのバンドを聴くという方に1枚だけ選ぶとすれば網羅性の高さとバランスの良さから「THE VERY BEST」、もし2枚選べるなら、これと「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」をお薦めしたいですね。この2枚を聴けばHAREM SCAREMの11枚とRUBBFR名義を合わせた全12アルバムの収録曲を一通り押さえることができるので。また、バンドの初期~中期を深堀りしたいという場合には「BALLADS」と「ROCKS」が最適ではないでしょうか。個人的に最も満足感が高かったのは「THIS AIN'T OVER - BEST OF THE AVALON YEARS」ですが、これはバンド後期に絞ったベスト盤なので、HAREM SCAREMに初めて触れるという方にはChange Comes AroundHonestlyといった初期の名曲をまずは聴いていただきたいですね。

というわけで最後に僕が選ぶHAREM SCAREMのロック/バラードベストそれぞれ15曲を曲順も一応考えてピックアップしてみました。YouTube上で音源が公開されているものについてはリンクを貼っています。

【ROCK SIDE】
01. Change Comes Around(2nd「MOOD SWINGS」)
キャッチーなメロディ、テクニカルかつ歌心溢れるギター、分厚いコーラス、先の読めない展開などHAREM SCAREMサウンドの全てを詰め込んだ超名曲。彼等の楽曲群の中で一番好きな曲です。
02. Hard To Love(1st「HAREM SCAREM」)
デビューアルバムのオープニングを飾るハードポップナンバー。ライブで演奏されることも多いバンドの代表曲です。
03. Die Off Hard(4th「BELIEVE」)
典型的なHAREM SCAREM流ロックソング。爽やかな曲調の中、絶妙なバランスで配合された哀愁が堪りません。
04. All I Want(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
キャッチーでメロディアスなサビが強力。初めて聴いた時から一緒に歌っていた記憶があります。
05. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
ライブで必ずと言っていいほど演奏されるバンドを代表する1曲です。オリジナルもさることながら、解散したバンドが日本のために再び集結して新たに提供してくれた「ONE FOR ALL ALL FOR ONE 東日本大震災チャリティ・アルバム」(2011)収録バージョンも実に感動的。
06. If You(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
従来のハーレムサウンドとは意図的に距離を置き、パワーポップに傾倒していたRUBBER期を経た後だからこそ生まれた名曲。「If you never go away, how can I, can I miss you~♪」というウィットの効いた歌詞も良いですね。
07. Baby With A Nail Gun(4th「BELIEVE」)
一度聴いただけで口ずさめてしまうメロディを持ったギターインスト。Peteのソロ作品ではこういうタイプの曲がもっと聴きたいですねぇ。
08. Weight Of The World(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
バンド名をHAREM SCAREMに戻した復活作「WEIGHT OF THE WORLD」のオープニングにしてタイトルトラック。「MOOD SWINGS」に近い音楽性になるという宣言通りのハードロックサウンドが展開されるこの曲でアルバムが幕を開けた時点で、テンションが上がったことは言うまでもありません。
09. So Blind(5th「BIG BANG THEORY」)
これまでとは印象の異なるパワーポップ調に移行し始めた「BIG BANG THEORY」のリードトラック。メロディの組み立ての上手さが抜群ですね。
10. Staying Away(4th「BELIEVE」)
HarryではなくDarren Smith(Ds)がリードボーカルを務めた哀愁のドライヴィングチューン。Darrenのラフな歌声がマッチしています。
11. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
Change Comes Aroundと並ぶ「MOOD SWINGS」の代表曲にしてバンドが誇る至高のハードロックナンバー。僕とHAREM SCAREMの出会いはこの曲でした。
12. Give It To You(8th「HIGHER」)
If Youと同系統の軽快なパワーポップチューン。サビは勿論、そこに至るまでのメロディも僕の琴線を刺激してくれます。
13. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
「WEIGHT OF THE WORLD」のオープニングに配されたタイトル曲が持つハードな質感とは対照的にポップなナンバー。どことなくデビュー作を彷彿とさせるキャッチーなメロディが一発で耳に残ります。
14. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
「MOOD SWINGS」特有のダークな緊張感が色濃く出た1曲。このバンドならではのコーラスワークが歌うサビの哀メロもグッド。
15. Tomorrow May Be Gone(10th「HUMAN NATURE」)
後期HAREM SCAREMの中で一番好きなロックナンバー。フックに満ち溢れた旋律美がもたらしてくれる高揚感が最高です。

