【CD購入録】FAITHEALER「WELCOME TO THE EDGE OF THE WORLD」(2010)

  • 2015/03/19(木) 00:00:00

【CD購入録】
WELCOME TO THE EDGE OF THE WORLD
FAITHEALER「WELCOME TO THE EDGE OF THE WORLD」(2010)

「SIGNS OF PURITY」(2003)という名盤を生み出したものの、セールス面での苦戦が響き解散してしまったメロディックロックバンドPRIDEの中心人物Ivan Gunn(Key)が旧知の友人でもあるJason Marks(Vo/ex-S.I.N.)と結成したFAITHEALERの1stアルバムを買いました。体制としてはバンドではなくプロジェクトのようでIvanとJasonがギター、ベース、ドラムなどの演奏を全てをこなしChris Green(G/ex-PRIDE)が全曲のギターソロ、Matt Mitchell(Vo/ex-PRIDE)が幻想的なバラード⑨Heaven From Hereにゲスト参加しています。内容は参加メンバーから想像がつく通りの手堅いメロディアスハードで、この手のサウンドが好きな人なら安心して聴ける1枚だと思います。特徴を挙げるとすれば、どの曲も5分以上あってこのジャンルにしては長尺な点でしょうか。お気に入りはサビのコーラスがやたら耳に残るタイトル曲⑫Welcome To The Edge Of The Worldですね。Ivanは本作以降もこのプロジェクトを続ける意向だったようですが、現時点で音沙汰がないので残念ながら立ち消えになったのかもしれません…。

FORTUNE「MAKING GOLD」(1993)

  • 2014/09/02(火) 00:00:00

MAKING GOLD
【No.406】
★★★(1995)

先日記事をアップしたMASQUERADE同様、ゼロ・コーポレーションに見出だされて日本デビューを果たした叙情派北欧メタルバンドFORTUNEの1stアルバム。MASQUERADEがTNTから影響を受けていたのに対して、このバンドはSILVER MOUNTAIN、初期EUROPEに通じるものがありますね。FORTUNE最大の武器はメインソングライターBenny Soderberg(Vo、Key)が紡ぎ出す哀愁と泣きのメロディです。悲哀に満ち、それでいて煮え切らないメロディの数々とそれを歌うBennyの頼りなくて垢抜けないボーカルは聴き手を選ぶかもしれませんが、独特の味わいがあります。1997年にBennyが新たに結成したCLOCKWISEのデビュー作では洗練性を増したサウンドとBennyによるB級ボーカルがミスマッチのように感じられましたが本作では全てがB級(誉めてます/苦笑)なので、それがプラスに作用しているようにも思えますね。

BON JOVIRunawayを思わせるイントロを持つ①Eyes Of Iceは「これぞ北欧メタル!」と呼べるナンバーでアルバムの掴みとして申し分ありません。そんな本作のハイライトはFORTUNEの魅力をギュッと凝縮した④Renegade、物悲しく切ないメロディが胸を締め付けるバラード⑤Life Goes On、曲名通りの荒涼とした雰囲気が漂うドラマティックチューン⑥Stormy Roadsが並ぶアルバム中盤です。哀メロ全開な曲調とは不釣り合いな軽い歌詞が多い本作において⑥の「Once we were forever friends, now it seems like never again♪」という一節は凄く印象に残りました。アルバムの肝となっているのがBennyのメロディセンスであることは間違いありませんが、後にTHE POODLESに参加することになるHenrik Bergquist(G)のギターワークも各曲に華を添えていることも見逃せません。難点を挙げるとすれば好きな曲とそうでない曲が分かれ、後半に進むにつれてメロディのフックが弱くなっているように感じられることでしょうか。

古き良き北欧メタルを愛するリスナーから好意的に受け止められ、日本で巻き起こった90年代の北欧メタルブームに上手く乗ったかに見えたFORTUNEでしたがMASQUERADEと同じく2枚目のアルバムで流行を意識したグランジ路線に変化したことが原因で人気は急落。1996年に再びメロディアスな音楽性に舵を切った3rd「LORD OF FLIES」をリリースしたものの、本作の哀愁路線とは一線を画したハードロック作品(これはこれで悪くないのですが…)だったこともありファンを呼び戻すことができずバンドはその後解散しています。中心人物のBennyはCLOCKWISEでの活動も長続きせず、2枚のアルバムを発表しただけで表舞台から姿を消してしまいました。9月3日にアヴァロン・レーベルから再発されるリマスター盤の収録曲はゼロ・コーポレーション盤と全く同じらしく、改めて「Bennyはもう引退した」という事実を突きつけられたようで残念ですね…。

【音源紹介】
・Life Goes On

FIREHOUSE「GOOD ACOUSTICS」(1996)

  • 2014/01/25(土) 00:00:00

FIREHOUSE G ACOUSTICS
【No.391】
★★★★(1996)
年間ベスト1996年第4位

デモテープを聴いたJon Bon Jovi(Vo/BON JOVI)がとても気に入り、Jonのバックアップもあっていきなり大手レーベルのEPICと契約、1990年(日本では1991年)にバンド名を冠したデビュー作をリリースするやDon't Treat Me BadLove Of A Lifetimeが全米トップ10入りを記録するなど90年代のアメリカンハードロック史にその名を刻んだFIREHOUSEの4thアルバム。一般的に本作は4枚目のフルレンス作品と見なされているようですが新曲はアルバム冒頭に並ぶ3曲のみで、それ以外は過去3枚のアルバムに収録されていたヒットソングをアコースティックリメイクした7曲にEAGLESのカバー⑪Seven Bridges Roadを加えた内容なので企画盤と呼んでも差し支えない構成となっています。1996年当時はアンプラグドブーム(の後期?)だったこともあり「ハードロックバンドが流行に乗って一儲けしようとした作品」という批判もあったそうですが、僕にとってはこのアルバムこそがFIREHOUSEの最高傑作だし、これまでに聴いたアコースティックアルバムの中でも本作とGOTTHARD「D FROSTED」(1997)は飛び抜けて素晴らしい出来だと思っています。

本作の特徴は新曲も含めて全てがアコースティックナンバーでありながら、ソロパートでは必要に応じてエレクトリックギターを用いてロックバンドらしさをきっちり保っている点でしょうか。まずはアルバムの掴みとなる新曲が強力で、澄み渡る青空が似合う爽やかなメロディが素晴らしい①You Are My Religionと大人っぽい曲調が魅力的な③In Your Perfect Worldが特にお気に入りです。それ以降に並ぶバンドの代表曲に関しては⑤Love Of A Lifetime、⑦When I Look Into Your Eyes、⑨Here For You、⑩I Live My Life For Youといったバラード系が秀逸で、各曲のメロディがアコースティックアレンジによって一段と胸に響いてきますね。中でも⑨、⑩の2曲は大学時代から付き合っていた奥さんとの想い出が詰まっていることもあって今でもよくリピートしています。元々はロックソングだった⑥All She Wrote、⑧Don't Treat Me Badにも果敢に挑戦し、楽曲の新たな魅力を引き出している点も見逃せません。全体的な傾向としてアレンジがカントリーっぽくなっていてオリジナル以上にC.J Snare(Vo)の甘い歌声と珠玉のメロディが堪能できる作風となっています。