【BALLAD SIDE】
01. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
HAREM SCAREM最高のハードロックがChange Comes Aroundだとすればバラードはこの曲で決まりです。バラード作りの天才Harry Hessの真骨頂。
02. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
ドラマティックでスケールの大きな1曲。バラードと捉えていいのか迷う面もありますが「BALLADS」にも収録されていたのでバラード扱いとしました。そんな分類などお構いなしに優れたナンバーだと思います。
03. Higher(8th「HIGHER」)
丁寧に紡がれる繊細なメロディが胸に沁みます。「HUMAN NATURE」のボーナストラックとして収録されたアコースティックバージョンも秀逸。
04. Rain(4th「BELIEVE」)
バンドを代表するアコースティックバラード。温かさに満ちた至福のメロディにただただ酔いしれるのみ。
05. Tables Turning(5th「BIG BANG THEORY」)
「Love me~♪」と歌うサビで感情を一気に爆発させるパワーバラード。このバンドにしては珍しいオルガンサウンドもはまっています。
06. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
美しいイントロからHarryのハイトーンへと至る流れで勝負あり。この曲におけるギターソロはPete Lesperanceの名演のひとつですね。
07. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
デビュー当時のAOR路線を代表するバラード。HR/HMファンに限らず、幅広い層にアピールできそうな大衆性を備えた1曲です。
08. In My State Of Mind(5th「BIG BANG THEORY」)
ビアノとボーカルのみで聴かせるシンプルな一品。余計な装飾がない分、より一層メロディが胸に迫ってきます。
09. Shooting Star(11th「HOPE」)
最後のアルバム「HOPE」に収録された往年の名曲に勝るとも劣らない1曲。哀愁/泣きのメロディが大きな感動をもたらしてくれます。
10. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
2分弱の短い曲でありながらドラマティック極まりないギターインスト。聴き手のイマジネーションを刺激しつつ、聴き終える頃には爽やかな余韻を残してくれます。
11. This Ain't Over(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
Harryの温かみのある歌声を最大限に活かした王道的な1曲。5枚目のベスト盤のタイトルがここから取られたことにも納得できる後期HAREM SCAREMを代表するバラードですね。
12. Never Have It All(5th「BIG BANG THEORY」)
そこかしこにQUEENへの敬意が感じられるナンバー。Harryの力強い歌唱とともに後半に進むにつれて劇的になっていく展開も感動的です。
13. Just Like I Planned(2nd「MOOD SWINGS」)
バンドの特徴のひとつであるボーカルハーモニーに焦点を当てたアカペラソング。こういう曲ができるのも彼等ならではの強みですね。
14. Something To Say(1st「HAREM SCAREM」)
アコースティックギターのリリカルな調べに導かれ、清らかなサビへと繋がっていくデビュー作の本編ラストナンバー。どうしてもHonestlyに注目が集まりがちですが、この曲も隠れた名バラードだと思います。
15. Nothing Without You(11th「HOPE」)
バンドのキャリアを締めくくったラストアルバム「HOPE」の本編エンディング曲。派手さはないものの、じんわりと感動をもたらしてくれるナンバーです。