バンドは本作を発表した後レーベルを移籍してフルアルバムを3枚、ライブアルバムを1枚、そしてリメイクベスト「FULL CIRCLE」(2011)をリリースしていますがオリジナルアルバムは「PRIME TIME」(2003)が最後となっています。主要メンバーの近年の動向を調べてみたところBill Leverty(G)はソロをメインに活動、C.Jの方はなんとChris Green(G/FURYON、ex-PRIDE)RUBICON CROSSというプロジェクトを結成してデジタル配信でシングルを発表しているようですね。試聴してみたら結構良さげでした。BON JOVIと浅からぬ関係にありジャンル的にも同じカテゴリーに含まれるこのバンドですが、少なくともバラードでは彼等の方がBON JOVI以上に僕好みのメロディを聴かせてくれるし今年の1月にはY&T、WINGERと共に来日するなどFIREHOUSEとしてのライブは精力的に行っているようなので、もう一花咲かせてもらいたいですね。

【音源紹介】
・You Are My Religion

【CD購入録】FAIR WARNING 「SUNDANCER」(2013)

  • 2013/04/25(木) 00:00:00

【CD購入録】
SUNDANCER.jpg
FAIR WARNING 「SUNDANCER」(2013)

僕にとって重要なメロディックロックバンドのひとつFAIR WARNINGの7作目を買いました。リリース前から本作はネイティヴ・アメリカンをテーマにした2nd「RAINMAKER」(1995)と対をなす作品だとアナウンスされていた1枚で、確かにこのバンドにしては土着的でロックンロールテイストが色濃く出ている場面もあって2ndを連想させますね。近作で感じられたハードなサウンドの減退は更に進行していて2nd収録の名曲Burning Heart路線のナンバーはない一方で楽曲が放つポジティブなムード、Tommy Heart(Vo)の力強い歌声、Helge Engelke(G)が奏でるスカイギターの音色といったFAIR WARNINGのアイデンティティは今回も健在です。飛び抜けたキラーチューンはないものの、第一印象は再結成後のアルバムの中で一番良いかもしれません。ちなみに僕は迷った末に本編がSHM-CDで4曲入りボーナスディスクと豪華60ページブックレットが付いたスペシャルパッケージ仕様の初回限定盤を買いました。目当ては勿論ボーナスCDだったのですが4曲中3曲はアルバム収録曲のバージョン違い、ここでしか聴けないDISC-2①Here Comes The RainがFAIR WARNINGとしては平均的なナンバーなので熱心なファン向けという感じでしょうか。なお60ページのブックレットは装丁こそ豪華ながらメンバーの写真は少なめでバンドの使用機材のアップ写真が大半だし、DVDケースと同じサイズなので収納しにくいなどツッコミどころの方が目につきますね(苦笑)。

【現在の愛聴盤】FAIR WARNING「BEST AND MORE」(2012)

  • 2013/04/21(日) 00:00:00

【現在の愛聴盤】
BEST AND MORE
FAIR WARNING「BEST AND MORE」(2012)

HR/HMを聴くようになった1995年に出会って以降、僕の中でメロディアスハードロックバンドの最高峰として君臨し続けているFAIR WARNINGの2枚組ベスト盤をレンタルして聴いています。バンドはこれまでに「EARLY WARNINGS 92-95」(1997)、「A DECADE OF FAIR WARNING」(2001)とベストアルバムを2枚発表しているものの前者は初期2作品からのみの選曲でベスト盤リリースのタイミングとしては時期尚早、後者はレコード会社の版権のしがらみでデビュー作にして名盤の「FAIR WARNING」(1992)からの収録曲が少ないなど不満が残る作品だったのに対して本作は2枚組で全32曲というボリュームで充実していますね。

【トラックリストと収録作品】
DISC-1
01. Burning Heart(Live)(ライブ盤「TALKING AIN'T ENOUGH」)
02. Save Me(3rd「GO!」)
03. All On Your Own(3rd「GO!」)
04. Longing For Love(1st「FAIR WARNING」) 05. When Love Fails(1st「FAIR WARNING」)
06. Angels Of Heaven(3rd「GO!」)
07. Out On The Run(Live)(ライブ盤「TALKING AIN'T ENOUGH」)
08. Don't Give Up(2nd「RAINMAKER」)
09. Long Gone (1st「FAIR WARNING」)
10. Generation Jedi(Live)(ライブ盤「TALKING AIN'T ENOUGH」)
11. Don't Keep Me Waiting(5th「BROTHER'S KEEPER」)
12. Still I Believe(Live)(ライブ盤「TALKING AIN'T ENOUGH」)
13. Heart On The Run(4th「FOUR」)
14. Here Comes The Heartache(6th「AURA」)
15. I'll Be There(3rd「GO!」)
16. I Fight(4th「FOUR」)
17. The Way You Want It(3rd「GO!」)

DISC-2
01. Rock 'N' Roll (Live)(LED ZEPPELINのカバー。未発表音源)
02. A Little More Love(Live)(ライブ盤「LIVE IN JAPAN」)
03. Come On(シングル「SAVE ME」)
04. The Heart Of Summer(2nd「RAINMAKER」)
05. Angel Of Dawn(Live)(ミニライブ盤「LIVE AT HOME」)
06. The Call Of The Heart(Live)(ライブ盤「LIVE IN JAPAN」)
07. Rain Song(ミニライブ盤「LIVE AT HOME」)
08. Like A Rock(ライブ盤「LIVE AND MORE」DISC-2)
09. Out Of The Night (ライブ盤「LIVE AND MORE」DISC-2)
10. Meant To Be(ライブ盤「LIVE AND MORE」DISC-2 )
11. Don't Count On Me(6th「AURA」)
12. Just Another Perfect Day(6th「AURA」)
13. Light In The Dark(シングル「ANGELS OF HEAVEN」)
14. Man On The Moon(Live)(ライブ盤「LIVE AND MORE」DISC-1)
15. Children's Eyes(シングル「IN THE GHETTO」)

ポイントは選曲対象が各スタジオ盤だけでなくライブ作品やシングルにまで及んでいるためDISC-2③Come On、DISC-2⑬Light In The Darkなどの隠れた名曲も収録されている点ですね。FAIR WARNINGファンの僕はシングル、ライブ盤を含めて(おそらく)全ての音源を持っているため、初めて聴くのはDISC-2①Rock 'N' Roll (Live)のみですが、これはまぁオマケという感じですね。選曲を見ると、あの曲を入れて欲しかった(名曲が多いバンドならではの贅沢な悩み)だとか、Andy Malecek(G)のソロが楽曲のハイライトだったDISC-1①Burning Heart、流石のTommy Heart(Vo)も高音がキツそうなDISC-1⑫Still I Believe、DISC-2⑤Angel Of Dawnなどはアルバムバージョンの方が良かっただとか気になる点があるのは事実ながら、全体的には押さえるべき曲は押さえられているのでFAIR WARNING入門用としては最適なアルバムだと思います(スタジオ盤から聴くなら「GO!」が断然お薦め)。ここ最近のアルバムは名曲とそれ以外の差が大きいため今ひとつのめり込めずにいるのですが、こうしてベスト盤を聴いていると4月24日にリリースされる7th「SUNDANCER」に期待したくなってしまうんですよね…。

FIRST SIGNAL「FIRST SIGNAL」(2010)

  • 2012/12/06(木) 00:00:00

FIRST SIGNAL
【No.356】
★★★(2010)

10作目「HUMAN NATURE」(2006)に伴う来日公演の2ヶ月前に「もう1枚のスタジオアルバムを作った後に解散する」と表明し、その言葉の通り11th「HOPE」(2008)リリース後にライブを行うことなく解散したHAREM SCAREMのフロントマンHarry Hessを擁する新プロジェクトFIRST SIGNALの1stアルバム。仕掛人はメロディアスハードファンの僕にとって最重要レーベルのひとつFRONTIERS RECORDSの社長で、これまでにもMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)がメロディックロックを歌うというコンセプトのPLACE VENDOMERobert Sall(G/WORK OF ART)、Erik Martensson(Vo/ECLIPSE)、Jef Scott Soto(Vo/TALISMAN)の3人が組んだプロジェクトW.E.T.などを発案してきたSerafino Perginoです。本作のテーマは「クラシックなHAREM SCAREMサウンドを蘇らせること」だそうですがHarryが「HAREM SCAREMとして本作のようなアルバムを作ってきたつもりはない」と語っている通り、ハーレムサウンドの復活というよりは「Harryが他のソングライターによる良質なメロディックロックを歌っているアルバム」と表現した方が合っていると思います。HAREM SCAREMの作品群の中で近いアルバムを挙げるとすれば、外部ライターの曲を一部取り入れたこともあってバンドの独自性が薄めなデビューアルバム「HAREM SCAREM」(1991)でしょうか。

今回、Harryは曲作りには全く関わっておらずTomとJamesのMartin兄弟ECLIPSEやW.E.T.で活躍するErik Martenssonといったソングライター陣が楽曲を提供、Dennis Ward(B/PINK CREAM 69)がプロデュースするというFRONTIERS作品ではお馴染みの顔ぶれがHarryをバックアップしています(HAREM SCAREMの人脈では元ドラマーのDarren Smithがバックボーカルで参加)。まずはオープニングの①This Cityが爽快メロハー系のキラーチューンで僕はこの曲の先行PVを見た瞬間に本作購入を決めました。Martin兄弟恐るべし。それ以外にも爽やかなサビメロが耳に残る②When You Believeとダイナミックなメロディ展開がいかにも彼らしい⑩Yesterday's Rainの2曲を書いたErik、アルバム随一の泣きメロが胸に沁みるバラード④Crazyを提供したRonny Milianowicz(Ds/SAINT DAEMON)などFRONTIERS御用達ライター陣の作曲能力の高さには改めて感心してしまいますね。また、このアルバムには③Part Of Me、⑨When November FallsというRichard Marxのカバー2曲も収録されていて、楽曲の素晴らしさだけでなくアルバムへの溶け込み具合もお見事。なお後者はFRONTIERS恒例のアコースティックバージョンが日本盤ボーナスとして収録されていて僕はこちらの方が好きですね。

本作がハーレムサウンドを再現しているかは微妙なので、レーベル側が謳う「HAREM SCAREM復活」を過度に期待すると肩透かしをくらう可能性もありますが⑤Goodbye To The Good Timesのようなハーレム時代にはなかったタイプの曲を歌うHarryが聴けるのは面白いし、メロディックロックファンならば文句なしに楽しめる1枚に仕上がっていると思います。優れたシンガーがFRONTIERSに楽曲から演奏陣、プロデューサーに至るまでをお膳立てされて歌うプロジェクトという意味でJoe Lynn Turner(Vo/ex-RAINBOW etc)SUNSTORM、Michael KiskeのPLACE VENDOMEと同列の作品と言えるのではないでしょうか。ちなみにHAREM SCAREMが解散してからのHarryは他のアーティストのプロデュースや楽曲提供に忙しくも充実した日々を送り、HAREM SCAREM時代の盟友Pete Lesperance(G)と一緒に仕事をすることは多いものの再結成はおろかロックソングを書くこともなく、メロディックロックとは縁遠い音楽活動をしていたようです。そう考えるとHarry Hessというシーン屈指の歌い手をバンド解散後初めて表舞台に呼び戻してくれたFRONTIERSに拍手を送りたいですね。

【音源紹介】
・This City

FIORE「ALL I FEEL」(1998)

  • 2012/10/20(土) 00:00:00

ALL I FEEL
【No.348】
★★(1998)

Harry Hess(Vo)、Pete Lesperance(G)、Darren Smith(Ds)というHAREM SCAREM3メンバーのバックアップを受けてデビューしたニューヨーク出身のメロディックロックバンドFIOREの2ndアルバム。まず驚かされるのは前作から僅か9ヶ月というリリース間隔の短さです。今回も曲作りにHarryが深く関与しているとはいえ、短期間でこれだけの楽曲を揃えられたのは、80年代頃に在籍していたバンドPREVIEWはレコード会社の事情により地元アメリカでは発表されなかったり、ソロ名義でリリースされるはずだった作品は日の目を見ずに終わってしまったりと、なかなか表舞台で活躍できなかった苦労人Jon Fiore(Vo)の「このチャンスを絶対モノにする!」という強い気持ちがあったからこそ成し得た業なのかもしれませんね。こうして自身のバンドで活動できるようになったのはJonの長きに渡る努力が実を結んだような気がして嬉しくなります。

アルバムの中身はというと、前作「TODAY TILL TOMORROW」(1998)や初期HAREM SCAREMが好きなら一定以上の満足感が得られるであろう上質のメロディアスハード作品に仕上がっています。HAREM SCAREMのお蔵入り音源もいくつか使っていた1stアルバムに対して、今回は前作リリース後に書かれた全11曲を収録していて8曲がJonとHarryの共作、3曲がHarryによるものとなっていてJonのインプットは増えているものの、プロデュースにもHarryが関わっていることもあってソングライティング面でJonの個性は感じられません。また躍動感あるロックチューンからスローバラードまでバラエティがあって、アルバムの「決め」となるナンバーが複数存在していたデビュー作に比べると今回はメロディアスではあるものの若干薄味な印象を受けますね。今回の新味としては歌詞のテーマである憎しみの感情を曲に反映させたヘヴィチューン⑥Good For Nothingでしょうか。