こうして見ると5枚のベスト盤に収録されていないのは30曲の中でEmpty Promises、Baby With A Nail Gun、Never Have It All、All I Want、Nothing Without Youの5曲だけなので、かなりベタなチョイスになってしまいました。上記30曲以外にもこのバンドには良い曲がたくさんあるので、このブログがきっかけとなって一人でも多くの方にHAREM SCAREMを聴いてくれると嬉しいですね。「足りないのは名声だけ」という帯タタキの名盤2nd「MOOD SWINGS」で日本デビュー、結局最後まで名声を得られなかった彼等ですがHAREM SCAREMこそ僕にとって「カナダ最強のハードロックバンド」です。

HAREM SCAREM「HOPE」(2008)

  • 2012/09/21(金) 00:00:00

HAREM SCAREM HOPE
【No.345】
★★★(2008)

自主制作の11曲入りデモ音源(2003年にボーナス4曲を追加して企画盤「THE EARLY YEARS」として発売)が大手レーベルWARNERの目に留まり1991年に本国カナダでデビュー後、2nd「MOOD SWINGS」(1993)で日本上陸を果たすと一気にブレイクしたものの、続く3rd「VOICE OF REASON」(1995)が日本受けしないグランジ路線だったことからケチがつき始め、改名騒動など紆余曲折あったHAREM SCAREMのラストアルバムにして通算11枚目の作品(RUBBER名義を除く)。前作「HUMAN NATURE」(2006)に伴うツアーで来日した時には、あと1枚のアルバムを制作した後に解散することが決まっていたため、メンバーも本作をレコーディングする前から「最後にスペシャルな作品を残したい」と語っていましたが、いざ聴いてみるとここに「特別な何か」と呼べる要素はなくHAREM SCAREMというバンドの現在進行形の姿が収められています。前作はハーレムサウンドの中でもポップで明るい側面が表れていたのに対して本作は一般的に問題作扱いされることが多いものの、実はHarry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)が揃って好きな作品に挙げる3rd「VOICE OF REASON」(1995)に通じる陰りのあるムードが強まっていて、過去作品の中では9th「OVERLOAD」(2005)に近いように感じました。最後だからと気負うことなく自分達のやりたいように仕上げてきた辺りがHAREM SCAREMらしいなと思う一方で、初期2作品のサウンドに思い入れがある身としては少し寂しくもありますね。

アルバム全体の印象としては近作と同じく、ヴァース~ブリッジでは抑制気味な感情をサビで爆発させるような流れのミディアムテンポが主体となっていて、熟練の域に達したソングライティングに舌を巻く場面も少なくありません。ギターとドラムの絡みが面白いパートから哀愁のサビに繋がる②Time Bomb、これぞハーレム節なアップテンポ④Days Are Numberedもさることながら本作最大の聴きどころはアルバム終盤ですね。過去の名バラード群に勝るとも劣らない感動をもたらしてくれる⑧Shooting Star、本作の中でも僕が思い描くHAREM SCAREM流ロックに最も近い⑨Calm Before The Storm、派手さはないもののメロディが胸に沁みるアコースティックバラード⑩Nothing Without Youと続く展開は素晴らしいの一言。そんな余韻を引き継ぐボーナストラック⑪Stranger Than Love(「MOOD SWINGS」収録)のアコースティックバージョンも含めて、この流れは本作の締めくくりだけでなくバンドの最後の花道を見事に飾ってくれています。

メンバーはバンド解散の理由を「HAREM SCAREMとしてできることはやり尽くした。これ以上続けていても同じことの繰り返しになってしまうから」と語っていますが、僕も8th「HIGHER」(2003)辺りから同じようなことを感じていました。一般的に見ると十分魅力的である反面、アルバム全体に漂う安定感がマンネリに繋がっているというか…。そういうこともあって、バンドが解散を発表した時も驚きよりも「遂にその時が来たか…」というのが率直な感想でした。そして本作を聴き終えてみても、解散を惜しむ以上にお疲れ様でしたという言葉が出てきます。HR/HM歴2年目の1996年に出会って以降、一時期迷走はしたものの僕のミュージックライフにおいて大切なバンドのひとつでした。素晴らしい音楽を届けてくれたカナダ最強のハードロックバンドHAREM SCAREMに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、HAREM SCAREM!