他の同系統アルバムと比べても劣らないどころか安心して聴いていられるし、Jonの掠れ気味のボーカルは今回も胸に響いてくるのですがメロディの充実度には前作との開きが感じられますね。①Fool Yourself、⑤The Only Way We'll Know、⑦Keep Me Satisfied、⑨Come And Gone、⑩All I Feelなど半数近くがHAREM SCAREMの曲としても通用しそうなほどHarryらしさに満ちた作風ということもあって、FIOREがシンガー違いのHAREM SCAREMに思えてきてしまうのも否定できません。そういう意味でFIOREはバンドというよりもHarryが書いた曲をJonが歌うプロジェクトと見なした方がいいような気もします。結局FIOREは本作の後にベスト盤をリリースしたのを最後に音沙汰がなくなってしまいましたがJonはなかなか魅力的な声の持ち主なので、また何らかの形でカムバックを果たしてもらいたいですね。

【音源紹介】
ごめんなさい。本作の音源を見つけられませんでした。

FIORE「TODAY TILL TOMORROW」(1998)

  • 2012/10/14(日) 00:00:00

FIORE.jpg
【No.347】
★★★★(1998)
年間ベスト1998年第7位

1980年代にはPREVIEWというバンドでメロディックロック界における幻の名盤と称されるセルフタイトル作のフロントマンを務め、それ以降も多くのバンド/プロジェクトにバックボーカルで参加するなどキャリア豊富なニューヨーク出身のシンガーJon Fioreを中心とするバンドFIOREのデビューアルバム。僕はこのアルバムを聴くまでJonもPREVIEWも知らなかったので本作を買ったきっかけはHAREM SCAREMの中心人物Harry Hess(Vo)Pete Lesperance(G)が楽曲を手がけ、プロデュースもしていることが理由だったのですが、これが1998年当時の本家以上に僕好みのメロディックロック作品で驚きました。HAREM SCAREMの作品で例えるならデビュー作で聴けるハードポップを軸に、時折4th「BELIEVE」(1997)の雰囲気も感じるといったところでしょうか。

まずはアルバムの掴みがなかなか強力。快活でエネルギッシュなアップテンポ①Whatever I Want、HAREM SCAREMの哀愁路線そのままの②Out Of Love、爽快感に満ちた③All Alongという冒頭3曲にやられました。その後も明るい系から仄かな泣きを発散するものまで良質のメロディックロックが堪能できます。アルバム前半にロックソング、後半にミディアムテンポを集中させた作品構成やスローバラードの⑦Strong Enough、⑧Someday Soonが続く曲順はもう少し考えて欲しかった気もしますが個々の楽曲のクオリティは高いと思います。楽曲面で特筆すべきは、本作の中で唯一Harryが作曲に関わっておらずJonがもうひとりのソングライターと共作したボーナストラック⑫Did You Ever Walk Awayですね。素晴らしいメロディを持ったバラードであることに加えて、曲の後半で聴けるアコースティックギターやピアノによる美旋律で締めくくるエンディングなど聴き手の涙を誘うアレンジが秀逸。本作のベストチューンを選ぶとすればこの曲で決まりですね。

HAREM SCAREMのブレイン2人に加えて、バンドの持ち味のひとつであるバックコーラスで存在感を発揮するDarren Smith(Ds/HAREM SCAREM)までもが本作をバックアップしており⑥Don't Take It Too Fastなどではハーレム節とも言えるハーモニーを聴かせてくれるので、予備知識なしで聴くとHAREM SCAREMのニューアルバムと思ってしまいそうな1枚です。そんな本作においてFIOREならではの魅力となっているのが、ややハスキーで何とも言えない哀感を備えたJonのエモーショナルボイス。どことなくHarryに似た声質で、彼ほど力強さはないものの独特の色気を放つJonの歌声は楽曲の良さと並ぶ本作の聴きどころです。裏を返せば、それ以外にFIOREの独自性が感じられないほどHAREM SCAREM色の濃い作品ということになるのですが…。ちなみに①と②はHAREM SCAREMがバンド初期に録音していながらお蔵入りになっていた曲で、2003年にリリースされるバンドの初期音源集「THE EARLY YEARS」に収録されています。

【音源紹介】
・Did You Ever Walk Away

【CD購入録】FAIR WARNING「TALIKNG AIN'T ENOUGH FAIR WARNING LIVE IN TOKYO」(2010)

  • 2010/11/11(木) 00:00:00

【CD購入録】
TALKING AINT ENOUGH
FAIR WARNING「TALIKNG AIN'T ENOUGH FAIR WARNING LIVE IN TOKYO」(2010)

2009年10月のLOUD PARK、翌年1月の単独来日という2公演をほぼフルでぎっしり収録したFAIR WARNINGの2DVD+3CDの限定ボックスセットを買いました。当初、2DVDのみでいいかと思っていましたがAmazonだと定価より\2000近く安く買えたので奮発してしまいました。ちなみにこの限定ボックスにはブレスレットとステージに掲げられていたバックドロップの切れ端(10cm四方)という微妙な特典が封入されています。

本作を聴いていると「良い曲を沢山持っているバンドは強い」と実感しまますね。僕なんてセットリストを見た時点でほぼ購入を決意していました(笑)。LOUD PARKの模様を収めたDVD-1は①Angels Of Heaven~②Save Meという僕が超名盤と崇める3rd「GO!」オープニングの最強コンボ、単独公演のDVD-2はデビュー作の人気曲①Out On The Runから最新作でも2曲目に配されていた②Here Comes The Heartacheという新旧名曲に続けてLOUD PARKのオープニング2曲の順番を入れ替えて演奏する充実振り。2DVDのみ、3CDのみの仕様でも発売されているとはいえ非常にボリュームのある作品なので、これからFAIR WARNINGを聴こうという方には敷居が高いかもしれませんがバンドの歴史を凝縮したライヴ盤だと思います。個人的な聴きどころは最初のコーラスまでをボーカルとピアノだけで聴かせるDVD-2⑰Still I Believeですね。さすがのTommy Heart(Vo)も高音がキツそうですが、このアレンジはなかなか感動的です。余談ですがヘアースタイルと髭の形のせいかTommyの姿が、突然の悲劇で命を落としてしまったSteve Lee(Vo/GOTTHARD)に見える場面もあったのは僕だけでしょうか。

FAIR WARNING「AURA」(2009)

  • 2010/11/08(月) 00:00:00

AURA.jpg
【No.265】
★★★(2009)

一時解散後、2006年に再結成したFAIR WARNINGの6thアルバムにして復活後2枚目にあたる作品。前作「BROTHER'S KEEPER」もFAIR WARNINGらしい作品ではありながら、僕の中ではメロディの充実度が過去の作品群に及ばないという印象が強いため「ひとまず再結成をして従来と同じ路線のアルバムを作ってくれた喜びに浸るアルバム」となっていました。再始動の挨拶を「BROTHER'S KEEPER」で済ませ、活動が本格化してくるのは次のアルバムからだと思っていたし、前評判で本作は超名盤である1st「FAIR WARNING」や3rd「GO!」の方向性に近いと聞けば、期待するなという方が無理というものです。

大きな期待を胸に、いざプレイボタンを押してみると①Fighting For Your Love、②Here Comes The Heartacheという掴みの2曲が「これぞFAIR WARNING!」というべきBurning Heart系のメロディックチューンで、これは新たな傑作の誕生かとワクワクしながら聴き進めていったのですが、聴き終える頃にはFAIR WARNINGとしてはまずまずの作品かなという感想で落ち着いていました。FAIR WARNINGらしさ満点の冒頭2曲以降は、Man On The Moonに通じる浮遊感が心地よい③Hey GirlI'll Be Thereタイプの爽快ナンバー④Don't Count On Meと続き、その後は「GO!」と同じく本作も中盤にミディアム~バラード系の楽曲が並んでいるのですが、全体的に「GO!」の楽曲を小ぶりにしたかのように感じられるのが少し残念かな。終盤に配された⑩As Snow White Found Out、⑪Just Another Perfect Dayという2曲のロックナンバーが、それまでのマッタリ感をだいぶ解消してくれてはいるものの作品全体としてはハードロックらしい熱さよりも、ゆったりメロディを聴かせる姿勢が強調されたアルバムですね。そんな「緩い」印象を更に強めているのが前2曲でテンションが上がったところに登場するエンディング曲⑫Falling Repriseの存在です。曲名の通り、この曲は⑤Fallingと共通のメロディを持つミディアムバラードなのですが、元となる⑤が本作の中でも地味なナンバーだし、リプリーズにしては5分と長尺なのでダレを誘ってしまっているように思えてなりません。アルバムに登場したメロディをリプリーズとしてエンディングに再登場させるという手法自体は好きなんですけどね。

というわけで僕にとって本作は、並のメロディックロックバンドでは到達できない高みにいることは間違いないし、前作以上に好きなアルバムではありますが初期4作品との差はまだ大きい1枚というのが正直なところです。中盤のバラード系にしても続けて聴くと間延びしてしまうものの、個々の楽曲を取り出してみれば聴き応えのあるものが多いのも事実だったりします(特に⑧Someday⑨It Takes Moreが好き)。また僕が買った初回限定盤には①Station To Station、②Just As She Smilesという新曲を2曲、本編収録曲の別ヴァージョン4曲を収めたボーナスディスクが付いています。過去にLight In The DarkCome Onというとんでもない隠し球をシングルにのみ収録してきたFAIR WARNINGなので、ここでしか聴けない2曲に期待していました。…が、これら2曲についてはFAIR WARNINGとしては平均的な楽曲という印象です。とはいっても、このバンドはその平均レベルがべらぼうに高いので十分佳曲と言えるクオリティなので、初回限定盤を買ってよかったと思っています。

【音源紹介】
・Here Comes The Heartache

【CD購入録】FIRST SIGNAL「FIRST SIGNAL」(2010)

  • 2010/08/27(金) 00:00:00

【CD購入録】
FIRST SIGNAL
FIRST SIGNAL「FIRST SIGNAL」(2010)

HR/HMシーンとは距離を置いていたMichael Kiske(Vo/ex-HELLOWEEN)をカムバックさせたPLACE VENDOMEMagnus Karlsson(G/PRIMAL FEAR、LAST TRIBE etc)が書いた楽曲をRussell Allen(Vo/SYMPHONY X)Jorn Lande(Vo/MASTERPLAN)に歌わせたALLEN-LANDEなど、メロディアスなHR/HMを好む僕の琴線に触れるバンド/プロジェクトを続々と生み出している業界きっての仕掛人にしてFRONTIERS RECORDSの社長Serafino Perginoが送り出す新プロジェクトFIRST SIGNALの1stアルバムを買いました。FIRST SIGNALのテーマは「2008年に解散したHAREM SCAREMのボーカルHarry Hessが外部ライターのペンによるHAREM SCAREM風の楽曲を歌う」というもので、これまた僕にとっては嬉しいプロジェクトですね。以前の記事に書いたような豪華ソングライター陣が提供する高品質な楽曲の中でもPVになった①This Cityがかなり気に入っています。全体的にはHAREM SCAREMのセルフタイトルによるデビュー作に近いハードポップ系でHarryの成熟した歌声が後期HAREM SCAREMを思わせる部分もあるので、ここにHarryの盟友Pete Lesperance(G/ex-HAREM SCAREM)のギターがあればバンドの遺作「HOPE」(2008)に続く作品だと言われても納得してしまいそうなほどです。FRONTIERS RECORDS側はFIRST SIGNALがスタジオプロジェクトであることを公言しているので、次作やライブがあるかは微妙ですがHarry復活がとにかく嬉しい1枚ですね。Peteはどうしてるんでしょうか…?

【CD購入録】FIREWIND「THE PREMONITION」(2008)

  • 2010/02/23(火) 00:00:00

【CD購入録】
THE PREMONITION
FIREWIND「THE PREMONITION」(2008)

ギリシャ人ギタリストGus G.率いるFIREWINDの5作目を買いました。僕はこのバンドのデビュー作と前作「ALLEGIANCE」を聴いたことがあるのですがデビュー当時はGusのソロプロジェクトっぽかったし、DREAM EVILMYSTIC PROPHECYを脱退し、ARCH ENEMY加入の誘いを断ってまで注力した前作は楽曲があまり印象に残らず、CDラックに眠ってしまっていました。ところが本作では飛躍していますね。何と言ってもメロディの魅力が大きく向上しています。熱さほとばしるメタルチューン①Into The Fire、②Head Up Highやケルテイックムード漂うハードロック③Mercenary Manを筆頭に前半が特に充実していますね。日本盤ボーナス⑪Ride To The Rainbow's Endもメロディック・メタルファンには堪らない疾走曲です。また今のFIREWINDはGusのワンマンバンドではなく、MAJESTICTIME REQUIEM在籍時に来日した経験もあるApollo Papathanasio(Vo/EVIL MASQUERADE)、ソロでも活躍するBob Katsionis(Key)らがいて、Gusと張り合ってくれているのも好印象。残念ながらMark Cross(Ds/ex-HELLOWEEN、METALIUM)はバンドを離れてしまったようですが、2010年にリリース予定の新作も楽しみです。と、その前に前作も聴き直してみようかな。