【音源紹介】
Shooting Star

HAREM SCAREM「RAW AND RARE」(2008)

  • 2012/09/15(土) 00:00:00

RAW AND RARE
【No.344】
★★(2008)

10thアルバム「HUMAN NATURE」(2006)リリース後にD.C. Cooper(Vo/ex-ROYAL HUNT)率いるメロディックメタルバンドSILENT FORCEとのやや異色なカップリングという形で約5年振りの来日が決定したHAREM SCAREMでしたが、来日公演の2ヶ月前に「もう1枚のスタジオアルバムを制作した後にバンドはそれぞれ別の道を進むことを決めた。今回のツアーが最後の公演となる」とHarry Hess(Vo)が電撃発表してファンを驚かせました。本作は来日ツアーから約1ヶ月後の2007年10月27日に英国ノッティンガムで開催されたメロディックロックの祭典「FIREFEST Ⅳ」に出演した事実上のラストライブを全曲収録した作品で、バンド通算5枚目となるライブ盤です。内容は当日の模様に加えて、映像と音は良いとは言えませんが1994年の「MOOD SWINGS TOUR」からの12曲やバックステージ、最終公演前に行われたインタビューなどの貴重映像を収録したDVDと「FIREFEST」の音源をそのまま収めたCDの2枚組となっています。「FIREFEST」の映像を見て、まず感じたのはHarryを始めとする各メンバーの表情がラストライブだとは思えないほどリラックスしているということ。ベーシストBarry Donaghyに至っては「巨根」とプリントされた黒Tシャツという出で立ちです(苦笑)。最終公演当日のインタビューでも「I quit the band now I just play with myself」と書かれた赤いTシャツを着ていたBarryは、こういうのが好きなんでしょうね。

【トラックリストと収録アルバム】
LIVE AT FIREFEST Ⅳ
01. Dagger(9th「OVERLOAD」)
02. Human Nature(10th「HUMAN NATURE」)
03. Caught Up In Your World(10th「HUMAN NATURE」)
04. The Paint Thins(3rd「VOICE OF REASON」)
05. With A Little Love(1st「HAREM SCAREM」)
06. Killing Me(7th「WEIGHT OF THE WORLD」)
07. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Don't Come Easy(9th「OVERLOAD」)
09. Voice Of Reason(3rd「VOICE OF REASON」)
10. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Karma Cleansing(4th「BELIEVE」)

1994 MOOD SWINGS TOUR
01. Saviors Never Cry(2nd「MOOD SWINGS」)
02. Empty Promises(2nd「MOOD SWINGS」)
03. Slowly Slipping Away(1st「HAREM SCAREM」)
04. Sentimental Blvd.(2nd「MOOD SWINGS」)
05. If There Was A Time(2nd「MOOD SWINGS」)
06. Mandy(2nd「MOOD SWINGS」)
07. No Justice(2nd「MOOD SWINGS」)
08. Distant Memory(1st「HAREM SCAREM」)
09. Honestly(1st「HAREM SCAREM」)
10. Stranger Than Love(2nd「MOOD SWINGS」)
11. Guitar Solo
12. Had Enough(2nd「MOOD SWINGS」)

同年9月に行われた最後の来日公演では「FIREFEST」と同じ11曲の他にも1st「HAREM SCAREM」(1991)収録のHard To Love、Honestly、2nd「MOOD SWINGS」(1993)収録のChange Comes Aroundといったバンド初期の人気ナンバーもプレイしたようですが「FIREFEST」のセットリストを見る限り、これを最終公演とするにはかなり微妙な選曲ですね…。バンドの歴史を総括する趣向が凝らされているわけではないし①Dagger、②Human Natureという佳曲ではあるが掴みとしては強力と言い難い前作「OVERLOAD」(2005)と最新作収録の2曲からライブがスタートしていることもあって、このツアーが新作を出した後に行うライブ以上でも以下でもないという印象が強いです。それに加えて演奏と歌の両方が淡泊なのも気になりますね。音圧の低いパワーポップに傾倒していた「LAST LIVE」(2000)、バンド名をHAREM SCAREMに戻してハードロックの質感を強めていた「LIVE AT THE GODS」(2002)という最近のライブ盤2作品でそうだったように、このバンドはその時に目指している音楽性がライブに反映されることが多かったのですが、その傾向は本作にも見られるように思います。堅実かつ無難である反面エキサイトメントに欠け、どうにも熱くなれないんです…。

そんな僕にとっては特典映像の「1994 MOOD SWINGS TOUR」の方が数段魅力的だったりします。映像自体は会場の後方から固定カメラで撮影されたものなので画面下半分は観客で隠れ、メンバーの姿は上半身しか見えませんが今のバンドが失ってしまったエネルギーと緊張感に溢れています。世界で最もHAREM SCAREMを評価していたと言っても過言ではない日本では、特に人気の高い2nd「MOOD SWINGS」(1993)を完全再現するとか、RUBBER期を含めた全作品からのベストライブを行うなどのファンサービスをして欲しかったですね。グランジ寄りのサウンドからパワーポップまで音楽面ではその時々に興味を持ったサウンドを積極的に取り込み、毎回一定レベル以上のアルバムを作り上げる器用さを持っていたバンドですが、ファンの心を掴むことに関しては不器用だったと言わざるを得ません。これがラストツアーであることなどお構いなしに自然体で素のライブ収めたパートを「RAW」、1994年の秘蔵ライブ映像などで構成されるパートを「RARE」と考えると本作のタイトルにも納得できるものの、メインである「RAW」パートを見ても感慨深くなることがなく魅力薄だというのがファンとして何とも歯痒いですね。

・Human Nature(Live)


・Saviors Never Cry(Live)

本作とは異なるテイクです。

HAREM SCAREM「HUMAN NATURE」(2006)

  • 2012/09/07(金) 00:00:00

H SCAREM H NATURE
【No.343】
★★★(2006)

過去のドタバタ劇が嘘のように7th「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)で復活して以降、コンスタントに安定感ある作品をリリースしているHAREM SCAREMの10thアルバム。近年の作品は悪くはないけれど楽曲の振り幅が狭く、メロディも地味なため各曲を取り出して聴くとそれなりに楽しめる一方でアルバムとしてはインパクトに欠けるという印象を持っていたのですが今回はなかなか好感触です。「ファンが求める初期2作品の音楽性を目指した」とHarry Hess(Vo)が語る通り、前作「OVERLOAD」(2005)では希薄だった気持ちを高揚させてくれるメロディや爽快感はグッと強まっているし、バンドのトレードマークでもあるコーラスワークも分厚くなっていますね。なおバックボーカルにはTony Harnell(Vo/ex-TNT)のほか、今回も元メンバーのDarren Smith(Ds)が参加しています。

2nd「MOOD SWINGS」(1993)の頃を連想させるギターで始まり「ヒュー!マァン!ネェ~ェイチャ~♪」という覚えやすいサビに繋がるタイトルトラック①Human Nature、バンドのダーク/シリアス路線の代表曲No Justice(「MOOD SWINGS」収録)をポップに仕上げたかのような②Next Time Aroundという冒頭2曲がポジティブな雰囲気を放っているため、全体的にドンヨリしていた前作とは印象が大きく異なりますね。また本作はアルバム後半に進むにつれて楽曲のテンションが上がっていくので、近作で見受けられたダレを誘う場面も減少しています。個人的には伸びやかなサビが特徴の⑨Starlight、バンドの爽やかな持ち味を活かした⑩Going Under、フック満載のメロディで本編を締めくくってくれる⑪Tomorrow May Be Goneがハイライトですね。