【CD購入録】FAIR WARNING「AURA」(2009)

  • 2009/06/27(土) 00:00:00

【CD購入録】
AURA.jpg
FAIR WARNING「AURA」(2009)

2006年に再結成したFAIR WARNING復活後の2作目、通算6枚目のアルバムを買いました。BURRN!誌のレビュー、インタビュー記事の中で1st「FAIR WARNING」、3rd「GO!」路線との評判だったので大きな期待を胸に聴いてみたところ、確かにそれらしい雰囲気が感じられますね。ミッドテンポの楽曲が多いこともあり、個人的には「GO!」の中盤~後半を思い出しました(←褒め言葉です)。冒頭の2曲はなかなか強力だし、それ以降の粒揃いの楽曲が並んでいてFAIR WARNINGはやっぱりいいなぁと思える1枚です。過去の名曲群を越える、または肩を並べるものがあるかというと首を傾げてしまいますが、⑩As Snow White Found Out、⑪Just Another Perfect Dayは現在のヘヴィローテーションとなっています。またこのバンドはLight In The DarkCome Onのように、アルバム未収録曲にも名曲が存在するので、僕は初回限定2枚組(Disc-2には未発表の新曲2曲と本編のバージョン違い4曲を収録)を買いました。ここでしか聴けないDisc-2①Station To Station、②Just As She Smilesの2曲もなかなかの佳曲なので、ファンなら聴いて損はないと思いますよ。

FAIR WARNING「BROTHER’S KEEPER」(2006)

  • 2009/06/24(水) 00:00:00

BROTHER’S KEEPER
【No.154】
★★(2006)

2000年に解散した極上メロディアス・ハードロックバンドFAIR WARNINGの復活作にして通算5作目。解散以降、Tommy Heart(Vo)SOUL DOCTORで、Helge Engelke(G)DREAMTIDEで音楽活動を続けていましたが、メインソングライターのUle W. Ritgen(B)が音楽業界から距離を置いていたため、正直復活はないと思っていたところに飛び込んできた再結成のニュースには大喜びしました。

Andy Malecek(G/LAST AUTUMN’S DREAM)を除くオリジナルメンバー4人によって生み出されるサウンドは、紛れもなくFAIR WARNINGの音楽そのもの。ボーカリストとして更なる成長を遂げたTommyの歌声、天まで届けといわんばかりのハイトーンで楽曲を彩るHelgeのギター、そしてUleの楽曲というFAIR WARNINGの3大要素がこうして合わさることで独特のオーラが発散されています。が、しかしその3大要素の中で最も重要なUleの楽曲(本作ではHelgeの曲は2曲のみ)がどうにも煮え切らないんです。これはあくまでFAIR WARNINGというバンドを基準にしての感想ですが。

シングルカットされた①Don’t Keep Me Waiting、Hlege作の②Tell Me Liesというアルバム出だしはいいんだけど、その後が今ひとつ。バラードタイプの④Wasted Time、⑧All Of My LoveやHelgeが書いた⑥Generation Jediなんかは僕好みではあるものの、過去の楽曲群に比べると突き抜けた爽快感やメロディのフックが物足りず、FAIR WARNINGの実力ってまだまだこんなもんじゃないはずだという想いがこみ上げてきます。とりあえずこのバンドの再結成は僕にとってのビッグニュースだし、今後も活動は続けてくれそうだから今回はまずこのメンバーで音楽を作り上げてくれたことを素直に喜びたいですね。文句なしの復活作は次回に期待します。

【音源紹介】
・2006年のライブダイジェスト。
本作収録のDon’t Keep Me Waitingもあります。

FAIR WARNING「4」(2000)

  • 2009/06/23(火) 00:00:00

4
【No.153】
★★★★(2000)
年間ベスト2000年第7位

超名盤「GO!」から3年の時を経てリリースされたFAIR WARNINGの4thアルバム。前作があまりに素晴らしい作品だっただけに今回はどうなるか心配してましたが、本作も手堅くハイレベルな楽曲がズラリと並べられています。サウンドの特徴としては、これまで以上にコーラスワークを多用するようになり楽曲に更に厚みが出たというところはあるものの、新鮮味は少ないですね。それでもFAIR WARNINGらしい元気づけられるポジティブなメロディが楽曲の中で躍動してるので、愛聴している作品です。

バンドの代名詞となっているHelge Engelke(G)が紡ぎ出すスカイギター特有の音色で幕を開ける①Heart On The RunからしてFAIR WARNING節満載です。それ以降も高品質なサウンドは健在で④Forever、⑦I Fight、⑩Find My Wayといったスピード感溢れる楽曲、開放感あるゆったりしたメロディが楽しめる⑥Dream、ボーナストラックながら本作のハイライトチューンとなっている⑬Still I Believe、そしてアイリッシュな雰囲気でアルバムを締めくくる新機軸⑭For The Youngと、お気に入り曲が非常に多いアルバムです。なお、ギターに関してはほとんどHelgeがプレイしていて、Andy Malecek(G)が参加してるのは⑤Tell Me I’m Wrongと⑦のみ。両方の曲でAndyらしい情感のこもったプレイを聴かせてくれていて、特に⑤で発散する泣きは強烈でHelgeにはないAndyならではの魅力だと思います。

気になるのは、優れたメロディアスハードアルバムでありながら「マンネリ」という言葉が脳裏をよぎる作風なのと、過去の楽曲の使い回しと思えるようなメロディがある点でしょうか。本作ではHelge作の曲(①④⑩⑬⑭)がどれも素晴らしいのに比べて、Ule W. Ritgen(B)の楽曲にこれまでのような求心力が感じられないような気もします。ただしそれは、あくまで過去の作品群と比べての話であって、客観的に見ればいいメロディが満載の名盤であることには違いありません。本作発表後、Andyに続きTommy Heart(Vo)も脱退し、バンドは解散状態となってしまいます…。

【音源紹介】
・Forever

FAIR WARNING「LIVE AND MORE」(1998)

  • 2009/06/21(日) 00:00:00

LIVE AND MORE
【No.152】
★★★★(1998)

メロディアス・ハードロック界の至宝FAIR WARNINGの3作目にして傑作アルバム「GO!」リリース後の東京公演を収録したライブ作品。「LIVE AND MORE」というタイトルが示すように、ライブ盤のDisc-1と未発表曲からなるDisc-2の2枚組仕様となっています。当時のメンバーはAndy Malecek(G)が体調不良で一部の曲でしかプレイできないためにHenny Walter(G/ex-THUNDERHEAD)がセカンドギタリストとして参加しているほか、ツアー直前に脱退したオリジナルドラマーC.C.Behrensの後任に次回作「4」でもプレイすることになるPhilippe Candas(Ds)を迎えています。