アルバム全体としても王道のメロディックロックを軸にしつつメランコリックなバラード、前作に通じるモダンロック調からQUEENへのリスペクトが滲む⑦Give Love/Get Loveまで粒が揃っていて、ガツンと来るハードロックこそないもののHAREM SCAREMらしさが随所に感じられるのも好ポイント。これまで以上に歌ものアルバムという印象が強い本作に相応しいボーナストラック⑫Higherは8th「HIGHER」(2003)のタイトル曲のアコースティックバージョンで、オリジナル以上に繊細なメロディが胸に沁みる好アレンジだと思います。正直なところマンネリ感を拭いきれていなかったり、どこかで聴いたフレーズが散見されるのも事実ですが過去2作品では行われなかった来日公演が本作発表後に実現したことにも納得の充実盤ですね。

【音源紹介】
・Next Time Around

HAREM SCAREM「OVERLOAD」(2005)

  • 2012/08/28(火) 00:00:00

OVERLOAD
【No.342】
★★(2005)

前作「HIGHER」(2003)発表後もPete Lesperance(G)が初のソロアルバム「DOWN IN IT」(2004)を、本作と同じ2005年にはCreighton Doane(Ds)が通算2枚目となるソロ作品を発表、Harry Hess(Vo)はCreightonの前任ドラマーDarren Smith率いるBLACK STARのアルバムプロデュースを手がけ、Barry Donaghy(B)もCDこそ発売していないものの自身のプロジェクトで精力的に活動するなど、各メンバーが多忙な日々を送るHAREM SCAREMの9作目(RUBBER名義を含めれば記念すべき10枚目)となるアルバム。今やベテランバンドの域に入りつつある彼等はこれまでも基本線を守りながら作品毎に異なる表情を見せてくれていましたが、今回は3rd「VOICE OF REASON」(1995)にも通じる内省的でダークな印象が強くHAREM SCAREM流モダンロックと呼べそうな作風に仕上がっていますね。作品イメージとしてはPeteのソロ「DOWN IN IT」に近いような気がします。

前作のオープニング曲Reach同様、掴みとしては微妙ながらもサビメロが耳に残るミドル①Daggerに続く近年のパワーポップ路線を継承した②Afterglowへ至る流れ、一際キャッチーな響きと風変わりなリズムギターが面白い④Don't Come Easy、メタリックなリフから②に通じる威勢の良さが弾ける⑥Forgive & Forget、Harryが情感を込めて歌い上げるバラード⑧Leading Me Onなどは結構好きですね。ただ、前作(特に後半)でも感じられた作品全体を覆うメリハリのなさが気になります。楽曲単体としては流石のクオリティを備えてはいるものの、1枚のアルバムとして聴くとどうにも単調に思えてしまうんですよね。収録曲の大半が静かに始まりヘヴィにうねるギターを従えながら地味に展開していき、サビでHAREM SCAREMらしいメロディが聴けるという画一的な曲構成となっていることが影響しているのかもしれません。これまで無名のバンドが本作をリリースしたのならば「なかなかいいね」と思えたんでしょうけれど、HAREM SCAREMのアルバムとして見ると物足りなさが残ります。

またHarry自身が書いたライナーノーツの曲解説を読んでいると、湧き出た曲のアイデアをじっくり練り上げることをあまりせずにアルバムに収録しているように感じられるのも気になりました。他のアーティストのプロデュースを手がけることも多く、HAREM SCAREM以外にも常にレコーディング作業を行っているHarryとPeteは元々そういう手法でソングライティングをしてきたのかもしれませんが、更に時間をかけてマテリアルを厳選することで作品の印象をもっと良くすることができたように思うのですが…。同じくダークな路線だった3rdに比べると印象的なメロディはこちらの方が多いし歌や演奏、楽曲に大きな弱点は見当たらないのに盛り上がることなくアルバムが終了してしまっているのが残念。BURRN!誌のレビューで小澤さんが本作を「Bサイドコレクション」と表現しているのを見ても、それに反論するだけの決め手もないため言い得て妙と納得してしまう…そんな1枚です。