まず「LIVE」の方から見ていくと、デビュー作の楽曲をほぼ全て収録したライブ作品「LIVE IN JAPAN」との重複を避けるというバンド側の意図から、セットリストは2ndと3rdからの楽曲で構成されています。というわけで本作がFAIR WARNINGの歴史を網羅しているとは言い難いのですが、オープニングトラック①Angels Of Heaven、②I'll Be Thereという「GO!」からの2曲でライブが始まった時点で、そんなことはどうでもよくなってしまいました(笑)。正直なところ、この曲よりもあの曲を聴きたかったと思うものもありますが、曲名通りのメッセージを観客に届けるTommy Heart(Vo)のボーカルソロパートを経てエンディングへ向かう④Don't Give Upなど、ライブならではのアレンジが秀逸な曲もあり嬉しさがこみ上げてきます。そして、本作でのみ聴けるアコースティックギターによるインスト曲⑥We Used To Be Friends以降は名曲のオンパレード。⑥におけるアコースティックサウンドの温かみを引き継いで始まる⑦Follow My Heart、キーボードソロがそのまま曲のイントロへと繋がっていく名曲⑧Save Me、オリジナルアルバム未収録にしておくには勿体ない隠れた名曲⑨Come On、当日のステージに初登場したAndyのギターソロに続いて演奏される2ndの代表曲⑩Burning Heartという流れは文句のつけようがありません。2枚のアルバムから、これだけのセットリストが組めるFAIR WARNINGは本当に名曲が多いバンドだと改めて感じました。

また「MORE」については、僕が持っているゼロ・コーポレーション盤(現在は廃盤)の時から収録されている3曲に加えて、マーキー・インコーポレイティドから再発されたバージョンにはシングル「SAVE ME」のカップリング曲(Come Onを含む未発表曲2曲と「GO!」収録曲のバージョン違い1曲)と再発盤でしか聴けない⑦Rivers Of Love(Different Version)が収録されていてお得感がアップしています。もともと「MORE」に収録されていた3曲については、どれもアウトテイクっぽさはあるもののメロディ運びは流石に上手くて、中でも②Meant To Beは「GO!」に入っていても不思議ではないほどのバラード佳曲です。

【音源紹介】
・I’ll Be There(TV Show)

FAIR WARNING「GO!」(1997)

  • 2009/06/19(金) 00:00:00

GO
【No.151】
★★★★★(1997)
年間ベスト1997年第3位

メロディアス・ハードロックというジャンルの中で、僕にとっての最重要アルバムといえるFAIR WARNINGの3作目。名盤と称えられるデビュー作以上に僕はこちらの方が気に入っています。高音域も力強く伸びるTommy Heart(Vo)のボーカル、伝説のギタリストUli Jon Rothから譲り受けたスカイギターで曲のハイライトを作り上げるHelge Engelke(G)のプレイ、体調不良のためHelgeより出番は少ないが泣きのフレーズで心を揺さぶってくるAndy Malecek(G)のギターといった要素がメインソングライターUle W. Ritgen(一部はHelgeの作曲)によって生み出される楽曲に乗ることで完成する唯一無二のFAIR WARNINGサウンドを完璧に表現したのが本作だと思ってます。

とにかく曲がハンパじゃなく良いんですよね。シングルカットされたFAIR WARNINGらしさ満点の①Angels Of Heaven、②Save Me、Andyのギターが堪能できるバラード③All On Your Own、哀愁の中にポップさも兼ね備えた④I’ll Be Thereという冒頭の4曲がどれも超がつくほどの名曲で、この時点で名盤決定です。その後、アルバム中盤でややテンションが下がる気もしますが、それは他の曲が良すぎるからであって並のバンドなら名曲扱いされそうな楽曲ばかりです。アコースティックギターが心地よく響く⑦Follow My Heart、アルバム後半の山場となっている⑫The Way You Want It、⑬The Love Songといったバラードチューンも絶品。

このアルバムを聴いてると不思議とポジティブな気持ちになり、元気が出てきます。「好きなハードロックアルバムは?」と聞かれたら、僕はまず本作を挙げますね。普段ハードロックを聴かない人にも受け入れられやすい音だと思うので、多くの人に聴いてもらいたい作品です。ちなみに僕が持っているのはゼロ・コーポレーションから発売された1997年盤ですが、2000年にマーキー・インコーポレイティドからリリースされた再発盤にはミニ・アルバム「ANGEL OF HEAVEN」にのみ収録されていた隠れた名曲Light In The Darkや本作収録曲の別バージョンなど、ボーナストラックが4曲追加されています。

【音源紹介】
・All On Your Own

【CD購入録】FAIRYLAND「SCORE TO A NEW BEGINNING」(2009)

  • 2009/06/18(木) 00:00:00

【CD購入録】
SCORE TO A NEW BEGINNING
FAIRYLAND「SCORE TO A NEW BEGINNING」(2009)

以前からその存在が気になっていたフランス産シンフォニック・パワーメタルバンドFAIRYLANDの3rdアルバムを買いました。いつか聴いてみたいと思っていながら先延ばしになっていたところ、相互リンクさせていただいている一志さんのブログ記事を見て購入決定。ファンタジックなイントロに続く②Across The Endless Sea Part2、③Assault On The Shoreを聴いた時点で買って良かったと思いましたね。あとは⑥Godsentとタイトルトラック⑨Score To A New Beginningも好きな曲です。漠然としたイメージとして、このバンドは王道メロスピ系なのかと思っていましたが疾走感やクサさはそれほどでもなく、キャッチーなメロディをドラマティックに聴かせることに重きを置くバンドであるように感じました。過去2作品ではバンド体制だったのに対して、本作では中心人物Philippe Giordana(Key)以外は全てゲスト・ミュージシャンで、総勢16名ものプレイヤーが参加しています。ブックレットに全員の写真が載っている中で、僕が知っているのはMarco Sandron(Vo/PATHOSRAY)Georg Neuhauser(Vo/SERENITY)だけでした…。ただ、この2人がかなりいい仕事してくれています。メンバーが流動的なだけにライブを含めた今後の活動に不安は残るものの、なかなか僕好みのバンドです。Philippe Giordanaという名前は覚えておきたいですね。過去の作品もチェックしてみようかな。

FAIR WARNING「RAINMAKER」(1995)

  • 2009/06/17(水) 00:00:00

RAINMAKER
【No.150】
★★★(1995)

デビュー作「FAIR WARNING」の圧倒的な完成度で、メロディアスハードファンの度肝を抜いたFAIR WARNINGの2作目。本作は音楽性を少し広げた作風に仕上がっていて、前作ほどメロディアスハードど真ん中という訳ではないため、若干評価が分かれるかもしれませんね。