【音源紹介】
・Don't Come Easy

【CD購入録】H.E.A.T「ADDRESS THE NATION」(2012)

  • 2012/08/24(金) 00:00:00

【CD購入録】
ADDRESS THE NATION
H.E.A.T「ADDRESS THE NATION」(2012)

2009年に日本デビューし、いきなりLOUD PARK 09で来日を果たすなど順調に活動していたものの2nd「FREEDOM ROCK」(2010)リリース後にKenny Leckremo (Vo)が体調不良などを理由に脱退してしまったため、後任にErik Gronwall(Vo)を迎えたスウェーデン産メロディック・ロックバンドH.E.A.Tの3作目を買いました。シンガー交代がどう影響するのか気になっていましたが、結論から言うとErikもこの手の楽曲を歌うのに適した声の持ち主なのですんなり聴けますね。なんでも彼はアイドル発掘番組「SWEDISH IDOL」の2009年度優勝者で、2枚のアルバムをソロ名義で発表していることもありボーカルパフォーマンスは安定しています。楽曲的にはPVも制作されたシングル曲②Living On The Runが頭ひとつ抜き出ているほか、それ以降も佳曲揃いだと思います。ただ現時点では、これまでこのバンドに抱いていた「良い作品だけれどもう一押し欲しい」という思いを払拭するには至らないかな、というのが率直な感想ですね。

HAREM SCAREM「HIGHER」(2003)

  • 2012/08/21(火) 00:00:00

H SCAREM HIGHER
【No.341】
★★★(2003)

改名騒動の末、HAREM SCAREM名義で発表した前作「WEIGHT OF THE WORLD」(2002)は多くのファンが求める2nd「MOOD SWINGS」(1993)を彷彿とさせるサウンドをベースに、これまでのキャリアを総括したかのようなバンドの音楽性が見事に結実した傑作でした。本作はHAREM SCAREMとして復活してから2作目、通算8枚目のアルバムです(RUBBER名義を除く)。前作で文字通りの復活を果たしたとはいえ、このバンドにはファンの期待と異なる大胆な方向転換をした前科(苦笑)があるので本作を聴くまで彼等が本当に帰ってきてくれたのか懐疑的でしたが基本的には「WEIGHT OF THE WORLD」の延長線上にあり、一段とメロディアスな作品に仕上がっていると思います。また、2000年にバンドを脱退したDarren Smith(Ds)が前作に続いてバックコーラスで参加していてバンド初期の質感を出すことに貢献しています。

まず印象的なのはアルバム全編に溢れるポジティブフィーリングで、前作発表後もライブアルバム「LIVE AT THE GODS 2002」(2002)、Harry Hess(Vo)のソロ「JUST ANOTHER DAY」(2003)、バンドの初期音源集「THE EARLY YEARS」(2003)と精力的な活動を続けてきたバンド状態の良さを象徴しているかのようですね。アルバムの幕開けとしてガツンとくるインパクトは不足しているものの「Reach For The Sun~♪」の伸びやかなサビが印象的な①Reach、程よい哀感が堪らない②Waited、前向きなポップロックチューン③Torn Right Out⑥Run And Hide、RUBBER路線を継承した新たな名曲④Give It To You、淡々としていながら丁寧に美しいメロディを紡いでいくバラード⑤Higherといったアルバム前半はなかなか充実していますね。

ただし「MOOD SWINGS」ばりのハードロックにバラード、インストからパワーポップに至るまでバラエティ豊富だった前作に比べると、今回は④を除いてミディアムテンポ/バラード系が主体となっているため起伏に乏しく感じられるのも事実。日本盤ボーナスを含めて全11曲で40分弱というコンパクトな作品でありながら、どうにも淡泊に感じられて後半は聞き流してしまいがちだし、フェイドアウトがやや唐突な曲が多いのも気になります。勿論、楽曲単体で見れば流石のクオリティを備えているので、他のバンドの曲とシャッフルしながらiPodで聴いている時に本作の曲が流れてくると素直に良いと思えるものばかりなんですけどね。かつてのバンドから感じられた僕の心を熱くしてくれる「何か」が欠けている気もしますがハーレムサウンドを構成する要素をきっちり押さえ、熟練の域に達したソングライティングチームが生み出す楽曲は安定感抜群なので本作は堅実で無難ながら良質なメロディが詰まった1枚だと思います。

【音源紹介】
・Higher

HAREM SCAREM「THE EARLY YEARS」(2003)

  • 2012/08/16(木) 00:00:00

H SCAREM E YEARS
【No.340】
★★★(2003)

カナダが誇るメロディックロック界の至宝HAREM SCAREMがデビュー作「HAREM SCAREM」(1991)からRUBBER名義で「ULTRA FEEL」(2001)を発表するまでの約10年間在籍していたWARNERとの契約を勝ち取るきっかけとなった11曲のデモ音源集に未発表曲(①Whatever I Want、②When The Morning Comes、③Say Goodbyeと日本盤ボーナス⑮Lost In Yesterday)を追加した企画盤。何でも前述の11曲入りデモはプレミア価格がついていたそうで、その話を聞いたバンド側の「より多くの人に聴いてほしい」という思いから商品化されました。デモ制作当時のメンバーはHarry Hess(Vo)、Pete Lesperance(G)、Mike Gionet(B)、Darren Smith(Ds)という3rd「VOICE OF REASON」(1995)までと同じラインナップです(Mikeは1995年、Darrenは2000年に脱退)。HAREM SCAREMは本作をリリースした2003年までにベスト盤とライブアルバムをそれぞれ4枚、未発表曲を収録したシングル多数、そんなシングルのB面曲を集めた企画盤をリリースするなど商魂逞しいところがあったので今回もその手の作品かと高をくくっていたのですが、これが予想以上に粒揃いの内容となっています。

全15曲の中には既発曲も含まれていて⑤All Over Again、⑥Honestlyは1stアルバム、⑨Staying Awayは4th「BELIEVE」(1997)、①と⑭Out Of LoveはHarryとPeteが全面バックアップしたFIOREのデビュー作「TODAY TILL TOMORROW」(1998)に収録されています(一部歌詞やメロディが違う部分があったりロックソングは基本的にテンポが速くなったりしていますが)。「Harryが弱冠17歳で書き上げた」という枕詞でお馴染みの名バラード⑥が本作の時点で既に完成の域に達しているのには驚かされるし、「BELIEVE」ではDarrenが歌っていた⑨のHarryバージョンがここで聴けるのは嬉しいですね。上記以外に僕がわかっているだけでも③のブリッジは5th「BIG BANG THEORY」(1998)収録のTable Turning、⑮のヴァース~ブリッジは4th収録のDie Off Hard⑪One Of The Woundedのイントロ~ヴァースはFIOREの1st収録のAnythingなど、HAREM SCAREMやFIOREの楽曲の元ネタとなっているパートやどこかで聴いた気のするフレーズが散見されるので、このバンドを聴き込んだファンにとって興味深い内容だと思います。

だからといって本作がコアなファン向けの1枚かと言うとそうではなく、とにかく楽しげでHAREM SCAREM節全開のキャッチーソング④Looking Back、そのままアルバムに収録しても通用しそうなバラード⑫The Right Timeなど、そんじょそこらのメロディックロック作品以上に魅力的な楽曲が収録されています。あくまでデビュー前のデモ音源なのでHarryのボーカルは発展途上の段階にあるし、音質にも荒さが残りますがメロディの組み立て方の上手さとPeteの類い稀なるギターセンスには既にその片鱗が見受けられますね。楽曲の充実振りで考えると、デビュー当時のHAREM SCAREMが好きな人ならば他のアルバムよりもまず本作を聴いてみるのもいいかもしれないと思えるほどです(褒め過ぎかもしれませんが…)。

【音源紹介】
・Looking Back