アルバムの掴みとしては煮え切らない感じの①Stars And The Moonこそ微妙ながら、その後に飛び出すタテノリのロックチューン②One Way Up、ブルージーな雰囲気の中でフックのあるサビメロが炸裂するバラード調③Too Late For Love、爽やかな微風を運んできてくれる軽いタッチの④The Heart Of Summer、メロディの印象度が段違いに高い⑤Don’t Give Upと続く名曲群はやはり素晴らしいですね。しかし、このアルバムのハイライトは何と言っても⑪Burning Heartでしょう。FAIR WARNINGに求められるもの全てを盛り込んだこの楽曲は、Helge Engelke(G)の影に隠れがちな実力派ギタリストAndy Malecek(G)の素晴らしいプレイを堪能できる名曲です。勿論バンドのリードギタリストHelgeのプレイも冴え渡っていて、明らかに他のギタリストとは異なるスカイギターならではの音色を奏でるギターパートが充実してるのも高ポイント。中盤に配された即効性のあるハードポップ曲⑧Pictures Of Love、繰り返し聴くうちに味わいが出てくる⑦Desert Song、どこかクセになるメロディを持った⑨Desolation Angels、⑩Angel Of Dawnもいいですね。FAIR WARNINGの作品の中でも聴く度に「じわじわじわじわ…」と味わいが増してくるアルバムです。

僕の好みで言えば前作の方が好きなのは確かですが、Ule W. Ritgen(B)のメロディセンスを活かした楽曲群は相変わらず高品質です。このアルバムもデビュー作同様、1995年のオリジナル盤から2006年のリマスター盤に買い換えました。リマスターとともに3曲追加されているボーナストラックの中のひとつ⑰Over Youはデモ音源というのが信じられない秀曲です。

【音源紹介】
・Burning Heart

FAIR WARNING「LIVE IN JAPAN」(1993)

  • 2009/06/15(月) 00:00:00

LIVE IN JAPAN
【No.149】
★★★(1995)

1992年にデビューするや、名曲揃いの1stアルバム「FAIR WARNING」がメロディ愛好家の間で高く評価され、BURRN!誌の年間投票ブライテストホープ部門でチャンピオンを獲得するなど勢いに乗っていたFAIR WARNINGの初来日公演(クラブチッタ川崎)を収めたライブアルバム。まだオリジナルアルバムを1枚しかリリースしていない時期だったため、デビュー作から4曲目Crazyを除く全曲に、Tommy Heart(Vo)Ule W. Ritgen(B)がかつて在籍していたZENOの楽曲とカバーソングを加えた全17曲(イントロを含む)が収録されています。

こうして聴くと、やはり彼らのデビューアルバムは名曲の宝庫なんだなぁとつくづく感じさせられます。イントロを経て始まるライブのオープニングチューン②Out On The Runで会場のボルテージはいきなり最高潮!ハードロックバンドの1曲目は、こういうアップテンポナンバーが映えますね。ギターソロの前にTommyがAndy Malecek(G)Helge Engelke(G)の名前をコールし、順番にソロを弾くというのもグッド。その後もZENO特有のオリエンタルな雰囲気が味わえる⑤Eastern Sun⑥Take Me Up、⑦Long Goneという名バラード2連発、ハードロックのエナジーに満ちた⑧Heat Of Emotion、アルバム中盤で和やかな空気を醸し出すアコースティックセット⑩Call Of The Heartなど、FAIR WARNINGとZENOの曲で埋め尽くされたアルバム前半は本当に素晴らしいです。オリジナル曲が良すぎるためにカバー曲の割合が増えてくる後半は少しテンションが下がってきますが、日本のファンに向けてのサプライズも用意されていて、それが⑫Sukiyaki(邦題:上を向いて歩こう)です。この曲ではTommyが流暢な日本語を披露していて、FAIR WARNINGのライブ作と知らずに聴いていたら、日本人が歌っているのかと思ってしまうほどです。

歓声がフェイドアウトしていき次の曲に繋がることが多いので臨場感に欠けるきらいはあるし、オリジナル曲のレパートリーがまだ少ない時点でのライブであるためFAIR WARNINGのグレイテスト・ヒッツ的な選曲ではないというのが少し残念ですね。とはいえTommyのボーカルパフォーマンス、見せ場を次から次へと生み出すギターチーム、楽曲のボトムを支えるリズム隊と、バンドのライブパフォーマンスバンドを堪能するには最適な1枚だと思います。ちなみに本作の音源は「CALL OF THE EAST LIVE IN JAPAN+5」として、CDよりも曲数の多いDVD盤でもリリースされています。

【音源紹介】
・Long Gone(Live)

FAIR WARNING「FAIR WARNING」(1992)

  • 2008/07/19(土) 09:06:55

FAIR WARNING

【No.012】
★★★★★(1995)

ZENOの元メンバーでもあったUle W. Ritgen(B)が中心となって結成した、ドイツ出身のメロディアスハードロックバンドのデビュー作。BURRN!誌を始め、様々なところで絶賛されている本作は、このジャンルの最高峰に位置する完成度の高さを誇る名盤です。本作を買ったのは1995年ですけど、あまりに気に入ってるので2006年にボーナストラック2曲追加で再発されたリマスター盤を買い直しました。

Uleが生み出す哀愁に満ちた旋律を持つメロディアスハードの楽曲をTommy Heart(Vo)が力強く、情熱的に歌い上げ、Helge Engelke(G)によるエモーショナルギターが、楽曲の感動を増幅させるというFAIR WARNING必殺の楽曲パターンがデビュー作で既に確立されているのが凄い。楽曲はどれも高品質なんですが、疾走系哀メロチューンのお手本のような⑦Out On The Run、気持ちよくドライヴィングする⑨Eyes Of Rockといったアップテンポから、涙腺を刺激しまくるメロディが感動的な⑧Long Gone⑫Take Me Upなどのバラード、メロディの良さが浮き彫りになった③The Call Of The Heart、Helgeの作曲による②When Love Fails、⑤One Step Closerといったミドルなど湿り気あるヨーロピアンハードロックの理想郷ともいえる音世界が広がっています。その一方でアメリカンテイストも感じさせる④Crazy、⑥Hang Onもあり、一曲たりとも無駄のないアルバムとなっています。

とにかく楽曲の良さが群を抜いているのでハードロックファンのみならず、一般の洋楽リスナーを取り込んでしまえるほどの普遍的な魅力を持った1枚です。ドイツといえばHELLOWEENBLIND GUARDIANといったジャーマンメタル系を連想しがちだった僕ですが、ドイツにもこんな素晴らしいハードロックバンドがいたんだと実感させられました。メロディアスなものが好き、という人は避けて通れないマストアイテムですね。リマスターされたことで音質も向上してるので、これから買うなら2006年の再発盤がオススメです。

【音源紹介】
・Out On The Run